魔法少女育成計画とかどうでもいいから平凡に暮らしたい   作:ちあさ

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この章のサブタイトルは考えるのが難しい。


前話で「導かれし者たち」なんて有名タイトルを勢いで決めた自分をぶん殴りたい。


というわけで何故か知らないけど続いています。


こういうのは勢いで書いてるので滑ってても笑って許して。





神話からお笑いへ

俺の名前はキリト。

このソードアートオンラインのベータテスト経験者にして、このデスゲームを最速で駆け抜けるプレイヤーだ。

 

 

 

自慢じゃないが、俺はこのゲームでは最高の実力者だと自負していた。

ベータテストでは相棒のスノーホワイトと一緒に常に最前線を駆け抜け、最終的に16層まで到達して、

誰も攻略できなかった数々の難関クエストもクリアしてきた。

 

 

 

だからここがデスゲームになったとき、少なからず期待してしまった。

このゲームをクリアするには俺の力が必要だって。

誰よりも早くレベルを上げて、常に最前線を駆け抜けるのは俺だって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今まさに俺の伝説が幕を開ける!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなふうに考えていた時期が、俺にもありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現実はそう甘くはありませんでした。

 

 

 

 

第一層がクリアされたのはたったの5日後の事。

 

 

 

 

謎のA-01という戦闘集団、伝説のネットゲーマー疾風迅雷のナイトハルト、ソードスキルも使わずに二刀のナイフや棍や空手で戦う高町家。

たまたま見つけた迷宮区入り口でその集団たちと偶然出会って、ついでだからとホイホイとついていった俺。

途中の安全地帯で寝ていたフードを被った少女『アスナ』を保護しつつ、向かった先は1層のボス部屋。

とりあえずはボスの様子を見て、一旦引くのかと思ったが。

 

 

 

実際に起こったのはガチバトル。

 

 

 

隙のない連携でボスを追い詰めていくA-01集団、多数のボスの取り巻きを最適化された動きで最速で倒していくナイトハルト。

高町家はまだレベルが足りていない俺とアスナをボスの取り巻きから完全に守ってくれている。

その後、俺の目の前に吹き飛ばされてきた死にかけのボスにソードスキルが当たりラストアタックは取れたが、もはや俺の自信は木端微塵に吹き飛んでいた。

 

 

 

そんな彼らの活躍は、

 

「任務故に目立ちたくない」

「知らない人に声をかけられるのが怖い」

「御神流の剣士は弱きものを守ることが当たり前で誇るほどのことではない」

 

と、それぞれ秘密にしておいてほしいと言い去っていくことで誰にも知られることはなかった。

 

 

 

 

 

故に1層のボスはいつのまにか俺とアスナの二人でクリアされたことになり、

『黒の剣士キリト』と『閃光のアスナ』の伝説は俺らの知らないところで勝手に独り歩きを始めてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、攻略会議もされずに人知れずボスが倒されることが何度もあり、その都度、

 

 

 

「まーた『腹黒のキリト』と『お閃光さん』ですか。お二人だけで抜け駆けしてボス倒すやなんて、ボス戦をデートか何かと勘違いしてんると違うんか」

 

 

と集団行動第一主義の『トゲヘッドのキバオウ』にネチネチと嫌味を言われたり、

 

 

「ははは、仕方ないな二人とも、でも今度は、こ・ん・ど・は、僕の分も取っておいてね」

 

 

と英雄願望が強い『自称ナイト様(笑)のディアベル』に嫉妬の視線を向けられたり、

 

まさに傍迷惑極まりない言いがかりをつけられることになるのだった。

 

 

 

 

 

 

+++++

 

 

 

 

 

 

第一層の始まりの町、そこの中央にギルド『鉄腕組』本部がある。

 

 

鉄腕組というギルドはこのソードアートオンラインでは人によって評判の変わる非常に微妙な存在だった。

 

 

ギルドマスターのリップルはリアルでも有名な広域指定暴力団である鉄腕組の現役組長。

その性質を一言で表す彼女の二つ名は『愛すべき馬鹿のリップル』

彼女は常に何をするのか予測がつかない。

 

 

目隠しをして迷宮区のボス部屋まで辿り着けるかに挑戦したり、

ゲームマップ端からバンジージャンプをしてみたり、

NPCに延々と矛盾する問いかけをしてNPCのAIシステムをフリーズさせたこともある。

 

 

一番酷かった出来事はあれだろう。

 

 

 

「そうだ、迷宮区を通らないで次の層まで行こう」

 

 

 

そう言いだしたリップルはSTRとDEXを上げているプレイヤーを大量に集めて、

みんなで肩車をして次の層の外端から入ろうとしたのだ。

 

 

 

結果、見事の次の層にたどり着きアクティベートしたのだが、

そのすぐ後にGMに始まりの広場へ全プレイヤー強制転移させられた。

 

 

 

システムの想定外の出来事で、今回は認められたが、次からは層の間に進攻不可の壁を設定されることになり、

その際にリップルと鉄腕組は名指しで馬鹿な真似は辞めるように警告され、その知名度を大いに高めることになる。

まぁその程度でやめるような彼女ではないが。

 

 

 

 

故に鉄腕組は馬鹿の巣窟であると認識されていた。

 

 

 

 

天才茅場晶彦も、まさかそんな方法を思いつき、なおかつ実行する馬鹿達がいるとは想像もしていなかったようだ。

他にも気づかないような穴がないか、総点検する必要性に迫られることになった。

 

 

 

その晩、徹夜してプログラミングを修正する羽目になった涙目の茅場晶彦というレアな姿を見て、非常にご満悦な神代凛子がいたとかいなかったとか。

 

 

 

 

 

 

 

鉄腕組は他にも慈善団体という一面を持っていた。

 

 

 

サブマスターのマサ。

弱きを助け強気を挫くを地で行く彼の二つ名は『天然ジゴロのマサ』

 

 

 

この事件に巻き込まれた年端のない少年少女たちを保護し、教会で孤児院を開いていた。

そして同じように巻き込まれ途方に暮れていた女性に支援金を渡して子供たちを託していた。

 

 

 

「俺みたいなヤクザが世話してもガキどもの教育に悪いだけでさあ。

ヤクザの金なんて汚いと思うかもしれねーが、金は金。

あんたみたいな人が使ってくれれば少しは綺麗になるんじゃねえか」

 

 

 

などと言い、事あるごとに金やアイテムなどを差し入れるマサ。

そんな彼を見つめるその女性の目はガチな捕食者の目であった。

 

 

 

 

 

 

 

鉄腕組はすべての元凶という一面も持っていた。

 

 

 

もう一人のサブマスターである犯人はヤス氏は、現役の内閣総理大臣である。

だが世間では彼こそが『このデスゲームを起こした本当の真犯人』という根も葉もない噂がまことしやかに囁かれていた。

 

 

 

情報屋である鼠のアルゴは"ヤス氏が犯人なんてそんなことはない"と、噂の真偽を否定していたが、

人の口に戸は立てられぬもので、この噂を消すことなんてもはや不可能であった。

 

 

 

その噂が広まったきっかけは、デスゲーム開始の際に広場でGM茅場晶彦が映した現実のニュース映像であった。

 

 

 

デスゲームが事実であることを知らしめるためにリアルで流れているニュースがいくつも同時に映し出された。

その中に、「デスゲームの真犯人は内閣総理大臣"犯人はヤス"氏で確定!まさに世紀のスピード逮捕!」というテロップと共に、

ナーブギアを被って意識不明のまま、手錠をかけられ担架に乗せられ連行されるヤス氏の映像がデカデカと映ってしまっていた。

その上、ゲームを止めるにはゲーム内でヤス氏を倒すことが最善策ではないか、とニュースで報じられていたのが決定打だった。

 

 

 

故にヤス氏は絶対安全圏である宿屋の個室、そして鉄腕組本部が出来てからは、そこのプライベートルームから一歩も出れなくなった。

もし少しでも外に出ようなら速攻で捕まって安全圏外まで連れ出されてPKされてしまうだろう。

 

 

 

彼についた二つ名は当然のごとく『魔王はヤス』

 

 

 

そしてヤス氏が隠れている鉄腕組本部は心無い人達に『魔王の城』と呼ばれることになった。

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに鉄腕組トップの3人は例えゲーム内で死んで脳がこんがり上手に焼けましたーとされたとしても、次の瞬間にはお注射されて完治することだろう。

 

 

 

 

ただヤス氏はそんな事実に気づかずにゲームがクリアされるまで部屋の中に籠り続け、恐怖で精神を擦り減らしていくことになる。

 

 

 

 

+++++

 

 

 

 

 

 

 

ゲーム開始から3ヶ月が経っていた。

クオーターボスである25層の強力なボスがまたもや人知れず倒された、そんなある日。

 

 

 

 

 

 

 

今や奇々怪々な魔境と化したソードアート・オンラインを見て回っていた一人のプレイヤー、名前をヒースクリフという人物がいた。

 

 

 

 

 

そんな彼は今、一見猫のような、犬にもイタチにも見える謎のマスコットキャラクターの形をした白いプレイヤーに話しかけられていた。

 

 

 

 

 

「君、なかなかの因果の量だね。

普通の男性はここまで素質を持った人はなかなかいないんだけど。

ねぇ君、僕と契約して、魔法中年になって欲しいんだ」

 

 

 

 

 

 

そんな白い淫獣を見て、

 

そして、彼が夢見た世界から明後日の方向に吹っ飛んでいくこの世界に思いを馳せ、

 

彼は一言こうつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

「どうしてこうなった」

 

 

 

 

 




ヤスさんの使いやすさは半端ない。

というよりヤスさんの所が書きたかっただけという説もある。
他は全部オマケに過ぎません。


というわけで次もいつか会えたらいいね。


あと、キリトさんとヒースクリフさん頑張れ!

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