「出撃命令だ。敵強襲母艦に関する機密情報の1部を諜報部が入手した。我々が強襲母艦と称する敵兵器の正式名称は、“プロメテウス改級強襲巡洋航空母艦アースガルズ”と判明。部隊はノーザンプトン級ステルスゲート艦とステルスクルーザー艦で構成されている。巡航ミサイルに関しての任務は指揮艦であるアースガルズが全てを担っている。入手した情報の下、我々はアースガルズ撃沈作戦を立案した。よく聞いてくれ。アースガルズの反応炉は実用化を急いだ余り不完全な状態であり定期的な電力供給が必要となっている。補給の際には複数の補給艦がアースガルズの前方に回り込む。艦体前方に複数の動体がいる補給時、アースガルズのレーダー機能は一時散漫になる。ここからが重要だ。電力供給時のアースガルズはレーダーによる前方の動体認識がほぼ不可能になる。一定の方角と高度を維持できれば敵に気づかれずアースガルズに接近する事ができる。 奴の補給時が我々にとって最大の好機となる。機密情報にはアースガルズの航行スケジュールも含まれていた。ルートの確認は集合後に行う。今すぐ出撃準備を始めろ!」
***
「いよいよですね、マスター・・・」
「ああ、今回の作戦が戦局を大きく左右するんだ・・・」
「そうだね・・・正直、心臓バクバクしてるよ・・・」
「奇遇ですねスクライアさん、・・・私もです」
整備区画でトシキ達は集まっており今回の作戦の内容を復習している。
今回の作戦の成否が戦局を大きく左右する事は言うまでもないだろう。それだけに全員の気が引き締まる.
そして出撃のベルが鳴り響く。
「来たな・・・行くぜ皆。ここが正念場だ!」
『はい(うん)!!』
***
とある宙域で可変戦闘機の6機編隊が飛行している。
前を行く3機は同じVF-22だが、先頭は僅かに形状が違うS型だ。
そして後方の3機は黒地に濃青色ラインのVF-27γとカーキ地に黄色ラインのVF-25Sと黒地に白ラインのVF-19A。
「はぁ~やっと終わったよ~。早くシャワー浴びたいな~」
「全く、少しは気を引き締めんかハルトマン」
1人の怠惰そうな声にもう1人の厳格そうな声が答える。パイロット2人共年端も行かない少女のようだ。
「何故私がお前たちに同行せねばならん・・・」
「まぁまぁストラーフ。同じ任務なんだし仲良くしよ?」
「それともチームでやっていく自信がないのかしら」
「フン、慣れ合う気などないぞヤン・シャオロン、ブレイク・ベラドンナ」
VF-27γのパイロット、ストラーフ、VF-25Sのパイロット、ヤン・シャオロン、VF-19Aのパイロット、ブレイク・ベラドンナ。
3人も軽いレベルでの会話をしている中、先頭のVF-22Sのパイロットの女性、ミーナは軽く溜め息をついた後に通信をつなげる。
「ミーナよりアースガルズ、哨戒任務終了。着艦許可を願います」
ミーナのVF-22Sが翼を翻して降下し、他の5機もそれに続く。
《アースガルズよりウィッチーズ、着艦を許可する》
管制官から許可が伝達され6機が艦体と合流。
「こちらミーナ、了解。誘導願います」
《了解。後方の乱流には注意を》
アースガルズからの誘導に従い6機が補給中のアースガルズの甲板に着艦する。
彼女らはまだ彼らがここに向かっている事を知らない。
***
アースガルズ正面の宙域ではセフィーラ軍の戦闘機隊が飛行。アースガルズへと接近している。
《航行補給時の敵強襲母艦はレーダーの探知能力が低下するという事です。・・・この情報を得る為に多くのエージェントが命を落としました》
フラン管制官の言葉に回りは黙り込む。
《・・・そのままの進路を維持し敵に接近。攻撃範囲進入後は即時攻撃行動に移行》
「セイレーン、了解。分かってるよな皆?」
「言われなくても分かってます」
「はい・・・ここで勝てれば・・・」
「ここが正念場、だよね?」
トシキ達も大一番という事もあり緊張している。
セフィーラ軍戦闘機隊は全機スーパーパック装備。
ユーノのRVF-25とシズカのVF-19F/Xもスーパーパック、アリスのVF-19EFはファストパック、そしてトシキのVF-25Fはトルネードパックを装備している。
《各機、警戒を怠るな》
他のセフィーラ軍機も交戦に備え周囲を警戒。
ただエンジン音が響く時間が過ぎる。
《敵との
ゆっくりとだが着実に接近してきているようだ。
もう少しだ。
《目標接近。全機、そのまま軌道を維持してください》
通達通り、正面に全長600メートル以上はあるアースガルズとその随伴艦隊が見えてきた。
丁度電力供給を終えたのか補給艦6隻のケーブルがアースガルズから外れゆっくりとアースガルズから離れていく。
それにつれレーダー機能も回復し、そしてついにアースガルズのレーダーがセフィーラ軍を捉えた。
《レーダーに影!アンノウン!何者だ!》
《どういう事だ!?》
突然の事にアースガルズ乗務員は対応できていないようだ。
《全機、攻撃を開始してください!》
「了解!行くぜ、セイレーン交戦!」
『はい(うん)!』
《カイゼミーネ、交戦!》
《ディアバーン交戦!》
《クロノフォス交戦!》
混乱に乗じセフィーラ軍が艦隊へ攻撃を開始。
《全艦攻撃態勢に移れ!ウィッチーズ、スクランブル!》
混乱から立ち直りアースガルズ艦隊が体勢を立て直し始める。
《アースガルズの援護に入る。ウィグリド1、防御圏内へ移動》
「ノーザンプトン級が移動を開始。防空支援専門みたいだ」
不思議と落ち着いているユーノが冷静に敵の動向を分析。そのお陰かセフィーラ軍は落ち着いて対処できる。
「全機へ、ステルスクルーザー艦は電子支援を行っています。破壊すれば目を潰せます」
《了解したセイレーン3、ありがとよ》
ユーノからの通達でセフィーラ軍はステルスクルーザー艦破壊と、アースガルズ破壊で分けられる事になる。
トシキ達は遊撃の為必要に応じ臨機応変に対応する事になっている。
《こちらミーナ、発進準備完了。これより発進します!》
《ゲルトルート・バルクホルン、出撃する!》
《エーリカ・ハルトマン、行きま~す》
《02、VF-27γ、出るぞ》
《ヤン・シャオロン、行きまーす!》
《ブレイク、出るわよ》
するとアースガルズの中段甲板から箒で作った星のマークをつけたVF-222機とVF-22Sが1機、VF-27γ、VF-25Sが1機、VF-19Aが1機発艦する。
《なっ、何!?あのデカいのからバルキリーが発進してるぞ!》
セフィーラ軍機からの通信を受けトシキがそれを確認。そして尾翼のマークを目視した。
「皆、箒で出来た星のマークだ!まとめて緒戦のお返しと行くぞ!」
《おうよ!》
《当たり前だ!》
全員、緒戦で良い様にやられた為鬱憤が溜まっているのだろう。
まず随伴艦を片付ければ今後の展開が楽になるだろうと判断し、セフィーラ軍はアースガルズにダメージを与えつつ随伴艦への攻撃を始める。
《敵に攻撃を受けている》
《このウィグリドに攻撃を仕掛けてくるとは無謀もいい所だ、撃ち落とせ!》
攻撃に伴い敵艦も反撃してくる。
だが通常艦の急所はセフィーラ軍も分かっているのか、随伴艦の兵装を攻撃しつつ推進部を狙って攻撃している。
当然ブリタニア軍はそれを許さず、ウィッチーズによる迎撃行動が行われているが、トシキ達が何とか足止めできている状況だ。
「そこです!」
アリスのVF-19EFからミサイルが発射され、ヤンのVF-25Sに迫る。
《ほいっさ!》
だがフレアを投下しVF-25Sは急旋回。フレアに釣られミサイルはあらぬ方向へ飛んでいく。
そして宙返りを繰り出しアリスの背後を取る。
「うそ!?」
《ほら、今度はこっちの番よ!》
今度はヤンのVF-25Sがアリスを追い回すが、そこにトシキのVF-25Fが来る。
「マスター!」
「援護するから先に行け!」
「ありがとうございます!」
《ちょおっ!?トルネード装備ってズルくない!?》
トシキのトルネードパックを見てたまらずヤンは回避を試みる。
が、トルネードパックの恩恵により通常よりも更に強化された機動性によりVF-25Sを易々と追尾できている。
そしてVF-25Sをロックし主翼下の大型マイクロミサイルポッドからミサイルを発射。
フレアは先程使った為まだ準備できていない。つまりは自力で回避するしかない。
《やっぱり
ヤンのVF-25Sは機体を上下左右に振り回しミサイルを振り切ろうとするがしつこく追従し、1発が左エンジン部に命中する。
《うわぁ!》
《ヤン、大丈夫?》
《大丈夫じゃないわよ!左だけって言ってもエンジンやられたのよ!?》
《・・・分かったわ、ヤンは離脱して》
そこに黒地のVF-19A、ブレイクが確認しに合流しVF-25Sの被害状態を聞き、ヤンに離脱を促す。
《ってブレイク!あんたも後ろ見なさいよ!》
《!!》
「今度こそは!」
背後にアリスが迫り回避行動に入るブレイク。それを追うアリス。
その様子を見ていた1機、黒字のVF-27γ。
そのパイロットの少女、02は何処かVF-19EFのパイロットを知っているような気がし独自で調べる。
そして見つけた。それは前に自分の所から逃げ出した存在。
それが分かった途端、02に笑顔が浮かび始める。だがそれは何処か狂気も混ざっているように見える。
「・・・見つけた、とうとう見つけたぞ、01!!」
そう言った瞬間、02はアリスのVF-19EF目掛け機体を加速させる。
劇中曲1:Scramble/Ace Combat 04 Shattered skies
2:HEAVY COMMAND CRUISER/ACE COMBAT6 解放への戦火
3:4 the Answer/ARMORED CORE for Answer
ED:吹雪/西沢 幸奏