のんびり天使は水の中   作:猫犬

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1ヶ月振りに投稿ですね。
バタバタしたり、他のを書いてたり、体調を崩してたり。
今回はサンシャイン2~ネクストステップ1の沙漓サイドの話です。


ネクストステップ2

「ん、んー」

「あっ、沙漓。起きましたか」

 

手術を受け、目を覚ますとお姉ちゃんがのぞき込んで、安心したような表情をした。お姉ちゃんがいるし、手術は無事成功したってことでいいんだよね?

うーん。どれくらい寝てたのか分かんないけど、なんか体が重い……。

 

「お姉ちゃん、おはよー」

「おはよう、という時間でもないですけど、とりあえず起きてよかったです」

 

お姉ちゃんはどうやら本を読みながら僕が起きるのを待っていたようで、手に持っていた本をベッドの隣のチェストの上に置く。

日はだいぶ昇っている訳だから、確かにおはようの時間ではなさそうで、というかお姉ちゃんはこんな時間にここにいていいのかな?

 

「そうだ!結局手術は成功したんだよね?生きてるわけだし」

「ええ。先生が言うには無事成功したそうです。後遺症の有無は沙漓にしかわからないのですけどね。ですが、本当に心配したんですよ」

「心配?」

「はぁー。だって、一日近くずっと眠っていたんですよ」

 

僕はお姉ちゃんに言われて、備え付けの電子時計を見ると、確かに翌日――つまるところ、手術から一日が経過していた。まぁ、それくらい寝てないとダメだったってことなのかな?

 

「そんなに寝てたんだ。それで、後遺症は……特に無さそうかな?まぁ、まだ分からないけど」

「そう。ならいいのですが。二、三日は入院ですよ。何があるかわかりませんから。それに、手術後の検査もありますからね」

「はーい。そう言えば、お姉ちゃんはこんな時間にここにいていいの?大学で何かあったり……」

「それなら大丈夫ですよ。今日も昨日も特に予定はありませんでしたから」

「そうなんだ。ならよかった」

 

お姉ちゃんはお姉ちゃんで問題なかったみたいだからよかった。これでお姉ちゃんに迷惑をかけたくはないから。

 

「元気そうならなりよりです。そう言えば、皆さんに連絡はいいんですか?昨日の手術からずっと眠っていた訳で一切反応できてませんし、何か連絡が来ているかも」

「あっ、それもそっか……って、なんかすんごい電話が来てる」

「そうですか……私は一度戻りますね。着替えとかも必要でしょうし。何か持ってきてほしいものはありますか?」

「うーん。特に無いかな?」

「そうですか。では、私は。安静にしていてくださいよ」

「はーい」

 

着信履歴を見たら、何回も電話がかかっていたみたいだった。お姉ちゃんはそう言うと、病室を出て家に一度戻って僕の着替えを取りに行った。その間に、僕はベッドから降りて立ち上がる。

立った感じは特に違和感もなく、いつも通りの感じだった。

僕は少し身体を動かして違和感がないことを確認すると、携帯を持って病室の外に出て、電話ができそうなスペースにつくと、早速電話をかける。流石に電話に出れなかったから、皆に文句を言われるのかな?というか、あれ見つかってないよね?……うん。奥の方にやっといたから、箱をひっくり返さない限りは見つからないから、平気なはず。

 

「もしもし、ヨハネー」

『沙漓!沙漓なの!?生きてたの!?』

「あっ、うん。生きてるよー。で、どうしたの?そんな大声を出して」

 

電話をするやヨハネは大声を出したので、僕は耳元から離す。うぅー、耳がキンキンする。というか、電話に出れなかったからって。もしかして、事故にでも遭って連絡が付かなくなってるって思われてたのかな?

 

『沙漓ちゃんなの!』

『良かったー』

「ん?皆もいるってことは練習中だった?」

『あっ、うん。それより、沙漓!あれはどういうことよ!』

「あれ?って、もしかして……」

『そうよ!あの遺書よ!』

「あー」

 

電話の向こうから、皆の声も聞こえ、その聞こえてくる内容から嫌な予感がしながらも聞いたら、やっぱりあれを見ちゃったらしかった。うーん、やっぱり世の中うまくいかないもんなんだね。って、あれ遺書なのかな?遺書になるのか。

 

「無事手術は成功したよ。今さっき起きたばかりだから、もうしばらく入院しなくちゃいけなくて、戻れるのは早くて数日後だってさぁ」

『そう……でも、とりあえず特に何もなのね?』

「うん。元気全開だよ。それで、ラブライブはどうなった?結果を知らないんだけど」

 

みんな心配してくれてたみたいだから、話をそこそこにラブライブの話を振る。実際、どうなったのか知らないし。

 

『ラブライブはダメだったわ。予選敗退』

「そっか。まぁ、他が二曲やってる中、一曲だったらだいぶ厳しい戦いだとは思ってたけど」

『沙漓、わかってたのね。まぁ、いいわ。いい知らせもあるから』

 

ラブライブは敗退というのは残念だった。ヨハネの声からしてもう立ち直ったのかな?まぁ、気持ちの切り替えは早いに越したことは無いか。

それで、いい知らせってなんだろ?

 

『学校説明会の参加人数が“1”になったわ。私たちの今までは無駄なんかじゃなかったみたい』

「そっか。よかった。ライブであれをやった意味はあったんだね」

『そうよ。この調子でどんどんリトルデーモンを増やしていくわ』

「別に生徒はリトルデーモンじゃないけどね」

 

ヨハネはあいかわらずのようで、少し安心。それから、ヨハネの電話を奪った皆と色んな話をした後、電話を切った。一応、僕は病人だしね。

 

「さてと、そろそろ病室に戻んないとね。体重いし」

 

僕はそう言って病室に戻った。うー、やっぱり寝起きだから体が重いのは仕方がないかもだけど。

病室に入ると真姫さんがおり、僕がいなかったからか首を傾げていたけど、僕が携帯を持っているのを見て、なんとなく察した様子だった。

 

「どう?身体の調子は」

「はい。ちょっと体が重たいくらいでそれ以外は特に」

「そう。なら良かったわ。明日から検査をして、後遺症が無いか確認していくからよろしくね」

「はい。もちろんです」

「お願いね。じゃ、私はこれで」

 

真姫さんが病室に来た目的は、僕にそれを伝えるためのようだった。そう言う訳で、真姫さんは伝えることを伝えると病室を出て行った。わざわざこの為だけにここまで来てくれたのかな?

 

それから数日が経ち、僕は退院して家に戻った。それまでの間に行った検査では、特に異常はなく、なんでも前よりも運動はできるようになるとか。まぁ、それでもずっと、過度な運動をしてこなかったわけだから、すぐにできる訳では無く、徐々にって感じらしいけども。でも、僕はそんなに運動する気もないんだけどなぁ。

ちなみに沼津に戻るのは始業式の前日にしていた。中途半端な状態じゃダメだから、ちゃんと療養してから帰らないとだとか。あと、不測の事態に対応できるようにとか。

でも、ただ何もしないでのんびりとしているのもあれだし、この入院中に皆と電話で何回か喋ったことで、僕にできることもやらないとだし。その為の準備を進め中だけど。

その為に、僕は自分の部屋の押入れを漁ったり、家の押入れを漁ったりして過ごした。

 

「それにしても懐かしいですね」

「そうかな?僕が中学の時には毎日のようにやってたし」

「でも、受験が近づいてからはやっていないでしょ?」

「ううん。あの頃も時々息抜きにやってたよ。感覚が抜けないようにね。まぁ、半年振りか。それにしても、僕のただのわがままだったのに、よく許可下りたよね」

「まぁ、頼めばなんとかなるものですね。それに、なんでも今日は活動していないとのことですし」

 

僕とお姉ちゃんは音ノ木坂学院に来ていた。本来ならたぶんダメなんだろうけど、割となんとかなってしまった。それでも、会わずに素通りするわけにもいかないから、ちゃんと挨拶はしないとだけど。

 

「あっ、沙漓ちゃん。退院おめでとー」

「うん、お久しぶり。ことりちゃん」

 

校門をくぐると、そこにはことりちゃんがいた。どうして音ノ木坂に?ここにいる理由が分からないけど、とりあえず挨拶を返すと、ことりちゃんは笑みを浮かべた。

 

「うん、元気そうだねー」

「それで、ことりは何故ここに?」

「あっ、そうだった。沙漓ちゃんが戻って来てるって聞いたから、会いたくって。それと、私のところまで来なくていいですよ、だってー。鍵は持ってるから行こー」

 

ことりちゃんはそう言って、僕たちの手を取るとグイグイ進み始め、それについていく。きっと、ことりちゃんに任せて大丈夫だと思ったんだろうなぁ。

 

「それにしても沙漓ちゃん、背伸びた?」

「うーん、あんまり変わった気はしないけど?ことりちゃんはもっと綺麗になったよね」

「あはは。お世辞はいいよ」

「あれ?お世辞なんかじゃないんだけど」

 

服飾系の大学に進んだことりちゃんは去年の冬から夏にかけて、海外に留学していたから、会うのは大体一年ぶりだった。そのせいか、ことりちゃんは前よりも大人びていて今まで以上に綺麗になったと思う。

でも、ことりちゃんは僕の言葉をお世辞と受け取ってしまった。

 

「それにしても、沙漓ちゃんがお手伝いしているスクールアイドルって、あの頃の私たちに似てるよね」

「ええ。この前会った時にも私もそんな気がしましたね」

「そう?うーん、九人だからとか?って、ことりちゃんAqoursのこと知ってたの?」

「うん。海未ちゃんから聞いてて、ライブの動画も見たことあるからねー」

 

ことりちゃんはまさかのAqoursのことを知っていたみたいで、でもお姉ちゃんから聞いたのなら納得だった。それにしても、µ’sとAqoursが似ていると思ってくれたんだ。

そうして僕たちは目的地の弓道場にたどり着いた。

それから、弓道着に着替えると、弓と矢を持って弓道場に立つ。

 

「海未ちゃんのその姿、久しぶりに見たかも」

「確かにそうですね。大学に入ってからは時々使わせてもらってたくらいですし」

 

お姉ちゃんはそう言いながら準備を整えると、弓を構えて矢を放つ。放たれた矢は一直線に的に飛び、中心を貫いた。

僕も早速と弓を構えると、集中して一気に放つ。結果は的の中心を射貫いた。

そんな僕たちを見てことりちゃんは「わー」と声を漏らしていた。

 

「すごいね、二人とも。久しぶりなのに」

「「偶然だよ(ですよ)。たぶん」」

「同じこと言ってる……」

 

ことりちゃんに賞賛の言葉を受けて、返答を返したらなんでか同じようなことを同じタイミングで言っていた。まさかのシンクロ。

その後は何回も矢を打って感覚を戻していった。そして、三、四十分ほど経つと、そろそろやめることにする。

あんまりやりすぎると、退院したばかりの身体に響きそうだから。

 

「あれ?休みなのに開いてる?」

 

矢を回収していると、一人のショートカットの黒髪の少女が弓道場にやってきた。そして、その子を見た瞬間僕は、

 

「園部さん?」

「園田さん?」

 

その子の名字を口にした。彼女は僕が中学で弓道部に入ってた時の部活のメンバーの一人で、大会の度にいい成績を残していた。仲がいいのかはわからないけど、あの頃はよくしゃべってた。名字が似てるから席も近かったし。それと、

 

「って、園田さん!高校で弓道やってないってどういうことよ!高校でもあなたと競えると思ったのに、遠くに行くわ、やっていないわって」

 

なんでか、僕をライバル視してる節がある。高校でやっていないから文句を言われるのは仕方ないんだけど……。

 

「いやー、自分の可能性探しを」

「そんな理由で弓道を止めたって言うの?」

「うーん、止めたというか、中断?だから、今日はやってたわけだしね」

「そう……それで続けるの?」

「さぁ?浦女の弓道部の状況もあれだからね」

「そう」

「だから、まずは弓道部の立て直しからなんだよね」

「えっ?」

 

僕ははっきりと宣言した。そもそも今日だって自分の感覚がちゃんと残ってるか確認したかったわけだし。

 

「でも、静岡だから競えるのは、そうとう勝ち上がらないとだよ?県と地区越えないとな訳だし」

「分かってるわ。でも、私とあなたならできるはずでしょ?」

「さてね。高校は中学の頃と違って全国もあるから、もしかしたら地区で負けちゃうかもよ」

 

僕は肩を竦める。実際、どうなるのかなんてその時にしかわからない訳なんだし。それと、そううまくいくのかな?

 

「まぁ、勝ち上がるだけだけど。園部さんこそ勝ち上がれるの?」

「私を誰だと思ってるの?もちろんやってみせるわよ」

「そっか。そう言えば、弓道場に何か用があったんじゃないの?」

「あっ、そうだ。忘れ物を取りに来たんだった」

 

園部さんは、思い出したように忘れ物とやらを取りに更衣室に行き、その間に回収した矢をしまう。

 

「ところで、沙漓ちゃんはどうして急に弓道をしようと思ったの?」

「なんでも、向こうで弓道をまたやるつもりみたいなんですよ。それに、約束もさっきしてしまいましたしね」

「あれって、約束って言えるのかな?」

「さぁ?でも、確かに中学でもやってた沙漓ちゃんなら問題ないかもね」

 

弓道着から私服に着替え直し、鍵を返却して音ノ木坂学院を出ると、ことりちゃんは今更な質問を口にした。しかし、その返答は何故かお姉ちゃんがしてしまった。

ことりちゃんはそれで納得してしまったけど、それでいいのかな?まぁ、いいや。

 

「あっ、そうだ。Aqoursの衣装作ってる子にそのうち会わせてね!」

「曜さんに?」

「そう、その子。衣装可愛かったから会ってみたいなぁって」

「うーん。でも、東京に来ることあるのかな?こっちでのイベントって静岡からだと厳しそうだし……」

「まぁ、気長に待ってるね」

「なら、そのうち私たちの方から行きましょうか」

「あっ、それいいかも。その時は穂乃果ちゃんも誘って三人で行こうね」

「あれ?勝手に話が進んで行く……」

 

曜さんに会ってみたいという話から、いつの間にかお姉ちゃんたち三人で沼津に行こうという話になっていた。いや、来れるのなら、問題ないけど、心配事が一つ。

 

「みんな緊張しそうだなー」

「平気だよ。そこは沙漓ちゃんがどうにかしてくれるでしょ?」

「それに、私と会った時だって、普通に話せてたじゃないですか」

 

僕はAqoursの皆が三人同時に会って、大騒ぎにならないか心配だった。でも、二人は平気だろうと思っているようだった。それならいいんだけど。

そうして、新学期までの日々を色んなことをしながら過ごしていったのだった。

 

 

~☆~

 

 

「んー。秋葉もいいけど、こっちはこっちで落ち着くなぁ」

 

沼津駅前で、僕は大きく伸びをした。

新学期の前日に予定通り僕は沼津に戻って来た。秋葉に戻ってから大体一週間経ったわけだから、特に変わったことは無いけど、気分的にそんな気がした。向こうは駅に降りたらせかせかと人が歩いてて、忙しい感じだったし、これくらいのんびりしてる方が落ち着く。

 

「さてと、まずはこの荷物を置いてから、皆のところに行こうかな?」

 

家に戻って、向こうから持ち込んだ荷物を置くと、浦女に行く。たぶん、いるはず。ドッキリをやりたくて、今日戻って来ることを伝えてないけど。いる……はず。

 

結果から言えば、いませんでした。たぶん今日は休みなんだと思う。明日から新学期だから鞠莉さんが忙しいのかな?

 

「沙漓ちゃん、昨日来てたの!?」

「うん。昨日のうちには。ドッキリしようと思ったんだけど、まさか休みだったとは思わなかったよ」

「なんというか、タイミングが悪かったね。それと、退院おめでとう」

「うん、ありがと。さて、体育館いかないとだね」

 

翌日。学校に行って、昨日学校に言ったことを言ったら驚かれた。それから、集会があったり、千歌さんが遅刻してきたり、ラブライブの開催が伝えられたり。

そんな感じで時間が流れ、放課後。

 

「鞠莉さん、弓道部って廃部しちゃってますか?」

「ん?今は確か一人いたわね。でも、その子は三年だし、週に一回三島の方の弓道場で練習してるだけよ。それに、夏休み終わったからもう受験を見据えているだろうから活動しないでしょうし」

「なるほど。その人に会えますか?」

 

僕はとある事情で今日は部活を休んだ。そして、鞠莉さんにそんな質問をした後、その先輩さんに会った。その後、鞠莉さんの許可を取って、体育倉庫や学校の物置を探索して、使えそうなものを漁って過ごした。あっ、使われてない台車だ。それに、壊れたバスケットゴール?なんで処分しないんだろ?あっ、他にもいい物あった。あとで、鞠莉さんに聞こっと。

それから、僕はホームセンターで木材やねじなどを購入した。買った物を浦女に運び終えた頃には、もう日が暮れ始めていて、流石に今日作るのは難しいし、作るのは明日になるのかな?

準備は整えたから、どんどん進めて行かないとねぇ。みんなはみんなで練習中だけど、今のところ仕事はないし、時間があるうちに進めないとー。

 

 

「今日、ちょっとやることあるから休みますね」

「え?昨日も休んでなかった?」

 

翌日。みんなは沼津の方で練習できそうな場所探しだとか。流石に最近までこの辺りに居なかった僕は知らないし、伝手もないわけで今日も不参加。

そして、僕は早速事前に作っておいた設計図に合わせて木材を切り出して、ねじを締めて組み立てていく。その中に廃棄されることになっていたけど許可を貰って手に入れたパーツを組み込んでと。

気づけば日がだいぶ落ち始め、でも完成までこぎつけることはできなかった。うーん。明日に残りは回すかな?

そう言えば、皆の方はちゃんと練習できてるのかな?

 

 

「今日は休みにするわね」

「少しは気持ちの整理の時間も必要でしょうね」

 

さらに翌日。説明会が中止になることが集会で伝えられた。あれ?統廃合決定しちゃったの?うーん、そうなると、僕の計画が~。まぁ、ここまで来たから続けるんだけど。みんなはこの辺りに住んでいたから思い入れがある訳で、統廃合問題の影響で、みんな気持ちに大小差があれどその整理の為に今日は練習が休みになった。僕は最近戻って来たばかりみたいなものだから、仕方ないっちゃ仕方ないと思う。でも、統廃合に異論がないかと言えばもちろんある。そもそも、統廃合とか書類関係が面倒そう。

そんなわけで、本日は青空満開の作業日和な訳で製作を昼過ぎから始めた。いくら考えたって、僕にできることは限られてるしねー。

 

「ふぅ。完成っと。明日からでいっか。あっ、バスが行っちゃう」

 

昨日の残りの作業を行い、無事完成する頃には日が暮れ始めて終バスの一本前が来る時間が近づいていた。と言う訳で、試射は明日からかな?

僕は体育倉庫にしまうと、鍵を閉めて学校を後にした。

みんなは諦めるのかな?それとも続けるのかな?きっと、平気だよね?

 

 

「がおぉぉー!!」

「なにごと?」

 

翌日。朝早くにやって来て、昨日完成させた移動可能の弓道の的と保護の壁を出し、体育館の中で弓道の練習をやっていた。体育館の端から端を使うと割といい感じの距離なんだよね。流石に穴を開ける訳にはいかないから、的と矢に磁石を取り付けて、壁や床を貫通しないようにして何発も打ってみた。結果から言えば、予想通りいい感じに練習が出来ていた。

そんな中、外で響いた謎の咆哮?というか誰かの叫び?

ちょうどいい感じの時間だし、もしかしたら動物かもという望みに賭けて、的とかを片付けると体育館を出て、声のした校庭の方に行く。そこには、Aqoursの皆がいて、千歌さんは制服で逆上がりをして、その前をしいたけちゃんが跳んでいた。状況がよくわからない……。

 

「あれ?皆こんな時間に何してるの?朝練……にしては早いような?」

 

そんなわけで皆のもとに行くと、僕はみんなに声をかけた。すると、みんなが一斉に振り返り、僕を見て驚いていた。

 

「あっ、沙漓ちゃん、おはよー」

「はい。おはようございます」

 

千歌さんが挨拶をしたから僕も挨拶を返す。というか、状況がまだつかめない。みんなも僕がここにいる理由が分からないような表情をしていた。

 

「それで、沙漓は何してる訳?」

「それで、みんなはここで何を?」

 

僕とヨハネが同時に質問を口にする。おお、こんなところでシンクロした。みんな制服だからまだ朝練をしているわけではないと思うけど。

 

「いや、他の部が使うと、邪魔になるかもと思って。この時間なら誰もいないから邪魔にならないので」

「確かにそうかもだけど、こんな時間にいるって……私たちはなんとなくだけど」

「皆だってここに居るんだから大差なくない?それで、統廃合を覆すでいいんですよね?」

「あっ、うん」

「沙漓?」

 

どうやらみんなは統廃合も説明会中止も納得したわけじゃなくて、どうにかしようと考えているみたいだった。そうなれば、僕も頑張らないと。

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