「ふわぁ…」
昨日、SCP-173の脱走を取り押さえた後、直ぐに寝た俺は翌日の6:00ぴったりに起床した。
俺が寝ている時間に仕事がない限り、基本的には六時起きだ。
日によっては仕事が全く無く、仕事があるとしてもちょっと走り回るだけ。 月によっては三日間仕事をすれば終わりだ。 その上給料も良く頼めば頻度は少ないが休暇もくれる。
なんというホワイト企業だろうか。
しかし、そんなホワイト企業でもきつい日は存在する。
「…あのジジイ…」
目の前には黒い穴が開いていた。
その穴の周りには腐食が見られる。 間違いなく、SCP-106、オールドマンのポケットディメンションだ。
106は触った全ての物を腐食させる。 そして達が悪いことに、簡単に脱走しては職員をさらったり俺に面会に来たりする。
だから最近は、俺の部屋に直接、あいつの能力であるポケットディメンションを出すように言っている。
ポケットディメンションってのはわけのわからない不思議空間で、あいつがとらえた若い職員と遊ぶ… もちろんやばい意味の遊びをするために使う空間だ。
「…行かねえと脱走するよな、あいつ。」
意を決して、ポケットディメンションの中に飛び降りる。
ここは嫌いなんだよな。 体に負担はかからないが、臭い。
しばらく灰色のレンガが作る細道を歩くと、上に出口が見つかった。
「よっ。」
その穴から這い上がると、目の前にはエグい色の肌をした爺さんがいた。
そう、こいつがSCP-106だ。
『おお、来てくれたか、ジンさん。』
「来てくれたか、ってもお前俺が来ねえと脱走騒ぎ起こすだろうが。 職員の研修の度にブライト博士が
『そいつはブライト君に言っとくれや。』
「お前が新人を殺らなければ済む話なんだよ。 俺がブライト博士に注意をしてないと思ったか? あの人の部屋一面に禁止リストのコピーを張っていないと思ったか?」
あ、今出てきた単語については今度教えてやろう。
とりあえずはこの腐れジジイとの話を終わらせなければ。
「んで、なんで俺呼ばれたの?」
『いやいや、大したことでもないんだけども… 最近、職員の連中が要望を通してくれないんだわ。』
「へえ… おい待てどうやって要望出してんだ。」
『そりゃあちょっとだけ顔出して頼むんだよ。』
「…この部屋から出んなよ? んで、要望は?」
『若い男の人肉を…』
「ん。」
SCP-106の要望に、自分の左手を引っこ抜いて渡すことで答える。
これでしばらくは大人しくするだろう。
『おお! これだこれ! いやぁ、毎度すまないねジンさん。』
「ったく、腕ぐらいまたやるから脱走は控えろよ?」
『おう、また今度頼むわ!』
腕から滴る血を嬉しそうに舐める爺さん。
あ、白衣が血で染まっちまったな…
「んじゃ、俺は帰るわ。」
『助かったぜ、ほれ、出口だ。』
「ん、あばよ。」
SCP-106の開けたポケットディメンションに飛び降りる。
暫く歩くと、先ほどと同じように出口が見つかった。
ジャンプをして這い上がると…
目の前にはガラスで蓋をされた塩酸の風呂と、その風呂に浸かるトカゲがいた。
『お! ジン! 久しぶりじゃねえか!!』
「あんの… クソジジィィィィィ!!」
そのトカゲはSCP-682、俺が…めちゃくちゃ嫌いなSCPだ。