随分とまあファンタジーな世界じゃないか(仮)   作:倒錯した愛
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二連ダァ!!(予告済み)


第10話

奴隷の話をしよう。

 

 

知っての通り、私は淫魔だ。

 

種族の特性から争い事は苦手で、姦計や搦め手は得意分野。

 

主に精神攻撃を主体に『MPをドレイン』(セックス)したり、夢を見せたりして行動を制限して首を刈るか苗床にするのが淫魔の戦闘における条項手段。

 

大昔から変わらないこの戦法(?)は、人間からすれば分かりやすい弱点が見えているのに、対策ができないといういやらしい強みを持つ。

 

俗に言う人間の三大欲求なんてもののひとつである性欲をくすぐり起爆させる外道だから当然と言えばまあ、当然である。

 

猿やゴブリンですらオナニーするというのだから、人間が性欲に抗えないのは当たり前なのだ。

 

なぜ、薬草と解毒草を探しにぶらぶら散歩に出かけた私がそんなことを言っているのかというと。

 

端的に言って、やっちまったからである。

 

歩いているうちに林を抜けて、商人が使ってそうな街道に出たまでは良かった。

 

道なりに歩いていたら、何やら叫び声が聞こえるではないか、しかも複数の女性の。

 

興味10割で見に行くと、そこには大勢のエルフが縄で縛られており、今まさに荷馬車に押し込められる3秒前といった様子だった。

 

いや、すでに数人が押し込められていたか。

 

狭い荷馬車の中に無理やり数十人のエルフを押し込もうとかなり苦戦し躍起になっている様子が面白く、しばらく見てみようと決めた。

 

その矢先、何人かのエルフが私に気がついたようで、私のほうに向かって這いずりながら猿轡のされた口で「んーっ!」と声にならぬ声を叫びながらずりずりと這いながらも近づいてきた。

 

なぜバレたのか?エルフに見つかった敗因、それはこの白銀に輝くめちゃくそ目立つ鎧。

 

黒にしとけばよかったと、内心思っていると。

 

「誰だてめえ!!」

 

「覗いてやがったな!?ぶっ殺してやる!」

 

当然、這いずりエルフを捕まえようとした男に見つかり、殺されそうになる。

 

それぞれ斧に剣に長めのダガーナイフにボウガン、できれば近寄りたくない武器を持っている男3人に囲まれてしまった。

 

殺すにしても、剣は汚したくなかったし、貰った投げナイフも消耗品とは言え私にとっては貴重な護身用武器、おいそれと無駄遣いはできない。

 

何より今は薬草と解毒草の採取の依頼を受けている、ここで人を殺しては処理に手間取り依頼が達成できない。

 

仕方なく、無効化のために淫魔特有のフェロモンを噴出した。

 

結果。

 

「うーん…………どうしましょうね、この状況」

 

「「「…………」」」

 

襲いかかってきた男たちはフェロモンを真近で当てられ、ヨダレを垂れ流し、ボッキしながら失神。

 

「おっ♡……んぉっ♡」

 

「ハァ……ハァ……///」

 

「体が……熱ィ……///」

 

「ぐっ……//////」

 

遠くにいたエルフたちもフェロモンに当てられたようで、一人一人猿轡と拘束を解くたびにそんな甘い声を出している状況だ。

 

エルフのほとんどが女性であることもあり、男たちの野望であるハーレムはここに存在しているわけだが、正直ちょっと目が怖いのでいつでも斬り伏せられるように柄頭には手を置いている。

 

拘束に使われていた縄で男たちを馬車の車輪に縛り付け、馬車の屋根部分を少し解体して焚き火の燃料にする。

 

極上の燃料である炭を一本放り込んで持ち歩いている鍋を置いて川の水を入れて熱する。

 

フェロモンに当てられ強制的に発情させられていたエルフたちが正気を取り戻し頭を抱えたのは、それから3分が経った頃だった。

 

精神の頑強さにおいて人間種を上回るエルフを3分近く行動不能にできる…………自分のフェロモンについて少し参考になったな。

 

沸騰して出来た湯を冷やして白湯にし、エルフたち全員に回し飲みさせる。

 

落ち着いてきたのか、最前列で剣を持っている私からエルフたちを守るように座っていたリーダー格のエルフが話し始めた。

 

曰く、彼女たちは遠くの森に住んでいた森の民エルフで、村を襲われ拉致された。

 

馬車の中にあった隠し檻………奴隷商人が荷物をごまかすための工夫らしい………の中で揺られること数日、奴隷商人が隙を見せた瞬間を狙って檻の鍵を壊して荷馬車から一斉に飛び出したのだそうだ。

 

一歩間違えば見せしめに数人殺されていてもおかしくなかったが、1人でも逃がすためにそうしたのだそうだ。

 

偶然とはいえ助けてくれて感謝をしている、何かお礼をしたい、とのこと。

 

「と、言われましてもね……」

 

欲しいものはあいにくだが何も無い、あっても自分で手に入れる、だから求めるにしても特別何かあるわけでは無いし…………。

 

あっ。

 

「そう言えば、あなたたちの中に男性はいませんか?」

 

「お、男のエルフですか?」

 

ひどく驚いた表情で数秒固まるリーダーエルフ……そんなにおかしいことを言っただろうか?

 

「あ、あの、ぼくが男で……」

 

「お、お待ちください!彼はまだ成熟しておらず、12にもなっていないのです!私では……私ではなりませんか!?」

 

「彼女でダメなら、私が!」

 

おずおずと手を挙げた小さな男の子のエルフ、しかし手を挙げた瞬間に女性エルフが波のようになった彼の前に立ちはだかり、突然売り込みをかけてきた。

 

「いやその…………私は彼がいい……」

 

「申し訳ございません!いくら命の恩人といえど、それだけは!それだけは!!」

 

「お気に召さないようでしたら……わ、私たち全員で!全員で!!!」

 

「なのでどうか!!どうか!!!!」

 

ひ、必死すぎる…………。

 

何がいけないのだろうか?こんな童顔には任せられない的な、親心のようなものだろうか?

 

うーむ……しかし、しかしだ。

 

私はどうしても…………彼が欲しい!!!

 

「どうしてもダメでしょうか?」

 

「お願いです……お願いですから……」

 

むむっ……涙目の土下座でそんなこと言われてしまったら強気に出れなくなってしまう…………。

 

いやしかし!

 

「わかりました、では、私の秘密を一つ明かしますので、それで考えてもらっても良いでしょうか?」

 

「か、考えるだけでしたら…………確実に良い返事ができるとは限りませんよ?」

 

「構いませんよ」

 

言うが早いか、私は変身を解いた。

 

髪は白から艶やかな紫色へ、全身を覆う鎧は格納されて下着に近いズボンとシャツの薄着姿に、頭からはツノが生え、腰のあたりからハート形の尻尾が現れる。

 

ヘソ下に淫紋が浮かび上がり、吸って吐く吐息にはフェロモンが混じり、淫気として大気と混ざり合い、そこにいるだけで動植物を発情させる危険指定生物。

 

即ち、淫魔。

 

「私の秘密、実はインキュバスでした」

 

「そ、そんな……」

 

予想とは違い一転して絶望に染まるエルフたち。

 

あれ?同族だから安心して欲しかったのだが………あぁ、そういえばエルフは厳密には魔族ではなく人間種に近い生態だった気が…………まあいいか。

 

「さて、続いて彼を欲しがる理由ですが……」

 

ポーチから小瓶を取り出して見せる。

 

「彼の体液が欲しいのです、若い男性エルフの精液は、強力な媚薬の材料として一級品なんです」

 

「…………信用できません」

 

……ダメか。

 

「………ですが、私たち全員の前でやること、それをこの子が良いと言うのなら、許可します」

 

「!……ありがとうございます」

 

しかし弱った、エルフの子供とは言え、精液の意味くらいは…………。

 

「/////」

 

知っているか…………となると、ウンとは言ってくれそうに無いか、厳しいなこれは。

 

フェロモンを利用して魅了状態にすることもできるが、フェロモンの弱点……というか私の弱点だが、フェロモンが強すぎる弊害でピンポイントで浴びせることは困難だ。

 

まして密着状態ではどうなってしまうか………。

 

ここはひとつ、彼に任せよう。

 

それしか無いが、それが一番可能性が高い。

 

「えっと……えと…………」

 

「無理しなくていいんですよ?ダメなら他のお願いにしますから」

 

オドオドする男の子のエルフがいたたまれなくなってしまい、口をついてそんな言葉を口走ってしまった。

 

しかし、予防線を張っておかなければ、私がただショタエルフの精液を欲しがる変態にしか…………もう遅いか……。

 

「ち、ちなみに、ちなみにですよ?」

 

「はい?」

 

リーダーエルフが念を押すように何度も繰り返し「ちなみに」と言いながら聞いてきた。

 

「彼が断ったら…………」

 

「あぁ、そうでした、先に言っておかないとフェアじゃないですしね」

 

AとBの選択肢でAの内容だけ教えてBは教えないというのは不親切すぎてもはや詐欺だろう。

 

「断る場合は、薬草と解毒草の採取を手伝って欲しいのです」

 

「…………へ?……そ、そんなことで?」

 

「えぇ、それだけで十分ですから……もちろん、終わったら私も消えますので」

 

森の民と言われるくらい自然と密接な暮らしを営んでいるはず、なら、薬草などの採取程度は毎日やっていることだろう。

 

媚薬の材料も欲しいが、いつ手に入るかわからない極上の素材をこんな脅迫に近い方法で手に入れても正直…………私が納得できない。

 

女の姿に変身することもできるが、そんな餌で釣るような、媚びるようなやり方をしてまで欲しくない。

 

あくまで善意で精液が欲しいのだ。

 

まあ、どこかに売ってれば買うが。

 

「あ、ぅ…………じゃあ、薬草のほう……」

 

「わかりました、では、まずは皆さんにこれを」

 

取り出したのは村で買ったパン、普通に作ったものと比べて多少の保存が効くと宣伝されていたものだ。

 

「十分な量がなくて申し訳ないのですが、今はそれで我慢していただきたい」

 

喋りながらインキュバスの姿から人間の姿へと変身する。

 

鎧と盾の装着を確認して、受け取ったパンを食べずにじっと見つめるエルフたちに気がつく。

 

「?…………あ、別に変なものは入れてませんよ、ついさっき近くの村で買ったばかりのものですから、安心してください」

 

「………………ありがたくいただこう」

 

渡したパンに毒物が混じってやいないか、物凄い怪しまれながら齧るリーダーエルフ。

 

ちょっとくらい切れてもいいんじゃないか?




エルフ

森の民とも呼ばれるほど自然と密接な関係にある人種に近い構造を持つ種族。
不老長寿の種族の代表的な存在であり、魔法(魔術)に長け、種族の中で村の長にのみ伝承されてきた『秘術』という超常的現象を引き起こす能力を使うことができる。
身体能力は人種より高いが、機動力を優先した武具を好み、筋力が低い特性上、弓やボウガンなどの武器を使う。
総じて中、遠距離からのサポートを得意とする種族で、接近戦は苦手である。






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