機動武闘伝Iストラトス   作:Easatoshi

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最終話

「一夏、しっかりしろッ!!」

 

第7倉庫の2階、箒は古びた通信室内で所々錆を浮かせ

生地からはスポンジのはみ出したパイプ椅子から立ち上がったまま、

箒はヘッドセットのマイクの付け根である右側の

イヤーパッドを押さえ込むようにして叫んでいた。

 

警察が敵に騙されて襲って来たと言う通信の後、

1kmにも満たないそう離れていない距離の空で

2人を相手に一方的に弄られている様子が見えていた。

そして程なくして、一夏はあの警察のラファールから

捕縛ネットを受け地面へと落下していった。

無線越しに一夏にサポートを入れていたとは言え、

結果的に一夏の無事に貢献できなかった箒は

藁にもすがる思いで無事を確認しようと声を上げていた。

 

すると、

 

<……こち……夏……ガガ……現在捕縛ネ……

 絡ま……賛拘束中だ……まい……ねこりゃ>

 

近くに電磁波でも出ているのであろうか、雑音の混じる一夏の声。

それでもまだ一夏が生きている事が確認できただけ、胸を撫で下ろす思いである。

 

今地上はIS同士の激しい戦闘で大混乱に陥っている。

巻き込まれまいと自分たちの事で必死になっているオータムの

取り巻き達が弱った一夏に介入できるだけの余地はない。

不幸中の幸いではあるが安心してもいられない。

逼迫した現状である事には変わりがないのだから。

とにかく一夏が置かれている状況を確認しようと思考を巡らせる箒。

非常に聞き取りにくいが、断片的に聞こえる

『絡まれ』『拘束』『捕縛なんとか』なる単語から、

何かしらの方法で捕らえられてしまったのだろうと推測できた。

深呼吸して落ち着きながら、ノイズ交じりの一夏の声に応答する。

 

「大丈夫なのか? かなり痛めつけられていたぞ?」

<大丈夫……だが…………武器を……落とし……>

 

その一言を聞いて、更に箒は青ざめる。

武器を落とした?

 

「武器は、他に武器はないのか?」

<雪片……あ……え手元に……戻って……ら……ザザッ>

 

砂音の混じる一夏の声。

あまりにも聞き取りにくい幼馴染との通信に苛立ち、

箒はマイクの付け根をいじくり何とか声が

伝わりやすくなるようにしようと試みるものの、

 

「あっ……」

 

マイクが根元から折れてしまった。

やはり10年近く放置されていた旧式のヘッドセット。

手入れがされていないそれは見えない所で劣化が進んでいたのだ。

こちらの音声が伝わらないのでは最早この無線設備は役に立たない。

居ても立ってもいられなくなった箒は、

壊れたヘッドセットへ恨めしい視線を送った後、

無線機の上に乱暴に投げ捨てると、それを振り返る事無く

飛び出すようにして2階の通信室の部屋から駆け出した。

 

鉄製の階段を早足で下り、1階に辿り着いた箒はまず武器を探す事にした。

一夏によってシャッターが破壊されたので外の景色は丸見えだが、

巻き添えを恐れたオータムの部下達は散り散りになった為、

辺りには人の1人も見当たらない。

これ幸いとばかりにコンテナや木箱を既に一夏が開いた分も含め

自分にあった適当な武器を片っ端から漁ろうとする。

無論、箒は銃火器類を扱った事がなければ、ましてやそれが

生身の自分がISに乗った敵を何とかできる等とは思ってもいない。

 

一夏の力になりたい。

 

たった1つの思いが今の彼女を突き動かしていた。

自分が生身で一夏の元に行った所で何ができるか、

結果がどうなるかは分からないし、かえって危険を招くかもしれない。

しかしその程度の不安感で今の箒は止まる事はなかった。

一夏によって命を救われたから、それだけではない。

6年前に生き別れとなる前からずっと抱き続けてきた、

もっと特別な存在に対する……簡単には言葉で表現できない感情。

それらが理性を押し切り、明らかに無茶と分かっている行動へと後押しする。

 

(一夏!! もし私が来るまでに死んだりしてみろ!! 絶交だぞッ!!)

 

木箱の中のサブマシンガンなどの火器を拾っては近くに投げ捨て、

なんとか自分が扱えそうなものを必死で捜し求めるが、

やはり箒の求めてそうな武器は見当たらない。

 

(剣道以外は古武術と弓道と……ああ!! 近代兵器なんか使えるかッ!!)

 

彼女の探しているものは所謂『そう言う類』のものであった。

弓矢、真剣、槍、薙刀、日本の伝統的な武術に用いられる武器など、

当然ながらテロリスト達は好まない為、この場にそのような代物はない。

訓練期間等の問題もさながら、今日日普及しきっている

銃火器等に比べるとコストは安くも、使い手の能力に大きく左右されるからだ。

 

幸いコンバットナイフのような類は脇差として扱った事がある為、

箒は2~3本程適当に拝借する。 後は主力となる長剣なのだが、

あたりを一瞥して適当なものがないかを探した。

刃が付いていなくとも、打撃に使えるだけの強度さえあれば

竹刀の代わりにはなるだろうと判断したからだ。

 

すると箒の目に、壁に立てかけてあったある一本の道具があった。

金属の芯に周囲を白い樹脂で覆い、下方の先端には

綿などの繊維が円盤を中心に放射状に縫い付けられ

バケツに入れた水等に浸して床の汚れを取る掃除用具。

一言で言うならモップであった。

 

「……竹刀の変わりにはなるか?」

 

正直な所、箒自身にはこれを武器とするのは些か抵抗があった。

見た所、戦闘を想定して特別なギミックが付いているとか、

もしくは中に仕込み刃の入っている暗殺兵器だとか、

そう言った心遣いなどは全く見当たらないただの清掃道具なので、

使い勝手の面からしてあまり期待できそうにない。

ナイフは軍用の其れなりの代物を持っているのに

長剣だけが唯のモップなどとはアンバランスも甚だしい。

せめて日本刀を模したIS用のブレードが手に入れば

野太刀の様な感覚で使えなくもなかったが。

 

(背に腹は代えられない……か!!)

 

この際見た目にこだわっていられない箒は、やむなく

モップの柄を握り締めると、破壊されたシャッターから一目散に飛び出した。

 

 

 

 

 

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後方に可燃物を意味する、炎のマークが描かれた赤いドラム缶の詰まれた

古ぼけたトレーラーと、右前方にはアームの伸び切った先端に錆びた鉄骨が

今にも落ちそうな状態でぶら下がっているクレーン車が見当たる場所に、

一夏は全身を捕縛ネットに包まれた状態で地面を横たわっていた。

申し訳程度に右腕だけは拘束を免れたが、ネット自体が

微弱なEMPを放出している為、ISのパワーアシストが

効果的に機能せず、白式は今や重苦しい拘束具となってしまっている。

手元に雪片があればエネルギーの刃でネットを斬って

脱出できたかもしれないが、肝心の雪片は一夏の目先の20m先、

左腕部を破壊されたショックで手放してしまったが為に

明後日の方向へと落下したのであった。

 

(……さて、どうするか)

 

何とか右腕だけで肘を地面に当てながら、体を引きずって

這いずりながら雪片を拾いに行こうとはしたが。

ネットの表面は砂をかませたかのような荒い処理がなされている為

体が地面を擦る度、鑢を引きずるに近い音と感触が一夏の進行を妨げる。

これではとても雪片を拾いにいけたものではない。

 

「動かないで」

 

思考を巡らせていると、ふと頭上から声を掛けられるかかる。

一夏は内心舌打ちしながら見上げると、そこにはやはり

自分を捕縛ネットに絡めた機動部隊の女……

麻耶がライフルを突きつけ見下ろしていた。

 

「貴方はもう終わりです、大人しく投降しなさい」

 

彼女の目からは一夏こそが主犯格であると訴えるような鋭い目つきが感じられる。

いや、事実彼女はそう信じて疑わないだろう。

こちらに構えるアサルトライフルの引き金には、

『不慮の事態』を想定して指が掛けられたままになっている。

引くにあたって多くの力を必要とせず、余分な力を抜くことで

発射時の安定性を高めるフェザータッチの引き金に、

あとほんの僅かに指の圧力をかければ、白式はシールドバリアの

作動に伴い全ての残りエネルギーを消費、確実に行動不能に陥るだろう。

 

何とかして抵抗を試みる術はないかと考えてはみるが、

そもそも体を引きずるのがやっとのこの状況で、どう抵抗しろというのだ。

武器は手放した雪片を除いて全て使い切り、左腕は破損。

捕縛ネットのEMPでパワーアシストは失われ、

おまけに頼みの綱であった箒との連携も、

彼女からの通信が途絶えた事で期待はできない。

いくら考えても打開策は思いつかない。 八方塞である。

今度という今度こそ、反撃のチャンスは失われた。

敗北を悟った一夏は残った右腕を後頭部に押し当てて、

抵抗の意思が無い事を伝えた。

 

「……懸命な判断です」

 

麻耶は幾分緊張を解き、アサルトライフルの銃口を下げると、

地に伏せる一夏の背後へと歩き、腰をかがめ左手で白式の右腕部を掴む。

 

「逮捕します。 貴方には法廷にて裁判を受ける権利があります」

 

一言だけ呟いて、彼女は右手にIS用の手錠を取り出すと

それを白式の手首へとかけようとした。

 

丁度その時、即席とは言え麻耶と連携を組んで一夏を追い詰めた

オータムが少し離れた場所に着陸する。 その手にはアサルトライフルを携えたまま。

それに気づいた麻耶は、手錠を掛けようとした手を止めると

オータムの方を振り向き、うって変わったように笑顔を浮かべると、

 

「犯人逮捕のご協力に感謝します」

 

敬礼を交えてオータムへの感謝の言葉を述べた。

麻耶の謝辞を受けてオータムもまた口元を緩ませる。

 

 

 

「私の方こそ、助けてくれてありがとうございました。

 

 

 ……おかげで」

 

 

 

しかし、最後の一言を言った途端、口元は三日月のように釣り上がり、

柔らかな雰囲気をかもし出していた眼つきは鋭くなる。

 

「『手間が省けた』ぜ!!」

 

一夏なら良く知っている彼女の根性を現している様な、

あの獲物を狙う猛獣の、してやったりと言いたげな悪意を込めた目線が。

麻耶が鳩が豆鉄砲を食らったような表情を浮かべると同時に、

オータムはアサルトライフルを素早く構えると、銃弾を3点射で発射した――――

 

 

 

 

 

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廃港にたどり着いた警官隊とマスコミの集団が

最初に目の当たりにした光景は、港の中心部で起きた大爆発であった。

 

「な、何だあれはッ!?」

 

舞い上がるキノコのような形状の爆炎。

可燃物という可燃物を一箇所にかき集め、

それを纏めて引火させたかのような強い衝撃。

目的地に到着したとは言え、爆心地からはまだ100m程離れている。

にも拘らず、車外に身を乗り出した警部の体に伝わる熱風。

さすがに距離が開いている為ぬるい風にしか感じられなかったが、

逆にここまで爆風が伝わったという事実に

警察官達はその凄まじさに無意識の内に冷や汗を流した。

 

「一体どうなってるんだ!?」

「分かりません……それより彼女の身が心配です!」

 

パトカーを運転していた刑事が麻耶の安否を心配しながら、

アクセルペダルを踏み込んで急加速し先を急ぐ。

追従していた他のパトカーやマスコミのワゴンとヘリもそれに続いた。

 

 

 

 

 

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「何てことだ……!!」

 

現場に到着した警部が、パトカーを降りるなり驚愕の表情で呟いた。

 

一言で状況を言い表すなら、凄惨な光景だった。

炎がオレンジ色の逆光を放ち燃え盛り、黒い噴煙が立ち込め、

周囲の倉庫は爆風で壁面が抉れ、支えを失った屋根の一部が陥没していた。

クレーンで吊り下げられていた錆びた鉄骨も、唯でさえ危うい均衡が

爆風の影響で今にも落下しそうな程に傾いていた。

余りにも現実離れした光景に、同僚達は勿論

ヘリの中にいるニュースキャスターを含めるマスコミ全員も言葉を失った。

これが平和な日本で目の当たりにする光景なのかと。

誰もがそう思った。

 

「おいッ!! あれを見ろッ!!」

 

1人の警官が、爆心地の辺りを指差した。

指の先には炎を背景に、3機のISが逆光を受けてそこにいた。

すると、動揺している警官達に気づいていたかのように、

警察達に1番近い位置に立っている1機のIS……打鉄が振り向いた。

 

「遅かったじゃねぇか」

 

やっとの思いで到着した応援を嘲笑うかのように、

ねちっこく口元を吊り上げるロングへアの女。

この1連の騒動の真犯人であるオータムであった。

 

「てめぇらのお抱えの隊員とやらは、あそこでおねんねしてやがるぜ?」

 

右手の親指を立て、倒れている残りの2機を指差すオータム。

1機は右腕を除く全身がネットに絡まれて

搭乗者が誰なのかははっきりと見る事は叶わない。

 

もう1機は虚ろな目で頭部から血を流し、

ネットに絡まれたISの近くを仰向けになって倒れていた。

警察達は、そのISに見覚えがあった。

何故なら、頭から血を流しているのはIS機動部隊の山田 麻耶。

警視庁仕様のツートンカラーの、特に背部のスラスターの

損傷の著しいラファール・リヴァイヴだったからだ。

 

「ま、麻耶……!!!」

 

壊れたラファールを見るや否や、刑事が血の気の引いた表情で震える唇を動かした。

両手の拳を震えるほどに握り締め、次第に呼吸が荒くなっていく。

 

「貴様……麻耶に何をした……ッ!!!」

「へえ、てめぇこの馬鹿な女の身内か何かか?

 決まってるだろ、私がやったんだよ!! 地面に降りてクソガキ捕まえた瞬間に、

 後ろのドラム缶に弾撃ち込んでドッカーンッ!! てな!」

 

怒りを込めた刑事の質問に、愉しそうに笑って答えるオータム。

 

「どう言う……事……?」

「あん?」

 

オータムの嘲る様な声に反応したか、意識の混濁した麻耶がか細い声を上げる。

そんな弱弱しい麻耶をまるで汚物でも見るかのような見下した目線で言う。

 

「まだ生きてやがったか……まあいい。

 この際だから教えてやる。 騙されたんだよ、て・め・え・は」

「……え?」

 

突然のオータムの裏切りに、頭の中が真っ白になる麻耶。

しかし裏切るも何も、オータムの方は最初から麻耶を騙すつもりでいたので

放心するマヤを見るや否や、オータムは込み上げる笑いを抑えられなかった。

 

「ギャハハハハハハハハッ!! まだわかんねぇのか!?

 ちょっと被害者面したら疑わずにあっさり乗せられて

 人質だったそのガキ2人がかりでいたぶったのはてめぇだろうがよ!!」

 

腹が捩れるほどに大声で笑うオータムと裏腹に、麻耶の目には涙さえ浮かび上がる。

 

「傑作だぜ!! ご協力感謝しますだぁ!?

 得意げに人質ボロッカスにした奴の言う台詞じゃねぇよ!!」

「嘘です……そんな事」

「いいや、あいつの言う事は本当さ……胸糞悪いけどな」

 

麻耶の隣でネットに包まれ倒れていたISパイロット……

一夏が小声で麻耶の言葉を遮る。

吹き飛ばされた際に体を地面に擦ったか、

頬は擦り剥けた跡で真っ赤に血を流していた。

 

「無事……だったん……ですか?」

「……あんたが後ろにいたおかげで爆風の直撃は無かったよ……

 尤も、体は少し擦り剥いたけどな」

 

一夏は苦笑いを浮かべながら、失意にくれる麻耶を

これ以上傷つけないようにオブラートに包んだような柔らかい言い回しをする。

だがそれさえも、心が挫け緩くなった麻耶の涙腺を決壊させるには十分だった。

 

「……めん……ごめんなさい……!!」

 

自分の真面目さがかえって致命的なミスを招き、

犯人の味方をして人質を追い詰めてしまったという事実。

入隊して1年足らずのルーキーには耐えがたい屈辱。

最早一夏の隣にいるのは、勝気だった機動部隊の女ではなく、

泣きじゃくる1人のか弱い女性に過ぎなかった。

 

「ごめんなさい……私のせいで、私のせいでこんな事に……!!」

「ハハハハハッ!! ああそうだ、てめぇのせいだ!!

 私に味方しなけりゃ今頃はとっくにカタついてたのによおッ!!」

 

悔し涙さえ流す麻耶に追い打ちをかけるようになじるオータム。

傍らで話を聞いていた刑事は額に青筋さえ浮かべ、

挙句の果てには腰元のホルスターから拳銃を引き抜いて

オータムの額めがけて銃を構えようとする。

 

「卑怯者がぁッ!! それが人間のする事かぁッ!!!」

「待て、落ち着くんだッ!!」

 

今にも飛び掛りそうな刑事を背後から羽交い絞めにして制止する警部。

落ち着いて冷静に行動しなければいけない事ぐらい

刑事にとって頭では理解していたが、こうも彼女の……

麻耶の尊厳をあそこまで踏みにじられては頭に血が上るのを

抑えろというのは、いくら刑事でも無理な相談であった。

警部の腕の中で必死にもがきながら、忌々しい主犯格に一矢報いようとする。

 

「離してください警部ッ!! 麻耶を助けないとッ!!」

「そんな事は俺だって一緒だ!! 拳銃1丁で何ができるッ!!」

 

激情の余り体力の落ち気味な初老の警部の制止を振り切りそうな刑事。

警察側が内輪揉めで慌しくなるのをオータムは愉快な顔立ちで眺めていた。

 

 

 

 

 

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「……予想以上にまずい事になっているな」

 

混乱の渦中にある港の中を走りぬけ、内数名の武装した犯人を

背後からモップの柄で殴り倒しながらやってきた先には、

悲惨極まりない光景が目の前に広がっていた。

一夏は身動きがとれず、特殊部隊の女性……麻耶はISが大破寸前、

忌々しい主犯格のオータムは余裕の表情で踏ん反り返り、

警官隊も唯一の対抗策を失ってオータムを前に何もできずにいる、

それどころか、内2名が揉み合いになっているせいで

他の隊員も加わり慌てて取り押さえていると言う……救い様のない状況だった。

 

現在箒は、警官隊とオータムの睨み合う件の現場の、

その直ぐ傍にある倉庫と倉庫の間の路地から、

放置された木箱を影にして様子を伺っていた。

とは言っても到着したのは警官とマスコミ達がたどり着いた直後であったが。

 

(何とかならないものか……?)

 

唯一の援軍である警察まであんな調子では、

単独での巻き返しなど期待できそうもない。

麻耶のツートンのラファールも背部のブースターが破損して

恐らくは空も飛べなくなるほどのダメージを被っている可能性が高い。

万が一やられる可能性も考えて、普通は相手が単独でも

多数のISを出動させるのが一番確実な方法なのに、

それをしなかったお偉いさん方に箒は心の中で悪態をつくしかなかった。

 

もしこの中から唯一反撃の手段を持っている人間を選べといわれれば、

 

(……一夏しかいない事になるな)

 

必然的に、まだ動けるISを操る一夏しか手段がないという事になる。

皮肉にも当の本人は警、察によって放たれた捕縛ネットで

身動きが取れないというおまけ付だが。

あのワイヤーさえ外せれば一夏を解放できるのだが、

流石に生身のままで一夏のISめがけて疾走した所で

途中でオータムに気づかれて射殺されるのは目に浮かぶ。

せめてワイヤーを外せるまでの間オータムの気を逸らす、

もしくは一時的でも良いので行動不能にする手段があれば良いのだが……。

 

(……ん?)

 

知恵を絞って打開策を必死でひねり出そうとしていたその時、

箒の目にはあるものが映りこんだ。

 

「あれは……?」

 

呟く箒の目線は空に向けられていた。

 

 

目線の先にあったのは、クレーンに吊り下げられている、

今にも落下しそうに潮風に晒され不安定に揺れる錆びた鉄骨であった。

見た所、錆びているのは鉄骨そのものだけではなく、

それを束ねるワイヤーも長年の放置で劣化しているのが見受けられる。

 

その瞬間、箒は閃いた。

 

(もしあれを落とす事ができたら……?)

 

箒はクレーンからゆっくりと目線を下にずらしていくと、

落下先は丁度、高みの見物をしているオータムの位置にあった。

何らかの方法であの鉄骨をオータムにぶつける事ができれば、

絶対防御の存在ゆえに倒しきる事はできなくとも、

相手に対してかなりのダメージを与えられる。

それだけではない、一夏のワイヤーを外してやる時間も十分に稼ぐ事ができる筈。

 

ではどうやって鉄骨を叩き落すか、

箒は路地から少しだけ身を乗り出して辺りを伺うと、

オータムの視線の向こう側に何とか2人をなだめた警官隊達の姿が見える。

 

何とか内輪揉めは収まったかと生暖かい目線を送っていると、

生身のバスジャック犯達の方を鎮圧すべく借り出された

防弾ベストとケプラーメットに身を包んだ特殊部隊の隊員と目が合った。

思わず箒と目の合った隊員は狼狽するが、ここで騒がれては全てが

終わってしまう事を恐れ、箒は人差し指を唇に縦に押し当て、

気づかない振りをする様にジェスチャーを送る。

相手の隊員もその意思を汲み取ったか、箒の方を向きながらも

それでいて何も気づいていないかのような自然な素振りを取り直す。

 

箒も相手の仕草を確認すると素早く路地裏に引っ込んで深呼吸した。

落ち着けという言葉を心の中で何度も反芻しながら、

高ぶる心拍数を何とかして落ち着ける。

 

やがて、心音が元のペースに戻り胸のつっかえが無くなると

箒はため息をついて額の汗をぬぐった。

まさか警察の人間と目が合ってしまうとは。

今の状況ではいつ犯人の一味と間違われ誤射されるかも分からない状況で、

よくもまあ相手が空気を読んでくれたものだと、

運の良さと相手の物分りの良さに感謝しつつ……、

 

(そうだ……彼らならば!)

 

箒は再び思いついた。 今度は鉄骨の落とし方を。

彼らならば確実にやってくれる、彼らの持つ『アレ』を使えば。

発想の閃いた箒の次の行動は決まっていた。

 

彼女は再び路地裏からオータムに悟られないようにゆっくりと身を乗り出すと、

先程状況を察してくれた特殊部隊の隊員を見つけようとする。

すると先程の隊員も再び箒と目線があった。

 

箒は人差し指でオータムの頭上の鉄骨を指差した。

特殊部隊の隊員もそれに釣られて小さく目線を上にやる。

そして数秒ほど鉄骨を眺めると視線を箒に戻し、

首を縦に振って確認の合図を送る。

 

次に箒は親指と人差し指を立て銃の形状を模ると、

それを素早く上に跳ね上げ、ゆっくりと指を元の位置に戻す。

このジェスチャーには発砲の意味が込められていた。

 

そして箒は最後に親指だけを立てた状態で握り拳を作り、

その手を上下反対にひねり、親指を下に突き下ろした。

 

隊員はしばらく考えた後、左の掌に握った右手を打ち下ろし、

箒の言いたい事を理解した旨を伝えてきた。

それを見た箒は、この状況において初めて頬を緩めると、

再び路地裏の木箱の裏に隠れた。

 

(やったぞ一夏! これで首の皮一枚はつながった!)

 

 

 

 

 

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「あーあ、喧嘩も終わっちまったか」

 

警察達の内輪揉めを高みの見物にふけこんでいたオータムは、

ようやく状況が落ち着いた警察連中をつまらない目線で見下ろしていた。

 

それにしても、男と言うのは何と張り合いの無い連中か。

いくら優れた技術、最先端の装備を身に着けて自分達の前に立ちはだかろうと、

結局は自分を含む女性達がISを装着さえしてしまえば、

現状がそうであるように男は敵を前に立ちすくむだけの存在に成り下がる。

彼女にとって男など、自分達の都合のいい道具程度にしか思っていなかった。

唯一気がかりなのは、先程まで戦っていた

ISを操る事のできる少年の存在であったが、全身を縛られて

行動不能に陥ってる今となっては取るに足らない存在であった。

この世の中、男と女が戦争すれば3日で女が世界を制圧できるといわれているが、

オータムはその言葉に何一つ疑問を抱いてはいなかった。

 

現に、今彼女の心の中では既に勝利を確信している。

頼みの綱のIS機動部隊は彼女1人な上に戦闘不能。

胸糞の悪い一夏も身動きがとれず、残りの警察達は役立たずのバスジャック犯達を

鎮圧する為に来たのだろう、そもそも対IS用の装備が

なされていない生身なのでひねり潰す事は正直たやすい。

この状況で逆転される事がオータムには想像出来ないでいた。

 

最早オータムには恐れるものなど何も無い。

折角なので、マスコミ連中の生中継もまわっている事なので

ここらでこいつらを殲滅し政府への示威行動を兼ねても良いぐらいだ。

これ以上この馬鹿な連中に付き合う必要もないし、

一思いに皆殺しにしてしまおうか?

 

オータムが考えていると、先程までもみ合っていた

警察2名の元に、防弾装備に身を包んだ人間がやってきて、

何やら耳打ちをしているようだった。

すると、話を聴き終った2人の内年老いた男の方は、

何も言わずに警察の藍色に塗装された装甲車へと足を進めた。

 

(あの野郎、何のつもりだ?)

 

怪訝な眼差しを向けるオータム。

 

勝利を確信している筈なのに、何故であろうか。

頼みの綱のラファールが戦えない今、連中には何もできない筈なのに。

落ち着いた足取りで装甲車へと足を進め、後部の扉を開く警部の姿が

オータムには何故か少々例えようの無い違和感を覚えていた。

 

 

 

 

 

「こちらを向けこの悪党がッ!!」

 

 

 

その直後、警部に気を取られた矢先に、右側から女の声がした。

 

(この声は……あのクソガキの!?)

 

オータムにとって、耳障りのする声のした方向へと振り向くと、

 

 

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」

 

 

 

ポニーテールの少女……箒が手にしていたモップを投げ捨てて

一夏達とオータムの間を横断するように全力疾走していた。

 

「正気かてめぇ!?」

 

突然の出来事に、オータムのみならず

一夏や麻耶、そして刑事と警部、ジェスチャーでやり取りした隊員を除く

その場にいたほぼ全ての人間が驚愕した。

 

「箒ッ!?」

「なんだあの女の子は!?」

「危険だッ!! 撃たれるぞ!!」

「出てきちゃ駄目ですッ!! 逃げて下さいッ!!」

 

箒に浴びせられるは悲鳴にも似た叫び声であった。

しかしそれだけの声を浴びながらも、箒は足を止めて引き返すような真似はせず、

まるで自分を狙えと言わんばかりに更に加速する。

 

「何考えてるんだか知らねぇが……」

 

周囲がパニックに陥る中、オータムもまた一夏に対してやったように

生身の人間に対してライフルを向ける事を一切躊躇しない。

オータムは箒の華奢だが一部分は立派なその体に銃口を向けると、

 

「とっとと死にやがれッ!!!」

 

アサルトライフルのトリガーに指をかけ――――

 

「やめろおおおおおおおおお!!!!」

「駄目だッ!! 間に合わない!!」

「中継をとめさせろ!!! 公開殺人になるぞッ!!!」

「嫌ああああああああああああああああああッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たった1発の乾いた音がした。

 

 

 

 

 

クラッカーの破裂するような、硝煙臭い乾いた音。

その瞬間、両側から上がっていた叫び声が一瞬で止まり、

ほんの僅かな間場が静寂に包まれた。

 

直後、オータムを除く全員が目にした光景は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体に穴が空くことも無くその場に急停止する箒と、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大量の錆びた鉄骨の下敷きになるオータムであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎゃああああああああああああああああああッ!!!」

 

トン単位での鉄の塊がオータムの頭上から降り注ぎ、

絶対防御で守られているはずの彼女の体に想像を絶するような衝撃と圧力が加わり、

酸化した鉄のフルコースを存分に堪能したオータムは鉄骨の山に埋れてしまった。

周りから上がっていた叫び声のような悲鳴が、

今度はオータム自身が上げる事になってしまった。

 

スコープとチークパッドから顔を上げ、

硝煙の立ち上るボルトアクション式のスナイパーライフルの銃口を下げるは

先程装甲車の後部扉を開けて中の装備を物色していた警部であった。

周囲の警察達は、開いた口が塞がらなくなった状態で彼を注視していた。

 

……この案を部下の特殊部隊の隊員を通して聞いた時は耳を疑った。

一見高みの見物のようでこちらの行動を監視されている中、

そんな物を持ち出して武器を構えれば、すぐさま相手に気づかれて

失敗する可能性がある事は分かっていた。

とは言え、他に状況を打開する方法が無く

このままではラチがあかないと判断して一か八かの賭けに出てみたが、

まさか件の発案者の女の子が脇道から飛び出してくるとは思わなかった。

 

しかしそのおかげで敵の目線はそちらに釘付けになり、

自身はこうしてクレーンのフックを狙撃して、相手に

鉄骨の雨を降らせることに成功した訳だが。

もしかしてあの少女は、それを見越した上で行動していたのであれば……。

 

「あのお嬢ちゃんも末恐ろしいな……」

 

女は強い、女尊男卑な現在の情勢にてよく言われる言葉だが、

確かにあれだけの大胆な行動を見せられればさぞかし説得力があろう。

 

孫娘だけはこうならないで欲しいと切に願いつつも、

警部は大胆なポニーテールの少女に心の中で敬礼を送った。

 

 

 

 

 

……………………………………………………………………………………

 

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

「一夏!! しっかりしろ!!」

 

箒は一夏に駆け寄るや否や、腰に挿したコンバットナイフを引き抜くと、

白式に絡まる捕縛ネットを切り裂こうと刃を突き立てる。

しかし、捕縛ネットのワイヤーは防刃性の高い素材で作られている為、

対人用のナイフでは切断する事ができない。

ナイフの先端の反り返った部分で抉ろうとしても、

やはりワイヤーの表面に少し傷が入るだけで切断するには至らない。

 

(ここで手間取ってる暇は無いんだ!! どうやったら外れる!?)

 

ここまで硬いワイヤーを手間をかけて1本1本切っていたのでは、

折角足止めしたオータムが復活してしまう。

確かに大量の鉄骨は敵に少なくないダメージは与えただろうが、

ISと言うものは上空から地面に急降下して激突したとしても

搭乗者を守れるように設計されている。

恐らくあれぐらいのダメージなら、機器のいくつかは破損させられるだろうが

ISそのものを擱座させるならば、もっと強力なダメージを与えねばならない。

それこそ、ISのコアを駄目にするぐらいのものが。

 

「……ネットの根元にある装置を壊してください」

 

切れないワイヤーに必死でナイフを当てる箒に、

隣で倒れていた麻耶が箒に助言する。

 

「確かにそのワイヤーは人力では簡単に切れませんが、

 付け根のEMP発生装置さえ壊せばISのパワーアシストなら

 何とか自力で脱出する事が可能になります」

「……そうなのか?」

 

言われた通り、箒はナイフをネットの付け根に突き立てると、

蓋と思わしき部分をこじ開けて、中の配線にナイフをさした。

一瞬の電気火花を散らした後、ワイヤーに張り巡らされていた不愉快な磁気は

取り払われ、同時に一夏の白式が正常に戻った事を現すHUDが浮かび上がる。

 

「……動くぞ!! 白式が復活した!」

 

重苦しい面持ちであった一夏に明るい表情が戻ると、

一夏は箒に自分から離れるように指示を出し、箒が1歩下がるや否や

自由に動かせる右手で自身のネットをつまみ、

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」

 

右手の力のみで強引に引き千切り始めた。

ISのパワーで切れるものとは言え、金属製の繊維はやはり

頑丈である事には代わりが無い。

青みのかかった艶のある繊維を跳ね上げながら、

一夏はその体にかかる拘束を一つ一つ外していく。

 

「箒! 向こうに落ちている雪片をとってきてもらえないか?」

 

体全体を捩ってネットを引き剥がしていく一夏は

右手の人差し指で鉄骨の山の直ぐ隣に落ちている両手剣を刺した。

箒は無言で頷き、一夏の為に剣を取りに走った。

 

「今更……」

 

ネットを引き剥がし、上半身は何とか動かせるようになった一夏に

負い目を感じている麻耶は伏せ目がちに言う。

 

「今更……謝って済む問題ではないですけど……

 相手の口車に乗せられたせいでこんな事になって……

 本当に、本当にごめんなさい。 どうやってお詫びをすれば――」

 

麻耶の謝罪の言葉を、右手を差し出して続きを止めさせる一夏。

 

「やってしまった事は仕方がない。 誰にだってミスはあるもんさ」

「で、でも……一歩間違えたら貴方は死んでいたんですよ?」

 

一夏は首を横に振る。

 

「だが俺は生きてる。 死なずに済んだんだからもう気にするな」

 

そう言う一夏の表情は、どこまでも力強い笑みを浮かべていた。

屈託の無い表情でそう言われては、麻耶にはこれ以上何も言えなかった。

 

 

 

 

 

「一夏ぁ……もって……きたぞぉ……!!」

 

話を終え、白式の拘束を全て外し終わったと同時に、

雪片を重々しそうな表情で引きずった箒が戻ってきた。

剣の扱いに慣れているのなら、肩に担ぐのは無理でももう少し早く

戻ってこれるとは思っていたのだが、予想以上に雪片は重かったのか、

箒は息を荒げ額に汗を浮かべていた。

 

「だ、大丈夫か箒? 息が上がってるぞ?」

「こんなもの……乙女の私に持たせるなぁッ!」

 

不機嫌を隠そうともせず箒は雪片を一夏の足元に乱暴に放り投げる。

だが元々の重量に加え、雪片を引きずった事による疲れで

投げる速度が遅かったため、両手剣はそれ程地面を滑る事は無かった。

しかし唯一の武器を取り戻した事で、ようやく一夏も戦線に復帰できそうだ。

一夏は箒がやっとの事で運んできた雪片を掴もうと腰を屈めた。

 

 

その時、鉄骨の山の一部が崩れ落ちた。

 

 

「こんの……クソガキがあ……ッ!!!」

 

 

雪片の柄を握った所で一夏の手が止まる。

崩れ落ちた鉄骨の山を見てみると、丁度中心辺りから打鉄の手が突き出していた。

そして突き出した手を乱暴に動かし、近くに積み重なっている順番に錆びた鉄骨を

自らの手で払いのけていくと、中からは顔面を自らの血液で染め上げた

オータムが呪詛のような言葉を吐きながら、怨霊さながらににじり出てきた。

 

「殺す……てめえだけはぶっ殺すッ!! もう他の人質なんぞどうでもいいッ!!!

 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すうううううううううううッ!!!」

 

理性が半分失われ、鬼気迫る表情で一夏を睨み付けるオータム。

警官達やマスコミ、傍にいた麻耶は余りの恐ろしさに圧倒されるが、

一夏と箒だけは不思議と平常心を保っていた。

 

「箒、下がっていろ……あんたも動けるか?」

 

オータムを見据えながらも、一夏は掴んだ雪片を右手の中に格納すると

箒と麻耶に安全な場所に避難するように言う。

箒は無言で肯定の意を示すように頷き、

麻耶は動けなくなったラファールを脱ぎ捨てると、

ISスーツのままたどたどしい足取りで何とか立ち上がる。

 

「いいか一夏、乙女の私にここまでさせたんだぞ?」

 

箒が一言だけ伝える。

 

「必ず勝て。 絶対だ」

「言われなくとも」

 

一夏が微笑むと、箒も同じように口元を綻ばせ、

ラファールの装着を解除した麻耶の肩を抱えるようにして路地裏へと歩いていった。

それを確認した一夏は、今度と言う今度こそ決着を付ける為、

般若のように顔をゆがませるオータムを睨み付けた。

 

「ぶち殺してやる……ッ!!」

 

息を荒げ、肩を上下にさえ動かして尋常でない怒りを露にする

オータムは手持ちの弾丸を全て撃ちつくさんと言わんばかりに、

アサルトライフルを構えながら、両足に、両肩周りに浮遊する

ミサイルポッドを全て展開。 その狙いを全て一夏へと向ける。

 

白式にミサイルの照準をロックされた旨を伝えるHUDが表示されるや否や、

それを合図に一夏はゆっくりと目を閉じる……。

右手をかざし、体中に流れる全ての気を掌に集中させ始めた!!

 

「俺のこの手が光って唸る……」

 

その瞬間、オータムも全ての武器の引き金を引き、

 

「死ねえええええええええええええッ!!!!」

 

手負いの獣のようなけたたましい咆哮と共に

残弾を全て撃ちつくさんと密度の濃いミサイルの弾幕を張り、

それこそ一夏から見てオータムの姿が

覆い隠れてしまう程の大量のミサイルを放つ!!

 

「お前を倒せと輝き叫ぶッ!!」

 

そして気の力が頂点になった時、一夏は目を見開いて

右手を握りこみ、一気に注ぎ込んだ莫大な気を凝縮すると、

生命エネルギーに満ち溢れた右手は仄かに淡い光を帯び始めた!

 

迫りくる大量のミサイル。 空中でのドッグファイトの時と比べて

倍近い量のうねる弾頭が一夏を貧り食らおうと襲い掛かる!

 

対して一夏は残されたエネルギーをフル稼働させて白式のブーストを解放し、

一気に最高速まで急加速、自らミサイルの弾幕へと正面きって飛び込んだ!!

 

先に断っておくが、今の白式は煙幕弾などといったミサイルを

撹乱できる装備は全て使い切っている。

追尾機能の高い映像識別方式のセンサーを誤認させられる手段は無い。

箒が指示してくれた時は1個1000万円の高級な煙幕弾が

存在した為、正面切って突進しながらもミサイルの被弾を回避する事ができた。

だが、それさえも持たず愚直に飛び込んだというのなら、

今度と言う今度こそ回避できる見込みは全く無い。

 

「一夏あああああああああああああああッ!!!!」

 

傍から見て半ばやけくその様な行動としか思えない一夏の急加速に

箒達は思わず一夏の名を叫んでいた。

 

 

 

 

しかし当の一夏は臆せずに、むしろ上半身をより前方に傾けて突進の勢いを速める。

 

直後、気と言う気を溜め込んだ右手を開き、それを肩を伸ばして前方に突き出すと、

一夏の右手の指の関節が引き伸ばされるや否や

光り輝くオーラが一夏の右手を中心に全身を放射状に包み込む!

 

一夏は最初からミサイルを回避する気など無かった。

一夏の右手から溢れるオーラ、それは『流派東方不敗』の

真骨頂とも言える気を操る事のできる能力。

既に説明した通り、人体には気という見えない力が流れているが

この武術を通して気を操る事により、常軌を逸した力を発揮するは勿論の事、

気そのものを纏う事により直接単純な攻撃力を高める事もできる。

『光輝唸掌』と言う技でその片鱗は見せていたが、

今一夏が放たんとしているのはその延長線上にある。

 

気とは人間の掌の先端に集中するようになっている為、

余計な装備を身につける、この場合はISを装着した状態では

ISのアームそのものが気を伝える経路としての機能を

果たさず抵抗となってしまう為、その真価を発揮する事はできない。

しかし白式の両手に標準装備され、時として両手剣としての実体化も可能な、

人工気力発生装置『雪片弐型』の内臓された右手は

一夏自身の掌に込められた気をIS用の攻撃エネルギーに転換、

ISのパワーアシストとブーストの加速度も合わさって

絶大な攻撃力として発揮されていた。

 

結果、目先に迫ったミサイルは一夏の体に1つたりとも触れる事無く

右手から溢れるオーラによってその全てが撃墜されたッ!!!

 

 

「そ、そんなのアリかあああああああああああああああッ!!!」

 

 

最後の一撃が打ち破られ、全ての望みが絶たれたオータム。

一夏の右手が届く直前、彼の目に飛び込んできた

オータムの表情は大きく目を見開き完全に凍り付いていた。

 

「食らえええええええ!!!! ひィィィッさああああああああああっつッ!!!!」

 

そして、一夏の全身全霊にして無慈悲な一撃がオータムに叩き込まれたッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 シ ャ ア ア ア ア ア イ ニ ィ ィ ィ ン グ ゥ ウ ! ! !

 

  フ ィ ン ガ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ッ ! ! ! ! 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光り輝く一夏の右手がISのシールドバリアすら貫通し、

まるで豆腐を手刀で突き破るかのごとく、打鉄の腰部装甲に食い込んだッ!!

 

「ぐはぁッ!!!」

 

常軌を逸した衝撃に悶絶するオータム。

一夏の手が食い込んだ箇所から装甲が剥がれ落ち、電気火花が散る。

オータムは一夏の突進した勢いのまま、慌てて道を譲る警察達の間を

分けるようにして押し出され、コンクリートの破片を

撒き散らしながら数10m程一直線に地面を抉る。

やがて両名が速度を殺しきると、依然オータムの腰部に

腕を突っ込ませて地面に押し付ける一夏が目を見開いて言った。

 

「ISファイト国際条約……通称アラスカ条約第1条ッ!!!

 

 『ISのコアを失ったパイロットは、失格とみなす』ッ!!!」

 

一夏は手首を捻りながら肘を引いていくと

装甲の隙間から薄紫に淡く光る鉱石が握られているのが見える。

それは紛れもないISの中枢、

通常は量子化されて見る事の適わない筈のコアであった。

物理的にはありえない筈の空間から引き抜かれる様子にオータムは青ざめた。

 

「やめろ!! やめてくれッ!!

 ISコアはこの機体の全ての動力とデータを担ってるんだッ!!

 それをもぎ取られなんかしたらッ!!」

「そうだッ!! コアのないISなど唯のガラクタだッ!!」

 

ISとパイロットが密接に繋がっていると言って、

IS自体のダメージがパイロット自身に伝わる訳ではない。

しかし腰元のパーツに腕を突っ込まれ、あまつさえコアを

鷲づかみにされ今正にもぎ取られてしまいそうなこの状況は

彼女からすれば下腹部に直に腕を突っ込まれ

子宮を引きちぎられそうになっているかのような不快感。

痛覚の無い苦痛と言えば周囲に伝わるであろうか。

 

しかし一夏はオータムの懇願を聞き入れるつもりは毛頭無い。

コアを掴む右手に力を入れて、未練がましく垂れ下がる

ISとの接続コードを強引に引きちぎる。

さながら生物における筋繊維の断裂にも見えなくも無い。

打鉄の間接部から漏れる火花と黒い煙、

周囲に展開されるノイズ交じりのホログラムディスプレイには、

機体の損傷が臨界点を突破した警告インジケータが無数に表示される。

自身の手足のように軽快に動いていたISが、

機体の倍力効果が失われ今や重苦しい拘束具と化していた。

 

全身の力が抜け落ち、膝をつきながらも

必死で重たい腕を伸ばして一夏の右手を掴もうとするも、

しかし核に相当する部分が抜き取られつつあるISの力など

年老いた老婆の力さえ発揮できない。

段々とそれは、オータム自身の力が抜き取られていくようにも感じられた。

 

「嫌だぁ!! 女が男に負けるなんてありえねぇ!!

 お前ら男と戦争したら3日で女が勝つんだッ!! それをこんな――」

「まだそんな事を言ってるのか」

 

一夏はコアを握る右手に白式の手の方が軋みかねない程の握力を込め、

静かに言い放つ……

 

「男が偉いか女が偉いか……そんな事はどうでもいい」

 

一夏にとって、相手が男であろうと女であろうと関係ない。

世界を回り、老若男女を問わず戦いながら、

幾多の修行を積んできた一夏にとっては性別の差など些細なものであるからだ。

心身を鍛錬し、己の全てを掛けて闘う事こそが格闘家の本懐。

目先のオータムのように最強の兵器が扱えるのが女性だからと、

立場を振りかざし胡坐をかくなどと愚の骨頂。

 

旅の果てに一夏が見出した答え、それは――――

 

 

 

「 誰 が 強 い か だ ッ ! ! 」

 

 

 

一夏は口やかましい敗者(と書いてオータムと読む)に引導を渡すべく、

とどめの一撃と言わんばかりに豪快に打鉄のコアをもぎ取った!

 

「がああああああああああああああッ!!」

 

断末魔の悲鳴を上げるオータム。

その瞬間、打鉄の全身から火花が飛び散ると

黒い煙が全身から吹き上がり、展開されていた

ホログラムディスプレイが全て同時に消滅、打鉄は完全に機能停止した。

 

「あ……ああ……!!」

 

駆動力が全て失われ、今度と言う今度こそ重苦しい死に装束と化した打鉄。

体の中身と言う中身を生きたまま抜き取られたかのような

おぞましい感触に、オータム自身は目立った外傷が

殆ど無いにもかかわらず苦悶の表情を上げ、

 

「畜生……男……なんかに……」

 

薄れ行く意識の中精一杯の捨て台詞を吐き、白目をむいて前のめりに倒れこんだ。

女性に一騎当千の力を与える機動兵器も擱坐してしまえば、

それはスクラップと言う名の棺桶、アイアンメイデンそのものであった。

 

放心状態のオータムを見下ろし、もぎ取った打鉄のコアを投げ捨てると、

一夏は何も言わず無様に地に伏せるオータムに背を向け、

二度と振り返る事は無かった。

 

 

 

 

 

……………………………………………………………………………………

 

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

その後の展開は実にスムーズに進んだ。

頼みの綱のオータムが敗北のショックで心を折られた事により

力ない表情のままあっさりと警察に身柄を拘束された。

それを受け、いまだ混乱の最中にあった残りの犯人達は

何1つ抵抗する事無く投降、IS同士の戦闘に巻き込まれた事で

死人こそ出ていないものの少なくない怪我人を出し、

統率を失って戦力が激減した事が大きな理由であった。

 

捕まっていた残りの人質達はあの乱戦の最中、

閉じ込められていたであろう倉庫が奇跡的にも無傷だった為、

犯人達とは異なりこちらは死傷者1人出す事無く無事救出され、

丁度正午の時間帯にて事件は無事収束した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「疲れた」

 

傷だらけの白式から降りた一夏が最初に発した台詞がこれだった。

犯人が手錠を掛けられて護送され、一部は担架に運ばれ病院へと

搬送されていくのを遠目に眺めて呟いた。

 

「全く……緊張が解けたからと言って弛み過ぎているぞ?」

 

それを傍らで立っていた箒が微笑を浮かべながら言う。

 

「しょうがないだろ? 闘いは終わったんだし、少しぐらいリラックスしても」

「だが格闘家に安息の日々はないと言うぞ? ほら見ろ」

 

箒は指を刺して一夏の視線を誘導する。

箒の指先にあるものを眺めると、そこには後からやってきた

各局のテレビ局の取材班が件の警部を取り囲んでごった返しとなっていた。

 

「事件の取材だろ? あーあ、後で俺達もマスコミからの質問攻めか」

「事件の取材『だけ』で済めば良いのだがな」

 

含みを持たせた箒の一言に、一夏は首をかしげた。

すると、取材班のうちの1人が一夏達の姿を見つけると、

我先に今日のワイドショーの格好のネタに群がってきた。

 

「織斑 一夏君ですかッ!?」

「世界で初めて男でISを動かしたのは!?」

「ご覧下さいッ!! 彼が男でありながらISを動かし、

 あまつさえ武装したテロリスト達へと勇敢に立ち向かった少年です!!」

 

一夏の周囲からひっきりなしに飛び交う質問と絶え間ないストロボの閃光。

女性にしか動かせないISの常識をひっくり返したヒーローの姿を

生中継で全国に送り届けようと色めき立つカメラマン達。

 

「あ……そう言えば、そうだっけ」

「もう少し自覚を持て、お前ある意味世界をひっくり返したのだぞ?」

 

闘いに没頭する余り、一夏は自分が世界初の

男性のIS操縦者である事を今更ながらに思い出した。

分かっていた筈の世間の反応を目の前に突きつけられ面食らう様子に、

箒は幼馴染の態度に呆れる余りため息をついた。

 

 

 

 

「失礼」

 

報道陣を手で分けながら、先程別の報道陣の質問に応対していた

若手の刑事が一夏の前にやってきた。

周囲を囲むカメラマンが一夏達の左右に移動し、

丁度3人が左右に並ぶようなカメラアングルで撮影を続ける。

 

「刑事の山田 守(やまだ・まもる)だ。 妹の麻耶が粗相をしてしまったようだ」

 

そう言って山田刑事は頭を下げ、

 

「済まなかった……そして、助けてくれてありがとう」

 

一夏と箒に謝罪と感謝の言葉を述べた。

妹の麻耶の粗相……妹と言う単語に一瞬理解に苦しんだ一夏だが、

 

「あのラファールのパイロット……ですか?」

 

箒にはそれが誰だか分かっていた。

山田刑事は無言で頭を縦に振る。 肯定らしい。

成る程、あの機動部隊の女はこの刑事の妹だったのか。

頭の中で一夏はそう解釈していると、

 

「一夏、この場は任せた。 今日の主役はお前なのだからな」

 

箒は適当に手を上げて、山田刑事の手を引いて我先に退散した。

 

「おい!! ちょっと待てよ箒――――」

 

慌てて箒を呼び止めようとするも、一夏への質問を待ちわびた

取材班が改めて多数のマイクを取り出すと、押し競饅頭さながらに

一夏へと詰め寄り、消耗しきって

体力の無い一夏は身動きが取れなくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

「ここなら大丈夫か」

 

箒は山田刑事と共に警部がライフルを取り出した装甲車の影に隠れ、

自身の姿が取材班の目に映らないようにした。

自分が今から聞き出したい事を、あの場で質問するのは

余り宜しくは無いだろうと言う判断からの行動であったが、

当の山田刑事は何故、この場所に手を引っ張ってきたのかわからないでいた。

 

「山田刑事」

 

そんな彼をよそに箒は刑事の名を呼んだ。 あくまで真剣な表情で。

 

「彼女は、機動部隊の麻耶さんはどうなるんですか?」

 

箒の聞きたかった事とは、やはりオータムの嘘に踊らされた

哀れな機動部隊の女性の事であった。

 

「……あいつの事を心配してくれてるのか?」

 

箒は無言で頷いた。

 

「恐らくは更迭だろうな。 今回の失態の様子は

 破損したISの記憶領域に映像データとして記録されている。

 近い内に何らかの形で処分を下されてしまうだろう」

「それでは……厳罰を!?」

 

驚きの大声を出す箒。 慌てて口元を閉じるが、

彼女の言う『厳罰』とは懲役や賠償金等の所謂

実刑のニュアンスを込めている。 無論、箒や遠目でマスコミに追われる一夏は

麻耶を追い詰める事は良しとしないが、どこか後ろめたい箒の考えを

汲み取ったかのように山田刑事は首を横に振った。

 

曰く、そこまでの責任を彼女1人に押し付けるのは警視庁も良しとはしない筈。

技量はあれど実戦経験の浅い麻耶をたった1人で出動させた負い目がある上に、

犯人も犯人で余りにも悪辣なやり方で彼女を陥れた事実も

マスコミの中継によって明るみとなっている。

 

事実、山田刑事に取材していた報道陣も、麻耶の事に関しては

判断ミスは咎めつつも、置かれた状況に対しては同情的な意見を寄せていた。

世間の反応を踏まえて、なるべく穏便に済ませようとはするかもしれない。

それらを付け加えて刑事は言った。

 

「それよりも、あいつは……麻耶は昔からデリケートな奴だ。

 もし今回の事件で、1番の被害者である彼がこの事を根に持っていると

 気に病んでいるかもしれない。 その事が唯一の気がかりだ」

「なら、少なくとも一夏自身は気にしてないと思いますよ?」

 

言葉を遮って箒が笑みを浮かべ、いまだに

取材班の人だかりに揉まれている一夏を遠目に一瞥して言った。

 

「恐らくは既に同じ事を彼女に言っていると思います。

 彼は良くも悪くも大雑把で、細かい事を気にしない性格です。

 それに彼女も主犯格のあの女と違って、

 殺さずに相手を捕まえるという行動をとったからこそ、

 一夏は死なずに済んだ訳ですから……」

 

無事解決した以上、もう責任を感じる必要は無い。

そう付け加えて箒は締めくくった。 それを聞いた山田刑事は安堵の息をつく。

 

「そう言ってくれると助かる。 少し気が楽になったよ」

「但し、今度と言う今度は早とちりは無しですよ?」

 

悪びれた笑みを浮かべる箒の皮肉を利かせた一言に、山田刑事は苦笑を浮かべた。

 

「それじゃあ事後処理があるから失礼する。 何かあったらまた呼んでくれ」

「分かりました」

 

山田刑事は箒の元を立ち去ろうとした。

が、数歩足を進めてと立ち止まると、箒の方を振り返り、

 

「……本当にありがとう」

 

心の底からの笑顔を浮かべ、もう一度だけ箒に感謝の言葉を告げ、去っていった。

 

 

 

 

(……さてと)

 

妹の事でかなり気に病んでいたのは表情を見てすぐに分かったが、

これで少しは彼のわだかまりも幾分マシにはなったであろう。

無事にアフターケアを済ませた箒は一夏の方を振り向いてみると、

 

「待って下さいッ!! まだ幾つか質問が!」

「最後のあの技は何なんですか!?」

「IS学園への入学は!?」

 

「もう勘弁してくれええええええええええ!!!!」

 

なけなしの体力を振り絞り、必死の形相で取材班の

集中攻撃から逃げる何とも情けない幼馴染の姿があった。

あれだけの激闘の後にまだ走れるだけの体力があったのには少々驚いたが、

しかしこれ以上体力を消耗させては本当に一夏は倒れてしまう。

可笑しなものを見るように微笑みながらも、箒は今日1番の功労者である

一夏に助け舟を出すべく、再び慌しい撮影現場へと戻っていった。

 

「これからが大変だぞ、一夏」

 

春先の潮風をその身に感じながら、一言だけ呟いて。

 

 

 

                                  第1話 完

 

 




後書き
ISファイト国際条約……通称アラスカ条約7ヶ条。

第1条……ISのコアを失ったパイロットは失格とみなす。

第2条……シールドエナジーが底をついたIS及び
     パイロットに追い討ちを掛けてはならない。
     (過失によるパイロットの死亡は事故として扱われる)

第3条……戦意を失わなければ、ISが再起不能にならない限り
     ISパイロットとしての資格を剥奪されない。

第4条……ISパイロット、
     特に専用機持ちは己のISを守り抜かなくてはならない。

第5条……1対1の戦いが原則である。
     (タッグマッチ及び団体戦、あるいは実戦においてはその限りでない)

第6条……特定の国家代表及び代表候補生はその威信と名誉を汚してはならない。

第7条……空がリングだ!
     (原則として許可無しでのISの私用は
      認められないが、有事の場合はその限りではない)




……あともう1話分だけおまけがあります。
ここまで付き合って下さった皆さん、もうしばしのお待ちを。
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