地上部隊から北上した先でも大規模戦闘が行われている。
野戦飛行場を奪おうと攻撃を仕掛けるブリタニア軍と防衛するセフィーラ軍。
《クソ、これ以上待てない!私は先に出るぞ!》
《危険すぎるカイゼミーネリーダー!まだ待ってくれ!》
地上には離陸待ちの戦闘機も多数いるが、上空のブリタニア軍機から見れば的同然だ。
上空のセフィーラ軍機はそれらを援護しながら戦わなければならない。
「准尉、軍曹、残弾は?」
《30%を下回ってますが、まだ戦えます》
《ミサイル、ガンポッド共に残弾ゼロ。ごめんなさい、補給に戻ります!》
「了解。服部軍曹、援護するわ!」
そこにいるのは尾翼に蜂のマークをつけた黄色のVF-19S。そしてその僚機と思われるグレーのVF-22と深緑カラーのVF-19F。
それはエイカ・M・ルマール、ハイデマリー・W・シュナウファー、服部シズカの乗機である。
エリュシオン進攻に失敗し撤退した彼女達もこの籠城戦に参加していたのだ。
しかしいくらエースと呼ばれているエイカでも、2人を庇いながら戦う事は難しい。何とかハイデマリーと連携して敵機を墜としていくが、
「っ!?弾切れ!?」
無補給で継戦し続けた為、遂にガンポッドの弾とミサイルが尽きた。
ハイデマリーも他の敵機の相手で援護に向かえない。
そして、それを見逃さなかったブリタニアのVF-5000がエイカを突破し補給に向かっているシズカのVF-19Fを追撃する。
「ごめんなさい服部軍曹!抜かれたわ!!」
《!!》
背後を確認したシズカは振り切ろうと機体を加速させるが敵もそれに追従する。
そしてVF-5000の照準がシズカを捕捉し、敵パイロットがガンポッドを発射しようとする。
終わりを予感し、シズカは恐怖のあまり目をつむった。その時だった。
敵の5時下方からVF-5000にガンポッドの射撃が放たれ、VF-5000のエンジン部を撃ち抜く。
撃たれたVF-5000は黒煙を吹きながら落下していく。
「な、何が・・・」
何が起きたか確認しようとするシズカ。すると先程ガンポッド射撃があった方から1機の可変戦闘機が上昇していきシズカの頭上を飛び抜けていく。
その機体を見た瞬間、シズカの表情が驚愕に染まる。それは彼女にとっても見覚えのありすぎる機体だ。
ドッグトゥースを持った大面積クリップドデルタ翼に上下2対のカナード。そして白銀の下地に黒いラインカラーリング。
不意に言葉が漏れる。
「宮本、さん・・・?」
***
「間に合った・・・」
VF-0Xのコクピットの中で一先ずトシキは安堵していた。
シズカのVF-19Fが敵機に撃墜されそうになっており、無我夢中でガンポッドを撃ったのだ。
「マスター、ブリタニアが飛行場を襲ってます!」
「見えてるよ、あのままじゃ飛行場を奪われちまう。行くぞ!」
「はい!」
上空制圧にトシキとアリスも加勢する。
既にエイカ達の活躍で4割は撃墜できているようで比較的優勢だ。
だがまだ飛行場上空にVF-5000が群がっている為味方機が離陸できない。トシキは兵装を機体上部のミサイルポッドに切り替え飛行場上空のVf-50005機を同時ロック、マイクロミサイルを発射。
VF-50005機のうち4機は回避に失敗しミサイルが命中。撃墜されるが1機はフレアを投下しミサイルを回避。しかしトシキが背後を取り左主翼にガンポッドを撃ちこむ。主翼を失ったVF-5000は錐揉みしながら落下。
「よし。管制、飛行場の制空権は確保した!」
《こちらでも確認した、感謝する!カイゼミーネ、上空の掃除が終わった、上がれ!》
《待ちくたびれたぞ。これより離陸する!》
尾翼にジガバチのマークを付け、機首には黄色で14の番号が入った黄色のVF-5000と、後続のVF-171が飛行場から離陸する。
これで更にセフィーラ軍に戦力が加わり航空優勢確保に近づいた。
《撤退急げ!全滅はできない!》
突然ブリタニアの部隊が退いていく。
恐らくは戦力的不利を悟り、これ以上の損耗を避けるべくの行動だろう。
《こちらフラン、作戦本部より入電です。〝撤退を開始したブリタニアの部隊を追撃せよ”》
《追われるより追っかける方が得意だ!》
遂に形勢逆転。今度はセフィーラ軍が攻める側となった。
勢いに乗り待機していた地上部隊も大挙し前進を始める。
《全地上部隊は散開してブリタニアの部隊を追い詰めろ。容赦するな!》
《コンドロックビーツ了解した、チークタイムだ》
《カイマンゼントラーディ大隊、確認した。オールキャストだな》
《カイゼミーネ飛行隊了解した。散々退屈させたんだ、憂さ晴らしさせてもらう!》
しかしブリタニアも黙っている訳がなく、着実に地上部隊に攻撃を続ける。
意地でもここを攻め落とすつもりなのだろう。
《クソ、こいつら調子に乗るなよ!》
《エンデバルドでウィッチーズを撃退した奴らだ、気を抜くな!》
しかし勢いに乗るセフィーラ軍を残存戦力で止める事は難しく、航空部隊の支援も乏しい状態では前進を遅らせるので手一杯のようだ。
《パーティーの会場はここか?遅れちまったよ!》
続々と地上部隊が集結し、ブリタニア地上部隊への総攻撃が始まる。
《E-5地区、もう無理だ!セフィーラ精鋭部隊の総攻撃だ!》
《貴様らの命はブリタニアの命だ、逃げずに戦え!》
崩壊寸前の敵前線。武器を捨て逃亡を図る者、捨て身で攻撃を仕掛ける者など荒れている。
《ミサイル発射!貴様らには地獄の舞踏会がお似合いだ!》
追い打ちをかけるようにセフィーラ軍の攻撃が迫る中、トシキもブリタニア軍地上部隊にマイクロミサイルを撃ち込む。
「上部ランチャー弾切れか・・・!」
少しでも身軽にすべく機器を操作し弾切れとなった機体上部のミサイルポッドをパージ。
今度は主翼下のミサイルポッドに兵装を切り替えブリタニア軍地上部隊のシャイアンⅡ4機をロック、ミサイルを発射。
4機のシャイアンⅡはミサイルを迎撃しようとするが、何しろミサイル自体が小型な為に捕捉が難しく、脚部にミサイルが直撃し行動不能になる。
まだシャイアンⅡは1機残っているが、弾切れのミサイルポッドをパージしバトロイドに変形し地上戦へ移行。
シャイアンⅡはトシキに向け両腕のガトリング砲を撃ちながら突撃してくるが、トシキはレバーとペダルを器用に操作し踊るかのような動きで攻撃を回避。脚部にピンポイントバリアを展開しシャイアンⅡの脚を蹴りつける。バランスを崩したシャイアンⅡは転倒し、トシキはそのシャイアンⅡの両手両足をガンポッドで撃ち抜く。完全に行動不能にされたシャイアンⅡはもうどうする事もできない。
トシキがシャイアンⅡを撃破した時に丁度通信が入る。
《作戦区域の敵性勢力を排除。パーティーは終わりです。帰りましょう》
どうやらニューナイル一帯のブリタニア軍は壊滅したようだ。
《もう少しバカ騒ぎしたかったとこだがな》
《私はもうしばらく遊ばせてもらう。先に帰っててくれ》
《言う事を聞きなさい。良い子は寝る時間ですよ》
《おっかないママがお怒りだぞ。さぁ、艦隊へ帰ろう》
フランの言葉にセフィーラ軍が帰還準備を始める。
「マスター、私たち勝てたんですよね!」
「ああ。こっちが負った被害も小さくないだろうけど無事みたいだ、よかったよ」
《何がよかったよ、よ?》
突然アリスとの通信に割り込んだ声にトシキは驚愕する。
そしてトシキとアリスに黄色のVF-19Sを先頭とした3機編隊が近づく。紛れもなくエイカ達だ。
これでトシキはもう一仕事しなければならなくなってしまった。
劇中曲:Rush/ACE COMBAT ASSAULT HOLIZON
ED:吹雪/西沢 幸奏