容姿は最悪、キモ教師はモテている。   作:変態太郎

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今回は容姿差別の実態について。


キモ教師と生徒会長

「キモ教師、イケメン先生を追い出す」

 

そんな文字が大きく目立つ新聞。これは廊下に貼り出されていた。朝からキモ教師はイケメン先生を追い出した事に対する厳しい視線に晒されていた。

 

生徒会長「キモ教師!」

そこにやって来たのは、生徒会長。彼女もまた、二ヶ月前まではキモ教師を学校から追放しようと奮起していた。だが、彼女は新任イケメン教師に騙されていた。それに気付いたキモ教師が、罪を被る形で救った。彼女はキモ教師がやって来たのは全て生徒の為だと気付き、自らの間違いに気づいた。

 

生徒会長「良いのか…あんな出鱈目な記事を学校中に貼られて」

キモ教師「俺は評価されたくて、してるんじゃない。気に入らない奴を追い出しただけだ、あの記事は嘘を言っちゃ居ない」

 

生徒会長は悔しくて仕方無かった。生徒を救う為にした事を悪行の様に語られる、何より悔しいのが二ヶ月前までは自分がその先導者だった事だ。

イケメンと言うだけで信じて、キモ教師を敵だと語るイケメン教師を何一つ疑わず、キモ教師を攻撃し続けた。生徒に手を出しまくって脅して金を取る悪人だと気付いた時には生徒会長は、自分が堕ちる所まで堕ちたと気付いた。幸い、誰もイケメン教師に手を出されずに未遂で終わった。しかし、彼女は未だに苦しんで居た。小さい頃から正義の味方に憧れて正義感を持ち行動して来たが、容姿で人を判断して善行を重ねる人間を攻撃して、悪人に味方をした。この事実は彼女を、彼女の正義感を壊すのに十分だった。

 

真実を知らない周りからは賞賛されたが、それが更に彼女を苦しめた。だから、彼女はキモ教師を全力で守る事で自分の苦しみを無くそうとしていた。

 

生徒会長「新聞部へ行ってくる…生徒会長の権力を使ってでも…」

キモ教師「やめろ。」

生徒会長「何でだ!?キモ教師は生徒を守る為に!それなのに叩かれるなんておかしい!私は、ここまでの仕打ちを受けても尚、庇い続ける理由が分からない…」

キモ教師「俺は教師だ。それ以上でもそれ以下でも無い。教師は生徒を守るのが義務だ。イケメン教師に関しては気に入らないから追い出した。」

生徒会長「でも、それは!」

キモ教師「それに、いくら声を上げても無駄だ。俺が生徒を守ったなんて誰も思わないさ。」

 

生徒会長は黙った。そうするしか無かった。二ヶ月前の自分が果たしてキモ教師が善行を重ねているなんて信じただろうか、否、信じる訳がなかった。容姿による第一印象は大きく、それによって行動に±が付く。イケメン教師がやる事には+が、キモ教師がやる事には-が、この様に容姿による差別と言うのは現代社会に置いて一部に関しては、何百年前より酷くなっている。

 

「キモ教師だ…」「イケメン教師じゃなくてアイツが居なくなれば良いのに」

 

生徒は口々に、キモ教師を拒絶した。その視線を見た生徒会長は凍り付いた、人の視線とはこれ程冷たくなるのかと。こんな視線を私はずっとキモ教師に注いでいた、そんな事実が生徒会長の残っていた少ない正義感に攻撃を加えた。人の視線とは時に暴力であり、一番タチが悪いのは本人に自覚が無いことだ。暴力を振るっていると言う自覚が無いために視線による暴力を行う。

 

生徒会長「っ…」

生徒会長は注意が出来なかった。何故なら、彼女もまた1人の人間でしか無い。集団に対して1人で立ち向かう勇気は無かった。その事実が追い討ちを掛ける様に彼女の心を抉った。

 

キモ教師「そう、それで良い。君が立ち向かおうと何も変わらない。君には未来がある、その未来を多くの友人を捨ててまで手に入れるのは割に合わないだろう。」

 

淡々と答えるキモ教師。彼も分かっていた、物語の様に集団に1人で立ち向かって勝つ、その確率の低さを。

 

この学校にはキモ教師の味方は居なかった。20年務めるキモ教師、それでも居なかった。容姿による先入観は大きく、ちょっとやそっとでは変わらない。容姿差別、その実態は加害者に自覚が無く知らぬ間に容姿差別をしている。学校だけで無く社会に出ても容姿差別は続いて行く、永遠に纒わり付く容姿差別は加害者に自覚無くして被害者にも自覚が無い場合がある。そこには容姿差別が当たり前だと感じている人々が居る。

 

生徒会長「ごめんなさい…ごめんなさい…私は…」

 

彼女は謝る事しか出来なかった。友人を失う事を恐れて、目の前の事から目を背ける。

 

キモ教師「良いんだ。君だけじゃない。皆そうだよ、集団で生きる人間は集団に味方するのは人間として当然の選択だよ」

 

キモ教師の言葉は鋭く、生徒会長の心を抉った。生徒会長は誰にも臆しないと、思っていた。だが、集団に臆した、それは生徒会長として彼女が負けた瞬間だった。

 

 

 

 

 

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