のんびり天使は水の中   作:猫犬

28 / 34
果南ちゃんの誕生日ってことで久しぶりに投稿です。
時系列は二期の10話と11話の間のはず。


果南バースデイ

「「「「「「「「果南(ちゃん/さん)誕生日おめでとう!」」」」」」」」

「ありがと」

 

二月十日。もうすぐ卒業の前に訪れた私の誕生日。毎年千歌と曜が私の家にやって来て祝ってくれたけど、今年は浦女の部室でAqoursの皆が祝ってくれた。

 

この一年間はいろんなことがあった。喧嘩別れでアメリカに留学でいなくなったこと鞠莉と仲直りしたり、三人一緒にスクールアイドルをしたり、ラブライブの決勝に進んだり、浦女の廃校が決定したり。

今日も仕事があったんだけど、千歌達が先に根回しをしてたのか父さんと母さんには「行って来い」って言われちゃった。まぁ、今日の予約は一団体だったから問題なさそうだったけど。

 

私の誕生日だけど、決勝が控えている訳だから練習をあまり無くすわけにもいかない。仕方ないっちゃ仕方ないかな?

一応、今日は午前中に基礎練習をするだけってことになっている。体を休めるって意味と午後から私を祝ってくれるだとか。だから、お弁当とかは持ってこなくていいって言われてる。鞠莉とか千歌の性格だとサプライズパーティをしたがりそうだから意外っちゃ意外かも。

そうして、屋上に行って練習が始まる。屋上に向かう途中で気になっていたことが一つ。

 

「そう言えば沙漓ちゃんは?」

「えーと……」

「沙漓なら用事があるから後から来るってさ」

「そっか」

 

沙漓ちゃんの姿を今日は見ていないからそう聞くと、善子ちゃんがそう教えてくれた。

用事って何なんだろ?もしかして弓道の大会?いや、それだったら教えてくれてるか。

そんな疑問を持ちながらも練習を始める。いつも通り、怪我をしないようにそれぞれストレッチをしていく。秋の頃は身体が硬かった善子ちゃんもだいぶ身体が柔らかくなって来て、腕立てが一回しかできなかった花丸ちゃんもだいぶできるようになってきたから成長を感じる。って、なんでほのぼのしてるんだろ?

ストレッチを終えるとダンス練習に移る。沙漓ちゃんがいないからリズム取りは私が行い、ずれてるところを注意していく。

 

「善子ちゃん、すこし遅れ気味だよ」

「承知」

「千歌は少し走り気味かな?ペースを合わせて」

「はーい」

 

注意するとみんなすぐにそこを治していくからどんどんよくなっていく。ある程度終えると、それから坂をダッシュしたり、校庭を何周もしたりした。走りすぎ?まぁ、基礎体力は大切だよね?

 

 

~~

 

 

「果南さん、お誕生日おめでとうございます」

「わー。これどうしたの?」

 

今日予定していた練習が終わって、十二時を回ったから部室に戻って来ると、そこには沙漓ちゃんがいて、祝ってくれた。

でも、それ以上に朝の段階ではいつも通りだった部室が、今じゃ様変わりしていた。

壁には折り紙で作られた飾りや装飾品で飾られていて、机の上にはチキンやらコロッケやらサラダやら色々な食べ物が並べられている。飾り付けも料理もけっこうな量なだけに、それなりに準備したように見える。

私の為にここまでしてもらえるのはうれしいなぁ。でも、この短時間でどうやったんだろ?

 

「果南ちゃん、冷めちゃうから早速食べよ」

「うん。そうだね」

『『『いただきます』』』

 

そう言って、みんなで食べ始める。ワカメが好きってことを知ってか、サラダはワカメサラダで、焼きサザエもあった。というか、こんなにいっぱいだとお金かかってそうかも。

 

「あっ、ケーキが冷蔵庫に入ってるから、その分は空けといてくださいね」

「ケーキもあるんだ」

「誕生日なんだからケーキもちゃんと用意してるよー」

 

食べていると、沙漓ちゃんが思い出したようにそう言う。そう言えば、ケーキが机に無かったからすっかり存在を忘れてたや。

 

「こんなにいっぱいあるけど、お金は大丈夫なの?そうとうかかってそうだけど」

「大丈夫です。野菜系は近くの農家と交渉して安く仕入れ、サザエとかは曜さんが潜って取って来てくれたので」

「え?」

「えーと、どこまでほんと?曜が驚いてるけど」

 

冗談なのか事実なのかわからない物言いに、疑問が。潜って取りに行ったと言われて曜が驚いてるって事は潜ってはいないってことは分かるけど。

 

「海産物やチキンなどは買ってきた物ですよ」

「だよね……ん?ケーキは?」

「「「あー」」」

「ずらー」

 

ダイヤの言葉で安心しかけたけど、物言い的にケーキがどうなのかが気になる。“海産物やチキン()買ってきた”ってことは買っていない物もあるってことになる。サラダとかいくつかは作ったってわかるけど、ケーキだけはわからない。そもそも見ていないからどんなものかもわからない。聞いたら沙漓ちゃんを除く八人が視線を外すし。

 

「マルたちもどんなケーキなのかは知らないんだ」

「うん。私たちが練習してる間に家庭科室で作ってたから。食べる時のお楽しみってことでどんなものを使ったケーキなのかも知らないし」

「わたくしが心配なのは、果南さんの好きなものがワカメだからワカメケーキにしていないかだけが気がかりですが」

「あー、無いとは言い切れない」

 

残念ながら、ワカメケーキの可能性が0でない。というか、その可能性の方が高い。沙漓ちゃんはニコニコしていて、この子の考えてることの何割かはわからないし。

本当に大丈夫だよね?ワカメケーキでも私は構わないけど、できたら普通のケーキの方がいいかな?

 

 

~~

 

 

「さぁ、果南ちゃん。どっちを取る?」

「んー。こっち!」

「わー、果南ちゃんがあがっちゃったー」

 

ケーキも食べ終え、私たちは何故かババ抜きをしていた。

ちなみに、ケーキはやたらとフルーツが挟まってたり、乗ってたりしている事を除けば普通のショートケーキだった。もう、普通が何なのかわからないけど。

 

ババ抜きをしている理由は、タダでプレゼントをあげるのは面白くないとかで、私が勝ったらもらえるだとか。で、千歌からキングのカードを取って、見事勝ちぬけに成功した。これでみんなからプレゼントがもらえるだとか。

少しして、ババ抜きはもうすぐ決着しようとしていた。善子ちゃんとダイヤの一騎打ち。まぁ、ダイヤは顔に出やすいせいでババじゃない方を取られ、善子ちゃんは持ち前の不運で普通に取られ、他の皆はあの後すんなり終わったんだけど。しかしながらその後が長い。ダイヤが自分が顔に出やすいことに気付いて善子ちゃんが引くたびに目を瞑って、善子ちゃんがババを引き、ダイヤは普通に引くも善子ちゃんに踊らされてババを引いてを繰り返していた。結局ダイヤが勝ったけど。

 

「はい、果南ちゃん。改めてお誕生日おめでとう」

「曜ちゃんと一緒に作りました」

「果南ちゃん、お誕生日おめでとう!」

「いい物にしようと思ったら値段がすごくなっちゃったから千歌ちゃんと一緒に買ったんだけど」

「マルもどうぞ」

「果南にプレゼントでーす」

「改めてお誕生日おめでとうございます」

「ヨハネが与える最高の供物よ」

「つまらぬものですが」

「ありがと。早速開けてみていい?」

「うん」

 

九人からプレゼントをもらい、早速開けさせてもらう。

曜とルビィちゃんからはイルカの刺繍がされた手編みの黄色いマフラーと手袋、千歌と梨子ちゃんからは値が張りそうな双眼鏡、花丸ちゃんからはお勧めの小説、鞠莉からは高そうな紺のコート、ダイヤからは厚めの英語の参考書、善子ちゃんからは善子ちゃんが好きそうなフリルの付いたスカート、沙漓ちゃんからはイルカのぬいぐるみ。

 

「鞠莉さん、やたらと高いのは気を使わせるから無しって言ったでしょう」

「千歌っちたちだって高そうよ」

「二人は割り勘ですが、あなたは一人ですし、余裕で数万はするものですよね?」

「マリーの愛はプライスレスでーす」

 

ダイヤが鞠莉にそう言って喧嘩を始め、千歌達がなだめにかかる。どれも、私のことを考えてくれているからうれしいんだけど……

 

「なんで、ダイヤからは参考書?」

 

それだけが気になる。

 

「あなた、卒業したら海外に行くのでしょう?ちゃんと喋れないと苦労しますよ」

「あっ、そういうことか」

 

納得。たしかに言葉が通じないと色々と大変だもんね。でも、誕生日に参考書ってなんというか。いや、ありがたいけども。

 

「あと、流石にもうすぐ高校を卒業する私にこれはちょっと」

 

善子ちゃんがくれたスカートにも困った。こんなフリフリしたのは似合わないだろうし、大学生の年齢でこれは抵抗がある。

 

「そう?似合うと思うけど」

「きっとcuteよね」

「ごわごわしてるから温かそう?」

 

なんでかみんな肯定的。善子ちゃんも悪気があってというよりは純粋な気持ちで選んだみたいだし。沙漓ちゃんは着眼点がおかしい気がする。たしかに温かそうという点は同意だけど。

 

「確かに温かそうだし、これはこれでありか」

「あれ?そんなつもりで選んだわけじゃないけど……まっいいか」

「いいんだ」

「果南の好きに使ってもらえればそれでいいもの」

「なるほど」

 

それからトランプをした。七並べ(人数が十人だから一人五枚くらいのせいですぐ終わった)、大富豪(やっぱり人数多すぎ)、真剣衰弱(やっとまともにできた)といろいろやった。

流石に真剣衰弱を繰り返すのも飽きたことで身体を動かしたくなってドッジボールを提案したら誕生日だからと一部渋々の人がいたけど賛成してくれた。ルビィちゃんたちはあの時のことを思い出してか怯えていたけど。

十人だったことで、五人ずつに別れ、同じくらいのレベルの人同士でペアになってじゃんけんの勝った方と負けた方で分かれた。こうしないと、パワーバランスが狂うからね。

 

「鞠莉、今日こそ勝つからね」

「ふっ、枕投げの延長戦ね」

「では、私も本気で行きましょう」

「枕投げの延長戦ってなんの話?」

「お姉ちゃんたち、一時期誰が枕投げで一番強いかで戦ってたことがあったから」

「誰が一番強いのよ」

「たぶん、果南ちゃんかな?」

「でも、二人もことごとくそれをキャッチしてたから、最終的にスタミナ切れで果南ちゃんの勝ちだったけど」

「あまり関わりたくないずら」

「当たったらいたいのかな?」

 

チームに分かれたことで早速始める。私のチームは、私と千歌、善子ちゃん、梨子ちゃん、沙漓ちゃん。正直、鞠莉とダイヤ、曜の三人が向こうにいるのは辛い。こっちはインドア派が三人いるし。外野にはそれぞれ梨子ちゃんと花丸ちゃんがいる。完全に内野同士でつぶし合う未来しか見えない。

 

「いくよ、鞠莉」

「かかってきなさーい」

 

最初は正面から鞠莉を名指しして投げる。最初は小細工なしで投げるのはいつものこと。

投げたボールはまっすぐに鞠莉のもとに飛んで、鞠莉はそれをキャッチする。

 

「くっ、流石果南ね。いいボールよ。くらいなさい!」

 

鞠莉からのボールをまっすぐに受け止める。鞠莉のボールは重く、何回も受けていたら手が痺れそうかも。

なら、短期決戦で。

 

「ルビィはわたくしが護りますわ!」

「やっぱり、ダイヤが護るんだ」

 

一人でも減らしておこうと思ってルビィちゃんに投げたけど、ダイヤが前に出て護るようにキャッチする。ルビィちゃんに当てるにはまずはダイヤを倒さないとダメか。

 

「せいっ!」

「あっ」

 

ダイヤが投げたボールをキャッチしようとすると、触れた瞬間カーブがかかっているのかいきなり右方向に回転して手から抜ける。このまま地面に落ちたらアウトになる。

 

「とぉー」

 

すると、飛び込むように飛んできた千歌がそれをキャッチする。そのおかげでアウトにならずに済んだ。

 

「ありがと、千歌」

「どういたしまして、果南ちゃんっ!」

 

千歌はまっすぐに曜に向かって投げると、曜は回避する。確かに絶対に取らないといけない訳じゃないからこの選択は正しい。それに、外野には梨子ちゃんしかいないから梨子ちゃんが投げるしかない。

そして、梨子ちゃんのボールは私たちと比べたらそこまで強くないからキャッチされてしまう。

その後は一進一退の攻防が続いた。

 

「何このスポコンみたいな状況」

「完全に僕たち蚊帳の外だねぇ」

 

善子ちゃんと沙漓ちゃんの姿が途中から見えないと思ったら、コートの端に座って見ていた。なんで、二人は端っこに座ってるの?これじゃ、実質三対二になっちゃってる。ルビィちゃんも端に逃げてるし。

 

「チャーンス!」

「あっ」

 

二人に気を取られた一瞬をつかれてボールに当たってしまった。これで、実質一対三になっちゃった。

 

「まだ大丈夫だよ。千歌がどうにかして見せるよ!」

 

千歌は私が当たったボールを拾ってそう言った。こっちが勝てるかは千歌に託された。

 

「おりゃー」

 

 

「果南ちゃん、ごめんね」

「ううん。千歌は善戦したよ」

 

結果としては、千歌は頑張ったけど当たってしまった。一応、曜は倒せたけど、これで内野は善子ちゃんと沙漓ちゃんというインドア二人。これはもう無理かな?

 

「善子、覚悟!」

「ちょっ、マジ投げはやめて!」

 

善子ちゃんはあの時のことを思い出してか完全に怯えていた。

 

「問答無用!せいっ」

「よいしょ」

『『『え?』』』

 

完全に怯える善子ちゃんに向かって一切手加減なく鞠莉は投げた。正直、それで怪我したらまずいから手を抜いてほしかったけど、結果としては善子ちゃんに当たることは無かった。

 

「もう。こんなに強く投げたら怪我しちゃいますよ。ドッジボールをやって怪我したから出場できませんでしたなんて笑えませんよ」

 

鞠莉のボールをキャッチした沙漓ちゃんはごくごく普通にそう言った。待って、なんで沙漓ちゃん普通にキャッチしてるの?鞠莉のボールけっこう本気だったよね?インドア派だからさっきまで端にいたんじゃないの?

 

「とぉ」

「なっ」

 

ダイヤに向かって投げられたボールはやたらと速く、ダイヤの身体をかすめていた。だから、ダイヤはアウトとなる。まさかの伏兵に驚いた。

 

「そう言えば、ルビィ、沙漓ちゃんとじゃんけんしたような。てっきり、全くできないものだと思ってた」

「ふぅ。ヨハネ、あとお願いねぇ。疲れた」

「マイペースか!」

 

ペタンとその場に腰を下ろす沙漓ちゃんに、善子ちゃんのツッコミが校庭に響いたのだった。

 

 

~~

 

 

「果南ちゃん、どれがどれ~」

「毎年のようにやってるんだからそろそろ覚えてよ」

「うーん。どれも一緒に見えるから覚えられないよ~」

「あはは、確かに。シリウスとかベテルギウスとか星の名前はなんとなく覚えられたけど、見分けるのは無理かも」

「えーと。あれがおおいぬ座のシリウスで、あれがこいぬ座のプロキオン、そこから横に移動して輝いてるあれがオリオン座のべテルギウスね」

「それを繋ぐと三角形に見えるから冬の大三角形って呼びますね」

「あれ?善子ちゃんと沙漓ちゃんって星の知識があるの?」

「ちょっとかじった程度よ。一時期星のことを調べたこともあったから」

「有名な物だけですよ。知り合いにこういう知識も持っている人がいたので」

「どれがどれかはいまいちわからないけど、きれいずら」

「うん、東京だったら明かりのせいでほとんど見えないし」

「確かにこれくらい明かりのない場所でないと良く見えませんわね」

「うゅ。ここはすごく見えるね」

 

ドッジボールはあの後、ダイヤという盾を失ったルビィを優しく当てて、元外野の花丸ちゃんは中に入るもすぐに当てられたことで、鞠莉と一騎打ちをした。沙漓ちゃんと善子ちゃんは完全に蚊帳の外にして、投げ合った結果、私たちの勝利に終わった。

その後はバスで家に帰り、夕飯を両親と食べ、お風呂に入ろうと準備をしていたらやってきた鞠莉に拉致られた。

あれ?それだと微妙に語弊があるか。正確には家に来た鞠莉に船に乗せられて、車に乗せられ十千万の前の砂浜に連れてこられた。車の中には曜と善子ちゃんと沙漓ちゃんがいて、砂浜には千歌達がいた。さらに、何処から持って来たのか大きな望遠鏡もあった。それで、天体観測するのが目的なのだと分かった。

望遠鏡をとりあえず月に合わせながら会話をする。

鞠莉とダイヤは昔からの付き合いだから割と星の知識があって、千歌と曜は覚えられない、梨子ちゃんとルビィちゃんと花丸ちゃんは少し知っているくらい、善子ちゃんと沙漓ちゃんは三人よりは知っているみたいだった。

 

「それにしても寒い……」

「うぅ、寒い……」

「まぁ、冬だから」

 

望遠鏡でくっきり月が見えるようになったから顔を上げると、コート+マフラー+手袋と重装備の曜と沙漓ちゃんが肩を震わせていた。この二人は典型的な寒がりだから仕方ないか。

 

「うぅ。あれ?向こうにパト○ッシュが……」

「いや、あれはしいたけだから!」

「あっ、しいたけに抱きついたら温かいかも」

 

しまいには旅館前にいるしいたけを某物語の犬と見間違える状況に。曜は曜でフラフラした足取りでしいたけの方に行ってしまった。鞠莉は鞠莉で寒いからって車に戻るし、これが学級崩壊って言う奴なのかな?

 

「果南ちゃん、あっちに見えるのって北極星?」

「あっ、うん」

「たしか北の空で位置が変わらないから目印になってるって本で読んだずら」

「たしかポラリスって呼んだかしら?」

「うん、そうだよ。よかった。三人は真面目に星を見てくれて」

「私たちだってちゃんと見てますわよ」

「うゅ」

 

三人が真面目に聞いてくれるから、そう呟くと、ルビィちゃんを抱きしめて互いに暖を取っているダイヤが文句を言う。いや、二人はそもそもまじめな性格だから心配してないよ。

 

「果南ちゃん、他の星見ていい?」

「せっかくセッティングしたんだからもう少し待って」

「はーい」

「あっ、私見たい」

 

少し離れたうちに望遠鏡をのぞき込んだ千歌がそう言ったから返答すると、梨子ちゃんたちが望遠鏡のそばに寄って、順番に見て行く。

 

「あれ?沙漓ちゃんは?」

「曜さんと一緒に千歌さんの家の方に行きましたけど?」

「ふぅ。志満さんにお茶を貰って復活しました!」

「うーん。しいたけは暖かいけど、沙漓ちゃんが近づいたら家の中に逃げちゃったね」

 

ダイヤに聞いているうちに二人が帰って来てそう言った。手にはカイロがあるから貰ったみたい。

それから、砂浜に腰を下ろして星を見る。みんな望遠鏡で星を見たり、喋ったりと色々なことをしている。

 

「どう?みんなでやる天体観測は」

 

車にいたはずの鞠莉が隣に座るとそう聞かれた。いつもは一人で見るか、鞠莉と見るか、千歌と曜と一緒に見るかだから、とりあえず率直な感想として、

 

「にぎやかだね」

 

そう返す。天体観測は静かにやるイメージが強いから、単純にそう思った。まぁ、千歌達と一緒にやると騒がしいけど。

 

「卒業したら私たちは離れ離れになっちゃうけど、またこんな感じにみんなで騒げるわよね?」

「私はそうしたいかな?海外に行ったらこうして集まるのは大変だと思うけどね」

「そうね……」

「でも、みんなでまた集まりたいっていう、その気持ちがあれば絶対叶うよ。ううん。自分たちで叶えてみせるよ」

「そうね。それが私たちらしいわね」

 

なんとなく浮かんだ言葉を口にする。これに関しては願うんじゃなくて自分たちでやることだと思うから。

 

「今こそ、ヨハネの魔力で星を降らせましょう」

「「わぁ」」

「善子ちゃん、そんなことできるの?」

「ヨハネ!私に不可能は無いわ!」

「じゃぁ、流れ星にお願いする準備をしないと」

「そうだね。願うのはもちろん」

「「ラブライブ優勝!」」

「二人とも、それは願うのではなくて、自分たちの手で掴むものですわ!」

 

海を背に手を夜空に掲げている善子ちゃんにみんなは言葉をかけていく。ほんと、みんなでいる時間は好きだなぁ。目を瞑れば思い浮かぶのは、みんなと一緒に居る日常の風景ばかり。だからこそ、こんな時間をまたやりたいとつくづく思う。そして、最高の思い出を残したい。

目指すはラブライブ優勝。きっとそれが最高の思い出になるはず。

 

「一緒に掴み取ろうね。みんなで」




とりあえず、こっちも落ち着く所に落ち着けないとなぁ。
では、ノシ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。