魔法少女育成計画とかどうでもいいから平凡に暮らしたい   作:ちあさ

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limited序章的な?
時系列的にはクラムベリー騒動から2~3年後ぐらい。

今回は短いです。


unlimited編
ろくでもない事


「マサー、マサーいないかー」

 

 

リップルさんが部屋でマサさんを呼んでいるのが聞こえる。

たしかマサさんって一昨日お兄さんに鍛えなおしてもらうって言って海鳴ってところに行ったんじゃなかったっけ。

 

 

「リップルさん、マサさんなら今は休暇中ですよ」

小雪さんが代わりにリップルさんの部屋に入っていくので私も一緒についていく。

 

 

「……私もそう聞いてますよ」

マサさんは遠出するときはいつも"お土産買ってきてやるから良い子にしてるんだぞ"って頭撫でてくれます。

これでももう高校生だし子供扱いされるのは不満なんですが、それでもなんだか嬉しくなってしまいます。

あんな人がお父さんだったら幸せになれたんでしょうか?

詮無いことですがつい考えてしまいます。

 

 

小雪さんについて入ったリップルさんの部屋は相変わらず雑然としている。

漫画本やアニメのDVD、食べかけのお菓子で足の踏み場もないくらいに散らばっている。

たしかマサさんが出かける前に掃除していったはずなのに1日でこれだけ散らかすのは才能なのではないだろうか。

 

 

「白いのと黒いのか、おまえらいつもセットだな」

リップルさんはソファに座ってTVで流れているアニメから目を離さずこっちに手を振ってくる。

 

 

「車椅子から依頼が来てさ、なんかどっかの馬鹿が馬鹿やったらしくてさ」

そう言ってタブレットをこっちに投げ渡してくる。

こちらを見もしないのに正確に投げてくるのは流石だと思います。

魔法を使わなくても忍者っぽいことは出来るんですよね、いつも軍服ですけど。

 

 

「………へぇ、やっぱり面白そうになってますね」

小雪さんがちょっと楽しそうに言います。

この人が楽しそうにしているのを見るのは嬉しいけど、でもこういう時は大抵ろくでもない事が起きるんですよね。

横からタブレットを覗き見ると、魔法の国の偉い人を暗殺している魔法少女とマスコットを捕まえるか倒してこいって依頼のようです。

その暗殺者とマスコットは何も知らない中学生を騙して魔法少女にしたそうで、

派遣された魔法の国の捜査チームと戦わせて、捜査チームに殉職者が出ているそうです。

そして色々政治的な理由で外交部門が横槍を入れたので、人事部門も人を出すことにしたそうです。

でも適当な戦闘要員がいないので、私達を代わりに傭兵として投入すると。

それにしてももう結界を張っていて入れないって、ここに行くときはやっぱり彼女の魔法使わないといけないのでしょうか。

 

 

「新米魔法少女6人を適当に揉んで暗殺者1人捕まえる簡単なお仕事だ、何人か選んで適当に処理しておいてよ」

リップルさんは適当に言ってくるけど本当に小雪さんに任せる気ですか?

どうなってもしりませんよ。

本当になんでこんな時にマサさんいないんだろう。

 

 

「ああ、あんまり派手にしないでね。見滝原んときも、その後の友枝町の時もすっごい怒られたんだから」

たしかに街を全壊させたり、東京タワーぶっ壊したりと最近は派手にやりすぎている気がします。

どうせ怒られるのは私じゃないからいいんだけど。

 

 

「リップルさんは来ないんですか?」

「んー、一応僕もこのアニメ全部見終わったら行こうかな、アッシー君は部屋で待機させておいて」

アッシー君、あの人私嫌いなんですよね、いつも誰かの髪の毛しゃぶってて気持ち悪いです。

小雪さんは便利だし、慣れれば可愛いペットですよって良く椅子代わりにしています。

でも小雪さんが何処かから拾ってきてからもう2年ぐらい経ちますけど未だに慣れません。

というか拾ってきたときよりどんどん奇行が酷くなっているようなんですよね。

でもあの人の魔法を使えば、色んな所に人を送り込めるし、逆に人をこっちに連れてくることも出来るので確かに便利なんですよね。

そういえば今日の彼女の餌まだあげてなかったっけ、あとドックフード出してあげなきゃ。

………それにしてもなんで魔法少女なのにドックフード食べさせるんでしょうね、小雪さんの指示だから毎日無理やり詰め込んでますけど。

 

 

それじゃ行ってくるねと小雪さんと一緒に部屋を出る。

小雪さんはもう満面の笑みで今にもスキップしそうなぐらい楽しそうにしている。

 

「こういうのって大抵マサさんが仕切っちゃうから一度やってみたかったんですよね」

 

そう言ってどうしようかなーだれにしようかなーってタブレットでみんなのスケジュールを確認しています。

そして通信室にやってきました。

ここから魔法の端末や組員の通信端末に連絡が可能です。

 

 

小雪さんは少しの間考えて…

そして"良いこと思いついた"とポツリと呟き、通信を開始します。

 

 

 

「全魔法少女及び全組員傾注。組長から最優先の任務を通達する」

なんだかいきなり不穏な空気が…。

最優先任務?たしか適当に処理する任務だったはずでは?

 

 

 

「B市にて特S暗殺者が見習い魔法少女を使いクーデターを画策中。

鉄腕組は全魔法少女を投入してこれを阻止する。

目標は暗殺者1人とマスコットキャラクター"トコ"の抹殺、見習い魔法少女6人の拉致もしくは抹殺。

全魔法少女は現時点で遂行中の任務を全凍結。

ピティ・フレデリカの魔法による強制招集をかけるので準備をしてその場に待機。

 

組長からのオーダーはただ一つ。

 

"蹂躙せよ"

 

現地には魔法の国の捜査チームが入っている。

ただし共闘などはしない。

もし立ちふさがるなら全て叩き潰せ。

それでは各員の奮闘を期待する」

 

 

 

どうやらやっぱりろくでもない事になりそうです、フンガー。

 

 

 




続くのだろうか。

追記:誰の視点か分かりにくいという意見があったので、最後にフンガー付けておきました。

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