大きくリメイクしてるので是非、必ず読んでください。
何とか凛を落ち着かせた嵐助は、ここじゃ何だという事でメトロン星人に連れられ、凛と共にあるアパートにやって来た。
そこはレトロな古めかしい木造建築のアパートで、人の気配が全くしない。
恐らく棄てられたアパートなのだろう。
そこにメトロン星人は不法侵入で住み着いていた。
「入ってくれ」
メトロン星人に案内されるがままの現在、2人は丸テーブルを挟み、メトロン星人と向き合っている。
「さて、喉が乾いただろう。これを飲むといい」
そう言って、メトロン星人は冷蔵庫から『メトロン茶』と書かれたお茶を出す。
当然、嵐助と凛は怪しむ。
そんな二人を放ってメトロン星人はお茶を飲む。
「ふぅ~。美味ちぃ~。……そんなに怪しまなくても、毒なんて入ってないよ♪」
可笑しそうに笑うメトロン星人。
嵐「お前も宇宙人なんだろ?やっぱり侵略目的なのか?」
戯れ言を無視して本題を切り出す嵐助にメトロン星人はため息を1つ吐いた後、ゆっくり話す。
「私がここに来たのはね、バルタン星人に連れてこられたからなんだ」
嵐「何だとッ!?」
凛「じゃあ、やっぱりあなたは侵略者なの!?」
メトロン星人の言葉に嵐助は驚き、凛は質問する。
だがメトロン星人は否定する。
「最初はね……。だが、この世界の地球に潜伏している内に、ここから見える夕陽に惹かれ、スクールアイドルというのにも興味が湧いた今はその気が失せてね……。今じゃそこらへんにいるただの住人だよ」
凛「そうなんだ……」
凛が得心すると、セブンが訊ねる。
『ではもう1つ。お前達はどうやってこの世界に来た?』
「簡単な事だね。私も君達と同じさ、ウルトラセブン。灰色のオーロラ、それを通って来たのさ。バルタン星人はどうやってるかは知らないが、その内の1つを維持していて、そこから怪獣を送り込んでいる」
嵐「嘘じゃないだろうな?」
「嘘をつく必要がどこにある?」
嵐助が睨みながら訊ねるも、メトロン星人は表情の変わらない顔で飄々と否定する。
(どう思うセブン?)
『恐らく嘘は吐いてないだろう。今の現状では、奴の言うことを信じるしか無い』
元々は敵である筈のメトロン星人。
そんな者の言うことを真に受ける程、セブンも嵐助もバカではない。
とは言え、全く信じないという訳にもいかず、結果としては半分疑惑、半分信用するしかなかった。
そんな2人の心境を気にする事の無いメトロン星人は続きを話す。
「さて、その灰色のオーロラが現れた原因だが、何者かが自由に我々のいる世界を始め、色んな世界を渡り歩いたことが原因らしい」
これは有益で新たな情報だ。
バルタンが元凶とは言え、この状況を作り出した犯人が知れるのはいい事だ。
凛「それは誰なの?」
「そこまでは分からん。ただ、その者は今はこの世界にいる。これは間違いない」
犯人の正体は分からずとも、潜伏してる居場所が知れたのは収穫に等しい。
セブンが僅かな収穫に思考を張り巡らしている時だ。
メトロン星人が嵐助に訊ねる。
「次は私の番だ。寺獄 嵐助君、君は何のために戦っているのだい?」
「そんなの簡単だ。俺もウルトラマンの一人だからだ」
「でも他にもウルトラマンはいるじゃないか」
「……はっ?」
一瞬、僅かに嵐助の思考が止まった。
今まで嵐助は自分がセブンだから、ウルトラマンの一人だから戦っていた。
でもウルトラマンは嵐助以外にもいる。
更に言えばセブンが嵐助に拘る理由も無い。
その問いに、嵐助は答えられず、そんな嵐助にメトロン星人は畳み掛ける。
「ウルトラマンだからという理由なら、君じゃなくても他の者が戦えばいい。君が戦う理由は、本当にそれだけなのか?」
「それは………」
完全に嵐助の思考と言葉は止まった。
何故なら彼は今までそれだけの理由で、後は何となくで戦っていたからだ。
「俺の戦う理由………」
嵐助は頭を抱える。
『メトロンめ……余計な事を……』
セブンはメトロンに僅かな不満を抱き、凛は頭を悩ます嵐助を心配そうに見つめる。
そんな時だ。
ドズゥゥゥゥン!! という地響きと共に怪獣らしき咆哮が聞こえた。
「ギュモオオオオォォォォォォ」
その鳴き声にビクリとした凛と嵐助は慌ててアパートの窓を開けて外を見る。
そこには肉塊のような身体に爬虫類を思わせる体表を持つ怪獣、『パラサイト宇宙生物・ペジネラ』がいた。
「ギュモオオオオォォォォォォ」
嵐「チッ!」
嵐助はほぼ反射的に『ウルトラアイ』を取り出すが、ここに来てメトロンに言われた事を思い出す。
自分が戦う理由、自分じゃなきゃダメな理由。
それは未だに嵐助の心で渦巻いており、嵐助は思わず手を止めてしまう。
それでも迷いを振り払い、ウルトラアイを目に装着した。
嵐「デュワッ!」
嵐助は赤い光に包まれると、アパートを飛び出して上空に浮遊、そこからウルトラセブンとして実体化した。
ドズン!! と音を立てて地面に着地するとボクシングのような構えを取った。
「フッ!」
「ギュモオオオオォォォォォォ」
ペジネラは開幕に口から緑色の粘液を発射。
打ち上げ花火のような音を立てて舞い上がったそれは、上空で弾け、セブンに降りかかる。
セブンはそれを『アイスラッガー』を右手に持って全て叩き斬る。
しかし斬り溢した液体から小さなペジネラが凛達のいるアパートの前に着地。
「キュイィィィィィィ!!」
凛「ひっ!?」
地味にグロテスクなその姿に凛は小さく悲鳴を上げるも、小さなペジネラはやって来たアイスラッガーがぶつかって即死した。
舞い戻ってきたアイスラッガーを頭部に戻すセブン。
ペジネラは次に大きくジャンプ。
セブンもそれに合わせてジャンプしてペジネラに向かって行くが、接するその瞬間に身軽な動きを見せたペジネラの蹴りを貰って吹き飛ぶ。
「デュアァァァァァァ!?」
地面に背中から落ちたセブンとは対称に、ペジネラは綺麗に着地する。
嵐『ぐっ……くそったれ……』
セブンの中で毒づく嵐助。
やはり彼は本調子では無かった。
気にしないように心掛けていたが、やっぱりふとしたタイミングで思い出してしまう。
それが今一戦いに集中出来てない一因だった。
そんな迷える少年に、同じく迷える少女の声が轟く。
凛「嵐兄ぃ!頑張って!」
「フッ!?」
思わず凛の方に顔を向けるセブン。
凛「難しい事なんて、凛には分からない……でもね!戦う理由なんて人それぞれなんだよ!今無いなら後から見つけていけばいい。だから立って!!」
なんの根拠も無い言葉だった。
頼りない言葉だった。
説得力の欠片も無い言葉だった。
それでも……
嵐『…………最悪だ。一番大事な事を忘れてたぜ』
彼の力にはなった。
嵐助は足に力を込めると、何とか立ち上がる。
嵐『俺の戦う理由はウルトラマンだからだけじゃない。この手で凛を守りたいから!そして!愛と平和を胸に生きていくために、俺は戦う!』
そして掌に拳をぶつけると高らかに叫ぶ。
嵐『今の俺は……負ける気がしねぇ!!』
寺獄 嵐助の迷いは断ち切れた。
その事にメトロンは関心するような声を上げ、凛は嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「ほう……どうやら私の見る目は衰えていたらしいな。気づいてなかっただけで、彼にもちゃんとした理由はあったのだな……」
凛「えへへ~♪だって嵐兄だからね!」
セブンが再び構えるのを見たペジネラは、両手を合わせて放つ緑色の破壊光線を連発するも、セブンはそれを連続バク転で軽快に避け続けていく。
数発放って一旦止めたペジネラは、再び小型ペジネラ入りの粘液を発射。
それは丁度バク転し終えたセブンに降りかかる。
「デュッ!?」
嵐『うおっ!? 気持ち悪ぃな……』
嵐助が心の底から言うと、セブンは体を横に高速回転させ、粘液を散らせる。
そして高速回転してる途中にアイスラッガーを発射。
ペジネラはそれを見事にキャッチするも、続いてやって来たセブンの右ヤクザキックを喰らい、アイスラッガーを自身に突き刺してしまう。
「ギュモオオオオォォォォォォ!?」
後退するペジネラをセブンは再び右ヤクザキックで上空に吹き飛ばすと、両手を額に当てて『エメリウム光線』を発射。
「デュッ!!」
エメリウム光線はペジネラに直撃し、ペジネラは爆散。
因みにセブンに散らされた粘液に潜んでいた小型ペジネラも消滅した。
全ての行方を見届けたセブンは両腕を胸の前で交差すると、嵐助へと戻った。
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ペジネラとの戦いを終えて凛と合流した嵐助は、メトロン星人からいつでも遊びに来ていいという旨と、凛達を応援している旨の言葉を聞いた後、凛と共に夕焼けの路地を帰っていた。
「でも良かったね~?嵐兄に戦う理由が見つかって♪」
「凛のお陰だ。ありがとな?」
嵐助に礼を言われた凛は顔を少しだけ赤くして、頬を掻きながら言う。
「そんな………凛はただ思った事を言っただけだよ」
「それが助けになったんだ。やっぱり凛はリーダーに向いてるよ」
サラッと自然にフォローしたつもりなのだが、やはり凛はあまりいい顔はしなかった。
「そんな事無い……そんな事無いんだよ、嵐兄……」
迷える少女はまだ迷路から抜けられ無かった。
それを見た嵐助はある決意をする。
(凛………お前の迷いは俺が必ず断ち切ってやる。お前が俺の迷いを断ち切ってくれたように……)
嵐助は料理バカである。
しかし受けた恩は必ず返す。
そんな義理堅い少年なのである。
◎sideoff
竜司side
海「次こそ……次こそ勝ちます!!」
そう言って、海未は勢いよくことりに手札を示す。
何をやっているかと言うと、ババ抜きである。
何故修学旅行に来てまでババ抜きをやっているかと言うと、今日も今日とてどんより曇りの大雨天気だからである。
因みに俺と穂乃果、盾と朱雀は上がってるので、ことりと海未の一騎討ちになっていた。
ことりは自分から見れば裏になっているカードを、海未の顔を見ながら選ぶ。
「え~と、う~ん……こっちかな~?」
ことりが右のカードを取ろうとすると、海未は「はぁ~っ♪」とあからさまに嬉しそうな笑顔になる。
こりゃまた海未の敗けで終わるな。
海未の表情でババがどっちにあるか分かったことりは、容赦なく左のカードを取った。
こ「えい♪」
海「うわあっ!?」
おい海未、その変顔は止めろ。
変顔しながらショックを受けるな。
こ「やったぁ!! 上っがり~」
「「いぇ~い!!」」
穂乃果とハイタッチして喜ぶことりに対し、海未の表情はやはり優れない。
それもそうだろう。
何故なら何度目か分からない程に連敗してるのだから。
海「どうして負けるのです…!」
カードを握り潰す海未。
「「ひっ!?」」
穂乃果とことりが怯える。
これはまァ、仕方ない。
竜「カードに当たンなよ」
海未は小学生の頃から何も変わってない。
こいつはババ抜きをするとどうしても顔に出てしまうのだ。
だから海未がババを持っている場合、顔を見ればまず100%負ける事はない。
海「何より盾にも負けるというのが納得いきません……!」
盾「海未、ちょっと表に出ようか?隣の無人部屋で朝まで語り明かそう」
おい盾、お前目がマジだぞ。
自然に侮辱されて腹立つのは分かるが、落ち着け。
つーか、隣の無人部屋で一体ナニする気だ?
げんとくんする気か?
こ「もうそろそろ、寝た方がいいんじゃ無いかな……?」
ことりが提案したその時だ。
コンコンとドアがノックされた音が聞こえた。
竜「誰だァ?」
穂「竜ちゃん、一応ここ私達の部屋だから」
「おーう、ちょっといいか?」
やって来たのは山田の先公。
盾「どったの山ちん?」
「山ちん言うな。それよりも大変な事があってな……」
こ「大変な事って?」
「それがだな―――」
その内容は驚くものだった。