魔法少女育成計画とかどうでもいいから平凡に暮らしたい   作:ちあさ

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本日2話目です。

前話を見逃した方はそちらからどうぞ。


魔法少女は嘲笑います

鉄腕少女は今、戦場に降り立った。

 

 

だがその姿は以前みた姿とは違っている。

愛らしいフォルムに色んな物が外付けされているのが分かる。

そして鉄腕少女は後ろから見ても分かるぐらいに怒りに震えている。

 

 

僕をそっと下ろした後、鉄腕少女が唐突に腕を振る。

森の妖精さんは咄嗟にジャンプして避けるとその背後にあったビルが輪切りにされた。

更に鉄腕少女の胸が開き、中から無数のミサイルが飛び出して森の妖精さんへと飛んでいく。

オッパイミサイルとは随分と分かっているじゃないか。

森の妖精さんもそれには少し驚いた顔をしたが衝撃波を出しなんなく撃破した。

鉄腕少女が一言加速とつぶやき、目にも止まらない速さで森の妖精さんへと接近。

腕からビームサーベルを出して斬りつける。

それを森の妖精さんは余裕を持って避け、逆にカウンターとばかりに鉄腕少女を殴りつけるが彼女は当たる直前に森の妖精さんの背後へと転移して蹴りつける。

 

 

すごい。

なんだあれは。

鉄腕少女の魔法はアイテムを1個だけ出せる能力だったはずだ。

改造ナースが車椅子へと組み込むことによって能力だけ取り出せるようになったとは聞いていた。

だがそれも元の魔法アイテムがあってこそだ。

鉄腕少女にはその魔法アイテムを持っていないはずだし、妖怪車椅子女も魔法アイテムはなかなか手に入らず余分な物は持っていないと言っていた。

だからこそケダモノの槍は貴重品として確保したのだ。

鉄腕少女は今色んなアイテムを使っているが、それは体の別々の場所から使用されている。

そんなにいっぱいの魔法アイテムなんて何処に…。

 

 

まさか、まさか自分の体を改造したのか!

いかに機械の体だからと言っても痛覚はあるのは初めて再会した時に分かっていただろう。

何故そこまでして強くなろうとするんだ。

何故そこまでして僕なんかを助けようとするんだ。

 

 

“娘だから”

 

 

彼女がこっちを向いて微笑んだ。

この距離で聞こえるはずがない、だが確かに彼女がそう言ったのが聞こえた。

 

 

それを聞いて()の記憶がどんどん溢れ出してくる

 

 

そんな…そんな理由はないだろう。

だって僕のことなんか(私のことなんか)いらないと言ったじゃないか!

だからこそ君の負担にならないように僕が生まれたのに。

君を傷つける”私”なんていらなかったから。

僕は、君を傷つけないように、もう君に捨てられないように、ただ同じ空間で平凡に暮らせればそれだけで良かったのに。

なんで魔法少女になんて、こんな戦場へと来てしまったんだ。

僕も、君も…。

 

 

嘲笑の声が響き渡る。

森の妖精さんが嘲笑っている。

そんな弱いやつらが勝てるわけがないと。

真に強い魔法少女だけが生き残れるのだと。

必要なのは強い魔法少女だけなのだと。

僕たちは出来損ないなのだと。

 

 

鉄腕少女がそれに反抗するように斬りつける。

だがそれまで防戦一方だった森の妖精さんが胸元から瓶を、その中から丸いものを数個取り出して口に放り込む。

 

あれは…もしかして元気が出る薬?

 

視界の端に廃寺で何かを探している犬の映像が映し出される。

奴め、双子のアレを回収していたのか!

気をつけろと伝える前にもう効果が発揮されていた。

音の衝撃波を使って縦横無尽に空を駆け鉄腕少女を何度も殴りつける。

鉄腕少女の装甲がどんどんと剥がれていきオイルが飛び散る。

 

 

そこに青い宝石が投げ込まれ青い子が現れる。

どうやら生きていたようだ。

だがその体はあちこちが焼け爛れていて、動きも精彩を欠いていた。

2,3回交差しただけで吹き飛ばされて意識を失い変身が解けてしまった。

この娘も中身おっさんじゃなかった、なになにッスとか言っていたから男だと思っただが。

 

 

森の妖精さんは鉄腕少女を優先すべきと考えたのだろう、倒れた青い子には見向きもしない。

鉄腕少女は最後の賭けに出るようだ。

バッグへと右手を突っ込んで…取り出した。

 

 

使えねええええとばかりに投げ捨てる。

 

 

やっぱりここ一番の引きに弱いらしい。

腹を据えた彼女は斬撃、ミサイル、サーベルに加速を使い森の妖精さんへと突撃する。

斬り、殴り、爆発、蹴りつけ、叩きつける。

空中を舞台にド派手な戦闘が繰り広げられる。

 

 

だがその戦闘も数分も続かなかった。

ミサイルも無限に撃てるわけではなかったのだろう、ビームサーベルを持つ腕も折られてしまっている。

見えない斬撃は予備動作が大きすぎて当たらないし、転移能力も回数制限があるのか途中からは使っていなかった。

加速をしようにもランドセルのバーニアは片方潰れて、もう片方も不規則な噴射でかろうじて体勢を整えるのに精一杯だ。

 

 

楽しかったけどそろそろお開きにしよう、そう森の妖精さんは嗤った。

 




ちなみに、昼間の町中です。
周りのビルにも人がいっぱいです。
きっと魔法の国は情報隠蔽に大変苦労するでしょう。

さて次回は最終回。
ハッピーエンドといけるでしょうか。
夜に投稿します。

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