マクロス Infinity Rumble   作:天羽々矢

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OP:明日へのキズナ/HIMEKA


STAGE21 灼熱 の 銀

惑星スーシア。近年続いている活発な地殻変動の影響で所々に地割れがあり、そこからマグマが噴き出している。

中には蛇のようにマグマが噴き出している箇所もある。

 

そんな所に編隊を組んでいる3機の機影。トシキ達セイレーンだ。

 

「熱でのダメージに気をつけろよ!」

 

《はい(了解)!》

 

トシキが列機であるアリスとユーノに声をかけた時、トシキ達の背後から噴き出したマグマが迫る。

3人は各々の機体を加速させ回避。

 

3人はこのスーシアに墜落した服部シズカの捜索救難を始めるが、噴火してくるマグマの熱でジワジワ削られるように機体にダメージが蓄積していく。

 

《さすがのバルキリーでも、この熱さじゃもたないかもしれないね・・・》

 

この炎天下をも通り越すような暑さにユーノも少し参っているようだ。

SWAGエネルギー転換装甲を持つ可変戦闘機でも、熱によるダメージは防ぎようはない。

しかも機体だけでなく、パイロットの体力をも徐々に奪っていく。

この惑星の環境にトシキ達がいつまで耐えられるか分からない。しかしそれでも行かなければならない。

 

この灼熱地獄の中でシズカが苦しんでいるかもしれない。

シズカはこれまでトシキを邪険にしてきたがそれでもトシキの中では見捨てる理由にならなかった。

 

「無事でいてくれよ・・・!」

 

必死に捜索を続けるが今のトシキはただ彼女の無事を祈るしかない。

しかしもしマグマに落ちていたら、今頃彼女は・・・

一瞬最悪の想像をしてしまったトシキは頭を振り想像を払拭する。

 

《トシキ、こっちの方に何か落ちてるのが見えたよ》

 

捜索中のトシキにユーノから連絡が入る。

だがそれだけでは分からない。何かと言ってもこの惑星では噴石もあり得る話だ。

 

「ユーノ、どんな形だった?」

 

《遠くてぼんやりだったけど、飛行機みたいだったよ》

 

飛行機みたいな物。そんな物がこの惑星の環境で自然にできるとは考えにくい。

その考えが希望をもたらした。

 

「もしかして服部か!?」

 

《分からないけど・・・。僕は先に行って確かめてみるね》

 

「俺も後から合流する!」

 

ユーノとの通信を終え、トシキは連絡にあった地点に機体を向かわせる。

 

 

 

***

 

 

 

もう彼女は疲れ切っていた。

この灼熱の惑星に墜落し、何やら3本のかぎ爪のような物で機体が拘束されている。いや、それ以前にFF-2550F熱核バーストタービンエンジンの出力が上がらない。

操縦桿から手を離し、ヘルメットを脱ぎシートにもたれかかる。

既に何分も閉じ込められている為か大量の汗をかいている。

このままここで蒸されるのだろうか。

 

シズカはこれまでの事を思い返していた。

早くに父を亡くし、家庭を支える為に軍に入隊。ひたすらに努力を続けた。

だが、その努力はたった1人によって否定されてしまった。

自分が憧れ敬愛している最高のパイロットだと思っている上官の息子。その彼に2度も命を救われた。

だが彼も自分の理念の為に努力していた事を知り認識を改めようとした。が、それをどこかで許せない自分がいる。

 

「あ・・・」

 

シズカの目から涙が零れる。孤独からか死への恐怖からかは分からない。

だが、何故か嫌だった。

 

「たす、けて・・・」

 

パイロットや軍人は死と隣接している。そんな事は分かりきっていた。分かっていたつもりだったのだ。

 

「トシキ、さん・・・!」

 

思えば初めて彼の名を口にした。が今更呼んだところでもう・・・

 

《見つけた!服部!》

 

通信機に声が響く。シズカは瞑っていた目を開けてみる。

 

そこにはバトロイド形態でシズカのVF-19Fの下にいるトシキのVF-25Fがあった。

 

「み、宮本さん・・・?」

 

信じられなかった。何故彼がここにいるのか。

 

「・・・何してるんですか。命令違反ですよ、分かってるんですか!?」

 

《バカ野郎!そんなんでお前を見捨てる理由になるか!》

 

シズカの怒鳴るような声に、トシキは完全な怒鳴り声で返す。

 

《いいから脱出の準備をしろ!機体動かせるか?》

 

「・・・無理です。エンジンの出力が上がらないんです。こんなんで・・・」

 

《諦めんな!何とかしてやる!》

 

根拠もなくそんな事をトシキが言うが、何故かその声が心地よく感じた。

しかし、衝撃が突然襲い掛かる。

 

 

 

***

 

 

 

どうにかシズカを助けだそうと模索していたが、突然地震が起こる。

 

「な、なんだ!?」

 

《いけない!宮本さん、離れてください!!》

 

咄嗟にエンジンを吹かせ上空へ退避。

シズカのいる地点を中心に地割れが起き、そこから出現したのは鳥である爆撃機のような大柄な機械。

シズカを捕らえているかぎ爪のような物はその機械の尻尾のように伸長している。

 

機械は離陸後に収納されている3対6本の棒のような主翼を展開し主翼間に翼形状に光の膜が展開される。

更に離陸後に各砲門を開放しトシキにレーザーによる攻撃を開始する。

まるでアステロイドのブリタニア宇宙基地で遭遇したあの人型のように自律性がある。

 

《トシキ!》

 

「ユーノ!」

 

ユーノが合流し編隊を組むが、鳥機械は正確にレーザーを撃ってくる。

 

《そんな・・・これってまさか!?》

 

「何か知ってるのか!?」

 

《考えたくないけど、あれはブリタニアの生体触媒兵器かもしれない・・・》

 

単語にトシキは頭に?マークが浮かびユーノが説明を始める。

“生体触媒兵器”とは宇宙生物バジュラの情報を模してブリタニアが作ったた物で、生物を機械的に改造しそれに武装を搭載した物らしい。

内部組織により装甲を自己修復でき、生物を捕食する事でエネルギーを半永久的に得る事で活動するが、基が生物る為に制御が難しくその問題を示唆された事から研究・開発が中止がになったらしい。

 

「だったら、そんなのが何でここに!?」

 

《多分、実験段階のタイプをここに捨てたんだと思う。それがこの星の環境に耐えられるように進化したんだ!》

 

タチの悪い冗談だ。

ブリタニアの実験のツケを自分達が払わされる事になろうとは。

 

《どの道私はもう・・・。逃げてください宮本さん!》

 

「見捨てる訳ないだろ、待ってろ!」

 

担架を切ったはいいが、実際どうすれば良いかは分からない。

 

《マスター!無事ですか!》

 

そこへアリスが合流、再び3機に戻る。

 

《な、何ですかあれ・・・?》

 

「ユーノの話じゃブリタニアが作って捨てた兵器が自己進化した奴らしい」

 

《そんな・・・》

 

《大丈夫!生体触媒兵器の中枢はそのほとんどが頭にあるって聞いた事があるよ!》

 

「って事は生き物そのまま、頭に脳があるって事か!」

 

ユーノの分析で弱点が暫定的に判明。あとは攻略するだけだ。

当然分担は決まっている。

 

《マスター、私が囮になります!》

 

《僕もできるだけ引き付けるよ!》

 

「了解!」

 

アリスとユーノが前衛を務め、鳥機械の攻撃を散らす。

その間にトシキは機体をファイターに変形させ鳥機械の前に回りこもうとする。

 

《皆さん、何をして・・・!?》

 

「決まってるだろ、お前を助けるんだよ服部!」

 

アリスとユーノは鳥機械のレーザーをとにかく回避し隙を見てガンポッドやマイクロミサイルで攻撃。

レーザーの発射口を壊しレーザーを発射不能にする。

トシキは前方に回り頭部にガンポッドを撃ちこむが、装甲が堅く弾丸が通用しない。

 

「堅い!」

 

《この環境に適応するのに装甲の組織間結合力が強くなってるんだ!》

 

「これじゃミサイルもダメだな。なら!」

 

トシキは機体をバトロイドへ変形。左腕のシールドからガーバー・オーテックAK/VF-M9アサルトナイフを出す。

 

「行くぜ!」

 

VF-25Fが鳥機械の頭部に取り付きナイフを突き刺す。

鳥機械は機体を揺さぶりトシキを振り落とそうとする。

 

「クソ!!」

 

勢いに耐えられず振り落とされてしまうが、その際に鳥機械の装甲板の一部を剥がす事ができた。それもナイフ形状になっている。

どれだけ強固な装甲でも、自分の装甲でできた自然のナイフには耐えられないだろう。

 

「喰らえ!!」

 

トシキは装甲板ナイフを鳥機械の問い部に投げつける。

それにより中枢に致命傷を与えたか鳥機械の機能が鈍り落下を開始。

このままではシズカも共にスーシアのマグマに落ちてしまう。トシキは尻尾の方へ回る。

 

「服部、構えろ!」

 

「!!」

 

トシキの言葉に身体が反応した。シズカはスロットルレバーと操縦桿を再び握る。

中枢が破壊された事で装甲の組織間結合力が低下し、VF-25FのVF-M9アサルトナイフが尻尾を切り落としかぎ爪の拘束からVF-19Fが解放される。

 

《下のマグマがこっちに向かって爆発しかけてる!急いで!!》

 

マグマが直撃すれば流石の可変戦闘機でも無事では済まない。

トシキは機体をファイターに変形、右腕だけを出しVF-19Fを下から支える。

 

「一気にこの星から出るぞ!外れるなよ!」

 

トシキの言葉にシズカはなけなしの全推力を加速に充て操縦桿を操りVF-25Fの腕から外れないように機体を制御する。

アリスとユーノも続きスーシアから離脱していく。

そして巨大な噴火が起こり鳥機械を呑み込む。呑み込まれた鳥機械はマグマの高熱に耐えきれず大爆発を起こす。

そのままトシキ達の背後にまで噴火が迫るが、加速が勝り噴火を振り切りスーシアの大気圏を突破する。

シズカは徐々に離れていくスーシアを見やり、トシキとユーノは衛星軌道上に待機させていたスーパーパックを再装着。そのままシズカを連れ帰路につく。

 

 

 

***

 

 

 

しばらくしてセフィーラ艦隊と合流し着艦。

帰って早々にユウナから涙ながらに迎えられる。何しろ命令を無視してまで機体を持ち出したのだ。

結果としては今回の命令違反でセイレーンに入る報酬は減額されトシキは1週間の懲罰房に処された。この結果で済んだのはトシキ達が正規の兵でなかったからだろう。シズカの処分は追って通達されるそうだ。それでもトシキに後悔は無かった。

 

「こんな結果になると分かって、どうしてあんな事を・・・?」

 

十字格子の付いたドアを挟みトシキとシズカが会話している。内容は勿論今回のトシキの命令違反の件だ。

トシキは壁に寄りかかっている。

 

「不十分な装備では高確率で二次被害を起こします。最悪、貴方も死んでいたかもしれないのに・・・。本当に命令違反だらけです・・・」

 

静かに起こっているつもりなのだろう。

それでも怯むどころか言葉を続ける。

 

「・・・確かに軍じゃ命令は絶対なのかもしれない。けど、それで助けられる人まで見捨てたら俺はきっと俺自身を許せなくなるかもしれない。そんなのはゴメンだ」

 

「・・・命令よりも・・・自分よりも・・・守りたいもの」

 

シズカそっと格子に置かれたトシキの手に自分の手を重ねる。

目から静かに涙が零れ始める。

 

「・・・暖かい、ですね・・・」

 

小さな嗚咽が響く。

 

「ありがとう・・・トシキさん・・・」

 

トシキはシズカが泣き止むまで空いている手でシズカの頭に優しく触れていた。




劇中曲1:セクターY&ソーラ/スターフォックス64
   2:GOD EATER/GOD EATERシリーズ

特別ED:Aurora days/服部 シズカ(ICV:内田 彩)
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