マクロス Infinity Rumble   作:天羽々矢

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OP:明日へのキズナ/HIMEKA


STAGE20 小惑星帯 の 謎

ブリタニア軍のミサイル攻撃を凌ぎ無事クラストラニアからのフォールドを成功させたセフィーラ軍は、現在は通常の宇宙空間を航行している。艦内は重力制御のため普通に歩ける。

 

そんな艦内で現在、トシキとユーノは予備パーツが大量に入った箱が載っている台車を整備区画へ向け押している。

 

「あ~あ、ゴースト追いかけて撃墜したのに母さんめ、心配かけたから罰として整備班を手伝えって・・・」

 

「エイカさんってトシキのお母さんなんだよね?心配する気持ちは分かるからフォローはできないかな・・・それにこのレベルなら軽い方でしょ?」

 

お互い会話を挟みながら整備区画まで備品を運ぶ。

 

「整備主任、パーツ持ってきましたよ」

 

「おおミヤ坊、お疲れさん!」

 

整備主任者は軍の全機体のチェックをしなければならない為多忙だ。

トシキとユーノは台車を指定された場所まで運び区画を後にしようとする。

 

“ねぇ 忘れないで 振り返れば はるか遠く ここで会った日を 懐かしみ 想いを馳せる”

 

どこかから歌声が聞こえる。

 

「この声、ユウナ?」

 

声を頼りに区画内を歩いていくと、トシキのVF-25Fの機体上部に腰掛け、ミュージックプレイヤーで音楽を聴きながら歌ユウナを見つける。

歌声を聞いたユーノは拍手を送り、それに気づいたユウナがトシキ達に振り向きトシキは右手親指を立てる。

ユウナは照れ顔になり舌をチロッと出し機体から降りてくる。

 

「いい歌だぜユウナ。綺麗だったぞ」

 

「そ、そうかな・・・?トシキ君のプレイヤーに入ってたのをそのまま歌ってただけだし・・・」

 

「トシキ、いつの間に結城さんと仲良くなったんだ?」

 

「クラストラニアを出る前に話した程度だけどな」

 

《宮本トシキさん、アリスさん、ユーノ・スクライアさんはアンドレアス准将の執務室までお越しください》

 

3人が話している時、トシキ達に招集がかかる。

 

「また俺たちか?」

 

「今度は何だろうね、行ってみよう」

 

「ああ。また後でなユウナ」

 

「うん!頑張ってね!」

 

トシキとユーノはユウナと別れアンドレアスの下へ行く。

 

 

 

***

 

 

 

「本艦隊より7時方向に存在するアステロイドにブリタニア軍の宇宙基地が存在している事が判明した。そこではブリタニアがある新兵器を開発中との情報が入っている。本来なら新統合軍の仕事なのだが、上層部は不用意に部隊を割き戦力を分散させたくないらしい。他の惑星の自治政府への刺激にもなりかねないからな。その分今回の君達への報酬は弾もう。それと本作戦には君達に同行者をつける予定だ。どう使うかは君達に一任する」

 

 

 

***

 

 

 

艦隊後方のアステロイド地帯。

低速飛行で警備中のゴーストをガンポッドで撃墜し、宇宙戦装備のトシキ達が編隊を組みながら突入していく。

しかし同行しているのはアリスとユーノだけではない。

 

《こちらエイカ、後方は異常無し》

 

《こちらハイデマリー、異常ありません》

 

《・・服部シズカ軍曹、異常ありません》

 

エイカ、ハイデマリー、シズカも同行している。3人に限って言えばもしこの任務に失敗した場合は上層部は関与を否定し記録は抹消されるらしい。

それだけ今回の件が重要なのだろう。

だがシズカに限りトシキと行動するのは複雑な心境だった。セフィーラで1度目、クラストラニアで2度目と、シズカは義勇兵扱いのトシキに2度も助けられている。

 

《こちらユーノ、ブリタニアの基地はこの先だよ》

 

「よし、皆警戒しろよ」

 

トシキが先導しアステロイドの奥にあるブリタニアの宇宙基地に向かう。

アステロイドを抜け基地に着いた・・・はずなのだが、

 

《ボロボロじゃないですか、私たちより先に誰が・・・?》

 

アリスの言う通りそこはまさに廃墟。折れたり曲がったりした鉄骨や崩れたり剥がれたりした外部壁が浮遊いているだけだ。

それでも進んでいくと、トシキ達の行く先にある基地の壁が突然突き破られそこから白い大剣のような何かが飛来しトシキ達を通り過ぎる。

 

《な、何今の・・・!?》

 

ユーノがこの場にいる全員の心情を代弁するような台詞を言う。

崩壊した基地に謎の物体と、不気味な雰囲気も出てきた。

 

《マスター・・・もしかして、幽霊さんがここを壊したなんて・・・?》

 

「バカ、宇宙に幽霊なんて・・・」

 

いない。と言いたかったが勝手に口が閉じてしまった。確証が無かったのだ。

とにかく今は調査の為に進むしかない。

 

何とか安全そうな区画を見つけその中を進むが、そこで爆発が起きる。

 

《爆発!?》

 

《残ってた火薬や燃料に引火したんだ、早く逃げないと巻き込まれるよ!》

 

爆発が徐々にトシキ達に迫り、全員何とか区画から脱出。

しかしこれでは落ち着いて調査などできない。

 

「どこもかしこもこんなんじゃ安心できないぞ」

 

《そうね、基地どころかこれじゃ廃墟だわ》

 

エイカの言う通り、このブリタニア宇宙基地は既に廃墟と化しているのだろう。

問題はその原因だが一向に理由が分からない。

 

《レーダーに反応!前方に迎撃システムがある。来るよ!》

 

ユーノが迎撃システムの稼働を確認し、同時に生きていた無人の対空砲が動き出す。

だが自動砲台などが通用する訳もなくマイクロミサイルを撃ち込まれ呆気なく破壊される。

するとトシキ達の10時方向の壁が爆発しそこから今度は黒い盾のような物が飛来。

 

「まただ・・・」

 

《一体、何が起きたのでしょうか・・・》

 

進むにつれ謎が深まるばかり。だがその謎が遂に解ける。

 

《またレーダーに反応・・・。今度は大きい!僕たちの後ろだ!》

 

ユーノが叫びに近い報告を上げる。

その時トシキ達の背後から白い人型のような物が追い越し向き直る。

全高はバトロイド形態のバルキリーの2倍近いサイズ、30メートル以上はある位だろう。

 

《あ、マスター、あれを!》

 

アリスが声を上げると、これまでトシキ達が見た白い大剣のような物と黒い盾のような物が人型に向け移動。

大剣が人型の右腕、盾が左腕側に着くと人型がそれを装備。それを見てトシキとエイカは合点がいった。

 

「そうか、こいつが新兵器が!!」

 

《そう、それじゃ基地の惨状はこれがやったのね!》

 

トシキとエイカの言葉に全員が気を引き締める。

 

《私ハ、全テノ敵ヲ破壊スル》

 

トシキ達全機にメッセージが飛ばされ人型はトシキ達に大剣を向ける。

その大剣からレーザー弾幕が放たれる。

 

《回避!》

 

エイカの指示で全員が散り全方位から攻撃をかけようとするが人型の背中についている有線接続されたゴースト程のサイズの5連装砲台が射出され攻撃を行う。

 

《これじゃ近づけないよ!》

 

「くっ!」

 

トシキは兵装をマイクロミサイルに替え、人型の大剣と盾をロック。

いくら防御や攻撃に使う物でも、それ自体には耐久性もある。

 

「全部持っていけ!!」

 

インテーク部と機体上部のランチャーからマイクロミサイルを撃ち、大剣、盾を追尾する。

ミサイルは目標を追い、そして大剣、盾に命中。レーザー発射用に充填してあったエネルギーが暴走し大爆発を起こす。

 

「やったか!?」

 

爆煙で詳細が分からない。徐々に爆煙が晴れ様子が露わになるが、

 

《うそでしょ・・・!?》

 

ユーノが信じられないといったような声を出す。

それもそのはず、あの大爆発でありながら、人型は装備を失っただけでまだ形を留めている。

人型は残っていた誘導砲台で反撃を仕掛ける。

 

《私ハ、全テの敵ヲ破壊スル》

 

先程と同じメッセージが再びトシキ達に送り付けられ、人型は右腕に内蔵されている砲台を出しレーザーを乱射する。

 

《何が破壊する、よ!完全に壊れてるじゃない!》

 

エイカも怒鳴るように声を荒げる。

その間にユーノがしゃかりきになり人型を調べ上げ弱点を割り出そうとしている。

 

《制御機構は機体の胸辺りだ、そこさえ壊せれば止められる!》

 

「分かった!」

 

ユーノが遂に弱点を特定しトシキ達はそこを重点的に狙うが重大な問題が起きた。

 

「バカ!服部、近づきすぎだ!!」

 

シズカが人型に接近しすぎているのだ。

接近すれば当然狙われやすくなる。

 

《私だって、宮本さんの助けがなくても!!》

 

自棄になっているのかシズカはトシキの警告に従わない。

人型は右腕の砲台から通常のミサイルが4発発射される。

シズカはフレアをばら撒くが釣られたのは1発だけ。残り3発が迫りシズカは機体をバトロイドに変形させガンポッドでミサイルを撃ち落とそうとするが、ミサイルその物にスラスターとAIが装備されているのかミサイルが勝手にガンポッドを回避している。

シズカはファイターに変形し振り切ろうとするがジリジリと詰め寄ってくる。

 

《どうして・・・、どうして私はこんなに・・・!!》

 

ミサイルがシズカのVF-19Fに直撃し、黒煙を上げながら落下していく。

人型は今度はハイデマリーに右腕の砲台を向ける。

 

《・・・!!》

 

恐怖したハイデマリーは急速回避に入る。

そこに人型の頭部にマイクロミサイルが撃ちこまれる。

 

《トシキ、さん・・・?》

 

ミサイルを放ったのはトシキのようだ。

頭部にミサイルを撃たれた人型は怯み、その隙にトシキのVF-25Fが懐に入り胸部にガンポッドを徹底的に撃ち込む。

スパークを起こし胸部が小爆発を起こした瞬間人型の身体全体にスパークが奔り出しトシキ達は急いでその場から退避。

人型はもがき、天を仰いで吠えるように両腕を広げた後にエネルギーの暴走により大爆発を起こした。

 

《・・・不明兵器の破壊を確認》

 

消沈した声でハイデマリーが報告する。

それもそうだ、この任務でシズカは撃墜された為この後シズカの記録は抹消される。つまりは軍からいなくなったことになるのだ。

しかしそれを分かっていても諦めたくない者がいた。

 

「・・・ユーノ、服部の位置を確認できるか?」

 

《トシキ?》

 

《今から服部の救援に行く》

 

トシキの言葉に一名を除く全員が驚愕する。

その一名とは・・・

 

《忘れた訳じゃないでしょうトシキ?これは軍の内密作戦よ》

 

当然エイカだ。エイカは正規の新統合軍兵士の為今回の件は重々理解している。

 

《服部シズカ軍曹は撃墜され、彼女の記録は消される事になるの。今助けにいっても何もならないわ》

 

エイカの言い分も分かる。この任務に失敗した彼女は既に軍にはいない事になっているだろう。

だがトシキは止まらない。

 

「反応を捉えてるなら位置を教えてくれ、ユーノ」

 

《・・・分かった。反応はこの先にある惑星スーシアだよ。でもあそこは最近の火山活動による地殻変動の活発化でかなり危ないよ》

 

《・・・ならどの道、助けに行っても無駄ね》

 

エイカのその言葉にトシキが反応した。

 

「無駄・・・?何でそんな事言えるんだよ、母さんの部下だろ!?」

 

《そうよ!本当なら私も助けに行きたいわよ、でも軍の命令は絶対なのよ・・・》

 

エイカとしてもシズカの救援に行きたいのは山々だが、軍内密作戦の命令に背けば懲罰では済まない。最悪処刑されるだろう。

シズカを見捨てるしか選択肢は無いのだろう。それにどの道危険地帯である惑星スーシアに墜落したのであればそもそも救援にすら行けない。

 

《これより艦隊に帰還するわ。トシキも変な癇癪は起こさないで従いなさい、命令よ》

 

命令。確かにそれは軍では絶対なのだろう。しかし・・・

 

《・・・いくら母さんでも、そんな人を見捨てるような命令なんざゴメンだ!!》

 

トシキはそれでも行きたかった。

機体をファイターに変形させ惑星スーシアへ進路を取る。

 

《トシキ!!この命令に背いたら貴方もただじゃ済まないかもしれないのよ!?》

 

「ああ分かってるよ。俺が勝手にやるんだ、母さんやマリーは無視して俺の責任にでもしとけばいい!」

 

《待ちなさいトシキ!そんな勝手に・・・!!》

 

《トシキさん・・・!》

 

トシキは一方的に通信を切り、惑星スーシアに向け機体を加速させる。

アリスとユーノは呆気に取られるが、アリスの小さな笑い声が聞こえだす。

 

《アリスさん?》

 

《何を言っても、やっぱりマスターは人を見捨てられないんですね!でしたら私もお手伝いします!》

 

アリスも機体をファイターに変形させトシキを追う。

ユーノどうしようか迷ったが、見捨てたくないというのが本音だ。ユーノは軽く肩を竦めた後にトシキ達を追う。

 

これからトシキ達が行うのは、危険惑星での決死の救援となる。




劇中曲1:ASTEROID/PSYVARIAR REASSEMBLE
   2:ボスA/スターフォックス64
   3:Boss#1/PSYVAIAR

ED:吹雪/西沢 幸奏

次回は(も?)イベント回収回かもです。
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