バロータ3198XE第4惑星。
かつて第37次超長距離移民船団、通称マクロス7船団がエネルギー生命体“プロトデビルン”の勢力バロータ軍と最終決戦を繰り広げた氷の惑星だ。
銀の異形となったトシキがデフォールドし闊歩しているその地にマクロス・クォーター級戦艦“スノー・ホワイト”を中心としたブリタニアの大艦隊が接近していた。
《オペレーション・スターダスト、作戦開始30分前。各員は指定された配置にて待機》
艦内放送が響き、乗組員は全員持ち場へ。
その中に1人の少年と3人の少女がいる。
少年の名は黒江ナオト。この作戦に親友であるトシキを助け出すチャンスを見出しているのはユーノ達と同じだ。
そしてそれに同行する3人。1人は肩に届く長さの毛先が赤い黒髪の少女ルビー・ローズ。1人は少しボサボサの長い金髪で頭頂部にアホ毛のように飛び出ている逆毛の少女ヤン・シャオロン。もう1人は少し右寄りの白髪ポニーテールを氷柱を模ったティアラで留めた少女ワイス・シュニー。
ナオト、ルビー、ヤンは各々のパーソナルカラーを基調としたパイロットスーツを着ているが、ワイスは胴体部分に縦2列で4つ付いた黒いボダンで黒いエッジの入った太腿の中程の丈の純白のドレスを着ている。スカートの内側には黒いフリルが付いており、白いハイヒールブーツとそのブーツよりやや上までの丈のフリル付きの黒いストッキングを履いている。
「ワイス、分かってると思うけどお前は作戦の要なんだ。無理はするなよ?」
「ご心配なくナオト。
「ワイスって私にはキツイのにナオト君には優しいよね~・・・」
「なっ!どういう意味ですのルビー!」
ルビーの言葉にワイスが顔を朱くしながら声を荒げ否定。
それをナオトは微笑ましく見ているが、後ろにいるヤンが真剣な表情でナオトを見る。
「ナオト、これはあたしたちにとってはブレイクの弔い合戦でもあるの。もし上手くいかなかった場合は・・・」
「大丈夫さヤン。・・・その時は覚悟決めるから」
そう、惑星ニュー・エイジアにてトシキにブレイクをやられたルビー、ヤン、ワイスからすれば今回の作戦はブレイクの無念を晴らす好機でもある。
もしワイスの歌で銀の異形と化したトシキを止められなければ最悪仕留めても構わないという判断である。
そして4人は格納庫へ。
ナオトのSV-51λは主翼中間の可動ヒンジ上に設置された2基のQF-5100Dを基に独自開発されたFF-203Cブースターエンジンを装備。大気圏外ではエアインテークをカバーで覆い先端にミサイルポッドを装備。ノズルは可動ノズルを使用し高い機動性を与える。
更に主翼ハードポイントにマイクロミサイルランチャー4基を搭載している。
そしてルビーのVF-25FとヤンのVF-25Sにはスーパーパックが装備され、更にあの箒で模った星のエンブレムの部隊も全員集まっている。
《戦闘要員は順次出撃せよ》
「・・・ルビー、ヤン、ウィッチーズの皆、行くぞ!」
『うん(はい/おう)!!』
ナオトの声に少女達全員が返答し各々の機体へ搭乗。
誘導員の誘導に従いカタパルトへ。
先に白いVF-11B、宮藤ヨシカが発艦しその後に順にリネット・ビショップ、ペリーヌ・クロステルマン、坂本ミオ、シャーロット・E・イェーガー&フランチェスカ・ルッキーニ、エイラ・イルマルタ・ユーティライネン、サーニャ・V・リトヴャク、ゲルトルート・バルクホルン、エーリカ・ハルトマン、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケが発進していく。
《ミーナ機、発艦!》
《アイネアス1、カタパルトセット》
ナオトのSV-51λがカタパルトへ移動し終え、計器に異常はない。
そしてルビーのVF-25FとヤンのVF-25Sも甲板上へ。その横にはステージのような物がせり上がってくる。
《フォールド・サウンド・ステージ、スタンバイ!》
そしてそのステージ上には先程の服装ではなく、太腿の中程の丈のペールブルーのドレスとボレロを着ているワイスがマイクを手に立っている。
ナオトはワイスを見て右親指を盾サムズアップ。それにワイスは優雅に手を振って答えた後ナオトのSV-51λが発進。それに続くようにルビーのVF-25FとヤンのVF-25Sも発進する。
《アイネアス1、レッド、イエローの発艦を確認!》
そして発艦した全機が大気圏突入を開始し、銀の異形であるトシキも降下してくるブリタニア軍に気づいた。
《総員へ告ぐ。オペレーション・スターダスト発動!繰り返す、オペレーション・スターダスト発動!》
指揮官から作戦の開始が告げられ、全軍がトシキに対し総攻撃を開始する。
トシキは攻撃を鬱陶しがっている様子で、両腕の機関砲を片っ端から発砲しブリタニア軍機を撃墜していく。
「アイネアス1よりスノー・ホワイト、ワイスの準備を!」
《こちらスノー・ホワイト、了解。全軍へ、これよりフォールド・サウンド・ステージを起動します!》
スノー・ホワイトからの連絡が入り、ステージ上のワイスが気を引き締める。
“Mirror,tell me something"
遂にステージが起動しワイスが歌いだす。
それはワイス自身の孤独な生き方を詠うような静かなメロディ。
“Tell me who's the loneliest of all?"
ワイスが歌い出すと、トシキの動きがニュー・エイジアの時と同じように少しずつだが鈍り始める。
《歌が効いてる!》
《今の内だ、全機攻撃再開!出来るだけ弱らせろ!》
好機とばかりにブリタニア軍機がトシキを袋叩きと言わんばかりに攻撃を仕掛ける。
それに呼応するかのようにワイスの歌もテンポとボリュームが上がる。
“Mirror,tell me something"
"Tell me who's the loneliest of all?"
「オォォォォォォ・・・」
トシキは一方的に攻撃を受け続け少しずつだが弱り始めている。
機関砲による攻撃も片っ端からでなく徐々に覚束なくなり始めていた。
「いいぞ、いい調子だ!」
「このペースならイケるわね!」
ナオトもヤンも行けると読みペースを上げる。
“Fear of what's inside of me;"
“Tell me can a heart be turned to storn?"
ワイスの歌も大詰め、畳みかけようとした時だった。
ドオォォォォッ!!!
「きゃあっ!!」
「ワイス!?」
突然スノー・ホワイトが被弾し歌と曲が止まってしまった。
それに伴い覚束なかったトシキが回復し首を振った後に再び機関砲による攻撃を再開。
「ちょっと、何があったのスノー・ホワイト!?」
ヤンが無線でスノー・ホワイトに怒鳴りかける。
《衛星軌道上にデフォールド反応多数、新統合軍です!!》
「こんな大事な時に!」
新統合軍の乱入にナオトは悪態をつく。
これにより作戦に大きな綻びが生じてしまった。
「アイネアス1より各機、スノー・ホワイトを死守。ワイスの邪魔をさせるなよ!」
「うん!」
「分かってるって!」
ナオトの指示にいち早くルビーとヤンが行動。
衛星軌道にでスーパーパックを再装備し新統合軍の迎撃に向かう。
***
バロータ3198XE第4惑星にデフォールドしたセフィーラ新統合軍は既に戦闘準備を整えていた。
「准将、全機発艦可能です」
ウラガ級空母の艦橋にて副官の言葉に、アンドレアス・マルコフ准将が無線機を取る。
「全軍へ。この作戦の鍵となる銀の怪物は戦局を決定する力になり得る。何としても敵より先に我が軍の制御下に置くのだ。全機発進せよ!」
アンドレアスの言葉に、待機していた可変戦闘機が発艦を開始。中には
随伴する艦も戦闘態勢を整えブリタニア軍との真っ向勝負の構えだ。
早速ブリタニア軍のVF-171の20機以上の大編隊がセフィーラ軍に向かうが、その4分の1はセフィーラ軍のAIF-7Sに撃墜される。
しかしそのAIF-7SをルビーのVF-25FとヤンのVF-25Sが撃墜。
「ゴースト、3機撃墜!」
「無人機なんて、私らも嘗められたものね!」
ルビーとヤンが先陣を切りセフィーラ軍の編隊へ突っ込む。
それにより編隊を乱されセフィーラ軍はトシキへの接近ができない。
「敵戦闘機により、バルキリー部隊が降下できません!」
「全艦対空戦闘準備。艦体を降下させる」
アンドレアスが出した指示は、戦闘機隊が交戦している間に艦体を降下させ、その火力でトシキを無力化する物であった。
だがブリタニア軍もそれを見逃す訳がない。
《新統合軍が大気圏に突入。艦船の火力で怪物を無力化する気です!》
「俊樹を渡す訳に行くか!こっちも艦体を降ろしてくれ!」
再びナオトの指示が飛びブリタニア軍もスノー・ホワイトを中心に艦隊の降下を開始。
「ワイス、大丈夫か!?」
「この程度、問題ありませんわ!」
無線からワイスの声が聞こえナオトは一先ず安堵する。
だがスノー・ホワイトが被弾した影響で歌が止まり、トシキは再び攻撃的になってしまった。
この先は新統合軍を押さえつつトシキも止めなければならない。
それに更に追い打ちがかかる。
《衛星軌道上に更にデフォールド反応!!これは、新統合軍とS.M.Sの混合艦隊です!!》
戦局は混迷を極めていた。
***
惑星の衛星軌道上にデフォールドした空母リチャードとクォーター級フォル・ブランニル混合艦体。
リチャードとフォル・ブランニルの甲板上ではトシキを助けるべくエイカ達がスタンバイしていた。
《これよりバロータ3198XE第4惑星に降下し銀の怪物と歌によるコミュニケーションを行う。
マリクからの通達が入り全員が気を引き締める。
《宮本ジン、VF-19S/A、参る!》
先陣を切ったのはジンの青い機体。VF-19Sを更に改修した「VF-19S/A アドバンスド・ブレイザー」。
2050年代後半から現代の技術による改修が施され、更にVF-25のスーパーパックから流用した大型ブースターを両翼に装備している。
更に機首に新たに描かれた
《エイカ・
ジンに続くはエイカの黄色いVF-19S。
エイカの機体も改修が施され以前より性能が向上している。
《セイレーン3、4、カタパルトスタンバイ!》
ジンとエイカの発進後に、ユーノのRVF-25とシズカのVF-19F/Xがカタパルトに移動。
更にスノー・ホワイトと同じようなステージにいるユウナとハイデマリーがユーノとシズカの位置からは見える。
2人はそれぞれユウナとハイデマリーに敬礼。それに2人は手を振って答える。
「ユーノ・スクライア、行きます!」
「服部シズカ、発進します!」
ユーノとシズカが同時に発艦し先に発った編隊と合流。
トシキを今度こそ救うべく大気圏へ突入していく。
劇中曲:Mirror Mirror/ワイス・シュニー starring Casey Lee Williams
ED:Mirror/安田 レイ