随分とまあファンタジーな世界じゃないか(仮)   作:倒錯した愛

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お久しブリトニー(劇寒ギャグ)

どうも、最近シャドウバースなるゲームを試しに始めてみた作者です。
きっかけは、狂信の偶像面白いなぁ、と思ったからですね、はい。
まだ持ってないんですけどね、欲しいなー、スカルフェインは持ってるんですけどもね。
「フラメア」とかいうクソ雑魚ビショップを見かけたら多分私です。
あっ、デッキはビショップですけど、おすすめのデッキとかわかんないのでおまかせで作ってます(だからクソザコなんだってはっきりわかんだね)
入れた方がいいカードあったら教えてくださいおなしゃす!



第7話

同族(とは微塵も思ってないが、一応種族的には魔族であってるやつの)殺しの話をしよう。

 

 

 

「こちらの薬草と、こっちのポーションを4本ください」

 

「あいよ!お兄さんなかなか見る目があるねぇ〜、鑑定スキルを持ってるの?」

 

「勘がいいだけですよ、それに、良い賞品を用意できるあなたほどではないですよ」

 

鑑定スキル…………物質から物事の本質まで見抜くことができると言われるスキル、身近な存在だと母がかなり高位の鑑定スキル保持者だったな。

 

なんでも、媚薬の調合に使う材料の選定に必須だそうだ。

 

そういえば言ってなかったな、この世界では、スキルという『伸ばせる才能』と、ユニークスキルという『個人固有の才能』の2種類のスキルが存在する。

 

スキルは努力次第で習得可能で、ユニークスキルはその才能が無ければそもそも習得が不可能なスキルだ。

 

ユニークスキルは誰でも持っているわけではなく、また遺伝で決まるものでもない、薬草屋のジジイがユニークスキル『千里眼』を持っているが、レティは持っていないように。

 

ユニークスキル持ちはそれを伸ばせばその分野でトップに立つことも容易く、実際、薬草屋のジジイもユニークスキルを用いた魔法による遠距離狙撃を得意としている。

 

ユニークスキルは継承されないが、ユニークスキルの影響は継承されるようで、薬草屋のジジイの千里眼の特性、超超遠距離を知覚できる能力が作用しているのか?レティはそうとう眼が良い、かなり遠くのものでも一瞬で判断できるほどだ。

 

私もそういうユニークスキルが欲しかったが、身体能力や才能とトレードしてまで欲しいものではない。

 

そもそも、数多の才能を有し、練習次第であらゆるものの頂点に立てる私が、今更特殊能力をやると言われてもな………。

 

「こう見えて長いからね〜、はい!また買ってってね!髪の綺麗なお兄さん!」

 

「男性を褒める言葉としてそれは適当には思えませんが………とりあえず、ありがとうございます………あなたの髪も、燃えるような紅がとても綺麗です」

 

「ヒューッ!お兄さんったら褒め上手なんだから、見た目だけじゃなく心も綺麗とは恐れ入ったよ、これサービス、持ってって!」

 

そう言って渡されたのは小さなナイフ、サヤがなく、持ち手は握るにはやや小さく、刃も鋭いわけではなく、匂いを嗅いでも毒が塗布されてもいない、御守り………にしては服の内側に入れるにはやや物騒だ。

 

「そんなジロジロ見たって何もありゃしないよ、ただの投げナイフだし」

 

「投げナイフ………」

 

あぁ、だからこれほど小さいのか、子供用の包丁くらいの大きさで投げやすそうだ。

 

だが見た目が少しな………いや、サービス品でこれなら十分か、店頭の安物の薬草類と同じように並べてあるし、単価自体はそんなに高く無いのだろう。

 

消耗品であると考えれば当然、弓矢の矢と同じ、もしくは銃弾だな。

 

こんな粗悪品でも本気で投げれば4人くらいは…………イケるか?パワーの制御をしなければ貫通して危険だな。

 

…………石飛礫や投げナイフであっても細心の注意を払わなければいけないのはどうにもなあ……慣れるしか無いか。

 

「そ、こんなんでも当たればケッコー痛いよ?薄い皮の鎧くらいなら貫通して刺さるし、肌に当たったらタダじゃ済まない、まあ到底人を殺せるようなもんじゃ無いけどね」

 

「なるほど…………ありがとうございます、いざとなった時に使わせていただきます」

 

鎧の内側に忍ばせておくか………いや、左の籠手にある隙間に入るか?………おぉ、なかなかいいぞ、あとでベルトでもつけておいて、いざという時に外して投げられるようにしておくのも面白いか。

 

いっそ、盾の裏の隙間にボウガンのようなものでも仕込んでおくのもいいかもしれない…………まあ、飛び道具はひとつ持ってるんだが、世界観が崩れそうだし使うのは控えたい。

 

「いやぁ、お兄さんほんとうに優しいし丁寧だねぇ、ここの男どもなんて私を子供扱いする大人か、年のはなれたガキしかいないし」

 

「年の近い男性はいないのですか?」

 

「いるっちゃいるけど…………なんてーの?イシキ?されてるっていうかさ、話してる時はいつもオドオドしてるんだよね…………だから、お兄さんみたいな普通な反応は久しぶりなんだよねー」

 

いや、倍くらい歳が離れているんだが、見た目は年下だが倍あるからな。

 

「そうでしたか…………しばらくこちらに滞在する予定ですので、なんなら、ちょっとした話し相手くらいにはなりますよ」

 

「ほんと!?やたっ、お兄さんかわいいのにイケメンだねえ」

 

かわいいは……………いや、淫魔的にはそういう褒められ方はありだろう、たぶんな。

 

「来たら飲み物くらいは出すよ、どうせなら旅の話とか聞かせてよ」

 

「えぇ、いずれかは」

 

「ん…………あ、お兄さんちょいちょい」

 

「はい?」

 

手招きされたため少し娘に顔を寄せる。

 

娘は髪をかきあげて私の耳に口を寄せて来た。

 

「そのままで聞いて……(あれ?なんかいい匂いする)……お兄さんから見て左手の方に、農具を持った男が見えるでしょ?」

 

「……………はい、見えました」

 

小声での指示に従って横目で見ると確かに農具、鍬を持った男が見えた、野暮ったい農民らしい服装の、この村でよく見る服装だ。

 

「あいつが私と同い年のやつ」

 

「彼が、あなたと話をする時に挙動不審になるという?」

 

「そうよ………あっ、こっち見た、ってかなんかイラついた顔してるー」

 

遠目に見ると私と娘は親しげにでも見えるんだろう、店員と客の距離が近いだけであれだけ反応していてはなぁ………娘に面白いように言われるのも当然か。

 

しかし、年からして思春期であるのだからそういう面倒臭さも理解できる、私も最初の人生の頃は…………いやまだマシだったな。

 

10mまで近づいたところで娘が顔を離した、少年、いや、青年は私から1mほど離れたところで止まると娘を見た。

 

「ずいぶん楽しそーじゃねーか、イセリナ」

 

「そりゃあね、リク以外の同年代だし、話も弾むのよ」

 

「俺と話してるときは、そんなに嬉しそうな顔してなかったのにな」

 

「だってあんた、いつも話すときはオドオドしてるかモゴモゴしてるかのどっちかだし、今も足震えてるし」

 

「うぐっ……」

 

哀れ、DTの青年よ。

 

「こっちのお兄さんはかっこよくて話し上手で褒め上手、見る目もあるし、あとかわいい」

 

「っ………イセリナはこういう男がいいのか?」

 

指を指すな指を…………って、こう書くと読みにくいな、指を、指すな、指を、うむ、これでよい。

 

「こんな………………女顔みたいなやつがいいのか?」

 

「…………会っていきなり罵詈雑言とは、関心しないな、少年」

 

さすがに失礼だぞこいつ、ど田舎だからといって最低限の礼節さえわきまえられない男は大嫌いだ。

 

「なに……?」

 

「君の目の前の低身長の男は、君よりもいくつか年上だ…………言葉を選ぶことだ」

 

「へっ…………よく言うぜ、チビのくせにいっちょ前に騎士様気取りかよ?ママゴトなら家でやってろ!」

 

「リク!……ごめんねお兄さん、気を悪くしないで、お詫びに……」

 

男の(なかなかに的を得た)罵倒に対して娘が頭を下げて謝ってきた、詫びなら飯でも奢ってくれればありがたいのだが。

 

「イセリナ!なんでお前が!」

 

「こっちのセリフよ!どうしてそんなにお兄さんを邪険にするの?嫉妬なの?」

 

「バッ、ち、ちげえよ!」

 

「ならやめなさいよ、あんたも男なら、かっこ悪いとこばっか晒すんじゃないわよ」

 

「っ…………チッ、うるせえうるせえ!お前に分かるもんか!」

 

さんざん喚いた男は走って逃げていった。

 

いつの間にやら、周囲の視線は突き刺すように私と娘に集中していた。

 

「………本当にごめんなさい、気を悪くしたわよね、お詫びになるかわからないけど、何でもするわ」

 

「では、申し訳ないところですが、私手持ちがあまりないものでして、良ければ滞在期間中の……2日分の食事をお願いしたいのですが」

 

「そ、それでいいの?もっとほら、その体を喰わせろーとかはないの?」

 

正直そっちでもいいが、2、3日いるだけの村でそういうことをしては噂がたつ、できれば避けるのが良いだろうな。

 

「はしたないですよ、イセリナさん」

 

「ごめんごめん………そっかー興味ないかー………そうだ、お兄さんの名前聞かせてよ」

 

「私の名前ですか?グスタフと言います」

 

「グスタフ………うん、お兄さんで!」

 

変えないのか………。

 

「私はイセリナでいいよ、これからよろしくね、お兄さん」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

タダメシ確保、と。

 

「泊まるならそこ曲がったところに宿があるし、ここにも近くて安くていいよ、あっ、どうせならうちに来る?そっちのほうがご飯の都合とかいいよね?」

 

「お邪魔でさえな」

 

『ければ』、と続く声は悲鳴に掻き消される。

 

大通りほうから聞こえた悲鳴は伝染し、怒号も混じっている。

 

「ゴブリンだ!ゴブリンが出た!」

 

「子供を家の中に!男は武器持ってこい!」

 

ゴブリン…………小鬼とも呼ばれる、ファンタジー世界のいわゆる雑魚モンスターの一種だが…………力のない人間には脅威か。

 

基本馬鹿だが、小さくてすばしっこく、不細工だが人肌を貫通する程度の武器を作ることができ、糞と毒草を混ぜて作った即席の毒を使える程度には頭が回り、発想力がある。

 

その程度でしかないが、それでも毒がある以上、十分に脅威たりうるのだろう。

 

そんなことを考えていると、気持ち悪い緑色の肌をしたゴブリンが数匹こっちに向かってきた。

 

「ご、ゴブリン………」

 

全部で4匹、それぞれ木を削っただけの簡素な棍棒や、石を削り出して作ったナイフを持っている。

 

「きしゃああ!」

 

「ひっ!………」

 

喚き声を出すゴブリンに小さく悲鳴をあげる娘、さて、ゴブリンを殺すにしてもどうするか。

 

剣を抜いてもいいが、手入れが面倒になる、盾で殴って殺す方が良いだろう。

 

「う、うおおおお!」

 

おっと、リク?とかいう小僧がゴブリンに突っ込んでいったな、くわ一本でどこまでいけるのか………。

 

「くそ!この!当てれ!」ブンブン

 

いやそんな盆踊りみたいなふらふらな動きじゃ当たらんだろう、仮に当たってもダメージはさほどないことが想像できる。

 

「イセリナさんは隠れていてください、私は小鬼退治に行きますので」

 

「き、気をつけて……」

 

「えぇ、では」

 

駆ける、クワを振り回すリクとかいう男の横をすり抜けて、半方位状態で有利だったゴブリンのうち一体をシールドを叩きつける。

 

「ぐぎぇっ!?」

 

素手で動物を解体しているときの気色悪く、そして耳を塞ぎたくなるグロテスクな音を発したゴブリンAの肉体は、空中を舞って数メートル先の地面に転がった。

 

吹き飛ばされたゴブリンAの上半身はあらぬ方向を向いていた、およそゴブリンの骨格からは不可能と考えられる向きであり、動く気配もない。

 

確実に、死んだ。

 

「ひとつ」

 

続けて、倒れた仲間に向かって謎の言語を発して呼びかけるゴブリンBの頭部に、遠心力をかけた手加減込み込みの左フックをお見舞いする。

 

「gッッッ…………」

 

意識の外、死角からの攻撃に声にならない悲鳴のようなものを出そうとしたゴブリンBだったが、聞く事叶わず、頭部は肉体から弾け飛んで森の木にぶつかり半分潰れた状態になった。

 

……………もう少し手を抜くべきだったか、パンチで首を飛ばすのはやりすぎだ。

 

「ふたつ……………それ」

 

気を取り直し崩れ落ちる首無しのゴブリンBの持っていた石造りのナイフを拾い、一番近いゴブリンCに向けて『気をつけて』投げる。

 

「ピギャアアアアアアア!!!???」

 

右脇腹付近にナイフが深く刺さったゴブリンCは、豚のような悲鳴をあげ、その場にうずくまるようにしゃがんだ。

 

どうやらナイフを抜こうとしている様子だ、だがそのナイフはお前の同胞のものだぞ?きっと毒が塗ってあるぞ?解毒薬、もしくは解毒草の準備はいいのか?

 

「っ………kっ………………」ガクッ

 

「準備不足は死を招く、みっつ」

 

これであと一匹……………まだタップダンスしてるのかあいつは、いや盆踊りか?

 

全然攻撃が当たる気配が無い、実はあいつゴブリンとタッグ組んでる曲芸師なんじゃなかろうな?

 

「まあいいか」

 

ゴブリンCの側に落ちていた石斧を拾い上げ、盆踊りをかましている馬鹿をおちょくるように避けているゴブリンDに向けて、正確に頭を狙って投げる。

 

ヒュォッ…………グジュッ!

 

「うわぁっ!?」

 

いきなり石斧が頭から生えたゴブリンDに驚き尻餅をつく馬鹿、見える範囲ではこいつらで終わりか。

 

「小僧!私は通りを見てくる、お前は娘のそばにいろ!しっかり守りきれ!」

 

「い、言われなくたって!」

 

馬鹿を小娘につけさせ、私は人間の範疇のスピードで通りに向かい走る。

 

通りにはさっきの倍ほどのゴブリンがいた、すでに数匹くたばっている様子だが、それでも6匹はいる。

 

男手が食い止めているうちに邪魔な女子供は引いたようだ、通りとはいえこの村は小さいから、小さな棍棒でも余波で怪我人が出かねない狭さだ。

 

だが、障害物がないのなら私の独壇場よ。

 

とりあえず、さっき学習した手加減の仕方をよーく反復して…………そい。

 

ゴジュッ

 

1匹。

 

「うぉ!」

 

「石飛礫か!」

 

ゴジュッ

 

2匹。

 

「白い鎧のにいちゃんじゃねえか!」

 

「遅れました!」

 

コツは掴んだ、あとは村の男手と協力して捻り潰すとしよう。

 

「包囲したまま狭めてください!」

 

「おうよ!お前ら聞いたな!」

 

「おう!てめえらビビンじゃねえぞ!」

 

いい連携だ、士気も高いか。

 

狭まっていく自由に歯噛みするかのように唸る残り4匹のゴブリン。

 

……………よし、これくらいの距離ならば。

 

「一振りでいけるか………」チャキッ

 

スラァァ…………

 

剣を抜く、何のことはない、いつも通りにやる。

 

力を抜け、自然体だ。

 

方向は左から右、無理も破綻もない軌道、ゴブリンの胴体のど真ん中を両断するイメージ。

 

その軌跡を描き、剣でなぞる、出来るだけ早く。

 

「下がってください」

 

一声で男達は二、三歩後ろ下がる、好機と見たゴブリンが駆け出そうと脚に力を込める動作、その小さな膝が少し曲がるその一秒未満の時間。

 

その時間に割り込んだ刹那の剣が、ゴブリンを両断した。

 

悲鳴もなく肉塊と成り果てるゴブリンたち、死んだことに数秒経って気づいたゴブリンたちは、顔を歪ませ驚くばかりであった。

 

「抜くほどでもなかったか………?」

 

そうボヤくと、剣を収めた。

 

振り返ると、男達は驚きに染めた表情で私を見ていた。

 

「い、今、何をしたんだべ?」

 

「見えなかっただ………」

 

「これが………『神速』ってやつ、なのか?」

 

パワーのほうは申し分なかったが、どうやらスピード、振る速度の手加減を忘れてしまったようだ。

 

彼らから見れば、私の剣が全く動いていないはずなのにゴブリンが死んだように見えたからだろうか。

 

それなら私でも驚いただろうな、剣閃の見えない頃の私なら、な。

 

「みなさんありがとうございました、怪我はありませんか?」

 

警戒心を抱かせぬよう笑顔で話しかける。

 

「あ、あぁ、あんたのおかげで助かったよ」

 

「避難した子供達や女性のほうは?」

 

「問題ない、向こうにはこっちの3倍以上の男手がいるんだ」

 

ひとまず安心したのか、緊張で上がり気味の肩が下り、顔の筋肉が緩んだ。

 

「では、避難場所を守っている人たちから何人か引き抜いて、3人1組で村中をしらみ潰しに探しましょう」

 

「わかった、隠れられてちゃたまらねえからな、足の速ぇ奴は避難場所に行って6人くらい連れて来てくれ!」

 

「あいわかった!」

 

脚に自慢があるのだろう筋肉質な30代前半ほどの男が走って行った。

 

「到着を待ちましょう、まだいるかもしれないので、武器は構えているようにしてください」

 

「あんちゃんは剣を抜かねえのかい?」

 

「狭い場所でこのような長い剣は物干し竿にも劣る棒切れ、短剣やナイフのほうがやり易いのですよ」

 

柄頭を叩いてそう言うと。

 

「へぇ〜、あんちゃんは考えてんだなあ、通りでオラの大ガマが振るいにくいわけだあ」

 

「草刈鎌にしとけ言ったろうにお前は…………ま、結果としちゃあにいちゃんの手助けになったみてえだがな」

 

「長い獲物には近づくのを躊躇うのは、人間もゴブリンも一緒ですからね」

 

槍の使い手に剣の使い手が挑んでも勝ち目は無い、それほどに獲物のリーチや間合いというのは戦いにおいて重要になってくる。

 

目が見えずとも獲物に応じた的確な間合いが取れるなら、心得が無くとも生き残るだけならそれだけでも十分なほどだ。

 

まあ、剣閃さえ読めれば間合いなどどうとでもなるがな。

 

「おーーーい!連れて来たぜぇ!」

 

速いものだな、脚に自慢があるだけはある、もしくは単に近いのか。

 

さて、捜索を開始するとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「食事に寝泊まりできる場所まで世話をしていただけるなんて、ありがたい限りです」

 

「いいのいいの!私と村を助けてくれたんだから、遠慮しないで」

 

一人暮らしである小娘、イセリナの家にお邪魔している。

 

スープの香りが食欲をそそる晩飯前のひと時、鎧を脱いで椅子に座りイセリナの料理ができるのを待つ。

 

「お湯の方はどうだった?」

 

「丁度良い湯加減でした」

 

「そう?ならよかった」

 

風呂で思い出したが、この世界にシャンプーやらリンスやらボディーソープやらは存在しない。

 

ので、自作したものを持ち歩いている、母も絶賛の効果を持つ優れもので、魔界の家で生活していた頃は母が『おやつ』を食べる時に重宝された。

 

使用者が私と母、それとレティしかいないため、他の魔族や人間のボサボサでベットベトの髪を見ると、自分の髪のツヤ加減とサラサラ感でちょっとした優越感に浸れる。

 

ちなみに、炭を買ったのはこれのためである。

 

顆粒状にして混ぜることで髪の汚れをよく落とせるようになるのだ。

 

なぜこんな話をするかと言うと━━━━目の前の年若い小娘の髪が汚すぎて我慢ならないからだ。

 

まあでも、普通に見ればなかなかかわいい顔をしている、磨けばひかr……………。

 

ドクンッ

 

「っ………」

 

まずっ……た…………。

 

そう、だった……淫魔は、性を

得な………ければ……………。

 

近くの、異性の匂いを元に…………。

 

「襲い…………出す………っ」

 

だが、人間界に来る前に、薬は作ってもらっているっ………!

 

即効性のある、白いポーション!

 

カバンの中に、たしか、ある……はず…………。

 

「もうすぐできるからねー………ってどうしたの!?どこか痛い?」

 

「ぐっ……クスリ…………カバンに…………」

 

「カバン?カバンのどこ!?」

 

「外の………ポケットに……」

 

「どれどれ!?こ、これ!?」スッ

 

「ソレ………ダッ………」

 

「待って!今開けるから!」

 

くそっ………情けない、私ともあろうものが、たかが種族特有の持病の発作程度で、体が動かんとは!

 

イセリナに白いポーションを飲ませてもらい、発作が収まるのを感じる。

 

「………はぁ…………ふぅ………」

 

収まった…………なんとも辛いものだ。

 

いつの間にか椅子から転げ落ちて床に這っていたようだ、そこをイセリナが気づいてポーションを飲ませてくれたということか。

 

…………ダメだな、発作の時の記憶が薄い……………それに気持ち悪くて最悪の気分だ。

 

「だ、大丈夫なの?お医者さん呼ぼうか?」

 

「いえ、大丈夫です、ただの……………発作ですから」

 

すくっと立ち上がり、イセリナに礼を言う、飯風呂寝床にプラスで命まで助けてもらうとは。

 

いや、正確にはイセリナの処女か、どちらにせよ、よかった。

 

「辛かったらすぐ言ってよ?すぐ駆けつけるから」

 

「ありがとうございます…………あぁ、その瓶は捨ててください」

 

「え?またクスリを補充しなきゃいけないんじゃないの?」

 

「旅の途中ですし、持っていても邪魔ですから」

 

から瓶なんて水をすくうか物を詰めるくらいしか使い道がないからな。

 

身軽な方が良いだろう。

 

「そう?じゃあ捨てておくわね、ごはんできてるけど、食べられる?」

 

「もうお腹ぺこぺこで、早く食べたいですよ」

 

シチューは美味しかった。

 

美味い飯で気分も良くなった、やはり食は偉大である。

 

「あっ、寝場所は一緒にするよ」

 

「え"っ?」

 




唐突に襲われる村、持病持ちの淫魔、過酷溢れてますねこの世界。
作ったの私ですが。

あっ、そうそう、fgo水着イベ、きよひーランサー、出ましたか?

作者は出ませんでした、悲しい、とても悲しい。

ではまた次回。

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