マクロス Infinity Rumble   作:天羽々矢

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OP:明日へのキズナ/HIMEKA


STAGE17 望まぬ 再会

救難信号の発信元が近づいてきた為、トシキとアリスは機体をガウォークへ変形させ低高度を滑走するように移動している。

一刻も早く救難者を見つけ保護しなければ。今のトシキの頭の中はその事で一杯だ。

 

「あれは・・・!」

 

トシキが何かを見つけた。それは煙を出しているRVF-25の近くでトシキ達に向かって両手を大きく振っている人影。

 

「見つけた!アリス、救助隊に連絡してくれ!俺は要救助者に怪我がないか見てくる!」

 

「はい!」

 

連絡を取る為アリスが一時離脱しトシキは要救助者の下へ向かう。

 

《クソ!敵のバルキリーが目標を発見した模様!》

 

ブリタニア軍の地上部隊が全部隊に向け通信を放つ。

報を受け全部隊が速度を上げる。

 

トシキは要救助者の近くにVF-0Xをガウォーク形態で着陸させ安否確認に行く。

 

「怪我は無いか!?」

 

救難信号を発していたのはまだトシキと歳の離れていない、金髪のダウンテールの少年。

更に、動けなくなったRVF-25の後部座席にはもう1人。トシキより年下らしき赤髪の少女が気を失っている。

 

「あの、軍の方ですか?」

 

「ああ、俺はセフィーラ軍遊撃戦隊の所属だ。まず怪我がないか・・・」

 

「待ってください!僕より彼女を優先してあげて」

 

少年は自分より赤髪の少女の方を診て欲しいと頼む。だがここにいるのであれば彼女も要救助者の1人だ。

トシキは頷き何とかコクピット後部座席から少女を降ろそうとした、その時だ。

 

VF-0Xのレーダーが敵機の接近を知らせるアラートを鳴らす。

 

「クソ、このタイミングでか!」

 

トシキは作業を中断しVF-0Xへと走る。

コクピットに飛び込み機器を起動させる。全システムオールグリーン。問題なく動ける。

 

「頭を低くしてくれ!」

 

エンジンを吹かし上昇。ある程度上ったところでファイターに変形させる。

そして接近している3機編隊を捉えるが、その機体を見て驚愕する。

 

「・・・SV-51、VF-19AにVF-25!?統合戦争時の機体にVF-19の本国型と現行主力機まで持ってるのか!」

 

だが今は敵だ、気を引き締めガンポッドを撃つべくまずは射線上のSV-51に狙いを定める。

だが敵との相対速度も考え断念。VF-0XとSV-51λは互いにコクピットを見せる形ですれ違う。

だがそれ故に見えた。

 

「な・・・!?」

 

「え・・・!?」

 

お互いにパイロットの顔が確認できた。それは2人にとってもよく知っている。

だからこそこの状況が理解できず、2人はほぼ同時に叫んだ。

 

『どうして・・・お前がここにいるんだ、直人(俊樹)!!』

 

 

 

***

 

 

 

どれだけこの現実が夢であって欲しいか。

白銀のVF-0Xを見てナオトはそんな感情になっていた。

 

「何の冗談だよ・・・俊樹が相手だなんて・・・!」

 

そんな中で通信機が鳴る。ナオトが使用しているブリタニア軍の回線でだ。

 

《直人!お前なんだろ、それに乗ってるのは!?》

 

「俊樹・・・」

 

聞こえたのは今は敵である親友の声。

明らかに困惑の色が混じっている。向こうもナオトと同じ心境なのだ。

 

《どうしてお前がブリタニアにいるんだ!?テロ同然の事してる奴らだぞ!》

 

「分かってるよ!この戦争だってブリタニアが勝手に始めたんだ」

 

《なら何で!!》

 

「・・・世話になったお礼のつもりなんだよ」

 

《直人!》

 

「お前には関係無いだろ!!」

 

癇癪を起し、通信機を殴りつけて無理矢理通信を終わらせる。

今はトシキの声は聴きたくなかった。

 

 

 

***

 

 

 

一方的に通信を切られ、また通信を入れようとするが繋がらない。

完全に遮断されたようだ。

胸の内で悪態をつき、現状打開を目指す。1対3という劣悪な状況ではあるが今アリスが連絡しに行っている。戻るまで持ちこたえれば良いだけの話だ。

 

だがそうも言っていられない。1機に集中しすぎれば他の2機から奇襲を受けるか、要救助者に被害が出る可能性がある。

まずはすれ違ったナオトの編隊を追うためにピッチアップし180度ループ。その途中に機体を水平に戻す。

狙いをつけたのは黒いVF-25F。

 

兵装でミサイルを選択しようとしたが、現在使える兵装はガンポッドだけだという事を思い出し苦虫を嚙み潰したような顔をした後に背後を取る。

トリガーに指をかけた時、VF-s5Fが脚部を展開し急減速と上昇を同時に行う。そして天の光を背にした瞬間にバトロイドに変形しVF-0Xにガンポッドを発射する。

 

咄嗟に機体をロールさせガンポッドを回避するトシキだが、今度はVF-19Aが迫る。

 

「これじゃキリがない・・・なら・・・!」

 

スロットルレバーを叩きこみ機体を加速させる。

 

《逃がすかよ、行くぞ!》

 

当然VF-19Aもそれに追従。VF-25Fもファイターに変形し2機を追う。

ミサイルをロックされないよう左右に機体を揺らしながら高度を上げる。

 

「ここなら・・・!」

 

雲を抜けた空域でも高速でのドッグファイトは続くが、仕掛けたのはトシキ。

操縦桿を手前に引き倒しペダルを踏みこむ。それに伴いエンジンの推力偏向ノズルも上を向く。そうなればどうなるか。

VF-0Xの機種が跳ね上がり、機体全体をブレーキとする急減速が可能になる。

 

《コブラか、乗った!》

 

VF-19Aも同様にコブラ機動に入る。

 

《あれぇぇ!?》

 

追従しようとしていたVF-25Fはそのまま2機をオーバーシュート。

スピードが乗りすぎていた為復帰にもかかるだろう。

 

「ぐうぅぅ・・・!」

 

《うぅ・・・!》

 

《うじゅぅ・・・!》

 

コブラ機動の凄まじいGの中での我慢比べだ。

我慢しきれなくなり先に体勢を崩された方の負けだろう。

 

「うおぉぉ・・・!」

 

トシキはほぼ意地で操縦桿を左に倒し、左足のペダルを更に強く踏む。

その結果VF-0XがVF-19Aの左に滑り込みガンポッドの銃口を向け斉射する。

 

《シャーリー!》

 

《何!?》

 

後部座席の少女ルッキーニからの警告でパイロットの少女シャーロットは更にペダルを踏む。

VF-19Aの機首が更に持ち上がり、減速しガンポッドを回避。

今度はVF-19Aが背後を取りガンポッドを発射するが、トシキも同様に機首を持ち上げ減速し回避。

ただひたすらにそれが繰り返され、2機はほぼ錐揉み状態のままでドッグファイトを続けている。

そんな中でトシキは計器に目をやる。眼前では止めを刺さんとばかりにVF-19Aが接近しているが、

 

「今だ!!」

 

VF-19Aが接近しガンポッドを発射する瞬間、トシキは機体をバトロイドへ変形。

 

《うわっ!?》

 

このままでは回避不可能。咄嗟に判断したシャーロットは機体をガウォークへ変形させる事で回避しようとするが、反応が遅れ右エンジン部とガンポッドをやられた。

 

《シャーリー、大丈夫!?》

 

《悪い、右エンジンとガンポッドをやられた!》

 

ガンポッドをやられたVF-19Aは事実上戦力外。

雲を降り地表が見えてきたところでトシキは再びファイターに変形させる。

そこに背後からシアンカラーの機体、ナオトのSV-51λが迫る。

 

「直人・・・!」

 

撃ちたくはないが撃たなければ自分がやられる。

しかし武装を破壊すれば・・・。その考えに至ったトシキはまず機体を加速させる。当然ナオトのSV-51λも追従するが、得意の戦術である高速度からのバトロイドでバトロイドに変形し上下反転。ガンポッドの照準をコクピットでなくガンポッドに向ける。

しかしSV-51λは脚部を展開し急上昇。再びファイターに変形させトシキはSV-51λを追う。

 

高度を上げながらSV-51λを追いガンポッドの照準を合わせる。

トリガーを引く、まさにその瞬間だった。

SV-51λが機首を持ち上げ急減速。ここまでは先程トシキがやったコブラ機動と同じだったが、ナオトは更にもう90度・・・つまり機首を180度反転させた。つまりはガンポッドとミサイルを同時に向けられる事だ。

 

「なっ・・・!」

 

咄嗟にロールし回避を試みるが、ナオトがトリガーを引く方が早かった。

ガンポッドの弾丸数発がVF-0Xの右エンジンを貫く。

 

「のわっ!!」

 

コクピットに衝撃が奔り警報が鳴り響く。

見れば被弾した右エンジンは黒煙を吹いており無理はできそうにない。

しかし追い打ちをかけるかのようにナオトのSV-51λがVF-25Fを従え戻ってきた。

止めを刺すために残っているミサイルを撃ちこむつもりだろう。

それでも撃ちたくないナオトはトシキに通信を入れる。

 

《直人!?》

 

「俊樹!今ならまだ間に合う!統合軍を抜けて俺たちと一緒に来いよ!」

 

《ふざけんなよ!お前達のしてる事はテロだろ!好き好んでテロリストに手を貸すなんざ・・・!!》

 

「・・・分かった」

 

その一言で通信を終わらせ、ナオトはVF-0Xをロックする。

 

「恨んでもいい・・・トシキ・・・ごめんよ!!」

 

ナオトの指がミサイルの発射ボタンを押そうとした時だ。

 

《マスター!!》

 

《トシキ!!》

 

《トシキさん!》《宮本さん!》

 

背後からガンポッド斉射を受け機体をロールし回避。

見ればVF-19EF、VF-19S、VF-22、VF-19Fが迫っている。

他にもセフィーラ軍の戦闘機が多数向かっているのをレーダーが捉えた。

 

「増援か・・・!」

 

《ナオト。これ以上は消耗戦になる、撤退しろ》

 

「ルルーシュ!?」

 

《今お前たちを失えば今後の行動に大きな支障が出る。命令に従え》

 

「・・・分かったよ。シャーリー、ルビー、撤収だ!」

 

《クソ~惜しかったな、あとチョイだったのによ!》

 

《シャーリーはいいでしょ?私なんか全然役に立ててないよ・・・》

 

ナオト達は再び編隊を組み戦闘空域を離脱していく。

今回のセフィーラ軍は救助作業の為深追いはしない。

 

トシキのVF-0XにVF-19EF、アリス達が来る。

 

《マスター、大丈夫ですか!?》

 

「悪いアリス、右エンジンにもらっちまった・・・。機体は制御できるけどパワーが上がらない」

 

《分かったわ。救助作業は私達が引き継ぐからトシキ艦隊に戻りなさい。ハイデマリー准尉と服部軍曹はトシキについてあげて》

 

「ごめん、そうさせてもらうよ」

 

《了解》

 

《一緒に行きます、マスター》

 

トシキ達は救助部隊から離脱し先に帰投する。

 

基地に戻り着陸体勢に入る。今のVF-0Xでの長時間の飛行は危険だろう。

 

《宮本さん、何があったんですか?機体から黒煙を確認しました》

 

「少ししくじってこの様さ。笑えないよな・・・」

 

《誰も笑いませんよ。無事でよかったです。宮本さん、着陸を許可します》

 

「了解」

 

《マスター、すぐ後ろにいますから安心してください》

 

先に損傷の大きいVF-0Xから着陸に入る。

ギアダウンしロック。着陸用の車輪が出る。

そしてゆっくりとタッチダウンし、ノーズギアもタッチダウン。

あとは減速すればいいだけだが、ここで異常が起きる。機体が揺れ始め軋み音が聞こえる。

そして右車輪が外れて機体が右に傾き主翼が地面を擦る。火花を散らし回転しなから何メートルか滑りようやく止まる。

 

「クソォォォォッ!!!」

 

計器を思い切り叩き、天を仰ぎながらトシキが叫んだ。

それが機体を壊した自分への憤りからか、親友が敵である事への困惑からか。

それは本人にしか分からない。




劇中曲:邂逅/マクロス30 銀河を繋ぐ歌声

ED:吹雪/西沢 幸奏
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