ダンジョンに出会いはある・・・?   作:ろとまる

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白兎起きる。

((おはよう。気分はどう?))

 

白い靄が濃過ぎて喋っている相手の顔は全く分からないが、声は可愛らしかった。いつか、来た場所。安心だと思える場所。そして、本当の声の主を僕は知っている。

知っている?

シッテ・・・??

 

((まだ、思い出さなくて平気だよ。・・・それよりもおめでとう!■■■!!これでやっと二つだね!あなたならきっと成し遂げることが出来ると信じてるよ。))

 

やはり、どこか、聞いたことのある声だった。それに、匂いもどこか懐かしい。・・・懐かしい?なんで懐かしいなんて思ったんだろう。だって、僕には■■が無いのに。なにが無いのだろう?なんだっただろう。なんで、こんなにポッカリと胸に穴が開いてる感覚を想像してしまうのだろう。やっぱり、僕は何か欠陥・・・しているんじゃないだろうか。

 

((こらっ!ちゃんと今は私の声だけを聴いてなさい!!他のことなんてどうせいつかは、考えなくてはいけない時が来るのだから。今は、・・・今回は、私の声だけ聴いていて。))

 

その怒り方すらも何か、胸にくるものがある。・・・そんなことを考えていたら、その声は、いつしか鼻歌に変わっていた。僕は、その鼻歌に揺られる。とても、とても気持ちがいい。

 

 

((次は、きっと、もっと・・・))

 

彼女の鼻歌交じりの言葉を、僕は、最後まで聞くことが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ロキ・ファミリア ベル個室~

 

(どうして、キミは・・・こんなになるまで・・・)

 

アイズはベルの左足を見つめながら、髪を撫でる。あの戦いから既に4日。アイズが好きな真紅の瞳は、開かずに瞑ったままだった。

 

(一体、何が君をそんなに強くしたの?)

 

アイズはミノタウロス強化種との戦いぶりを思い出す。あんなのルーキーの戦い方ではないし、やろうとして出来るものではない。そもそも自分の命をベットして戦う相手でも無いのではないかとアイズは思うが、それは下世話というものだ。

 

(自分の限界か・・・。)

 

ダンジョンでフィンに言われた言葉を思い出す。アイズとて強さを求めた。誰よりも何よりも強くあろうとした。その為には無茶もしたし、怒られたりもした。だが、

 

(君のは・・・見ていて本当に怖かった・・・だけど・・・)

 

経験値の少ないベルの戦闘は危なかったし、滅茶苦茶な動きもあった。先なんて考えてないんだろうか?という動作なんてしょっちゅうだった。

 

(本当になんでかは分からないけど、うらやましかった。私も、君の強さの秘訣が分かれば、強く・・・なれるかな?)

 

アイズはベルの額に自分の額をくっつける。いつの日だったか、母がしてくれたこと。

アイズは願う。早く、声が聴きたいと。

アイズは願う。ぴょんぴょん跳ねる元気な姿が見たいと。

アイズは願う、また真紅の瞳にうつる自分の姿が見たいと。

 

アイズはそのまま目を閉じて、寝息をたてていた。

 

「こりゃ、流石に茶化せんなぁ・・・。」

ロキが半開きの扉の外からフィン・リヴェリアにそっと呟く。

「そもそも茶化すつもりだったのかい?」

 

フィンは呆れながら答える。

 

「呼吸があるだけで奇跡的だ。・・・というか、私にはまるで誰かがベルを死なせたくないかのように、何か特別な力を行使しているように感じる。」

 

「「・・・。」」

 

リヴェリアの言葉にロキとフィンが黙る。恐らく二人の頭の中には一人の主神が思い描かれていることだろう。二人の顔を見ながらリヴェリアは更に言葉を続ける。

 

「あの時の動き、魔力量、スピード、攻撃力・・・どれをとってもとてもレベル1だとは思えなかった。そして、あの武器。・・・全くもって例外だらけだな。」

 

溜息を吐きながら、治療中も全くベルの左手から離れなかった純白の短剣を見る。ヘファイストスに言わせると、魔力の逆流が原因ではないかと言うことだ。その理由はロキでも分かる。肝心なのは、なぜそんな事態が起きたのか・・・ということだ。ヘファイストス自身もそんな効果を付与した覚えはないとのことだった。つまり、結論から言うと・・・。

 

「・・・原因不明・・・か。さっきリヴェリアが言っていた特別な力に関係はありそうだね。」

 

「せやかて、作った張本人かて分からんて言うとるのに・・・かぁぁぁぁぁ!あのじじぃ今度会ったら、絶対にしばいたる!!」

 

ロキは頭を掻き毟りながら身悶えていた。

 

「明日は、目覚めてくれるといいのだがな。」

 

リヴェリアはベルと、ベルに覆いかぶさるように眠るアイズを見て祈ることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

~翌日~

 

(あれ?身体が重い・・・?)

 

ベルは自分の体の上の重みで目が覚める。目は覚めているが、なかなか上手く体が動かない。痛みはないが、何処か足りない様な・・・そんな感覚に襲われた。

 

ぐぅぅぅぅ~~

 

(そうか、お腹が減っているのか・・・)

 

その、お腹の音で

 

「・・・・ベル?起きた?」

 

急に体が軽くなったのを感じたのと同時に聞きなれた声が耳に馴染む。

 

「ア、 アイズさん?!」

 

急接近してくるアイズに戸惑うベル。だが、アイズはそんな戸惑うベルに遠慮などせず抱き着いていた。

 

「え?!えーーーっ?!」

 

突然の出来事にどう反応したらいいか分からないベル。しかし、アイズから伝わってく温かさに

 

「・・・えっと、ただいま・・・。」

 

その言葉に無言で涙をこぼすアイズ。抱きしめる腕にも力が入る。

 

「あ、いや、でも、おかえりなさいですよね?!アイズさんたち遠征から帰って来たばかりなんですしっ!」

 

あたふたと喋っているベルの声だけでも、愛おしいと感じてしまうアイズ。

アイズは抱きしめていた腕を解き、大好きな真紅の瞳をみながら、

 

「ただいま。おかえり。ベル」

 

極上の笑顔でそう言った。

そんな二人のやり取りを一部始終見終わったかのようなタイミングでロキが入室してくる。

 

「お?お?なんやぁ~?なんやぁ?ええ感じですなぁ?せやけど、アイズたんはうちの嫁やでぇ!!」

 

「ロキ、そういう悪ふざけは後でいくらでもしてくれ。・・・ベル、身体に異常を感じるところはあるか?」

 

ロキの言葉を制しながらリヴェリアが話かける。リヴェリアとしてもベルが寝込んでる数日気がきではなかったのだろう。

 

「リヴェリア様!神様!その、大丈夫・・・だと思います。」

 

両手を広げて自分の体を触ろうとするベルの姿に違和感を持ったリヴェリアが

 

「おい、ベル。それは、どうやって持っている?」

 

「へ?」

 

手を広げているのにも関わらず左手の短剣は落ちずにベルの手の中にあった。ベルは、不思議そうな顔でシィアを左手から外そうとするが

 

「なんか・・・くっついてるんですけど・・・。」

 

リヴェリア・ロキ・アイズが差し出された手のひらを見る。確かに、ベルの左の掌にくっついていた。

 

「・・・それ、うごいてへん?」

 

ロキが、薄目をさらに薄くしベルの左手と武器を見る。確かに、動いている。鼓動している。脈を―――――――うっていた。

 

「無理に外さないのが正解だろうな。なに、そのうち解決策も出てくるだろう。」

 

リヴェリアはあっさりとその状態を受け入れた。これ以上ベルの不安を煽るのはよくないと彼女なりの優しさだったのかもしれない。

 

「まぁ、分からんことは考えてもしゃーないしな!ほな、飯食いにいこか?」

 

ぐぅぅぅ・・・

 

「腹の音で返事するとはよっぽど減ってたんやな!ええこっちゃ!」

 

ロキは嬉しそうにベルの頭を撫でた後に、耳元でそっと

 

「ほんま、無茶せんといて。・・・ええね?」

 

そう告げていた。

 

「ベル、立てる?」

 

アイズがベルの手をひき体を起こし、そのまま立とうとするがよろけるベル。

 

「あ、あれ?」

 

結果的にアイズにもたれ掛る形になってしまったが、張本人であるアイズは気にもせずに、

 

「このまま、行こうか。」

 

「え?!さすがにそれは・・・!!」

 

ベルがアイズの言葉を拒否しようとしたのだが左方向からも

 

「では、私も手伝うとしよう。」

 

リヴェリアがベル左側から腰に手を回し支える。

 

「異論は・・・ないな?」

 

「えっ?!いや、そのぅ・・・お、お願いします・・・。」

 

右には剣姫、左には九魔姫、そんな、誰もが羨む状態で食堂へ向かっていく。

ちなみに、ロキは後ろからその様子をニヤニヤと見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

~食堂~

 

「べぇーーーーるぅーーーーー!!」

 

食堂に入ってから数秒もしないうちにティオナが後ろから抱き着いてきた。

彼女は爛々と目を輝かせながら、

 

「起きたんだね!・・・?ねぇ、なんで剣握ったままなの?」

 

「えっと、僕にもよく分からないんです。」

 

ベルは周りの視線を恐れていたのだが、ふと周囲をみると嫉妬に満ちた視線などなかった。

食堂にいたファミリア全員がベルの目覚めを祝っていた。

 

「はぇ~~・・・・。なんか、よく食べるようになったねぇ・・・。」

 

ティオナは感嘆の声を上げながらベルの食べっぷりを見る。いつものベルならおおよそ成人男性の1食より少し少ないくらいでお腹がいっぱいと言っていたのだが、

 

「なんか、(もぐもぐ)お腹、(もぐもぐ)減ってる、(もぐもぐ)みたいで。」

 

ベルは喋るのも惜しいと言わんばかりに食べ物を口に運ぶ。

 

「片手じゃあ、食べにくいよね!じゃぁ・・・・はい!あーーーん!」

 

ティオナが自分のお皿の上にあった煮豚をベルの口に運ぶ。

 

「あん。あふぃがとうごふぁいまふ!」

 

ベルは照れることもなく口にした。

 

「ほい!これも!じゃあ。こっちは?」

 

と、ほいほいベルの口に運ぶティオナ。

あまりにもの光景に両脇の二人は固まっていたが。

 

「す、スープは食べずらいから・・・。」

 

最もな理由でスプーンをベルの口に運ぶアイズ。

 

「これはいいな。どれ、ベルこれも食べるといい。」

 

くすくすと笑いながらリヴェリアもベルの口元に食べ物を運ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご馳走様でした!」

 

「まさか・・・だな。あの量を平らげるとは・・・。」

ティオナでも難しいだろうな。とリヴェリアはチラッと目線を移しながらつぶやく。

同時に先ほどは軽く流したが、やはりどこか異常があるのではないかと懸念してしまう。

まさに、なにか失ったものを補給するように感じた。それならまだいいが、この補給が失ったものの代用で補給されているのならば・・・。と、リヴェリアは少し顔を曇らせた。

 

「ベル、いっぱい食べたねー!!!」

 

ティオナはベルに抱き着きながらほぺったをプ二プ二と指でつつく。

 

「ベル。一度神ヘファイストスの所へ行かないか?」

 

リヴェリアがベルの握られている短剣に目を移すと、

 

「・・・・・。ベル、短剣はどうした?」

 

「へ?あれ・・・?そういえば・・・。」

 

辺りを探すベル。その場にいた全員で探したが短剣は全く見当たらなかった。

 

「ますます行かなくてはいけなくなったな。」

 

少し溜息を吐いた後、リヴェリアは白兎を連れてホームを出た。

 

 

 

 




これでひとまず一部完結、ということで。
続きは2期アニメながら書いていこうかな(はーと
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