イナズマイレブン ~『必殺技』に憧れて~   作:@ドラゴン

16 / 43
今回、アンチ・ヘイト要素があります

……でもアレって誰でも怒るよね?どうなのかな。


第15話 コピー

いつもの河川敷で練習をしていると、ふいに何人かが足を止め出した。

 

橋の上の人だかりが気になっているらしく、自分達にファンが出来たんじゃ?と、浮かれている。

 

ファン……か、あれ?橋の上の奴等の様子を見ると、確かに此方に手を振っている者も確認出来るが…。あー、成る程ねぇ?これはちと不味いか。

 

急いで練習を取り止める様に進言しようとしたその時、突然黒塗りの高級車がサッカーコートに侵入してきた。

 

この車は確か生徒会長の乗ってる奴だったか?今の結構本気で危なかったんですけど…!?

 

降りて来るなり

「必殺技の練習を禁止します。」

と言ってくる訳だが、流石に説明が足りなさ過ぎるな。

 

当然、事情の分かっていない円堂が食って掛かるので、それを豪炎寺に押し留めて貰い、代わって話をする。

 

「その件については全面的に同意するが、他に練習出来る場所があるのか?

学校のグラウンドが恒常的に使えるなら問題は無いが、あそこの使用予定日はまだ先だ。

だが、それまで練習しないって訳にもいかねぇ。此処以外で使える場所が無ぇんだ。」

 

ウチの学校は生徒が多く、それに伴って部活も多い。

他の部活とローテーションを組んでいる以上、強引に使う訳にもいかない。

 

「それは……そうですが。かといって此処で行う訳にもいかないでしょう?」

 

「待てよ!天願、一体何の話をしてるんだ?その話し方、まるでお前も必殺技の練習を取り止めるのに賛成してるみたいじゃないか!」

 

「みたい、じゃない。円堂、ここじゃ必殺技の練習は出来ないんだ。」

 

「豪炎寺まで…急にどうしたんだよ!?」

 

しまった…先に円堂に説明した方が良かったか。

 

「よく聞け円堂。それに皆、あの橋の上にいる奴等は俺達のファンじゃねぇ。寧ろその逆、敵だ」

 

「あそこに居るのは他の中学の偵察隊で、俺達の練習を見てそのデータを取りに来てるんだ」

 

「無名のチームが帝国学園に勝ち、そのまま連勝を続けているのよ?当然起こりうる事だわ」

 

「こんな状況で必殺技の練習なんざやってみろ、初めて使った筈の技なのに、全て通用しなくなっちまう」

 

「けど!必殺技無しでどうやって」

 

「円堂、必殺技だけがサッカーじゃない、パス回しにトラップ、シュート、やる事は山程ある」

 

そ、そうですね……ホント盛り沢山だよ…。

 

後、豪炎寺?

 

円堂に語り掛けてるのに、練習内容の所で俺をチラ見して来るのやめてね、円堂も豪炎寺に釣られて俺を見て納得するなよ……自覚してんだからさ…。

 

だが、諦めきれなかったらしい円堂が誰にも見付からない練習場なんて物を生徒会長に聞いてる。

 

普通に考えて、そんな都合の良すぎる場所なんて在る筈が無いんだが……アイツが聞くって事は見付かる気がするから困る…あるなら助かるけど。

 

 

 

日に日に偵察の数は増えていく。必殺技の練習が出来なくて皆不満が溜まってるな……かく言う俺も、そろそろ色んな化身の具現や、今ある必殺技の熟練を進めたい。

 

「必殺技だけがサッカーじゃないさ、肩の力抜いて、きっちり基本練習だ!」

 

今日もまた、偵察隊が居るから基本練習だけだ。

 

「おい、何か変なのが来たぞ!」

 

土門の声に反応して河川敷沿いの道を見上げると、大型の車両が複数停車、様々な機材が展開していき、同時に二人の人間が出て来る。

んー?あれは……

 

「なぁ音無、あの車両から出て来た二人に見覚えがあるよーな」

 

「もう、忘れたんですか?次の対戦相手の御影専農のメンバーです」

 

先日教えたばかりじゃないですか!と不満げな表情を浮かべる音無に謝罪し

 

「ああ、思い出した。KP兼キャプテンの杉森と、FWの下鶴だったか。

にしても随分派手な設備だな、あれ幾ら掛かってんだ?」

 

明らかにサッカーに使うには採算の取れないと思うが。

 

 

 

 

 

気にしていても仕方がない、無視して練習を続けているとアイツら、何の断りもなくコートに立ち入って来やがった。

 

円堂が思わず抗議に行くが

 

「何故必殺技の練習を隠す」

 

駄目だありゃ、日本語が通じてねぇ…

 

「今更隠しても無駄だ、既に我々は君たち全員の能力を解析している」

 

あ、良くあるデータキャラかな?

 

「だが1つ、不確定要素がある。天願 想叶、お前だ」

 

「俺1人の為に態々足を運んだのか?随分と暇な事で。

それは、練習中に無断で入り込み邪魔をする程の用件か?」

 

「お前の持つ全ての必殺技、そしてあの化身という謎の力のデータを取りに来た」

 

「手の内を明かせと…馬鹿かお前は?それで俺に何のメリットがある?

まさか、交渉すら知らん訳じゃねぇだろ」

 

「交渉?お前の方こそ何を言っている、これは害虫駆除作業の一環に過ぎない。」

 

害虫か……中々酷い事を言う。

 

これといって悪意を感じる訳でもねぇ、挑発してる様でもないし、本気でそう考えてるのか……

 

「初対面の人に対して、害虫だと?随分常識がなってねぇんだな。

データしか頭に入ってないせいで、一般常識が抜け落ちてるらしい。

お前らの言う害虫ですら出来る事が出来てない訳なんだが、自分で害虫以下の存在って示してる辺り、どう考えてるんだ?」

 

「我々がお前達に劣るだと?理解出来ない」

 

試しにキツめの挑発を掛けてみたが…感情に一切の揺らぎが感じられねぇ、どういう事だ?

 

それにさっきから考えてるが、コイツらの特徴が良く判らん。

 

かなりメタいが尾刈斗がオカルト、野生(のせ)野生(やせい)と名前から判り易かったが、御影専農はどう繋がる?

 

「…まあいい、それよりもお互いに有益な話をしようぜ。

一つ勝負をしねぇか?それでアンタらが勝ったら、害虫ってのを撤回、謝罪してもらう」

 

「断る、我々はその必要を認めない」

 

「せっかちが過ぎるな、話は最後まで聞くもんだ。

お前らの目的は未だ見ぬ俺の必殺技にあるんだろ?

この勝負を受けるんなら、それを見せてやっても良いって言ってんだよ。

但し、これを受けねぇんなら、俺は意地でも必殺技も化身も見せねぇぞ」

 

「成る程、それは確かに此方に利がある。

その勝負、受けよう」

 

「ルールは、<ボールをゴールに入れる>その一つだけ、延長は無し、良いか?

先攻はそっちな。負けるなよ、円堂」

 

「ああ、任せろ!」

 

「了承した、では始め。」

 

さて、どんなシュートを出して…っ!あれは…

 

下鶴の繰り出したシュートは、豪炎寺のファイアトルネードそのものだった。完成度たっけぇな、オイ。

 

「いや、驚いた。まさかあのシュートをコピーしてくるとはな、言うだけの事はある」

 

そう言って拍手をする俺に、皆が信じられないものを見る目を向けてくる。

 

「天願……?お前、何を」

 

「落ち着けよ円堂、それと動揺し過ぎだ。

あんなヘボいシュートを止められないなんてらしくねぇぞ?」

 

「ヘボいシュートってあれは豪炎寺の必殺技なんだぞ…!」

 

直接受けたのだ、少し切欠さえあれば気付くだろう。

 

「あれが?あんなものがか?

確かにファイアトルネードだったな、見た目は。

1つ聞くが、本来の豪炎寺が使うファイアトルネードを熱血パンチで受けたらあんなもんで済むのか?」

 

「!?

そうだ、豪炎寺のだったら、あんなギリギリの敗けなんかにはならない…!」

 

技を受けた右手を見て、ハッとした表情になる。

 

「必殺技はな、使える様になるだけじゃ意味ねぇんだよ。

何度も繰り返して、無駄を削ぎ落として、そうやって強くしていくもんだ。

下鶴だったか、お前のそれはただの張りぼて、豪炎寺の技にはまるで及ばない」

 

偉そうに宣ってこそいるが、俺がそれに気付けたのは最近、他人に言える立場には無い。

 

発言がブーメラン過ぎて心が折れそう。

 

だが、あの光景を見た仲間達の弱気になった心象をそのままにさせておきたく無かった、そして何より

 

「豪炎寺、お前は誰かが真似して直ぐ上回れる程度にしか技を磨いてないのか?」

 

それに誰よりも早く気付ける筈の豪炎寺自身が、未だ動揺しているのに納得がいかない。

 

「そんな訳がないだろう、技の練度で負けているつもりはない…!」

 

胸を張ってそう言い切る姿にはもう、一切の揺らぎは無かった。

 

円堂と豪炎寺、雷門の精神的支柱である二人をぐらつかせたままにはしておけない、自身の心を抉りながらでも指摘すべきだった。

 

……これ絶対、後で何か言われるよなぁ。おま言うってレベルじゃねーもん。

 

 

 

 

 

次は俺の番だが馬鹿正直に戦ってやる程優しくはない。

 

というか、悪気があろうが無かろうが害虫発言には相当頭にきてるんだ、何がなんでも勝つ。

 

しかし他校の偵察組も来ている上、俺の番と分かった途端、向けられるカメラや視線が一気に増えた。

 

大技や化身を出せばそりゃあ勝てるが、此処でそんなの出して解析されるのも面倒だ。

 

後で皆に色々を言われるのは分かりきってるが、この為に"ルール"を指定し了承させたのだ、もうやってしまおう。

 

「じゃあ行くぞ」

 

あぁ、皆の勝ってくれ!とかの応援が心苦しい……。

 

「[自壊せよ ロンダニーニの黒犬 一読し・焼き払い・自ら喉を掻き切るがいい]

 

『縛道の九 撃』!」

 

「!?これは……!」 「「「……え?」」」

 

杉森の身体を赤い光が縛り動けなくなった、その隙にシュートを放つ。

 

KPが動けない以上、遮るものは何も無いため当然ゴール。

 

「……何の真似だ。」

 

今までのロボットの様な態度はどこやった?と言いたくなる様な表情で睨んでくる。

 

「何の真似?ルールに基づいて勝負をしただけだが。

言ったろ、<ボールをゴールに入れる>その一つだけって」

 

背中に突き刺さる視線は無視、後で嫌でも向き合う事になる。

 

「それに望み通り、必殺技を使ってやったんだ。感謝して欲しい位だよ」

 

それを聞いて、暫し無言だった杉森だが、

 

「いや、もう貴様のデータは必要ない、今の勝負で程度も知れた。

元より対策自体は出来ているのだ、これ以上は時間の無駄でしかない」

 

そう言って帰って行った。

 

……にしても最後の最後で、僅かだが感情の揺らぎが見えたが。

 

御影専農、みかげせんのう…洗脳?まさかな…。

 

 

 

 

 

現実からの逃避も此処が限界か、うーん、振り向きたくねぇなぁ………

 

ようやく振り向いた俺を待っていたのは、バリエーション豊かな罵詈雑言の嵐だった。

 

散々な扱い(自業自得)を受けた俺の両肩に手が置かれる。

 

そこには、恐ろしく綺麗な笑みを浮かべる円堂と豪炎寺が…

 

「あれだけ言うんだ、当然お前はしっかり技を磨いているんだよな?」

 

「必殺技と化身だけじゃ勝てない、なら何をするのか教えてくれないか?天願」

 

ヒェッ…

 

思わず周囲を見渡すが、誰も助け船を出してくれそうに…

 

あ、マネージャー3人組が満面の笑みで……「ギ ル テ ィ(有罪)

 

 

 

おいおいおい、死ぬわ俺。

 

 

 

この日から、俺のサッカー練習・勉強はより過酷さを増して行った。

 

サッカー>人生になるのも時間の問題かもしれない……。




主人公は芯こそ善性ですが、その思考回路はそんなに………

影山、不動の行為を見て、そうまでするか!?という感想を抱いても

それは、なんて卑劣な!とかでは無く、これ所詮サッカーだろ…?ていう呆れによるものです。

せいぜいこういう手段もあるのか、と感心する位です。






円堂をサッカー馬鹿とするなら、主人公は必殺技馬鹿です。


最近は鎮まっていましたが、化身の具現により再燃、一応、基本練習に重きを置いていますが、必殺技・化身の練習に傾倒しやすくなっています。

円堂、豪炎寺が基本練習の所で見てきたのはこれが原因です。




前世の件で観察眼が優れているのもありますが、一部必殺技の修得の為に、より人の感情(特に悪意)に機敏になっています。


具体的には目星、心理学、アイデア80台後半ですね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。