騎士と魔術師   作:朱莉

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何が始まるんです?

大惨事世界大戦だ。




十四話

 

 

「という訳で、ご教授願います」

「斯く斯く然々って説明を本気でされたの私初めてだよ」

『苦労をかけるね』

「あぁ、いや、そんな畏まらないでください。八神部隊長から受けた内容としてはあたしとスバル両名であなたと戦闘、那由多さんは好きなようにしてくださって構わないそうです」

「二対一ってのが個人的に嫌だなぁ」

「部隊長からの命令だからしょうがないわよ……上官からやれるなら徹底的にとか命令されなきゃ私だって嫌よ」

『二人ははやてから私の事を聞いてないのかな?』

「特に聞いてません。ですが無理そうなら鬼ごっこでもいいと言われました」

「しかもあたしたちが逃げる側で。それを聞いたなのはさんとフェイトさんは妙に納得してて何が何やら……」

 

 それならば簡潔に答えが見せられそうだ。一応私が彼らを呼べるかどうかの考査もしたかった。青目のように融通が利くと思ってはいないにしろ鬼ごっこならば彼らの武器は使わない。『喜んで』とデバイスに文字を打つ。ついでに一人と思って侮らないようにとも。

 ここにいる二人にトラウマが残らないようにして欲しいが……もし私でも制御できない場合は青目たちにお願いしよう。彼らならケアもきっと出来る。

 ……いや、それならもう一陣営追加してみようか。その方がトラウマなく、そして面白くなりそうだ。二人と訓練する場所は設定すれば色々な条件でできるようなので森のような場所を選ばせてもらう。木が多ければ回避や隠れる事ができるし私の意図も伝わりやすいから。

 

 

 

 

 何のためか、そんなことも知らされないままにあたしとスバルは那由多さんと挑むことになった。それも私たちが逃げる役で鬼は那由多さん一人。捕まえ方は特殊で魔力弾一つでも掠ればあたしたちの勝ち、あたしたちは那由多さんに動けないように捕らえられたら負け。つまり動けるなら逃げてもいいとのこと。

 あと本当に無理そうだったら降伏してくれればいい。と言われたけれどどういうことだろうか。

 聞いてみればデバイスは言語表現に使ったあれ一つだけ……。特殊なバインドでも使うのだろうか……それともなのはさんのようにスキル持ちだから? なんにせよ警戒はするべきだった。一応空戦はできないから危なくなったらそこに逃げるようにと言われたがそこまでするほどなのだろうか?

 鬼ごっこが始まる前に彼からも『この場に見覚えのないものがあったら全て私だと思ってくれていい。その場合は逃げるなり倒すなり、仲間にするなりしてみてくれ』と言われた。首を傾げてしまったが『始まったらわかるよ』と続きで打たれて気にはなったが続行した。

 

 

 開始の合図と共にあたしたちは鬼から離れる。開始早々鬼を倒そうと思い振り返ってみれば那由多さんは篝火を焚いていた。それも剣のようなものを地面に刺して。そうして彼は身構えた。

 何を? そう思ったときには既に彼の両手に武器が握られていた。中世の騎士と思われるかのような剣と盾。デバイスと思ったがそれは違う、なのはさんのようなレアスキルとも違う、また違ったものだとわからないながらに思う。

 あたしが見ている事に気付いた彼は盾を持つ片手にデバイスを持ち文字を打ち込む。そこには『いつでもどうぞ』と書かれていた。掠ったらあたしたちの勝ちなはずなのに彼が余裕なのは何故だろうか?

 

 

 そんなことを考えてる暇があれば深く考えずに撃てば良かったとこの時のあたしを叱ってやりたい。

 

「ティアッ!」

「ぇ? あッ!」

 

 スバルが咄嗟にあたしの腕を引いて離れる。それとほぼ同時に骨のような物体がさっきまで私の居た場所に落ちてきた。いや、訂正しよう。骨のようなではなく骨、それも金色に輝き目の部分だけが赤く光る化物がそこにいた。片手に持つ大刀が化物さを際立てていた。

 完全にあたしを組み伏せるように出てきたもので姿勢が崩れているが初見でそんなものを見てすぐに「攻撃する」ことより「逃げる」を選択したスバルは悪くない。そもそも気付かなかったあたしが口を出すのもおこがましいと思う。

 あの時隊長組が浮かべていた変な表情はこういうことだったらしい。優しそうな雰囲気の人は実は鬼だった。というのは割と身近に知っていたが本物の化物と友達の時点でなにがなんやらである。

 逃げる途中、牽制として何度か弾を撃つがどこから出したかわからない大刀で防ぎながら走ってくる様は恐怖心を植え付ける行為にも等しいと実感した。

 

「なに、なに、なに?! アレどういう事?!」

 

 スバルが逃げる途中にそういうがあたしが知る訳ない。というかこっちが聞きたい。『一人と思わないように』と教えてくれてなければ一発目で捕まっていたと思う。スバルに引っ張られても動けなかっただろう。

 

「ちょっ、ティア、あれ!」

「は? いや、またぁ?!」

 

 逃げるあたしたちを出迎えたのは博物館にあるような騎士甲冑だった。那由多さんの着ているような古びたようなものではなく、綺麗に光る鎧。その手の剣と盾は金色で魔力的な物でできていた。後ろから来る恐怖と前からの衝撃、あたしたちが二方向に別れるのは同時だった。

 

 そして起こった事が更に頭を悩ませる。

 二つの出来事は衝突した。振り返ってみればその二つは戦っていた。お互いの武器でお互いを切り合い戦っていた。

 

 前から来た騎士はあたしたちをまるで守るように庇い、後ろから来ていた骨の兵士はあたしたちを視線だけで追っていた。騎士は絶えず攻撃を加え、骨の兵士はそれすらも押し込んであたしたちに近寄る。彼一人ではあいつの相手は務まらないらしい。次第に押され始める。

 

「これ、鬼ごっこだったはずだよね……?」

 

 スバルに聞かれるがあたしにだってわからない。現状を見てみればあたしたちは彼に助けられた。けれどこれは鬼ごっこ、そんな事が起こることすら規格外だった。まるで劇を演っているかのような感覚だった。

 

「だからってッ!」

 

 ここで何もしないのは面白くない。那由多さんに遊ばれているのは確かだった。部隊長は確実に遊んでいる、隊長二人から感じた妙な感じはきっとこれを表していたのだろう。いいですよ、わかりました、それに乗ってあげます。

 的確に狙いを定めて骨の兵士の武器を弾く。それを見計らって騎士は兵士の頭を一閃した。兵士はバラバラになりそれを見届けた騎士は武器をしまうと頭を垂れた。が、すぐさま武器を解き放つ。しかしあたしたちとは別方向に向かって走り出していった。

 訳が分からず(何度も思うけど)追いかけてみればその騎士は那由多さんと戦っていた。しかし彼は容易にそれを弾いていた。弾くだけ弾いて挑発していたともいえる。訳が分からない。

 だが何もしないで立っているだけでは終わらない。けれど始まりはした。那由多さんのすぐそばから唐突に騎士が現れた。さっきの骸骨のように目が赤い、だが見た目は鎧騎士。え、無尽蔵なんですかその兵士? そう思ったのがいけなかったか、はたまた元々その予定だったのかわからないがその後ろに似たような姿の、それでいて目の色は青の騎士や、顔は見えないが軽鎧の兵士も出てくる。多すぎるッ!?

 

「一旦逃げよう! あれに捕まったら逃げられない」

「逃げるとか逃げられないじゃなくてこれ勝てないと思うんだけどォー?!」

 

 ここで戦っていたっていい結果は生まれない。というか絶対に積む。統率というか各々が自由に突っ込んでくる様は恐怖以外の何者でもない。なのはさんの砲撃が欲しくなるほど隙間なく向かってきていた。

 

「一旦上に逃げるよっ」

「あ、そっか!」

 

 逃げる気はなかったがあの数を凌げる気もせず空に逃げる。案の定兵士たちは見上げるようにしてあたしたちを見送った。

 そのままあたしたちは全体を眺めると少し離れた場所に他とは一風変わった場所があった。現状では何も進展しないのでとりあえずはそこへ向かう。

 

 向かってみればそこは不思議な景色だった。木を覆うように水晶が纏われてそれがそこかしこにあるという幻想的な世界。

 そしてそこにいるのは那由多さんが出したであろう水晶の人型生物、そして貝殻から足が生えたよくわからない物体。

 

 一応空から近付いたが敵対している様子はなく付近に降りても特に害意はなかった。スバルが興味本位で触ってみたけれど水晶の方は首を傾げるような仕草をしていて貝の方は脊髄反射のように口を閉じるだけだった。

 

『Bmooooou!』

『GAaaaaaaaa!』

 

 唐突に叫び声が響く。金属の掠れる音が不気味に鳴り響く。視線を向ければ赤目の槍騎士がこちらに迫ってきていた。青い奴なんか目じゃないくらいに強さがにじみ出ていた。槍を腰だめに構えてこちらに突っ込んでくる様は猪の様だが避けても当たる。あれはそう思わせるほどだった。威嚇射撃のように弾を撃つがそれは盾に防がれる。足に撃つが怯みもしない。致命傷になる部分だけ盾で防ぎこちらを穿とうとしていた。

 

 空に逃げろ? 無理よ。あたし達だって騎士だけならそうした。もう一体の声がそれをさせなかった。

 

 もう一体はその騎士の上、空に居た。騎士や水晶生物の時点でファンタジーが過ぎると思っていたがあれはまずい。何よりサイズが可笑しい。今まで出てきた全てよりも大きな体、魚や蛇よりも大きな鱗、なんでも噛み砕けそうな鋭い歯、その口から漏れる炎、初めて見るモノだらけだがあれの正体は嫌でもわかる。あれは巨大な竜だった。仲間を巻き込まないように炎を吐こうとはしていなかったがあたし達が飛べばその限りではないだろう。

 

 あ、これ無理だ。

 

 そう思ったときに視界の端からなにかが現れた。いや、現れたわけではない。最初からいたのに気付かなかっただけだった。それは体全体が水晶で覆われた三股の尾を持つ竜だった。

 

 視線をずらせば白い竜が口を開き何かを放とうとしていた。なのはさんの砲撃のように溜めているようだった。

 

「ティア!」

「スバルっ!」

 

 やばいと思うよりも先に体が動く。スバルもそうだったようで二人して固まってシールドを展開するが三体の水晶生物が私たちを囲む。その事に驚いた瞬間に竜から光が放たれた。

 地面を這って水晶が走りそのまま空をなぎ払うように光が連なる。最初からそこに有ったかのように大きな水晶の柱が出来ていた。中身は騎士と竜の大きな柱が。

 それをした竜はあたし達を一瞥するとそのまま去っていった。

 

 今日は何度驚いたかわからない。というよりも隊長達があたし達二人だけにやらせたのは間違いだと思う。あたし達だけじゃ無理だこれ。というか部隊長達が居ても無理な気がする。

 

 一応聞いた話では魔力耐性がなく小さな弾が掠っただけでも危ないということだった。だからこそ油断もしていたし鬼ごっこの条件を聞いてなめられているのだとも思った。けど実際は違った。

 

「スバル」

「……どうしたのティア?」

「辞めよう。命がいくつあっても足りない」

「あ、あはは。だよねぇ……」

 

 このままやるのは貧乏くじってレベルじゃないです。

 

 

 

 

 

 オストラヴァとの戦闘に夢中になっていたが戻ってきた二人は満身創痍の状態だった。王の飛竜を出したあたりで我に返ってヤリ過ぎだと思ったがシースのブレス光が見えたので大事には至らなかったようだ。

 途中までは楽しませようと思っていたのになんとも情けないことをしてしまった。久しぶりに本気で動いたせいもある。後でシース達には感謝しておこう。

 

 赤目と飛竜は水晶ブレスによって固まっていて救出するのに苦労した。青目や赤目骸骨に削るのを手伝ってもらった。

 シースは助けてくれそうになく結晶ゴーレムも遊びが過ぎた私を放置した。それは普通のことだと思う。

 

 結晶を掘り終えて二人のもとに戻れば篝火の前で放心していた。これは本格的にやり過ぎた。

 

 結局彼女たちが元に戻ったのはそれから暫く経ってからのことだった。





やっとこさ投降。どうせなら沢山出したいなって思って書いたら歯止めがきかなかった。文字にも表しにくかった。何度か心折れた。

お待たせしました。年変わるなんておもってなかったよ/(^o^)\


ゲームで同じことが起こったら二秒と持たずに死ぬ自身あります。本当にありがとうございました。


書き方多分変わりました。読みにくくなってたら申し訳ない。


2015/4/1 訂正 そのの事に驚いた → その事に驚いた
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