1つの部屋のさらにその一角、
そこはまるで1つの作業場のようだ。様々な色の絵具に接着剤、筆からエアブラシまで揃っている。
その部屋のベッドに布団に包まり身体を沈めている1人の少年がいる。
少年がベッドの上で寝返りを打ち、
「おーい俊樹!」
外から幼さが残る少年の声が響き、その声を聴き布団から少年が起きる。
銀色にも見える白色のショートヘアに整った顔立ちの目がゆっくりと開き、金に近い黄色の瞳を覗かせる。
1つ欠伸をし眠そうな顔のまま窓を開ける。
「大きい声出してどうした直人?」
俊樹と呼ばれた少年が外にいるどこか興奮した様子のシアンのショートヘアの少年、直人に返事を返す。
少年、
そして外から俊樹に声をかけた少年は
俊樹の2歳年下にも関わらず彼を兄のように慕う、俊樹の親友だ。
直人の特徴として、15歳にしては小柄な体型だ。
「やっと買えたんだよ!見せてやるから待ってろよ!」
そう言うや否や、直人は堂々と俊樹の家へ入っていく。
そんな俊樹の部屋の棚には、身体が弱いこともあり彼なりに楽しむために集めたフィギュアや模型が飾ってある。
とあるメカ美少女SFアニメのキャラクター「ハイデマリー」「服部静夏」。
他にもアニメ・ゲーム登場キャラクターの「アーンヴァル」「スバル」、そして人気戦闘機アニメの「VF-0D」「VF-25F」「VF-11B」などがある。
統一制こそ無いが、俊樹は本気で気に入ったもの以外は滅多に購入しない。
だが、棚の1番下に「直人の」と書かれた箱がある。直人関連の物なのだろうが中身は本人と俊樹しか知らない。
俊樹が棚を軽く眺めていると、ドタドタと階段を駆け上がる音が響いてくる。
「おいっす!」
「いらっしゃい」
堂々とドアを開け部屋に入ってくる直人。何回も訪問しているからか遠慮がない。
入室するや、肩にかけているバッグを漁り始める。
「じゃーん!」
バッグから取り出したのは、これもアニメの登場キャラクター「スザク」と「ユーフェミア」のフィギュア。
どうやらこれを見せたかったようだ。
「なるほどな。じゃあ並べてみるか?」
「もちろん!」
直人の返答に俊樹は頷き、棚の下の箱を持ち運び、直人の側に置く。
「元気にしてたかい、みんなぁ!!」
直人が意味不明な言葉と共に勢い良く箱を開ける。
中には「ハルトマン」「シャーロット」「SV-51」「VF-27」等と、これまた多くの模型やフィギュアが入っていた。
箱を開けた直人は鼻歌を歌いながら模型とフィギュアを並べていく。それ故か俊樹の異変に気付かない。
突然、俊樹が胸部を抑え苦しみ始めた。額には玉のような汗もかいている。
「よーし、どうだい君たち、遂に一緒に並べた感想は!」
そんなことは知らず、返答しないと分かっていながら模型に問う直人。
「俊樹も・・・俊樹!?」
「直、人・・・」
背後を振り返り漸く俊樹の容態に気付いた。
胸部を抑え過呼吸になり始めている。
「あぁ・・・、おじさん、おばさん、俊樹が!!」
驚愕と不安に支配され、直人は俊樹の両親がいる下の階へ駆けていく。
だが、それは必要だった物かもしれない。
・・・与えられた物語への。