のんびり天使は水の中 作:猫犬
番外編なので本編とはあまり関係ないです。
「そろそろユニットでの活動も視野に入れた方がよさそうですわね」
もうすぐ夏休みになる活動日のある日。部室に全員が集まるとダイヤさんがそう言った。そろそろと言ってるけど、Aqoursが九人になってやった夏祭りのイベントから一週間も経っていない。
まぁ、お姉ちゃんたちも三つのユニットに別れて活動していたこともあって、案としてはいいと思う。Aqoursもµ’sと同じで九人だしね。
「いいと思う。私は賛成だよ」
「賛成ではあるけど、曲は平気なの?µ’sと同じなら三ユニットで、同時進行で三曲作らなきゃだけど」
「確かに大変ではあるけど、やりがいはあるよね」
ダイヤさんの案には皆も大小差はあれど賛成のようだった。作詞・作曲・衣装の心配もあるけど、それはみんなで協力すれば平気なはず。と言う訳で、ユニットのメンバー分けをしなくちゃなわけだけど問題が一つ。
「それで、どうやって決めるんですか?」
「そうですわね。一番は話し合いで決めるでしょうけど、コンセプトもなく決めるのは難しそうですし……」
「じゃぁ、くじで決めてみる?」
「そんな決め方でいいのかな……」
「でも、それ以外にいい方法もないよね」
「そうずらね」
「じゃぁ、とりあえずくじ引きで決めちゃいましょうか」
そう言って、なんだかんだでくじ引きで決めることになり、適当な紙に番号を書いて引くことになった。
「あ、1番だ」
「私は2番だね」
「3番だ」
九人がそれぞれくじを引くと、こうして三ユニットに別れた。
結果、千歌さんと曜さんとルーちゃんの組、果南さんとダイヤさんとマルちゃんの組、ヨハネと梨子さんと鞠莉さんの組となった。
あっ、µ’sと学年の分かれ方は一緒だ。
「で、分かれたけど、これで良かったのかな?」
「いいんじゃないんですか。いつまでたっても決まらなそうですし。それよか、ユニット名とか決めないと」
「あ、そっか。んと、ユニットごとに分かれて決めよっか」
千歌さんがそう言って、各々一か所に集まって話し始める。さて、僕はどうしよ。
そんなことを考えながら机に突っ伏して皆の会話を聞く。
「私は断然エリーチカのいたBiBiのようなユニットを」
「コミックユニットは嫌ずら」
「でも、このメンバーだとどっちかと言えばリリホワ寄りの気がするけど?」
「花丸さん、BiBiはコミックユニットではありませんわ。おしゃれ系モデルユニットですわ」
どうやら、ダイヤさんはBiBiのようなユニットを目指したいみたいだけど、二人的にはあまり乗り気ではなさそうだった。まぁ、二人ははっちゃけるというよりはゆったり系とかの方が好きそうだけど。
「曜ちゃん、ルビィちゃん。私たちはどの方面にする?」
「そうだね。方向性を決めないと名前も決まらないよね」
「ルビィは王道系がいいと思う」
「あっ、それいいかも。じゃぁ、そっち系にするとして……」
「名前だね……」
千歌さんたちの方はあっさりと方向性は決まった訳だけど、名前は難航しそうな感じだった。
「私たちはどうする?」
「もちろん、堕天使たる私がいるから、堕天的なユニットよ」
「そうよ。マリーはrockでhardなユニットがいいわね」
「堕天的って?それにロックって……私にはどっちも」
梨子さんたちの方は個性が強い二人がいるから難航しそう……それに暴走気味だから梨子さんへの負担も大変だし。
というか、このグループ分けは地味な心配があるなぁ。まぁ、そこは各自で頑張ってもらうとしてだけど。
「まぁ、ユニット名は追々決めるとして。梨子さん、作曲は問題ないでしょうか?」
「えーと。一応、曲のイメージさえもらえればなんとかなると思いますけど……歌詞はどうするんですか?」
「それは、各ユニットでいいんじゃないの?曜の方はどう?衣装三パターン必要だけど」
「それは、みんなにも手伝ってもらえばなんとかなるかな?」
「まぁ、それなら問題ないですね。その辺は追々詰めていくとして練習に入りましょうか」
とりあえず、衣装やら作曲やら作詞をどうするかが決まり、練習をすることを提案する。
僕の提案に皆同意を示すと、ユニット会議第一回は終了し、練習が再開された。
~☆~
練習が終わり、家に戻って来てのんびりしていると、ヨハネに呼び出された。なんでも、重大な問題が発生したとかなんとか。
それで、ヨハネの部屋に行くと何故かそこには梨子さんと鞠莉さんがいた。
「あれ?二人がいてこのメンバーってことは?それに重大な問題って?」
「ええ。ユニット会議よ。他は方向性だけは決まったのに、私たちはまだそこも決まっていないから、重大な問題よ」
「なるほど?あれ?堕天的とかロックとか案は出てたんじゃ?」
「いや、私には向いてないと思う訳で……」
ヨハネに言われてそう言うと、どうやら梨子さんが嫌がっている感じのようだった。鞠莉さんが言った通り、千歌さんたちは王道系、果南さんたちはなんだかんだで練習上がりには落ち着いた感じのイメージで決めていた。そういうわけで、未だにイメージが固まっていないのはここだけというのが現状となっている。
「じゃぁ、梨子さん的にはどんな感じがいいんですか?」
「えーと……どんな感じだろ?」
「なるほど。よくわからないと。千歌さんたちはprintemps、果南さんたちはリリホワ寄りだから、BiBi寄りだとバランスはよさそうですよね」
「そうなのかな?でも、たしかにそうかも」
「というか、BiBiって何系?」
梨子さんの思い描くイメージがないから、僕はµ’sと照らし合わせてそう言ってみた。実際、そんな感じになってるし。
「一応、公式にはモデル系ユニットってことになってますけど」
「モデル系ねぇ」
「まぁ、要するにかっこいい感じですかね?」
「かっこいい……って結局曖昧な感じになってる気もするけど」
「でも、割と曖昧ですよ。BiBiはcutie pantherや冬がくれた予感と曲調が全く違うのを歌ってますし」
曖昧な感じになったから例を出して言ってみたけど、この説明合ってるのかな?うまく伝わっていればいいんだけど。
僕はそんな心配をするけど、鞠莉さんの言葉でそれは杞憂だと分かった。
「それもそうね。じゃぁそんな感じ?私としては楽しければそれでいいわけだし」
「鞠莉さん。ロック系が良かったんじゃ?」
「確かにそれもいいけど、ユニットだから三人の合うものにしないとだしね」
「私も構わないわ。梨子さんが嫌な状態でやるのは悪いと思うし」
「あれ?なんか私気を使われてない?」
ヨハネと鞠莉さんが一歩引き、梨子さんは困惑する。なんでか、自分が気を使われているような雰囲気になっているから。
「でも、この三人のイメージ的にはモデル系路線で問題ないと思いますよ。みんなスタイルいいんですから」
「そうかな?二人はそうかもだけど、私は……」
「はいはい。梨子さんは勝手な自己評価で決めつけない。綺麗なんだから」
「そうよ、梨子。梨子がそうじゃなかったら、けっこうの人があれになるわ」
梨子さんは否定してるけど、僕も二人の意見には賛成だった。梨子さんは綺麗だし、否定することなんてないと思うんだけどなぁ。
「まぁ、私もそんな感じならいいかな?モデル系が本当に私に合うかわからないけど」
「似合いますよ。というか、似合う衣装を作ってくれますよ」
「それもそうね。曜さんたちと一緒にいい衣装にするわ」
「うん。よろしくね」
「じゃっ、この調子でどんどん決めちゃいましょー」
なんだかんだで方向性は決まり、この調子でユニット名も決めようということになった。
でも、ユニット名でも難航しそうかな?他二つもここで悩んでたし。
「と言ったものの、名前は簡単には浮かばないよね。できれば横文字の方がカッコよさそうだなぁとか思うけど」
「それには賛成ね。Fallen Angelsとかは?」
「それじゃ、結局堕天使で堕天的ユニットじゃない。私としてはshineかしらね」
「鞠莉さん、口癖もじってません?私だったらoceanとかmarineとかがいいかな?」
三人はとりあえず思いついた名前を口にする。ヨハネと鞠莉さんは自分と関係あり気な感じに対して、梨子さんはAqoursから引っ張ってきた感じだった。
しかし、三人ともピンと来てないようでもう少し考え始める。
「かっこいいと思う言葉をまずは羅列してみたらどうですか?そこから決めるのも手だと思いますし」
「それもそうね。グループ名を決める時も砂浜にたくさん書いたことだしね」
「そうなの?まぁ、私もそれで賛成よ」
「じゃぁ、どんどん挙げてくでーす」
僕がそんな提案をすると、三人はその提案に乗りアイデアを出し始め紙に書き連ねていく。ヨハネは相変わらず“ダークネス”とか“サタン”とかそっち方面で、梨子さんは“ドラゴン”やら“ナイト”やらとそれ自体がかっこいい物を、鞠莉さんは“guilty”とか“thunder”とかやたらと英語だった。
「さて、挙げたはいいけど、ピンと来ないわね」
「となると組み合わせてみる?」
「組み合わせねー」
「ドラゴンサンダー、guilty crown、infinite life、ダークデビル……うーん、組み合わせようにも数が多いですね」
「ええ。これは一苦労しそうね」
挙げた所から組み合わせに移ってみたけど、羅列し過ぎたせいで逆に迷ってしまった。その為、難航していると、僕はある文字を見て疑問に思った。
「なんで、kissがあるんですか?」
「kissってかっこいいのかしら?」
「あっ、それ私が書いたやつだ」
僕が疑問を口にするとヨハネも同じタイミングで気づいたようでそう言い、その単語は梨子さんが書いたものだった。はて、一体なぜ?
「梨子的にはkissはかっこいいと思ったのかしら?」
「えーと、かっこいいのが“大人”かなぁと思って、それで大人で考えたらkissとかが浮かんで……」
「「……」」
「うん、気にしないで」
梨子さんが書いた理由を口にすると、ヨハネと鞠莉さんは黙り込み、梨子さんは二人に何か言われる前に無かったことにしようとした。しかし、
「梨子、それよ!」
「ええ。ありだわ!」
「「え?」」
何故か二人は気にいったような反応をし、僕と梨子さんは驚きの声を漏らす。
「いや、急にどうして?」
「善子、組み合わせを考えるわよ」
「ヨハネよ!でも、任せなさい」
梨子さんは困惑気味に声をかけるが、二人にはもう届いていないようで、出てきた案を見ながら組み合わせを考え始めてしまった。
「二人の琴線に触れたのかな?」
「さぁ?」
そんな二人に、テンションが付いて行けず僕たちは二人を見ているだけしかできなかった。そして、一分ほど経ち。
紙の白紙部分にはいくつものパターンが書かれており、“Guilty Kiss”“Dark Kiss”“Dangerous Kiss”の三つ以外はその後に線が上から引かれていた。たぶん、この三つが二人の最終候補っぽかった。
「さぁ、あとはこの四人で多数決よ!」
「なんで、僕まで?」
「三つに割れた場合でもどれかにはもう一票入るからよ。ここにいるなら手伝いなさい」
「はーい」
「勝手にどんどん決まっていく……」
そして、最終的にこの三つから決めることになった。多数決の都合上僕を巻き込んで。でも、四人だったら二つの案に二人が選んで決まらなくなる可能性もあるけど。まぁ、そんなことないか。
「じゃぁ、同時に行くわよ。せーの」
鞠莉さんの掛け声で四人一斉に指差した。
その結果は、全員“guilty kiss”を指差していた。僕がこれを選んだのは“Guilty Kiss”が一番かっこよく見えたからだった。それに“Dark Kiss”はイミワカンナイし、“Dangerous Kiss”はちょっと長い気がしたし。
「満場一致ね」
「みたいですね」
「これであとは曲作りだけね」
「まぁ、それは後にしましょ?今日はここまでってことで。あ、ゲーム」
コンセプトとユニット名が無事決まり、鞠莉さんはヨハネの部屋にあるゲームを勝手に起動させ始めた。
たぶん、今から曲作りを始めるのは時間的に中途半端になると思うから区切りのいいこのタイミングでそう言ったのだと思う。
そして、鞠莉さんは電源を入れたゲームのソフトを漁り始めていた。
「あー、勝手に私のモノ漁るなー」
「あはは」
「鞠莉さん、これおすすめですよ」
「Oh、いいわね。それ」
「沙漓も勝手なことするなー。おすすめはこっちよ!」
「あっ、善子ちゃんも結局やるんだ……」
~☆~
翌日。雲が多くて雨が降りそうだなぁと思いながら、今日もまた練習があるからと部室に集まると、他二つのユニット名が決まっていた。
「“CYaRon”に“AZALEA”ですか」
「うん。私たちのイニシャルをもじってみたんだー」
「わたくしたちは地域に根ざしたユニットという意味を込めて、県花のつつじから考えましたわ」
ホワイトボードに書かれたユニット名を読んだら千歌さんとダイヤさんが補足してくれた。つまり、みんなもヨハネ達みたいに練習が終わった後に会議でもしてたのかな?
「それよりも、鞠莉たちの“Guilty Kiss”の理由が気になる」
「ふふっ、マリーたちは色々試行錯誤したのデース」
「その結果がこれですか。罪の接吻など破廉恥ですわ!」
「まぁ、そうも取れますけど……」
「いいのよ。私たちは気にいってるんだから」
話はGuilty Kiss(他と比べたら長いからギルキスって略そう)のユニット名に対してみんなは反応に困っていた。他二つに比べて異彩を放っているから仕方ない気がするけど、三人はそれに決めた訳だからいいんじゃないのかな?ヨハネが言うがギルキスは破廉恥だと言い続けるダイヤさんを果南さんがなだめ、そこに鞠莉さんが余計なことを言ってダイヤさんが怒るといういつも通りの展開が起きていた。
そんなことを数分続くとダイヤさんはもういいやと諦め、みんな練習着に着替えて屋上に向かった。
「あっ、雨降って来た」
しかし、屋上に出た直後雨が降り出した。もとから今日は雲行きが怪しかったから仕方がないが、こうなると練習場所問題があった。
「どうするずら?」
「そうだねぇ。体育館はバレー部が使ってるし……」
「仕方がないですね。部室でミーティングにしましょうか。もしかしたら止むかもしれませんし」
「ですね」
体育館は使用中で練習できる場所がなかったから、なくなく僕たちは部室に戻ることになった。
「と言う訳で、ユニットの曲作りをしましょうか」
「そうですね。せっかくユニット名が決まったことですし、曲の案も詰めるべきですね」
「じゃぁ、それぞれ決めるとして……て、部室で同時にやったらごちゃごちゃしそうだね」
部室に戻るとユニットの話になり、流れるように曲作りをすることになったけど、この狭い部室で同時に三つの話し合いをしたらやりづらそう。
「別々の場所に別れるのが無難でしょうね」
「そうだね。じゃぁ、じゃんけんで勝ったユニットが部室に残って、負けたユニットは他の場所に行くってことで」
「いいわね、ちかっち。じゃぁ、ギルキスは善子で行くわ」
「任せなさい!」
「じゃぁ、アゼリアは花丸ちゃん、お願いね」
「マルずら?」
「じゃっ、シャロンはルビィちゃんで!」
「え?ルビィなの!?」
何故かじゃんけんで部室に残るユニットを決めることになり、じゃんけんすることになったヨハネ達。何故かやる気満々なヨハネに対して、じゃんけんする羽目になったマルちゃんとルーちゃん。あれ?でもヨハネがじゃんけんしたら、まずいんじゃ?
~☆~
「ルビィちゃん、勝ってくれて良かったよ」
「どっちも一年生で来たから流れでお願いしちゃってごめんね」
「まさか、勝てるなんて」
じゃんけんの結果、まさかのルーちゃんの勝利で幕を閉じ、CYaRonが部室に残ることに成功した。最初は三人でじゃんけんしたけど、ヨハネがチョキを出して一発負けして、その後マルちゃんとの一騎打ちでルーちゃんが勝利した感じだった。ヨハネはチョキしか出せない制約でもあるのかな?
ちなみに僕はなんとなく部室に残っていた。正確には、ある作業をしたいからなんだけど。
「ところで、なんで“CYaRon”になったんですか?シャロンで調べてもアメリカの都市かどこかの人の名前しか出なかったんですけど」
「ん?あぁ、私たちのイニシャルを入れたのは言ったでしょ?」
「はい。でも、それであの名前になった経緯がわからなくて。あの表記だと造語みたいですし」
「うん。たしかに造語だね。経緯って言っても色々案を出してたらピンときたのがこれだったってだけだよ」
「うん、ほんとに偶然だったんだよね。都市とか人の名前にもあるんだ」
「スペルは違ったけどね。でも、ユニット名の経緯はわかりました。それで、どういう曲にするんですか?」
どうして“CYaRon”なのかという疑問はそんな感じで解決された。だから、今現在の問題について聞いてみた。三人にはもう曲のイメージとかあるのかな?
「そうだねー。私たちらしさがある曲にしたいね」
「らしさって言うと?」
「元気!」
「元気!」
「元気?」
「……それでいいんですか?」
千歌さんに聞いた結果、三人は結局そういう答えを返してきた。らしさが元気って。しかも、ルーちゃんは何故か疑問形だし。
「つまりとにかく明るい曲ってことですか?」
「うん。聞いてると元気が出る曲にしたいなって私は思う」
「私もそんな感じのとにかく楽しい曲がいいと思ってるよ」
「ルビィもそんな感じのがいいなぁって思ってるよ」
三人の言葉を纏めるとそんな感じのものを目指しているようだった。と言っても、僕は作詞をしたことが無いから特に手伝えなさそうだけど。
そうして、三人はとりあえず歌詞に使う言葉を出し始めた。千歌さんはよく作詞が進まずに梨子さんに急かされていたから実のところ心配だったんだけど平気っぽいかな?
そんなわけで、僕はノートパソコンを開いてイヤホンを差して作業を始める。
「曜ちゃん、ルビィちゃん。息抜きしない?」
「え?まだ始めたばかりだよ」
「うん。それに、サボってたらお姉ちゃんに怒られちゃう」
ある程度言葉を出したタイミングで千歌さんの集中力が切れたのかそう言った。それに対して二人は驚いた様子でそう返す。
「うーん、言葉を出したのはいいんだけど、こうピーンとくる感じのモノがなくてー」
「まぁ、それはわかるけど」
「たしかに私も衣装のイメージがひらめくと一気に衣装デザインが描けるけど。まぁ、千歌ちゃんがそういうのならちょっと休憩しよっか」
「うゅ。まぁ、ちょっとくらいなら」
「そうそう、ちょっとだけだよ」
すると、だいたい千歌さんに甘い曜さんと、なんだかんだで流されやすいルーちゃんは千歌さんの提案に乗ってしまった。
うーん、CYaRonにはまとめる系のメンバーがいないからこうなっちゃうのか。昨日もユニット名決めで紆余曲折してたんだろうなぁ。
「まぁ、いいんじゃないんですか?他の所も今は作詞してないみたいですし」
「あれ?そうなの?」
「はい、LINEで進捗を聞いたらギルキスは鞠莉さんとヨハネが脱線してるっぽいですし、アゼリアは図書室で作業してたら図書の仕事をすることになってるっぽいです」
「あれ、他の所はそんなことになってるんだ」
「みたいです。っと、僕はちょっと図書室に行ってきますね。三人だけじゃ作業が多いみたいなので」
僕はそう言うと、ノートパソコンを閉じて部室を出ようと椅子から立ち上がった。
「あっ、勝手にパソコンいじらないでくださいね」
「もちろんだよぉ」
「絶対的にですよ」
「う、うん」
~☆~
「呼ばれたから来ましたよぉ」
「あ、沙漓ちゃん、来てくれたずらね」
「ごめんね。手伝いに来させちゃって」
「いえいえ。どうせ部室で僕の個人的な作業をしてただけなので問題ないですよ。あれ?そう言えば、ダイヤさんは?」
図書室にやって来ると、マルちゃんと果南さんがおり、カウンター脇には返却された本が詰まれていた。一体、何が起きればこんなに積まれるんだろ?
それと、ダイヤさんの姿が見えず、首を傾げる。
「呼びましたか?」
「あっ、奥にいたんですか。それにしても本が多いですね」
「ええ、今日一日で返却された本が溜まっていたようですわ」
「なるほど。この本たちを元の場所に戻せばいいってことだね」
手伝う内容を確認すると早速本を数冊手に取る。図書室にはちょくちょくマルちゃんの手伝いで出入りしているからなんとなく本のジャンルで場所はわかり問題なくこなすことができるはず。
そう言う訳で本を棚にしまい、またカウンターに本を取りに来ると、ダイヤさんとマルちゃんは棚にしまいに行っており、果南さんは本をその場で並べ替えていた。
「なにしてるんですか?」
「私はあまり図書室に出入りしてなかったからあまり本の位置がわからないから、番号の近い本でまとめてる感じだよ。こうすれば行ったり来たりせずに一気に数冊しまえるでしょ?」
「なるほど。じゃぁ、ここの持って行きますね」
「うん、よろしくね」
果南さんに確認してから、ひとまとめにされた一部を持って行く。果南さんが一気にまとめていき、それを三人でしまって行くことであっという間に片付き、こうしてAZALEAは作詞に戻れることになった。
「そう言えば、県花のつつじからもじったのは聞きましたけど、なんで英語にしたんですか?」
「それはまぁ、つつじのままじゃ味気なかったし……」
「リリホワも百合を英語に変えていましたので」
「そういうことですか。だったら、アゼリアなんたら、みたいにしなくてよかったんですか?」
「それだと長いし、アゼリアがちょうどいいって思ったんだよ」
何か特別な理由があってこの名前にしたのか気になって聞いてみた所そんな感じの理由だった。そういった理由なら納得かな?
「ところで作詞の方はどうなんですか?始めてすぐには図書の仕事はしていなかったみたいですけど」
「ええ、なんとなくの方向性は決まったので、すぐにできますわ」
「ダイヤはそう言うけど、私は作詞って苦手だからね……」
「そう言う訳で、完成はまだわからないずら」
「はぁ、まぁすぐにはできませんよね。それに、発表タイミングも決めてませんし」
「というわけで、どんどん作詞を進めますわよ」
そんな感じで、三人は作詞に戻る。それを僕は見ていた。どうせ、部室は三人が休んでるんだし、もう少しこっちに居ていいかな?
僕はそんなことを考えて図書室に残って三人の作詞を見ていた。
翌週。なんだかんだで三ユニットとも曲が完成したのだった。曲名はそれぞれ考えるとかで、発表されるまで僕も知らなかった。だから気になることも。
「トリコリコってなに?strawberryってヨハネが押したのかな?」