騎士と魔術師   作:朱莉

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十三話

 

 

それからのことを言えば軽く職務質問のような事を行った。

板状のデバイスを渡されて質問の答えを私が知っている文字で示す、そんな作業をしばらくこなした。

 

バインドはフェイトちゃんが気を失ったときに消えていた。

 

流石のはやてでもミイラになった兄を報告通りに信用するつもりなどなかったのか、はたまた信用していたからこそあのような形相だったのか私にはわからないが、はやてからの質問はさながら拷問のようなものだった。

欲を言えばもうしたくない、というのが私の見解である。

 

最終的に青目の手料理食べたい! で終わったあたり、はやてだなぁと思う私も何処かおかしいのだろう。(それなら尋問も要らないんじゃ……とかは口が裂けても言えない)

 

 

そこからはその板状のデバイスを持って社内見学のようなものをした。

案内をするはやては終始笑顔だった。

私が不慣れな操作でデバイスを操る描写を隣でまじまじと見つめ、わざわざ文字を書き終えるのを終えてからその質問に答えた。

 

昔は逆だったな……なんて思うのは流石に年寄りが過ぎるか。

顔にそれが出ることはなかったが、私はそれを内心で綻んでいた。

 

でも流石にこのままではいけない。

はやてが今ここにいる、それだけで私はいいと言えるが聞かねばならない。

あのあとどうなったのかを……。

 

 

流石に歩き疲れたのか、休憩しようと言われ椅子まで連れられた。

 

 

私を椅子に座らせ、はやては伸びをしていた。

 

私は流石に書き慣れたデバイスであのあとのことを書き込む。

『みんなは無事なのか?』

と、その文を見たはやては一度悲しそうな顔をするが無事だと言った

 

 

「全てがうまくいった……とは言えへんけど、大まかには無事、かな」

 

 

その顔でなんとなく理解した。

『そうか』

短いながらも文字を返す。それではやては笑顔に戻った。

 

 

「流石に全部を説明するんは骨が折れるから簡潔に話すで?」

 

 

はやては思い出すようにその時のことを話してくれた。

 

闇の書は暴走プログラムによって暴走していたこと、

フェイトちゃんが闇の書に取り込まれたこと、

なのはちゃんと時空管理局の人が必死で戦ってくれたこと

闇の書に名前を与えたこと、

なんやかんやあって暴走プログラムを無に還したこと、

 

そして名を与えられたリインフォースはすぐに生涯を閉じた……らしい。

 

 

え? なんで最後はらしいかだって? 

 

いや、だってその生涯を閉じたリインフォースさんが、私の目前で熱弁し始めたんですよ。

話の途中でいきなりふわふわ飛んで来たかと思えば「アインスの話ですねっ!」と食いついたと思えば詳細を話してくれたのだ。

 

なるほど大まかにってこういうことか……。

で、今私の目前にいるのはツヴァイらしい。

 

 

「あれでよかったんか未だにわからんけどね……」

 

 

ちなみに私のリンカーコアを蒐集したおかげ(?)で暴走プログラムの魔法耐性が下がっていたらしい。

 

私のリンカーコアは害悪ですか。そうですか。

このことで私は涙を流したがそれは割愛しよう。

 

 

 

 

フェイトちゃんがにいちゃんを連れてきたときは正直驚いたんよ。

驚きすぎて今まで胸の中で渦巻いていた感情が全てなくなって、笑いが出たくらいだった。

 

というかフェイトちゃんもフェイトちゃんで変わってないんだなぁとか、そんなことを考えるくらいには余裕があった。

いきなり襲いかかられるとかどんな格好してたんだろうってね。

 

今にも壊れそうな鎧を身にまとい、フェイトちゃんのバインドで拘束された兄。

それを見て、フェイトちゃんの対応も頷けた。

 

あれは普通に、いやどう考えても可笑しい。

本人は武器を消そうとしただけらしいがいきなり武器に手を掛けるとか、相当テンパとったんやなぁ……。

早足になりそうなのを必死に抑えて兄がいる場所までやってくる。

中からフェイトちゃんの声が聞こえる、けど兄の声は聞こえない。

 

 

「っと来ましたよ」

「…あらま、こりゃ執行官なら誰でも不審者と思うわ!」

 

 

全身鎧で武器を携えた姿は子供でもそう思うだろう。

もしかしたら撮影だと錯覚するくらいだ。

 

そういや喋れない――とか言っとったな?

だから声が聞こえなかったんやな。 

とりあえず脱がそっか

 

 

「えっと……バインド解いてもらえん?鎧とか脱がせにくいし」

 

 

流石に全部はダメやから一部だけ外してもらった。

フルフェイスで顔は全く見えないけど、バインドが外れてから彼は首を傾げていた。

何度か見た兄の仕草から似たようなものを見た覚えがある。

 

あれは確か……。

 

 

「……なんかよからぬこと考えとらん?」

 

 

私がそう言うと似たような態度で返された。

……気になるけどぐっとここは堪えよう。とりあえずその兜脱がさしてもらうで~? 

 

 

「まぁいいか、それで兜脱がすけどかまへん?いやダメ言われても最後には脱がせるんやけどね」

 

 

若干自分の顔が不気味に歪んでいる気がするけど、それは置いとく。

頷くのを待ってから兜に恐る恐るではあるが力を込めて……。

 

 

「さて、ご開帳~♪……喋れん理由わかったわ……」

 

 

兜を取れば顔がある場所にあったのは干からびたミイラ。

悲鳴をあげそうになったけどそれを慌てて飲み込んで言葉を告げる。

表情はわからんけど私から兜を取り上げると兄はそれを被り直す。

 

でもそうなると兄という確証が持てなくなった。

私自身はほんもんやと思ってるけどそれじゃダメだろう。

でも喋れない相手に尋問とかどうすりゃいいんよ……? 

とりあえず隣にいるフェイトちゃんに相談してみよう。

 

 

「あー、うん……どないしよ……文字でも書かせる?」

「……」

 

 

あ、これ今ので意識飛んでるわ。

近くに数人待機させてるはずやからそれで回収してもらう。

文字書かせるのが一番かなぁ……やっぱ。

 

兄(一応仮)に簡単な書籍機能のあるデバイスを渡し、私たちにしかわからないような質問をする。

最初から飛ばしてもよかったんやけど簡単なものから。

 

 

「名前は?」

 

 

説明はしたけど恐る恐るといった仕草でデバイスに文字を記していく。

達筆……とまではいかないが兄の直筆で書かれていく。

久しぶりに見る兄の文字にそれだけで嬉しさがこみ上げてくる。

 

 

『八神 那由多』

「ふむふむ、なら次は生年月日やね」

 

 

書いてて些細なミスもあるが鎧の可動域の都合上、筆を持てるほど余裕がないからだろうか。

文字を書こうとする度に指が何度か震えていた。

多分手も干からびているというのも理由としてはあるだろうし。

 

兄の書く文字を漏らさずに読み質問を重ねる。

 

何度かわからない、覚えてない、があったが詳しく聞けば年齢を重ねているのかわからないかららしい。

ミイラだから実感がなくてって意味だって書いとった。

まぁ、わからなくもないからとりあえずスルー。前例がなさすぎて扱いがわからんしね。

 

 

「赤目とか出せる?」

『出せるが、いいのか?』

「だって暴れる気ないやろ?」

『……武器は出さないようにする』

 

 

そう言って出したのは青目だった。

赤目だと素手でも強いそうだ。

間が空いたのは察したからだろう、言っても無駄だって。

 

あ、青目の料理食べたいかも……。

そう思って兄の顔をみれば、落胆したかのような仕草をして文字を書き始める。

 

 

『簡単な調理器具と材料を出してくれ。そうすればやってくれる』

「さっすがにいちゃん、言わなくても伝わるもんやねっ!」

 

 

久しぶりに食べる青目の料理はやっぱり美味しかった。

 

 

簡単な食事が終わり「合格」とだけ伝えると兄は脱力していた。

多分さっきまでの尋問はいらなかったんじゃと言いたいんやろうけどあれも仕事だからしょうがない。

 

そのあとは兄に私の職場を見せたくてここを紹介しまわった。

10年という月日で変わったこととかそういうのも含めて見せたかったのだ。

 

昔は教わっていた、今は教えてる。

些細なことだけど私はそれだけで笑顔になれた。

途中でみんなに会えたらもったいぶって紹介するつもりやったけど、運悪く(運良く?)合わなかった。

その間視線が痛かったけど、おつりが来るくらい嬉しかったので特に問題はなかった。

 

ある程度紹介し終えて休憩するために休める場所に行く。

兄の声が聞けないのはやっぱり寂しかったけどここでならきっと元に戻れるんじゃないか、もし見つからなくたってシャマル達に相談して見つけるつもりだ。

 

固まった体をほぐすために伸びをしていると兄がデバイスを操作しとった。

書き終えるのを待って軽く首を傾げる。

書かれていたのは短く『みんなは無事なのか?』だった。

 

そのために歩きまわっとったんやけどなぁ……と思ったが、多分兄が言いたいのは10年前のことだろう。

苦笑をしつつも言葉を返す

 

 

「全てがうまくいった……とは言えへんけど、大まかには無事、かな」

 

 

私の言葉に兄は『そうか』とだけ返す。

私も全部が全部わかるわけじゃないのでわかる範囲で説明する。

 

 

「流石に全部を説明するんは骨が折れるから簡潔に話すで?」

 

 

話をし始めて数分経った頃リインがやってきたのでそちらに任せた。

というが話す内容を持ってかれたのが正しいだろう、それこそ目を輝かせて言う彼女に若干圧されたというか……そういうことだ。

 

 

「あれでよかったんか未だにわからんけどね……」

 

 

そう言えばリインが不機嫌そうに声をあげる。

それでも後悔する私はきっと欲張りなんやろなぁ……。

 

 

 





とりあえず投稿。

個人的に大好きなモブ?は包丁女と鎧蜘蛛です。


誤字とかありましたら感想にてお伝えください。

独白で訛りをあまり入れないようにしてます。一回入れてくどかったのでそうなりました、ご了承下さい。

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