エデン3で大規模作戦「オペレーション・スターダスト」の情報を得たユーノ達セイレーンだったが、戦力差が圧倒的な為にどうすればいいのか分からない。
何とか対策を講じようとしているがなかなか良いプランが無い。
とにかく何か攻略の糸口を探す為、ユーノはブリタニア軍の通信を傍受し続ける。
だが目ぼしい情報が流れる訳もなく、途方に暮れようとしていた時だ。
「エイカ大尉?」
機体調整で待機していたシズカが声を漏らした。
シズカの持っている携帯にエイカからのボイスメッセージが送られてきていた。
「シズカ軍曹、どうしました?」
「准尉、実はエイカ大尉からボイスメッセージが送られてきてまして」
合流したハイデマリーがシズカに問いシズカが答える。
シズカは全員を見渡し、ユウナ、ユーノ、ハイデマリー全員が頷くと頷き返し、ボイスメッセージを再生する。
《元気にしてるかしら?言うまでもないと思うけど、エイカ・M・ルマール。大尉よ。申し訳ないけど貴方たちに依頼があるの。惑星ボルカンに物資や機材をブリタニアに横流しした裏切り者がいるらしいわ。私とコレット特務少尉がこの任務を担当する事になったのだけど2人だけでは厳しいかもしれない。これは私の独断よ。足りないかもしれないけど報酬も用意したわ。貴方たちの答えを待ってる》
メッセージはそこで終わっている。
これはエイカの個人的な依頼だという事はメッセージからも分かる。だがもし裏切り者が事実なら、何か重要な情報を握っている可能性が高い。
「エイカ大尉・・・」
彼女が自分達を心配してくれていたのはメッセージの冒頭で分かる。
彼女らからしてみれば、可能ならエイカに協力したいがオペレーション・スターダストに対応できなくなる危険も孕んでいる。
「どうすれば・・・」
シズカとハイデマリーが判断しかねているが、ユーノは決めていた。
「エイカさんの依頼を受けよう」
「ユーノさん?」
「時間はないかもしれないけど重要な情報が得られる可能性は高いよ」
確かにここで情報が手に入れば、オペレーション・スターダスト攻略の糸口が見つかる可能性も出てくる。
そうなればトシキを助けられるかもしれない。
そうと決まればユーノ達は準備を始める。
***
シャーマ星系第3惑星ボルカン。
地球に似た土壌と大気を持つ惑星で、その環境から早くに移民が始まり自治政府が自立した。
そしてそこに降下する4機の可変戦闘機。
あの後、準備を終えたユーノ達はこの惑星の衛星軌道にデフォールドしそのまま大気圏突入を開始する。
既にボルカンは夜になっており周囲は暗闇だ。
降下を終え機体をガウォークへ変形。地表付近を飛行しエイカとの合流ポイントへ向かう。
ジャングルの中に機体を停め進む。
「真っ暗だよ・・・」
「ライトで道を探しながら行くしかありませんね」
シズカとハイデマリーは銃身の下に取り付けたライトで周りを確認しながら前進。
ユーノとユウナは普通の懐中電灯で周囲確認。ある程度進んだ所で人影を見つけ、それがエイカとリヴィ特務少尉だという事はすぐに分かった。
リヴィとエイカはすぐさま背後に銃口を向けるが、ユーノ達は両手を上げている為にすぐに認識できた。
「貴方たち!」
「エイカ大尉、任務依頼お受けします」
「ありがとう」
「・・・大尉、これは貴方が?」
「ええ、私が呼んだわ」
その言葉にリヴィは不満げな顔になる。
彼女からすれば軍から離反した者は信用できないのだろう。
更にジャングルを進むと監視所がある。
エイカとリヴィが先行し見張りのスナイパーを倒す。それに続きユーノ達も監視所へ。
「誰か狙撃経験のある者は?」
リヴィの言葉に全員が黙り込む。恐らく無いのだろう。
それにリヴィが軽く溜め息をつこうとした時、ユーノが徐にスナイパーライフルを取る。
「ユーノさん?」
「・・・やってみるよ」
ユーノがスナイパーライフルを構え狙撃体勢に。先にある工場らしき施設からはそこまで離れていない。
「見張りは5人・・・」
スコープを覗いた後に静かに呟き、引き金に指をかける。深呼吸し狙いを定める。
そして引き金を引き第1射が放たれる。それは敵兵に真っ直ぐ飛び命中。敵兵をダウンさせた。
「次・・・」
レバーを引き空薬莢を排出、次弾装填。
次は中段の階にいる2人。距離は比較的離れている為片方を撃っても気づかれる事は無い。
冷静に狙いすまし1人を狙撃。次弾装填しもう1人を狙い撃つ。
残りは上階の2人だが、こちらは会話している為に片方を撃てばすぐに気づかれる。
だが2人はユーノから見れば縦1列に並んでいる。上手く狙えば2人まとめて倒せる。
狙いすまし狙撃。惜しくも2人同時には倒せなかったが手早く再装填しもう1人も狙い撃つ。
「・・・ターゲットクリア」
「確認したわ。スクライア君、貴方スナイパーの素質あるわよ」
「そうですか・・・?」
「無駄話はそこまでだ、突入するぞ」
エイカに狙撃の腕を称賛されたユーノだったが、リヴィに止められ先に行く。
監視所からは直接施設に行けるようにゴンドラが用意されており、そのワイヤーを滑車を使って駆け降りる。
「あいたっ・・・」
その際にユウナが着地に失敗し尻餅をつくが、何とか起き上がる。
ゴンドラ下の非常通路を使い工場内へ。
幸いそこでは敵兵と出くわす事は無かったが、先にあるベルトコンベアーによる搬送区画で敵兵と遭遇。
柱やコンテナを遮蔽物にし敵兵を排除していく。
「貴方たちを見てると昔を思い出すわね」
「エイカ大尉?」
「軍に入った頃の私はジンと一緒に目の前の任務を必死でこなしてきたわ」
エイカの独白を聞きつつも施設を更に進んでいく。
扉に差し掛かるが、セキュリティがかかっておりエイカやリヴィでは解除できない。
「ダメか・・・」
「何とか迂回して進むしか・・・」
リヴィが進行できそうなルートを探していると、
「ここ通っていけそうだよ!」
「・・・私はあまり気は進みませんね」
ユウナがこ大型コンベアーを発見しそれに乗って進む。
ユウナは手を振り先へ。ユーノ、シズカ、ハイデマリーは肩を竦めながらもユウナを追ってコンベアーに乗る。
「・・・全く彼らは」
「ふふっ、子供たちは迷わないか」
リヴィは呆れ、エイカはどこか微笑ましい表情だ。
2人もコンベアーに乗り施設の奥へ。
「客人だ!」
そこでも敵兵と出くわしコンテナを遮蔽物にし銃撃戦が展開される。
敵兵をある程度排除した所でコンベアーをを降り通路を直進。
その先にはセキュリティの無い扉がありそこへ突入する。
「・・・意外と早かったな」
そこは倉庫になっており、そこに居たのは、
『ジン(中佐)!?』
そう、開戦当初で撃墜されたはずのトシキの父親、宮本ジンだった。
左腕が義手になっており左目にも眼帯が付いているが、トシキと同じ銀に近い白髪が間違いなくジンだ。
唯、今のジンは背中に刀を差し、更にシルバーのケースを持っている。
「ブリタニア兵では役不足だったか?」
「・・・生きていたの・・・?」
「ああ、久しぶりだなエイカ。そして服部軍曹とシュナウファー准尉」
ジンが生きていた事に涙を流しそうにななる3人。
だが、そこにリヴィが割り込む。
「感動の再開を邪魔するようで申し訳ありませんが、宮本中佐、持っているケースを渡してください」
「・・・すまないが、まだ渡せないな」
ジンはケースの引き渡しを拒否。だがリヴィはそれで引き下がるような性格でもない。
「3秒待ちます。その間にケースを渡してください」
そう言ってリヴィは右手を差し出す。ケースを渡せと促しているのだろう。
「3・・・2、ふっ!」
2のカウントでリヴィは懐からサバイバルナイフを出しジンに切りかかり、ジンはそれを背中に差している刀を抜いて受け止める。
「随分と、せっかちだな!」
ジンは刀を押し込みリヴィをどかす。
リヴィは後転し再び体勢を整えジンに突撃する。
ED:Mirror/安田 レイ