マクロス Infinity Rumble   作:天羽々矢

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OP:First Pain/石川 智晶


STAGE38 惑星 を 懸ける 歌声 ACT2

彼女達の前で信じられない事が起きた。

 

「そんな・・・ナオト君!!」

 

「嘘でしょ、ナオト!!」

 

ルビーとヤンが、墜ちていくSV-51λに向け叫ぶ。

そしてその光景はマクロス・クォーター級戦艦スノー・ホワイトにも届いていた。

 

「あ・・・そんな・・・」

 

ワイスが蚊のような細い声を絞り出しその場に膝をつく。

 

SV-51λが撃墜された。それは即ち、ナオトが負けた事を意味していたのだ。

慕っていた少年がやられた事にルビーとワイスが失意の底に落ちそうになるが、そんな中でヤンはただ操縦桿を血が滲み出る程に力いっぱい握りしめていた。

 

「・・・あいつらぁぁぁぁっ!!!」

 

「お姉ちゃん!?」

 

雄叫びを上げ、ヤンがユーノに向け突進していく。

 

 

 

***

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・!」

 

ユーノは極限の機動を行った為に既に疲労し切っていた。

だがその対価にナオトを撃墜する事ができた。

だが安息の時間はない。

 

「よくもナオトをぉぉぉっ!!」

 

「!!」

 

ヤンのVF-25Sが突撃してきてユーノは咄嗟に機体をファイターに変形させ回避。

すぐさま回避行動を取るが疲労し切っているユーノにはヤンは手強すぎた。

 

「く・・・身体が思うように動かない・・・!」

 

疲労し切っているユーノの肉体は本人の命令を受け付けない。

操縦桿を握る手足が固まったかのように重く、機体を思うように動かせない。

 

「覚悟しろぉ!!」

 

「っ!!」

 

遂にユーノは顔を背け目を瞑り、自らの撃墜を覚悟した。

だが、VF-25Sの上空からガンポッドの弾が降り注ぎヤンは回避を余儀なくされた。

 

ユーノが後ろを見れば、シズカのVF-19F/XがヤンのVF-25Sの背後を取っている。

 

「服部さん?」

 

「スクライアさんは戻って機体の応急修理を。あいつは私が引き受けます!」

 

そのままシズカはヤンとのドッグファイトへ移行。ユーノはシズカに言われた通りにフォル・ブランニルへ一時帰投する。

 

〝終わらない無限のヒカリ”

 

ユウナとハイデマリー、2人のデュエットの2曲目のイントロが流れ出す。

銀の怪物であるトシキはもはや動く体力も残っていないのかただその場で佇むだけのような状態となっている。

 

〝空回るリング すれ違う運命(さだめ)

 

〝残されてた 楽園の幻”

 

元から強化改修が施されたVF-19F/XはVF-25Sに食らいついていく。

 

「離れろ、この!」

 

「スクライアさんもやったんだ、逃がさない・・・!!」

 

〝悲しみのメロディ 鳴りやむ時”

 

〝そこに咲いてた小さなBaby's Tears"

 

「く・・・うぁぁぁ・・・!」

 

ヤンは機体を揺さぶってシズカを振り切ろうとするが、身体にかかるGで意識を持っていかれそうな中シズカは意地で食い下がる。

 

〝空と海が繋がる地球(ほし)

 

〝繋いだ手を振り切った”

 

「くそ、このっ!!」

 

ここでヤンがコブラ機動から脚部を展開しバック転しながらシズカの後方へ。

シズカはVF-25Sからのガンポッド攻撃を回避していく。

 

〝明日の輝きを取り戻す為に”

 

〝願いをのせて解き放つ”

 

「く・・・!」

 

シズカはヤンのガンポッド攻撃を回避しつつ、機体上部の対空レーザー砲でヤンを攻撃するがそれらはことごとく回避されている。

 

〝終わりを知らない美しき羽根に”

 

〝降り注ぐ無限のヒカリ”

 

「オォォォォォォ・・・」

 

そこでトシキが力尽きるような弱弱しい遠吠えを上げ両腕が静かに降りる。

 

「!宮本さん!?」

 

そこでシズカがトシキを見るがヤンに追い回されている為に様子を窺えない。

 

「このっ!!」

 

シズカは機体の脚部だけを出しコブラ機動へ。

凄まじいGが襲い掛かるが、歯を食いしばって耐えヤンの後方へ回る。

 

「うっそ!?」

 

後方へ回った瞬間にVF-19F/Xがガンポッドを斉射。

回避しきれず右エンジンに被弾する。

 

「あ~もうっ!!」

 

やむを得ずヤンは機体から脱出。VF-25Sはしばし黒煙を吹いた後に爆散した。

それを見たシズカはすぐに機体を翻しトシキの下へ。

 

 

 

***

 

 

 

「トシキ君!」

 

「トシキさん!」

 

その光景はフォル・ブランニルのユウナとハイデマリからも見えている。

歌でコミュニケーションを取るはずが、逆にダメージを与えてしまっていたのか。

 

「ユウナさん!?」

 

曲の途中であるにも関わらずここでユウナがステージから降り格納庫へ。

残っていた自分のVF-19EFに乗り込み発進してしまった。

それと同時に応急修理を終えたユーノのRVF-25がカタパルトへ。

 

「ユーノさん!ユウナさんがステージを降りて行ってしまいました!」

 

「え!?」

 

ハイデマリーからの連絡に驚き、急遽ハイデマリーを乗せ彼女を連れ戻そうと機体を発進させる。

 

ユウナの機体は既に大気圏突入を開始しておりブリタニア軍の何機かが迎撃に向かっている。

ユウナは機体を揺さぶって回避しようとするが意外としつこく離れない。

 

だがそこで後方からミサイルが迫りユウナを追撃していた3機が撃墜される。

見ればそこからユーノのRVF-25が来ていた。

 

「ユーノさん!」

 

「結城さん、何で飛び出したりなんかしたの!?」

 

「ごめんなさい・・・でも、どうしても!」

 

「後方、敵!」

 

ユウナが言い訳している途中で再びブリタニア軍のVF-171が3機接近。

2機はバラバラになって回避しようとした瞬間、何処からか機関砲弾が飛来しVF-171を撃墜した。

 

「え・・・?」

 

「誰が・・・」

 

ユーノ達が弾の飛んできた方を見ると、そこにはトシキが。

 

「トシキ君・・・」

 

ユウナは機体をトシキの方へ向け接近した所でガウォークへ変形させる。

それをトシキは攻撃するどころか、まるで分かっているかのように右手をゆっくりと差し出す。

 

「トシキ君、もしかして私が分かるの?」

 

「オォォォォォォ・・・」

 

ユウナの言葉にトシキは呻き声のような声を出すだけだが、攻撃の意志はないようだ。

それを見たシズカ、ユーノとハイデマリーもトシキに近づく。それをトシキは両手ですくい上げるかのように両手を差し出す。

 

「トシキ、僕たちが分かるの!?」

 

「トシキさん!」

 

「宮本さん!」

 

「オォォォォォォ・・・」

 

皆の声にトシキは呻き声のような声ではあるが、確かに返答した。

 

「トシキ君・・・!」

 

〝飾る愛はもう意味を持たない・・・”

 

〝揺れる気持ち閉じ込めて今日も笑うの”

 

トシキに自分達の言葉が通じた事を嬉しく思い、ユウナは歌を途中から再び歌い出す。

それに釣られるかのようにハイデマリーも共に歌う。

 

〝懐かしかった”

 

〝アナタの香りがした”

 

〝息をひそめ静かに散る花ビラ・・・”

 

《全機へ緊急連絡!ブリタニア軍のクォーター級がマクロス・キャノンの発射体勢を取っている!標的は間違いなくトシキだ!直ちに退避しろ!!》

 

ここでジンから怒号が飛ぶ。

上空を見れば降下したスノー・ホワイトが強襲形態へと変形しており主砲をトシキへ向け発射体勢を取っていた。

どうやらオペレーション・スターダストの継続は困難と判断し殲滅の選択肢を取ったようだ。

 

〝愛に咲く花は気高く強く”

 

〝誰のために戦うの?”

 

「マズイ!皆急いで逃げよう!!」

 

「でも、宮本さんが!」

 

「オォォォォォォ・・・」

 

ユーノが離脱を促す中、その様子を見たトシキが声を上げる。

そしてユーノ達を庇うかのように自分の身体に寄せる。

 

「トシキ・・・?」

 

〝終わりを知らない美しき羽根は”

 

〝限りない青い空へ”

 

ユーノ達を寄せた後、トシキの周囲に光が収束し始める。

それはニュー・エイジアの時と同じ物。

 

「これは、フォールド!皆!!」

 

ユーノが声を上げ、全員が各々の機体に乗りキャノピーを閉じる。

 

〝lalala・・・どこまでも!”

 

〝lalala・・・いつまでも!”

 

そしてスノー・ホワイトがマクロス・キャノンを発射しトシキはフォールドを開始。

周囲の光が一気に強まり、それが収まった時にはトシキはおろか近くにいたユーノ達は機体ごと消えていた。

 

発射されたマクロス・キャノンは虚しく空を切り、その背後にあった雪山に直撃し大爆発を起こしただけだった。




劇中曲:Baby's Tears/結城ユウナ(ICV:照井 春佳) ハイデマリー・W・シュナウファー(ICV:植田 佳奈)

今回は暑さですっかりダウンしてしまい、遅くなってしまいました・・・
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