魔法少女育成計画とかどうでもいいから平凡に暮らしたい   作:ちあさ

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タイガーマースークー!

を見てちょっと思いついただけなので短いです。

ギャグです。たんなるギャグ回です。
なので深く考えないように。


追記:とあるシーンの表現を変えました。


尻の穴

鉄腕組の対魔法少女戦では平均的な魔法少女1人に対し、組員が12人で1個小隊を作り、組所属の魔法少女が援軍に来るまで遅滞防御戦闘を行えるクオリティを求められています。

それを可能とする戦闘員を作り上げるために小雪様の鶴の一声で作られて運営されているのが、この戦闘組員養成機関『尻の穴』です。

『尻の穴』はスイス村からほど近いこの日本北アルプス山中に本拠を構えています。

鉄腕組組員はここで新人研修を受け、正組員になった後もローテンションを組んで定期的にここで研鑽を積むことになります。

 

 

「このクズ共ぉ~トロトロ走るんじゃないッスゥ~。えーと、まったく、なんたるざまだー、貴様らはぁ最低のぉーえーと、アリスちんこれなんて読むんッスか?ありがとうッス、うじむしだー!ダニだー!この宇宙でもっともげふっごほっ…むせったッス、えっと、劣った生き物だー」

手帳に書かれたセリフを棒読みでかったるそうに喋っているのはラズリーヌ軍曹様です。

彼女は近接戦闘のプロで、また魔法少女では珍しい極めて実践的な訓練を受けた経験があるので教官としては最高であります。

 

 

だが彼女の声を聞かされている組員の形相はまさに般若の如きで鬼気迫る勢いで走り続ける。

それもそうだろう。

彼らが今走っているベルトコンベアの背後には巨大なノコギリが水平に据えられて、少しでも速度を落とせば腰から二つに切り分けられることになる。

 

 

あのベルトコンベアの速度は時間が立つにつれ少しずつ上がっていき、終了時間はランダムとなっています。

これによって速度と持久力と精神力を鍛えるというのが考案者である小雪様の主張です。

この修業が終わる頃には大体半分の組員は物理的に半分になっています。

とってもシャレが効いていて小雪様は大満足だそうです。

 

 

その近くで別の修行を監督しているのが幹部のハードゴアアリスさん。

彼女の監督する修行はシンプルですね。

首の下まで土に埋めて動けなくなった組員をひたすら殴るだけの魔法少女なら誰でもできる単純作業です。

単純作業故に殴る作業は魔法少女になったばかりで力の加減が上手くできない見習いがやる場合が多いです。

この修業も優しい小雪様が考えたので30回殴られるだけで終わります。

ですが、殴られた時に目を瞑ってしまうと回数がリセットされます。

ゴスッ…ゴスッ…ゴスッ

「あ、目を閉じちゃダメですよぉ、殴っている私のノルマもリセットしちゃうんですよぉ」

 

 

この修行では組に入ったばかりの新人組員の矯正にもってこいです。

組に入るまでは喧嘩や暴走でオラオラ言わせていては自分は最強だと思いあがっているガキがたった3発も耐えられずに泣き出して、自分の立場ってものを強制的に教え込まされます。

これを30発耐えられるようになった暁にはどんな魔法少女を前にしても目が据わっている真の戦闘員か、もしくはどうしようもないM男の出来上がりです。

 

 

ちなみにどんなに痛みに耐えられるようになっても…

ゴスッ…ゴスッ…ゴキャンッ!…ゴロゴロゴロゴロ…

「ああーまた力加減間違えちゃったー、衛生兵さーん!首取れちゃいましたー!」

「はいは~い、お注射しますよ~」

こうしてやむを得ない理由で目を閉じてしまってもカウントはリセットされて最初からになります。

なので、最低でも100回ぐらいは殴られることになる、そんなとても思いやりのある修行です。

 

 

え?死人が出ているんじゃないかって?

大丈夫です。

この施設には、とりあえず生きてさえいれば”どんな状態でも”回復させられる魔法少女が常駐しているので。

だから例え頭が吹っ飛ぼうが、脳天から真っ二つになろうが直ぐ修行に復帰できます。

 

 

他にも素手で冬眠明けのヒグマと戦わされたり、時にはメルヴィル先生と鬼ごっこをしたりと楽しいレクリエーションを挟みながら、実践的な訓練を楽しめる。

そんな福利厚生の行き届いた魅力的な施設です。

これを考えてくれた小雪様は本当に女神のようなお方です。

 

 

そんな説明を若頭のマサさんが能面のような顔でする。

上司の命令で赴任したばかりの7753はこの地獄絵図を前にしてただただ呆然としていた。

 

 

「えっと…色々言いたいことはあるんですが…」

「はい、なんでも聞いてください」

7753はとりあえず手帳を見ながら罵っているラズリーヌ軍曹を指差す。

「あの手帳ってなんですか?」

「ああ、あれはツバメ姉さんが用意した、高校デビューのなんちゃってヤンキーを何処に出しても恥ずかしくないゾッキーへと育て上げるために現役時代に作った罵り手帳だそうです」

 

それを聞いて、分かったのかどうか微妙な顔をした7753は次にある人物のことを指差す。

 

「えっと、あそこでヤケクソ的に竹刀を振り回しながら訓練するぞーと荒ぶってる女の子は?」

 

マサさんはよくぞ聞いてくれたと笑顔になる。

 

「あの方こそ小雪様自らスカウトしてきたこの尻の穴に無くてはならない方です。のっこちゃん様といって、彼女があのように荒ぶるだけで、みんな率先して修行をしてくれるのです。彼女が来てから逃亡者は一人もいません」

 

 

そして「うおおおおもう我慢出来ーん」と叫びながらマサさんは修行をしに駆け出していった。

 

 

7753の本日の報告

「そろそろ引退したいです」

 




limited前編読みました。

7753可愛いですね。

これから後編読むんですが、是非生き残って欲しいです。
でも死んだらこっちの出番は増えるかも。

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