魔法少女育成計画とかどうでもいいから平凡に暮らしたい 作:ちあさ
鉄腕少女との出会いは「ドキッ魔法少女だらけのバトルロワイアル~首がポロリもあるよ!」が起こる2か月ほど前のこと。
あの頃は街への仕込みの為にお金がなくて、ヤクザのケツを蹴り上げてお金をもらう代わりに色々仕事を手伝ってやっていた。
ここ最近はもう筆談で会話もスムーズになっていた。
会話用スケッチブックの最初のテンプレ3ページ、「金出せ」「仕事やってやる」「死にたいのか?」だけで会話が進むのは話が早くていい。
やっぱりコミュニケーションって大事だね。
そして彼らからの仕事の一つに借金取り立てがあった。
その日も借金抱えてとんずらした野郎を探してホームレスの溜まり場をしらみつぶしに潰していた時に彼女に出会った。
えっと、怯えるホームレスと包丁を持った怪しい女。
どうみても僕ってギルティ?
人助けだから魔法少女的には問題ないんだろうけど、通報されて動きにくくなるのも厄介だよな。
トップなんとかさんとかの耳に入るのも困る。
可哀そうだけど見逃してやるわけにもいかないな。
それに程よく見た目がいい黒髪美人だし、とりあえず捕まえてヤクザ屋さんらに売ればいいや。
悲しい事件だ。
僕は素早くホームレスを蹴りつけて気絶させて、彼女を取り押さえようとした。
ところが取り押さえる寸前に彼女はなんと鉄腕ア〇ムに変身したのだ。
そして彼女は逃げつつバッグから何かを取り出した。
武器かと思い身構えてしまったが、彼女はそれを見て使えないですと叫びながら地面に叩きつけつつ、空に飛んで行った。
僕ってほら親切だから、それを拾って空飛ぶ彼女の後頭部目掛けて忘れ物ですよーっと投げつけクリーンヒット。
その道具は思ったより頑丈だったらしく、彼女はそのまま落下していき、無事確保できたのだった。
逃げられないように入念に彼女の両手足を折って頭を踏みつけつつ、
スケッチブックを突き付けて優しく事情を聴く。
彼女の名前は・・・なんだっけ?とりあえず鉄腕少女とする。
どうも僕は人の名前を覚えるのが苦手なんだ。
それに同じことを何度も聞くのって恥ずかしいしね。
鉄腕少女によると、彼女の魔法は1日に1個だけ未来の便利アイテムをランダムで使うことができるとのこと。
それでさっき武器になるものを出そうとしてハズレを引いたらしい。
その道具は探し人GPSといって、その人の役に立つ人を探してくれて、場所や会い方などの情報を教えてくれるらしい。
確かに目の前にあるピンチには役に立たないだろうが、存外に便利そうだ。
試しに使ってみたところ、ちょっと遠い場所だけど僕の魔法の死角を補ってくれる魔法少女がいるらしい。
その人のメールアドレスと、その人から協力を引き出す方法もご丁寧にも表示してくれた。
どうやらこの人には鉄腕少女を売り飛ばせばいいらしい。
こうして僕は情報戦に特化した超改造を施された「象が乗っても大丈夫」な頑丈モバイルノートを手に入れることができた。
これはもう鉄腕少女の方角に足を向けて眠れない、方角忘れたけど。
主人公はコミュ障で人前だと全くしゃべれないため、コミュニケーションには筆談を使ってます。
きっとトップなんとかさんには「興味ない」「死ねば?」「もう帰る」の3つのテンプレが用意されてるでしょう。
日本の識字率の高さって素敵ですよね。
あと鉄腕少女はきっとお屋敷でペット兼魔法の材料として可愛がられているでしょう。