のんびり天使は水の中   作:猫犬

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方向性が固まったから、2カ月ぶりに再開します。
もしかしたら、また、更新が止まるかも?


かがやきたい!!

あれから数日が経ち、今日から浦の星女学院に入学することになった。それにしても、沼津からだと結構距離あるなぁ。まぁ、いいんだけどぉ。

結局あの日は夕方ぐらいまでヨハネは付き合ってくれた。ヨハネの用事は新学期の為に必要な物を買いに来ていた感じだった。

ちなみに、ずっとヨハネ呼びをしていたらヨハネが先に折れた。その為、一応ヨハネ呼びでよくなったけど、それは二人の時だけってことになっている。

 

そして、現在。

 

「おはよぉ、ヨハネ。なんで木に登ってるのぉ?」

「くっく、堕天使たる私は、高い場所からこの園の人間を観察しているだけのこと」

「ほー、だったら屋上から見ればいいんじゃないのぉ?」

「屋上は閉まってたのよ!」

「行ったんだ……」

 

高校に登校したら、何故か木の上にいるヨハネがいたからそう聞いたら、そう返されてしまった。というか、一回屋上に行って、閉まっていたから諦めるあたり善い子だよね。普通はそれでも無理やり屋上に上がっちゃうと思うしぃ。

結局、ヨハネモードになっていることに対してツッコんだ方がいいのか分からないけど、今はいいかな?どうせ、僕以外誰も気付いていないしぃ。

そんな物かと思いながら辺りを見渡すと、結構な部活が勧誘をしていた。

ソフトボール部、吹奏楽部、スクールアイドル部、水泳部などなど。

何か部活に入った方がいい気もするけど、何部がいいかな?運動系は苦手だし……。

 

「ぴ、ぴぎゃぁぁぁ」

「わっ!?」

「へっ!?……いたっ!」

 

部活のことを考えながら周りを見回していたら、唐突に響いた悲鳴(鳴き声?)にヨハネが驚いてバランスを崩して降ってきた。で、真下にいた僕は回避が出来ず、潰されて二人とも転倒して地面に倒れた。その後に、鞄がヨハネの頭に直撃した音も聞こえた気がした。

 

「「痛たた」」

「「「……?」」」

「大丈夫?」

 

唐突に起きた事故で僕とヨハネは近くにいた四人にじーっと見られていた。そのうちの一人が心配してくれたけど、この瞬間背に被さっている人の気配が変わった気がした。

 

「はっ……ここは、もしかしてここは地上?」

 

そこから、ヨハネの中二台詞が続いた。下等な人間~とか仮の姿~とか言っていたから、相当この中二病というか設定は根深そうです。

 

「善子ちゃん、そろそろ私の上から退いてくれない?重い」

「重くないわよ!悪かったわよ、沙璃」

「善子ちゃんに沙璃ちゃん?花丸だよ。幼稚園で一緒だった」

「は、な、ま、る?」

「……あっ、花丸ちゃん。久しぶり」

 

その中の一人、国木田花丸ちゃんがそう声に出した。まさか、花丸ちゃんまで僕のことを覚えていたとは。というか、なんだこの笑顔の眩しさ!

僕が花丸ちゃんの眩しさに当てられているうちに、ヨハネが一度はしらばっくれ、じゃんけんをして特殊なチョキを出したことで看破されて、ヨハネが逃げて花丸ちゃんと赤毛の子が追いかけって行ってしまった。結果、オレンジっぽい髪の「蜜柑色だよ!」蜜柑色の髪の先輩さんとアッシュブロンドの髪の先輩さんを含めた三人がこの場に残された。花丸ちゃんが去ったことで、眩しさから解放され気を取り直す。

 

「嵐のような時間でしたね」

「うん、そうだね。あれ?君は追いかけなくていいの?」

「はい。どうせ、一クラスしかないので教室に行けば会えると思うので。それで、スクールアイドル部ですか?」

「あっ、うん……もしかして興味あるの!入らない?大歓迎だよ!」

 

鉢巻きにかかれている“スクールアイドル部”の話題を振ったら、思いのほか食いつかれちゃった。でも、無理ですねぇ。

 

「ごめんなさい。私、身体が弱くて極度の運動はダメなので。ダンスとかの一定時間動き続けるのは無理なもので」

「そっか、それは仕方ないね」

「では、そろそろ行きますね。チャイム鳴りそうですし。勧誘できるといいですね」

「うん、じゃぁねぇ」

「じゃぁね」

 

二人にぺコリとお辞儀をしてこの場を後にする。その際に黒髪の大和撫子みたいな人が二人の方に行った気がするけど、気のせいだよね?

 

 

~☆~

 

 

そして、時は進んで入学式が終わって、現在は教室に集まって自己紹介中。なんでか、番号を逆走して。一番からだとつまらないとか。

 

「堕天使ヨハネと契約して、私のリトルデーモンになってみない?」

『『『……』』』

「さらばっ!」

 

ヨハネのターンになって、ヨハネは盛大にやらかし教室に無音の時間が訪れた。結果、ヨハネはこの空気に耐え切れず、ドアから出て行ってしまった。堕天使は卒業するんじゃなかったの?たぶん、数十人の視線に耐えかねたんだと思うけど。

 

「と言う訳で、津島さんの番が終わり、次は園田さんですね」

「あれ?津島さんは放置でいいんですか?」

「あの手のはそっとしておくべきなんですよ」

「はぁ……」(ガラッ)

 

ヨハネが去ったことは何故か許容され、というか先生もやらかした口なのかな?と思いながら、とりあえず教室の前に立つ。

 

「えーっと。園田沙璃です。中学卒業までは東京にいて、最近こっちに戻ってきました。呼び方は名字でも名前でも、どちらでも構いません。よろしくお願いします」

「はい、よろしくお願いしますね」(ガタンッ)

「先生、逃亡した津島さんを連れ戻しに行っていいですか?」

「まぁ、いいでしょう。すぐ戻って来て下さいね」

 

自己紹介を済ませ、ヨハネを連れ戻す許可を取ったらすんなり通った。まさか、許可が下りるとは思わなかったけど。

と言う訳で、教室を出てすぐそばのロッカーの前にしゃがみ、扉に手をかけて開ける。

扉を開けるとそこにはヨハネがいた。教室の中からロッカーの開く音が聞こえたから、すぐわかったしぃ。

 

「ヨハネー」

「見つけるの早ッ!」

「はいはい。そんなところにいないで、出て来て教室に戻るよぉ」

「無理よ。あんな自己紹介をしちゃったんだから。普通に引かれてるでしょ」

「自覚はあるんだ。でも、無理やり連れ帰るよぉ。堕天使を連れ帰るのも天使の仕事だし」

「えっ?」

 

そうこうしているうちにヨハネの手を掴んで引っ張る。ヨハネはロッカーから引っ張り出されて、廊下に出てくる。教室からは次の人の自己紹介の声が聞こえてくる。

 

「それに、この世界はそんなにつまらないものじゃないんでしょ?大体、ここでいなくなればボッチになって暗黒の三年間になっちゃうよぉ」

「ううぅ。それは困る……」

「でしょ?今ならまだリカバリーできるよ」

 

ヨハネは僕の言った言葉の意味が分からず首を傾げ、「ふぅー」と息を吐いて諦めたように立ち上がるのだった。

 

 

~☆~

 

 

「アンタを信じた、私がバカだった……」

「人のことをバカ呼ばわりするのはどうかと思うよ」

 

時は変わって、生徒たちが下校し始めている時間。僕とヨハネは教室に残っていた。というか、ヨハネの愚痴を聞かされていた。

 

「まさか、私を二重人格設定にするなんて思わないわよ!」

「ある意味二重人格じゃん。ヨハネと素の時とじゃ全く別人みたいな感じだし」

 

ヨハネが怒っているのは、僕が取った手段があれだったからだった。教室に戻って来るなり、ヨハネを二重人格持ちということにしたから。これが一番手っ取り早いし、これなら善子の時は普通の少女だということが保たれる。うん、完璧な作戦だね。

 

「もしかして、完璧な作戦とか思ってる?あの時、全員苦笑いしてたわよ」

「平気、平気。あとはヨハネが気を強く持てば万事解決だよ!」

「はぁー、もういいわ。私は帰るわね」

「ほーい。じゃぁ、僕は少し放浪してから帰るかなぁ。今の時間だとバス混んでそうだし。また明日ねぇ」

「じゃっ」

 

ヨハネはそう言って教室を後にしていった。

椅子に体重を預けて天井を仰ぐと、立ち上がり、学校を一回りしてから帰るために、教室を出た。

 

 

~☆~

 

 

「で、入学初日に入部届を持ってきますか、普通?」

「私が普通に見えますか?」

「そういう話をしているのではないのですが……」

 

今、僕は生徒会長と対峙していた。朝見かけた黒髪ロングのあの人が会長さんで、肘を机についてこっちを見据えていて、なんだか貫録を感じる。ちなみに机の上には僕が出した入部届が置いてある。

この部を見つけたのは偶然だった。学内を放浪しているうちに迷って、なんだかんだでたどり着いたから。

僕が“普通”に見えるのか聞いたら、ため息をつかれてしまった。

 

「あれ?もうここの学生なんですから入部はできるのでは?」

「この部は現在部員一人で、勧誘は行っていませんわ」

「でも、部としてあるのなら入部してもいいんじゃないんですか?」

 

こちらとしても引く気は無いので、真っ向から立ち向かう。

“アイドル研究部”それが僕の入ろうとしている部だった。理由は学校内でのんびりできそうな場所が確保できそうだから。

 

「大体。なんでこんな廃れた部に入りたがるのですか?」

「そこに“アイドル研究部”があったからです!」

「そこに山があったから風に言わないでください!」

 

いつまでも平行線。こうなれば、もう一つの手段に出るとしようかな?この、偶然見つけた秘密兵器で。

 

「じゃぁ、その部員の人に掛け合えばいいんですか?」

「……そうですわね。その人の許可があればいいでしょう。ちなみに誰なのかは知っているのですか?」

「はい、知ってますよ。そこに写真が一枚残ってましたから」

「えっ!?そんなはずは。わたくしがしっかりと掃除をして痕跡は一切残していないはず……それに、今は物置として物がたくさんありますし」

「という訳で、“アイドル研究部”所属の黒澤先輩。許可をくれますよね?」

 

僕の目の前にいる生徒会長の黒澤ダイヤさんこそがその部員な訳で、そう言った。放置されていた本がなんなのか気になって、手に取ったらその中の一冊に写真が挟まっていたのを偶然見つけた。裏面に書いてある“K”がなんの意味かは分からないけど……。その写真には黒澤先輩の他に、金髪の人と、果南さんがいた。あれ?この三人はどういう関係だろ?普通に考えれば、アイドル研究部のメンバーなんだろうけどぉ。それに三人とも笑顔だしぃ。

 

「はぁ、もういいでしょう。代わりに、わたくしが部員ということは内密に」

「わかりました」

「ちなみに、好きなスクールアイドルはどこですか?」

 

黒澤先輩が承認印を押そうとすると、一度その手を止めた。そして、そんな質問がされた。まさか、これで失敗したら入部させてくれないのかなぁ?まぁ、言わずもがなだけどぉ。

 

「µ’sですね」

「なるほど……では、今日からあなたも“アイドル研究部”の部員ですわ。よろしくお願いいたしますわね。と言っても、特に活動をしていないので部費は下りませんし、わたくしも生徒会長の仕事が忙しいので顔を出せませんけど」

「分かりました。とりあえずはあの部屋の掃除でもしていますね。よろしくお願いします」

 

僕の答えに対して納得したのか無事印を押してもらうことができた。こうして、僕は晴れて部活に入部することができた。スクールアイドルの普及をしなきゃ!

 

 

~☆~

 

 

「きれいな海だなぁ~」

 

バスに乗って帰る途中、きれいな海が見えたから途中下車をして、浜辺に立ち寄って海を見ながら歩いていた。夕日と海の組み合わせは綺麗だから、スマホのカメラで写真を取っている。

 

「あれ?音ノ木坂の制服だ」

 

カメラで写真を取っていたら、船着き場の一つに音ノ木坂の制服を着た少女がいた。制服を着ていることから、たぶん今年から二年生かな?三年の可能性もあるけど。赤っぽい髪の綺麗な先輩さんだった。

その人は制服を脱ぎ始めて……あれ?こんな場所で脱ぐってことは。

 

「あのー、こんな場所でなにを――」

「……ッ!」

 

声をかけるも、聞こえていなかったようで、水着姿になった先輩さんは海に向かって走り始め、僕は慌てて鞄を地面に置いて手を掴み、それと同時に朝会った蜜柑色の髪の先輩も抱きついて止め……バタバタ暴れる少女によってバランスを崩し、僕たち三人は船着き場の地面に尻餅をついた。僕一人なら海に落ちてたと思う。

 

「なんで、海に飛び込もうとしたんですか?確かにこの海は綺麗だから飛び込みたくはなりますけど」

「そうだよ!今は四月だから風邪ひいちゃうよ。海に入りたいならダイビングショップもあるし」

 

地面に尻餅をついてそのまま座った状態で、そんな疑問を口にする。蜜柑色髪の先輩も同意して、注意する。すると、赤髪の少女は海の方を見ながら口を開いた。

 

「私ね、海の音を聞きたかったんだ」

「海の音?ですか」

 

海の音ってどんな音なんだろぉ?波の音かな?疑問からさらに疑問が生まれた。蜜柑色の髪の先輩もよくわからず、ポカーンとしていた。

 

「ほへぇ。あっ、私は高海千歌。あそこにある浦の星女学院の二年生だよ」

「私は園田沙璃です。浦女の一年です」

『私は桜内梨子です。高校は……音ノ木坂学院高校で、二年生です』

 

それから数言交わすと、分かったことは桜内先輩が音楽に悩んでいること、明日から浦女に編入すること。高海先輩の家が近くにあること、変わった人だということなどなど。普通怪獣とは一体?人ですらないし……。その発想自体がもう普通じゃない気が。

 

「あっ、そろそろバスが来るので私は失礼しますね」

「じゃぁね」

「さよなら」

 

時計を見たらバスが来る時間だったので別れると、ちょうどバスが来てそれに乗って、この場を後にした。

 

「あれ?音ノ木坂ってことはあの辺に住んでたのかな?あんなにきれいな人見てたら覚えてそうだけど……」

 

翌日、ヨハネは学校を休み、何処かの教室から『えぇぇーー』という声が響いたのだった。何事?あと、ヨハネに「また明日」って言ったのに……騙された。




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