随分とまあファンタジーな世界じゃないか(仮)   作:倒錯した愛

8 / 10
お股せ


第8話

女子と添い寝をする話をしよう。

 

いやいや待て待て。

 

「問題ありますよね?」

 

「寝てる時にさっきみたいになったら自分でクスリ飲めるの?」

 

「う"っ………」

 

「また発作が起きた時、私がいたほうが便利でしょ?」

 

ぬう………背に腹はかえられぬ。

 

「……………そうですね、その時はお願いします」

 

「任せてよ!」

 

しかし、この持病には本当に悩まされる。

 

全ての淫魔が発症しかねないこの発作は、性を得ることに抵抗のある━━━━処女・童貞意識の高い淫魔の発症率が高く、性を得られない間、変則的に発作が起きる。

 

つまり定期的に性を得ているなら、発作はでない、と言うわけだが……………正直、SEXをしようとは思わない。

 

変な話かもしれんが、SEXはいわば淫魔が淫魔らしいといえる特徴であり、人間で言うところの『呼吸』のようなものだ。

 

私は呼吸すらいらないと思っている、ようだ…………もしかしたら極端に性欲が薄いのかもしれん。

 

クスリも多くはない、1つ消費したからあと2本…………。

 

「いったん調達に帰るのが良いだろうか………」

 

いや、ダメだ、せめて人間界で小銭くらいは稼いでおきたい、そしてそれで土産を買わねば帰れん。

 

主に母とレティとレティの祖父(薬師)に。

 

母とレティは言わずもがな、薬師のじじいにはクスリを安く売ってくれた礼として、なにか珍しいものでも持っていかねばならんだろう。

 

「質素で悪いけど、一応はベッドだから」

 

と言って通された部屋はイセリナの寝室のようだ、質素らしい木製フレームとボロボロのシーツのシングルベッド、タンスや小物などが置いてあり、女の子らしい部屋と言える。

 

で?

 

「あの………………あっ、私は床で」

 

「その〜〜…………私と一緒にベッドじゃダメ?」

 

「そういう聞き方は困ります………」

 

やめてくれ、その聞き方は効く。

 

「あーー…………じゃあ一緒に寝るよ!はい!決まり!」

 

「えぇ…………まあ、それで良いなら」

 

あまり贅沢を言って駄々をこねてもいけない、屋根があり、壁があり、シーツがボロボロとはいえふかふかのベッドがある。

 

なんて事ない、私の家よりちょこっと質素なだけだ、それにこれから寝泊まりする宿は基本どこもこういうものだと思っておけば、変な失望をせずに済む。

 

高望みは挫折への近道、低く地を行き山を登るように高きを目指せば良いのだ、何事もそう、私の剣もそうだったように。

 

しかし女性との添い寝は精神衛生上非常によろしくない、こうでもしないと気づいたら死んでいたなんてことになるから仕方ないと言えば仕方ないんだが…………はあ、淫魔である自分を激しく呪い殺したい気分だ。

 

「では私はこっちを向いて寝ますので」

 

「うん、いいよ」

 

「では、おやすみなさい」

 

「ちょいちょいちょーい!?まだ寝るには早いんじゃないの?」

 

「え?」

 

「いやーせっかくだし、なんかお話でも聞かせてよ!」

 

「話、ですか………では、私の近所の鍛冶屋のお話でも」

 

「故郷の話だね?聞かせて聞かせて!」

 

ワクワクと言った表情のイセリナに、鍛冶屋のオヤジについて話をしてやった。

 

話の途中で睡魔が限界になったようで、子守唄がわりにスヤスヤと眠っているようだった。

 

よく眠っていることを確認し、私も目を閉じて眠りにつく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眠るイセリナの首筋が目に入る。

 

眠るイセリナの首筋が目に入る。

 

眠るイセリナの首筋が

 

眠るイセリナの首筋が

 

イセリナの首筋が

 

イセリナの首筋が

 

イセリナの首筋が

 

首筋が

 

首筋が

 

首筋が

 

首筋が

 

首筋が

 

首筋が

 

 

クビスジガオイシソウダ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………なんて夢だ」

 

インキュバスが人間の処女の娘(本来なら極上の食い物)と添い寝なんてしたからなのか、吸血鬼でもそうそう見ない夢を見てしまった。

 

もしや、父親の血に吸血鬼の血が混じっていたりするのだろうか?

 

血液を見て興奮したことはないが、そういう夢を見るなら素質もあるということなのか………。

 

流血含むハードプレイの素質なぞ要らんわ。

 

まったく……………ん?

 

「あぅ……んっ……///」

 

「…………何をしているんですか?」

 

いやもう動きでわかってはいるが、口をついてついつい聞いてしまうことがあるだろう?

 

「あっ…………ご、ごめんなさいね!すぐに朝ごはん作るから!!」

 

「え?あっ………」

 

言うなり顔を真っ赤にして寝室を飛び出していくイセリナ。

 

開け放たれた扉と明るい日が差し込む窓、そこそこにふかふかな布団と、粘性のある液体でべっとりと濡れた私の白く細い右腕。

 

「……………はぁ…………」

 

呆れ100%のため息が出たことに自分でも少しどうかと思った。

 

しかし慣れとは怖いもの、この程度のこと、母には何度もされたから今更どうとも思わん。

 

ただ、母はしたあとでしっかりと腕を拭いてくれたのだが、イセリナは拭くこともなく行ってしまった。

 

まあ、最中にバレてしまってはテンパってそれどころではないだろうし、大目に見よう。

 

とりあえず、私は寝ぼけていて、腕のネバネバも寝ぼけていたときに唾液が垂れたと言うことにしておこう。

 

人間の生娘はメンタルが小さいらしいからな、過度な刺激は厳禁だ。

 

こんな小さな村の密度の高いコミュニティの中にいる少女の心が病気になっては私に疑いが向いてしまう。

 

寝床と食事の恩もある、敬意を持ってここは穏便に納めるように努めよう。

 

さて、ここでイセリナのいる居間………と行っていいか疑問だが、今はそう呼ぶとして、その部屋に行くかどうかだが。

 

私は今寝ぼけている、つまり夢の中というわけだ、ならもう一度寝てしっかりと目を覚ます必要があるだろう。

 

というわけで、二度寝しよう。

 

朝方は冷えるなあ、体を温めておかないと冷え性になりそうだ。

 

またあの変な夢を見なければいいんだが……。




睡眠中はインキュバス特有の女性特攻フェロモンが漏れるんやで。

なので女性との意図せぬ添い寝は厳禁。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。