のんびり天使は水の中 作:猫犬
普段はデート・ア・ライブのss方を書いてます。
ノリと気分と思い付きで始めてみました。続くか否かは未定ですけど。
『じゃぁね、よはね~、まるちゃん。またあした~』
『うん。じゃぁね、さりちゃん。またあした』
『さりえる、またね』
『沙漓、ここに隠れていなさい』
『えっ?』
『いいわね』
『おい、来てくれ。こんなところに子供がいるぞ』
『……』
『瓦礫で足が、それに煙を吸い過ぎている……早く病院に!』
『さりちゃん、これからは一緒に暮らすんだよ』
『ん?おとうさん、おかあさんは?』
『それは……』
~☆~
「沙漓?大丈夫ですか?」
「ん、ん~……ふわぁ。あっ、寝ちゃってた」
昔の夢を見た僕は目を覚ますと、荷物が入った段ボールに突っ伏して眠ってしまっていたようだった。そして、嫌な夢を見たことで冷や汗をかいていたようで、段ボールは濡れていた。そんな僕を大家さんとの手続きを済ませて戻って来たお姉ちゃんが慌てた様子で声をかけ、手に持った段ボールを床に降ろす。
ここは静岡県沼津市にあるアパートの一室。今年から高校生になるにあたってこっちに引っ越してきた、というよりは戻って来たぁ?感じだった。あまり覚えていないけど幼稚園の頃はこの辺りに暮らしていたらしいから。こっちに越してきた理由は、僕の体調のせいで自然豊かな場所じゃないと厳しいこと、両親は仕事の問題上引っ越すわけにはいかず、高校生になるから一人暮らしも視野に入れたらこっちがちょうどよかったから。加えて生まれ故郷だから。
「なるほど、こっちに戻ってきたことで昔のことを思い出してしまいましたか」
「うん……でも、大丈夫だよ。もう高校生になるんだからねぇ」
「はぁー、荷ほどきは私がやりますから、沙漓はゆっくりしていていいですよ」
「ん?いや、僕の荷物なんだし、お姉ちゃんにだけ任せられないよぉ」
「そうですか?まぁ、無理はしないでくださいね。と言う訳で、段ボールを運ぶのは私がやるので、沙漓は段ボールの中身を出して部屋作りをしちゃってください」
「はーい」
お姉ちゃんは僕の体調を気遣ってくれたけど、ただ単に眠くなっちゃっただけだし、体調も安定してるから平気かなぁ?あの頃の夢も曖昧にしか覚えていないから平気だろう、と思いながら、枕にしていた段ボールを開封する。お姉ちゃんに運ぶのを任せるのは悪い気がするけど、たぶん途中でバテるからおとなしく従う。それで、さらに面倒をかけたくないしぃ……。
「ふぅ、これで持って来た荷物は全部ですね。家電は少し遅れてくる予定ですし、段ボールの開封を私もするとしましょうか……って、こんなものまで持ってきていたんですか」
「えー、これ気にいってるんだもん」
早速開けた段ボールの中を見てお姉ちゃんは呆れたような顔をされた。その中に入っていたのは、段ボールいっぱいに詰め込まれた本だった。ちなみにもう一箱あるけどぉ……。
「まぁ、趣味をとやかく言う気は無いからいいんですけどね」
「あれ?いいんだぁ」
「さぁ、口を動かしていないで手を動かしてください。いつまでも終わらないですよ」
呆れたのに、結局はそれ以上言わないので、首を傾げていたら注意されてしまった。納得いかない。お姉ちゃんが振って来たのにぃ……。
そんな感じで時々口を動かしながら(手はちゃんと動かしてる!)作業を進めていき、無事家電も運ばれてきてなんだかんだで終わる頃には日が傾いていた。
「やっと、終わったぁ~。お姉ちゃん、ありがとねぇ。手伝ってくれてぇ」
「どういたしまして。思っていたよりは早く終わりましたね。さて、出かけますか?夕飯もなんとかしないとですし」
「あっ、そうかぁ。食料全く無いんだったぁ」
無事終わったことに安堵したのもつかの間。食料は現地調達の予定だったため、今現在この部屋には一切食べ物がないことに気付いた。今気づいたことにお姉ちゃんは苦笑いを浮かべると、僕は慌てて外に出るために荷物を纏める。といっても、財布とスマホをポケットに入れるだけだけど。
~☆~
「では、沙漓。きちんとした生活を心がけて、時々でもいいので連絡するんですよ」
「うん、その辺はちゃんとやるつもりだよぉ。だから、そんなに心配しないでぇ」
明日大学の用事があるとかで、お姉ちゃんは帰ることになり、見送るところだった。明日予定があるのなら、こんな時間まで付き合わなくてよかったのに。
そんなことを言ったら「気にしなくていい」と言われちゃったけど。
「あっ、夏休みには一度戻って来るんですよ」
「もちろんそうするぅ。たぶん、六月の終わりから七月の初め位かな?秋葉に行くと思うからぁ……」
「ああ、そうでしたね。まさか、ここまで好きになるとは。では、そろそろ電車が来るので行きますね」
「うん、じゃぁねぇ」
手を振って見送り、お姉ちゃんは改札を抜けていった。
「さて、明日はこの辺の探検かなぁ?っと、早く帰らないとぉ」
一人呟いてから、時間が時間なことに気付いて駅を後にして、近くのスーパーで明日の朝食やらを買ってから帰路につく。
そして、アパートの前に着くと、隣に立っているマンションから少女が一人出てきた。
年は同い年ぐらいで、少し青めの黒髪の一部を右側で団子に纏めているのが特徴だった。
普段なら別に気にせず素通りするんだけど、その少女はどこかで見たことがある気がしたから足を止めていた。少女の方も僕が見ているのに気付いて固まる。結果として、正面から顔を見ることができた。
「あれ?真っ白だぁ……でもぉ……」
「ん?なに?」
少女を見て珍しいことがあったからボソッと呟いたら、少女に首を傾げられた。やばっ!これじゃ、ただの変な人に思われる……って、あれ?もしかして。
「善子ちゃん?」
「えっ!?」
じーっと見ていたら、誰なのか気づいた。幼稚園の頃に一緒に遊んでいた少女だと。髪の色とか団子の位置とかでなんとなくわかった。まぁ、それ以前に時々もう一つの姿は見てたけど。まさか、沼津にいたとは。他人の空似かと思っちゃった。
突如僕が名前を言ったことで、少女――津島善子ちゃんはポカーンとしていた。
「えーっと、どちら様?」
どうやら僕のことがピンと来ていないようで、そんな返答をした。まぁ、幼稚園の時振りだから覚えてないのが普通ではあるけど。僕の場合は、あの頃の夢を昼に見たから思い出せたわけだし。
「沙漓だよ。園田沙漓。幼稚園の時振りだけど……」
「さり?……ってまさか、サリエル?はっ、まさか私を天界に連れ戻しに来たのね」
「私は天使じゃないからね……」
簡易紹介
・七月七日生まれの十五歳
・高校一年生
・こげ茶の長髪で、普段はポニーテールにしている。
・一人称が"僕"
・元々は沼津辺りに住んでいたが、引っ越しで沼津を離れて、高校で再び沼津に帰還。
・大学生の姉がいる。
身長やらスリーサイズやらは全く決めていません。
善子のマンションの隣にはアパートは本来ありませんが、そこはあるという感じで。
基本的に思いついたら書いていくので、投稿は不定期です。できれば週一にしたいけど、たぶん無理なので、のんびりと。
では、ノシ