死を視る王   作:水天宮

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────相変わらずの技量だ。

 

 

 

 

 

 

「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAArrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr────!!」

「ぐっ……、はぁ────!!!」

 

無遠慮に見せかけて寒気がするほど的確な剣を繰り出すランスロット。

躱し、いなすのにもそろそろ限界が見えたかもしれない。

隙を見つけては打ち込んでいる拳も、余りダメージになっているとは思えない。

と、いうより。

 

 

 

「……っ、貴様のマスター。中々の魔力だな。それなりに長いこと殴り合っている気がするが、消耗が全く見えん」

「AAAAArrrrrrr…………!」

 

 

 

間桐雁夜がマスターならば、魔力切れで霊体化してもおかしくない頃合いだ。

やはり、偽の情報を掴まされたのではないか?

ほぼ零落も同然の間桐家。バーサーカーを維持しうるレベルの魔術師など、他に────────

 

 

 

「────いたな、遠坂の養子が」

 

 

 

耄碌したとはいえ、さすがは令呪システムを作り出した御三家の一角。

大方、魔力供給のラインを分割でもさせたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「っ……ゼアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

 

 

高く頭部を蹴り上げる。その勢いのままに、胴体へ脚部を回しいれた。

魔力放出込みで蹴ったため、バーサーカーは大きく吹っ飛ばされてコンテナの一つに側面からぶつかった。

ほぅ、と少し息をつく。

だが狂戦士は、まだ動き出そうとしていた。

 

 

 

 

 

「────見事。バーサーカー相手に徒手でここまで戦い抜くとは、恐れ入った、ブリテンの騎士王よ」

「見世物にしては及第点といったところか。……狂犬め。どこまで無様を晒すつもりか」

 

 

 

口ぐちにそうこぼす二人の王。

返答する余裕もないため、無言を決め込んだ。

 

 

『何をしているランサー。セイバーを仕留めないか』

「ですが、セイバーは手負いです。バーサーカーも消えていない。ここで攻撃を仕掛けるなど────」

「……騎士道に反する、か? 別に私は構わんぞランサー。今更一人も二人もそう大して変わらん」

 

 

そう口にしてすぐ、縮地でランサーの元へ一気に近づく。

右手で掌底を打ち込もうとしたが、槍に防がれてしまった。

だが硬直の隙をついて左で拳を顔面にぶつける。当たりはしたが、上手く逸らされた。

 

 

 

 

「AAAAA──────!」

「ようやく起きたかランスロット。いいだろう、まとめて叩き潰す」

「セイバー……!」

 

 

 

大きな口を叩いたが、実際のところ、この二人を相手取るのは困難を極める。

今回に限って言えばランサーがあまり積極的ではないために何とか戦闘の形を成しているだけだ。

つまりは二対一という名目の実質私とランスロットの殴り合いに過ぎない。

それでも継続するにも決着をつけるにも、相当な体力と魔力が必要不可欠だが。

 

 

 

 

 

 

 

「AAAAAAAAAAAAAAArrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr!!!!!!」

「っ、ハァ──────────!!!!」

 

 

 

宝具化した鉄パイプが振り下ろされる。ランサーに肘鉄を打ち込みながら後退して回避。

すぐさまランサーの顎に拳を入れ、魔力放出込み掌底で吹き飛ばし、反動でランスロットを蹴り飛ばした。

 

 

 

 

 

 

『令呪を以て命ずる──ランサー、もう一つの宝具を開帳しろ』

「っ、御意……!」

 

 

 

もう一振りの魔槍。目に鮮やかな黄色の輝き。

ランサーは苦々しい面持ちながらも、彼の視線は私に攻撃しようと鋭くこちらを射抜いていた。

繰り出される二つ目の宝具を回避するためにコンクリートを踏みしめ脚に力を入れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA────────!!!!!!!」

「な────ガフッ……?!」

 

 

 

 

 

突然の咆哮と背後からの衝撃に一瞬思考が停止する。

気づいた時にはもう遅く、黄の薔薇は私の左腕と右太腿を斬り裂いていた。

即振り返り、左脚を軸にして血を流す右脚をランスロットの局部に打ち込み、右の拳を兜へ真っ直ぐ突きだした。

叫びをあげて転がるランスロット。動き出す様子はない。

 

 

「……正しい。隙をついて私を負傷させる、実に理にかなっている──が、やられると非常に腹立たしいな。おい、立てランスロット。手足程度、枷にもならん。十分動く。ああ……いっそ、この場で去勢してやろうか」

「それはやめてやれセイバー」

「何故だライダー? 敵を消耗させるのは戦の常套手段、急所を突くのが戦闘の常道。何か問題でも?」

 

 

左腕をグルグルと動かす。右の腿も上下に動かしたが、どちらも問題はない。

右手に宝剣を呼び出し、柄を握りしめる。切先をランスロットに向けたが、ライダーに止められた。

よく見ればランサーどころかアーチャーまで渋い顔をしている。

それに加えてアイリスフィールとライダーのマスターも呆れた顔をしていた。

 

 

 

「じゃあランサーから……」

「待て何故そうなる。思い出せ、俺とお前は騎士の決闘をしていたのだぞ。何故去勢になる。というか生前の部下に容赦ないな」

「うぅむ……如何に騎士王といえ女子(おなご)、その柔肌に傷をつけたとなっては騎士の名折れかもしれぬのう」

「ここでそれを持ち出すかライダー……!」

「フ──ハハハハハハハハハハハハ!!! 自らの首を絞めるとはとんだ道化よな雑種!! ハハ、ハハハハハ──」

 

 

納得したようにうなずくライダーと心底愉快そうに大笑いをするアーチャー。

ぐぬぬとランサーは焦った表情で呻いている。

 

 

「セイバー、もう帰りましょう? 貴方も負傷してしまったし、もうこれ以上の収穫は望めないのでしょう? ね?」

『まぁ……令呪で命を下したのは私なのだから、責任は私にもあろう。だが謝罪はしないし去勢もさせないぞセイバー』

「あ、主……!」

「まるで私が悪いかのように……仕方ない。これで解散とするか。ランスロットはどこに行ったのやら……」

 

 

ランスロットはいつの間にか姿を消していた。

結果的に、分かりやすい消耗をしたのは私だけという散々な結果に終わったが、この程度ならどうとでもなる。

聖剣の発動にも問題はない。手足が動かしにくいなら、その分頑張って動かせばいいだけの話だ。

だが、楽観的になれない。間桐とアーチボルトがそれぞれ魔力と情報という大きな有利要素を備えている。

……今から先の展望に陰りが見えるとは、この戦争はやはり一筋縄ではいかないらしい。

 

 

 

「とりあえず、帰ったらマスターをシバくとして……この先を考え直さねば。帰るぞ、アイリスフィール」

「ええ」

「ふむ、では余も帰還するとしよう。だが騎士王、余は貴様を我が軍勢に迎えることを諦めぬぞ。ランサーもな」

『ウェイバー・ベルベット、臨時の課題だ。その男の手綱をしっかり握れ』

「うぇええええええ!?」

 

 

アーチボルトの発言にうなだれる少年。アイリスフィールも苦笑していた。

 

 

 

「誉れ高き騎士王よ、此度の戦いはひとまず預ける。いつか必ず、決着をつけよう」

「ほぼ私の負けだがな……ああ、約束しよう」

 

 

そうランサーと言葉を交わし、背を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後、とある廃ビル。

一時的に私とアイリスフィール、マスター、久宇が顔を合わせて作戦の立て直しをすることになった。

 

 

 

 

「それでマスター、これからどうするつもりだ? 完全に悟られているぞ、貴様の手口が。この際、諦めるのも一つの──」

「まさか。僕は諦めない。何としてでも、聖杯を手に入れる。アンタにも付き合ってもらう」

 

 

それならそれでいい、と返答した。

マスターは冷静さを装っているが、視線と声色には隠しきれない焦り故の鋭さがにじんでいた。

 

 

 

 

 

 

「少なくとも、ランサーたちが本拠にしているホテルの爆破はほぼ不可能だろうな。設置した爆弾は撤去されているだろう。内部から忍び込んでアーチボルトの首級を狙う手段、ということでいいな?」

「アンタの聖剣でホテル諸共破壊すればいいだろう」

「魔力の無駄だ。それに、逃げられたらどうする?」

 

 

 

無言で私をにらむマスター。

 

 

「奴らを確実に殺せるのか?」

「この世に完全などない。成功するかどうかはその時しか分からない。ある程度、消耗を狙うつもりではあるがな」

「そんな曖昧な建前で決断するのか」

「できる、できないの話ではない。────やるか、やらないかだ」

 

 

じっ、と見据える。

しばしの無言。

 

 

「……ねえ、切嗣。今回は、セイバーに任せましょう?」

「アイリ」

「セイバーの言う通りだわ……成功するか分からなくても、まず行動しなくちゃ始まらないと思うの」

 

 

予想外の助け舟だった。

マスターも呆けたようにぼんやりと妻を見つめている。

 

 

 

「では、私は向かうとしよう。戦果は期待するなよ」

「今から? もう少し休んだら……」

「善は急げ、という言葉がこの国にはあるのだろう? もっとも、やっていることは善とは程遠いがな」

 

 

そう返答して紫紺の外套を纏い、フードを目深にかぶった。

ビルの窓から飛び降りて、アスファルトに降り立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────主、サーヴァントの気配がします。恐らく、セイバーかと」

「なるほど。爆破は諦めて真っ直ぐに攻略しに来たか。始めからそうすればいいものを」

 

冬木の夜景を一望するスウィートルーム。

 

「客人には相応のもてなしが必要だ。ランサー、丁重に迎えるがいい」

「御意」

 

そう言って、霊体化するランサー。

二人の騎士による決闘が、再び行われようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────まぁ、真っ向から攻略などしないがな。ただでさえランサーの黄薔薇(宝具)が効いているんだ。これ以上の負傷は避けたい。勝利だけなら、ただ単にアーチボルトを潰せばいいだけの話だ」

 

 

倉庫街での約束? それはそれ、これはこれ。

そんなことを呟きながらズリズリと這って前進する。

 

 

 

 

 

 

 

「しかし埃っぽい……当然といえば当然か。下水道ではないだけマシだと思えばいい」

 

 

通気口から忍び込み、するすると忍者のように縦横無尽に進んでいる。

多少、武装は解いているが、夜天の羽衣(グェン)だけは外していない。

暗殺者(アサシン)ほどではないが、多少の気配遮断効果も有している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん? 話し声……」

 

 

どこかの部屋に通じている口から、光が差し込んでいる。

 

 

 

 

 

 

「────ねえ、聞いた? 港のほうで、爆発が起きたらしいよ」

「本当? 何かの事件かしら……嫌だわ」

「最近物騒だよね。この間も、深山で儀式殺人があったって」

 

 

 

爆発……マスターか教会の隠蔽工作だろうか。

確実に被害を被っただろう倉庫街の関係者たちに内心で合掌し、再び前進を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん──小柄かつ貧相な我が肉体、こういうときに役に立つとはな。成年の私なら、こうはいかなかったぞ……」

 

脳裏に長身かつ豊満な己の姿を描く。

 

「まぁなんでもいい。さて最上階を目指すとするか」

 

 

 

 

ここから道は縦方向に伸びており、上手くのぼる必要がある。

 

「む……立てん。よっ────ほっ────それ……」

 

上方向に折れ曲がった通り道をどうにか潜り抜け、立ち上がることが出来た。

後は気づかれない程度に跳躍して上昇していけばいい……はず。

 

「……魔力の気配が近い。あと少し……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ランサー、私の傍に来い」

「は……」

 

廊下に送り出していたサーヴァントを呼び戻した。

 

 

 

 

 

「来ませんね。間違いなく、気配がしたのですが……」

「奴の宝具だな。あの紫紺の外套……気配遮断の効果を持ち合わせているのだろう」

 

 

苦々しく顔を歪める魔術師。

 

 

「忌々しい魔術師殺しと契約している以上、卑怯と言われるような手段も取ってくるはずだ」

「なるほど……確かに、真っ直ぐ向かってくるとは限りません」

「ああ────もしかしたら、もうこの工房に到着している可能性すらある」

 

 

 

魔術師の一言に緊張した面持ちで槍を握りしめるサーヴァント。

 

 

 

Fervor,mei Sanguis(沸き立て、我が血潮)

 

 

その主も魔術回路を起動させ、水銀の礼装を手繰り事に備える。

数分が数時間にも思えるような静寂が続いている。

 

 

 

 

 

 

「なるほど、大した慧眼だよロード・エルメロイ」

 

 

瞬間、爆音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「isa」

「────ッ、Scalp()!」

 

 

穴をあけて部屋に乗り込み、すぐさま氷の刃を魔術師に向かわせる。

その大半は魔術師が操る水銀に薙ぎ払われた。

続けて魔術を発動しようとアーチボルトに向けて手を伸ばす。

 

 

 

 

 

Magic bullet,Begining(魔弾、始動)────Similtaneous sweep(一斉掃射)!!!」

「ぐっ──、ランサー!」

「ここに!!」

「チッ……Tracking,Explosion(追尾、爆散)!」

 

 

 

予想外にランサーの行動が早い。廊下に設置した音だけのフェイク魔術にも引っかからなかった。

私が放った魔弾も素早く、そして確実に真紅の槍で切り払っている。

次の瞬間には黄の短槍が空を斬る音と共に鋭く突き付けられた。

宝剣で受け止め、胴や首を狙うように斬りかかるも防がれ、鍔迫り合った。

 

 

 

 

 

「どこから忍び込んだ?」

「通気口だ。卑怯だと思うか? 下水道よりマシだと思うがな────Flame,Blade rain(焔よ、刃の雨となれ)

「ッ──貴様……!」

 

 

刃の形をなした小さな炎を大量に降り注がせる。標的は無論アーチボルト。

 

 

 

 

Clypeus()──、Torque,tri-focused(縛、三重集束)

「何……?!」

「こうしたサーヴァントの闘争でマスターがお荷物とならざるを得ないのは事実だ。だが、優れた魔術師ならば少ない選択肢の中で最善を掴むのも容易いことなのだよ。侮るなよ騎士王。このケイネス・エルメロイ、ただの標的となるつもりはない」

「っ──なるほど。ただ縛るだけではなく、複数の水銀を変形させ、組み合わせることでより強固な鎖にしているのか……」

 

 

 

細く伸ばされた水銀が三つ編みに、それがさらに集まり束ねられ、強靭な縛めを作り出している。

加えて、私の肉体を折りたたむように縛り、そこへさらにぐるぐると針金を巻きつけるように動きを封じている。

……これらの縛りはあくまでも物理的な干渉であり、そこに対魔力は発生しない。

 

 

 

「だが、些か考えが足りないようだなロード・エルメロイ」

「何?」

「この程度の鎖────気合いと根性で物理的に突破すればいいだけの話だ!!!!!!」

 

 

魔力を瞬間的に放出する。

半分以上の水銀の鎖が耐えきれずに千切れ解ける。

アーチボルトの首をとろうと宝剣を振り降ろすが、ランサーの槍に防がれた。

 

 

 

 

「っ……ええい、忌々しいな脳筋! それでも音に聞く騎士たちの王ではないのかセイバー!」

「生憎、円卓の連中も似たようなものだ。ガウェインとかベディヴィエールとか、そのあたりは特に」

「なんと……」

 

 

愕然とした表情をとっている。

……そういえばこの男、イギリスの出身だったな。

 

 

 

 

「ま、円卓はどうでもいい。どっちにしろ、今ここで貴様らの首級をとらないとクソ野郎(マスター)に謗られる。悪いがここで退場してもらうぞランサー、アーチボルトの当主。恨んでもらって構わない。何せ、慣れているからな」

「それはこちらの台詞だセイバー。無理解を胸に抱き、我が槍に貫かれるがいい」

「フン──それはそれで名誉なことかもな。フィオナ騎士団のディルムッド先輩?」

 

 

 

 

同時に足を踏みだし、狭い室内で剣戟を繰り広げる。

先の言葉通り、アーチボルトは多様な魔術でランサーを補助をしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、軽く数十分は経ったころ。

ガシャアン!!! と、ガラスを突き破る音がした。

振り返ると、筒状の物体と球状の物体が転がっていた。

球状の物体から、青紫色の煙が噴き出している。

 

 

 

「何だね?!」

「っ、セイバー、これは……」

「あぁ……やらかしやがったな、切嗣!」

 

 

 

私がそういった次の瞬間、球状の物体が閃光と共に爆ぜた。

青紫の煙が部屋全体に広まる。直感的に背筋が凍った私はランサーを彼のマスターの方へ突き飛ばした。

 

 

「っ────ぅ、ゲホッ、ゲホッ、ゴホッ──催涙、弾……か…………?」

「ぐ……目、が……セイバー! 無事か!? 返事をしてくれ! ッ、セイバー!!」

 

 

鼻の奥がツンとした熱い感覚を訴える。

煙に加えて、僅かに涙腺から漏れた液体で視界が霞み、行動がままならない。

 

 

 

 

「ッ、まず────逃げろランサー! 爆発する!」

「な────!?」

 

 

直感が訴える危機に従い叫ぶ。

次の瞬間爆発し、どうにか魔術防壁を張って凌いだ。

爆発と共に煙がいっそう広がる。

 

 

 

「仕方あるまい……離脱しろランサー! セイバー、貴様は自力でどうにかできるな!」

「ぅ……無論、だ──!!!」

「生きて帰れよセイバー……そして次こそ俺と決着をつけよう!」

 

 

二人が立ち去るのを背中で感じる。

まずこのサーヴァントにすら催涙作用をもたらす煙をどうにかしようと風を集める。

 

 

だが────

 

 

 

 

 

 

「────────嘘だろ」

 

 

 

 

 

 

呟いた瞬間、轟音と破壊音が耳をつんざく。

衝撃にあおられて肉体が吹き飛ばされそうになる。

霞む視界でどうにかホテルから飛び降りた。

 

 

見上げると、二人の人影が寄り添うように飛び降りているのが見えた。

恐らく、ランサーとそのマスターだろう。

 

 

 

 

 

ただ、とりあえず。

 

 

 

 

 

「地獄に堕ちろマスタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

 

 

 

 

砲撃までしたマスターに恨みの叫びをあげながら、重力に従い落下した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とうの昔に堕ちてるよ、可愛い騎士王さん」

 

 

念話のラインにまで響く叫びに小さく返答する。

灰色と青紫色の煙を上げるホテル最上階から落ちる影。

ランサーとそのマスターは別の方向へ飛び降りたらしく、こちらからは確認できなかった。

 

 

 

余程戦闘を邪魔されたのが腹立たしいらしい。

むしろ、こちらからしてみれば無駄に立ち向かう彼女がおかしい。

あれだけ駒と自称していたというのに、いざ戦闘となればやけに自らの手で潰すことにこだわっている。

挙句の果てにはあのバーサーカー相手に素手で立ち向かうなど、正気の沙汰ではない。

 

 

 

 

 

「それにしても、随分と強いな……サーヴァント相手にも使える催涙ガス。使いどころは選んだ方がいいだろう」

 

 

そう言って、球状の催涙弾を手に取る。

腐れ縁の情報屋から金品を対価にもらった代物。

どうもこの手の高性能使い捨て礼装の製作に長けた人物がいるらしい。

ある程度聞いてみたが、何故アーチボルトに情報が回ったのは分からないらしい。

 

 

 

 

 

────ハァ!? 何でアーチボルトにばれてるのさ!? ちょっと待って調べる! そして情報源ぶっ潰す!

 

 

 

 

 

意気込んでいた腐れ縁の鬼気迫る声色を思い返す。

これからの行動の指針にも影響するため、考えながら行動したほうがいいだろう。

 

 

「まぁ、いい。どちらにせよ、上手く暴れまわってくれればいい」

 

 

そう呟いて振り返ると、カソック姿の男が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

----

 

 

 

ケリィ「爆破がダメなら外から砲撃その他でもすればいいじゃない」

マーボー「秘匿しろよ」

 

 

なおシキトリアにとっては邪魔でしかなかった模様。

脳筋だから根本的に話が合わないのは仕方ないね、是非もないネ!

 

 

 

 

サーヴァントを狂わせる愛の霊薬がある。

ならサーヴァントにも効果的な催涙ガスがあってもいいじゃない。

とりあえず切嗣くんの人脈パネェってことで一つ。

 

 

 

 

作中のケイネス先生、シキトリアの詠唱は〇ーグル翻訳で書き上げました。

何かおかしいところあったら教えてくれるとありがたいです。

 

 

 

 

シキトリアが直接対決大好きなのは理由ありますが、それは追々……。

まぁそれとは別にバサスロットのことは殴りたかったらしい。

あとディルムッドの黄薔薇で斬られても余裕で動ける理由もあります。

ただこっちは多分作中で語られることはないと思います。

 

 

 

 

他陣営有利改変

・バーサーカー魔力供給は桜

・ケイネス月霊髄液強化

 

 

 

次回こそ、直死の魔眼が役に立つ……ハズ!

 

 

 

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