のんびり天使は水の中   作:猫犬

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WONDERFUL STORIES

「優勝はAqours!」

 

ラブライブ決勝で全グループが踊り終えると、その場で優勝グループが決まった。

優勝したのはAqoursだった。まさか、本当に優勝しちゃうとは。でも、それくらいいいライブだった。みんな楽しそうだった。だからこそ勝てたんだと思う。

 

僕たちは電車に揺られて内浦に帰る。みんな優勝の余韻に浸っているのか静かな時間が流れた。

 

「ねぇ、海見て行かない?」

「賛成です」

 

すると、いつかの時に行った砂浜が目に入り、千歌さんはそう言い、みんなも頷くと電車を降りて砂浜に立つ。

夕日が海を染め上げていて、やっぱり綺麗だった。

 

「優勝できたんだよね?」

「うん。実感わかないけどね」

「でも、私たちはやり遂げられた」

「うん!」

 

千歌さんはまだ実感がわかないのかそう言う。実感がわかないくらいすごいことだから、そう思う気持ちはわかる。それぞれそんな反応をすると千歌さんの顔が綻ぶ。

 

「ラブライブは終わった。そして、もうすぐ私たちは卒業する。だから、これからのことを決めよっか」

 

そして、ラブライブが終わった以上、ずっと考えずにいた、先送りにしていた問題にぶつかることになった。いつまでも曖昧なままにすることはできない。だからこそみんなで決めなきゃいけない。

 

「Aqoursをどうする?」

 

~~

 

「ヨハネ……盛大にやらかしたね」

「うぅ、最後の日だから気合入れてやったらこうなっちゃった」

「はぁー。時間もそんなにないし、バスに乗りながら直したげる。道具取ってくるね」

「うん。お願い」

「それまで帽子でもかぶりなよ」

 

卒業・閉校式の日の今日。ヨハネの髪が大惨事になっていた。まさか、ここまでやらかすとは。

髪を戻すために道具を取りに戻る。うーん、寝癖直しとブラシ……切る場所は切らないとダメだろうからハサミもか。

そんな感じで適当に見作ろうと部屋を出る。

 

「沙漓、今更ながらできるの?」

「まぁ、なんとかなるでしょ?」

「疑問で返さないでよ」

「もちろん、なんとかするよ」

 

バスに乗ると一番後ろの席に行って、ヨハネの髪を直しにかかる。できればほぐしてブラシをするだけで直ればいいけど。

 

~~

 

「ふぅ、疲れた」

「ありがと、沙漓」

 

浦女の近くにたどり着く頃にはヨハネの髪はいつもの状態に戻すことに成功した。非常に厳しいモノだったけど割となんとかなるものだなぁ。

浦女の校門をくぐると、すでにだいぶ生徒とその親が集まっていて、閉校式もあるからか浦女のOBらしき人たちもいた。

その中にはルーちゃんとマルちゃんの姿が見えたから二人の元に行く。

 

「おはよう。ルーちゃん、マルちゃん」

「おはよう」

「おはようずら」

「おはよ。それにしても、今日で終わるのね」

「うん。だからこそ、ちゃんと終わりにしたいね」

「うまく行けばいいけど」

「うまく行くって信じよ?」

 

三年生の卒業式に、浦女の閉校式。今日の予定は詰まりに詰まっている。そして、“あれ”の準備はほとんどできている。まぁ、式が終わったら最終調整だけど。

 

「あっ、千歌さんたちだ」

「おはよう。みんなは知ってる?」

「ん?何がですか?」

 

千歌さんたち二年生三人と合流すると、会ってそうそうそう言われた。なんの事だろう?

 

「鞠莉ちゃんの提案で中庭を解放して校舎に寄せ書きするんだって」

「校舎に寄せ書き?」

「わぁ、面白そうかも」

「そんなことしていい訳?まぁ、鞠莉が言ってるから平気なんだろうけど」

 

校舎に寄せ書きなんてしていいのかな?そんな疑問があるけど、中庭に行ってみるとすでに始まっていた。窓に、壁にペンキで描かれていく文字や絵。ここまでやっちゃってると、本当にいいみたい。

と言う訳で、僕たちもそれに加わる。

 

「ヨハネ、ここはこうした方がいいかも」

「あっ、確かに」

 

ヨハネの描く魔方陣に手を加えてより禍々しいものにする。寄せ書きとはいったい?気にしたら負けな気がするから気にするのを止めて描き進めると、いつの間にかダイヤさんたちも描いていた。

 

「これから式なのにこんなに汚れてしまってどうするんですか?」

「いいんじゃないの?私たちらしくて」

 

結果として、皆どこかしらにペンキが付いちゃってる状態。校舎には“ありがとう”の文字や虹の絵などなど。これから、二つの式があるけど、果南さんの言う通り僕たちらしいのかな?

 

 

~千~

 

 

卒業式と閉校式が終わって、私は校舎を見て回っていた。みんなそれぞれ大切な場所に行っている。

 

『千歌ちゃん!水泳部と掛け持ちだけど』

『私にもできるのかな?』

『ルビィね、スクールアイドルをやりたい!』

『マルにできるかな?』

『リトルデーモンになれって言うかも!』

『千歌、ありがと。諦めないでくれて』

『ええ。こちらこそお願いしますわ』

『千歌っち、ごめんね』

『こんな僕ですがよろしくお願いします!』

 

教室、屋上、体育館、そして部室。どこも思い出が詰まった場所。あの頃の思い出がたくさん蘇って来る。

もう、あんな日々は送れない。今日でここは終わりだから。

 

「私は嘘つきだ。泣かないって決めたのに……どうして思い出しちゃうんだろ?どうして聞こえて来ちゃうんだろ?どうして……」

 

廃校することは割り切れたと思ってた。でも、やっぱり割り切れていない。もっと頑張っていればって思えてきちゃう。

思い出すとやっぱり辛くなる。

 

「ちーかさん」

「ん、沙漓ちゃん?」

 

声をかけられて涙を拭うと、沙漓ちゃんが外側の入り口に立っていた。どうして沙漓ちゃんがここに?てっきり善子ちゃんたちと一緒だと思ってたけど。

 

「思い出しますね。浦の星で過ごした日々が」

「うん」

「楽しいこともあったけど、辛いこともあった。でも、すべて含めて思い出になって行く。きっと、今はまだ割り切れなくても」

「そうなのかな?」

「きっとそうですよ。そして、そんな思い出が、日々があったから今がある。思い出になるくらい大切な日々だったからこうして思い出せる。だから思い出していいんですよ。そして、泣きたくなったら泣いていいと思います。その度に誰かと共有すれば。僕もいますし、みんなだって」

 

思い出があるから今がある。大切な日々だから思い出すことができる。

沙漓ちゃんがそう言って、私から目線を外し、それにつられて振り返るとみんながそこにいた。

みんなも今までのことを思い出したのか目は潤んでいる。

 

「千歌さん。探していた輝きは見つかりましたか?」

 

そして、沙漓ちゃんは私に聞く。私のずっと探していた輝きが見つかったかどうか。

 

春休みに曜ちゃんと一緒に秋葉に行って、スクールアイドルを知った。µ’sはキラキラしていて、普通な私もµ’sみたいになりたくてスクールアイドルを始めた。

 

なかなか集まらない中、曜ちゃんが一緒にやってくれた。水泳部と掛け持ちだったけど、曜ちゃんと久しぶりに何かを一緒にできることがうれしかった。

 

梨子ちゃんを何度も誘って、一緒に海の音を聞いて、梨子ちゃんが加わってくれた。あの時は必死だったけど、全力で梨子ちゃんと向き合ったから加わってくれたと思う。

 

三人で嵐のような日に体育館でライブをした。最初は少なかったけど、開始時間を間違えただけで、満員になった。そこからの景色はキラキラしていた。

 

ルビィちゃんと花丸ちゃんが体験入部して、その後に二人が入ってくれて、勝手にアイドル研究会に入った。やりたいことがあるなら、隠さずにそれを表に出すべきことを知った。

 

善子ちゃんを誘って、堕天使系アイドルになった。まぁ、一日で終わっちゃったけど、言いたいことを言ったことで善子ちゃんが加わった。それで、好きなことを好きって言えることが大切なのだと分かった。

 

浦女が廃校になるという話が出て、µ’sみたいに廃校を阻止したいって思った。その結果、内浦の温かさを再確認できた。

 

東京でイベントに出た。あの時は浮かれていたのかな?

その結果、誰の投票もなく“0”だった。悔しかった。誰かは見てくれると思ってたのに。そして、みんなで“0”を“1”にしようと決めた。あの時から私たちはやっと走り出したんだ。

 

果南ちゃんたちの拗れが解けて三人が加わって、夏祭りでライブをした。あのライブは大成功だった。今までで一番のライブになったとあの時思った。

 

夏休みの合宿中、予備予選と梨子ちゃんのピアノコンクールの日程が被っていることを知った。梨子ちゃんと一緒に予備予選に出たかった気持ちもある。でも、誘ったあの時から梨子ちゃんがまたピアノと向き合えるようになることを願っていたから。これがいい機会だと思ったから私は梨子ちゃんを送り出した。

 

梨子ちゃんの代わりに曜ちゃんとのダブルセンターになった。最初はうまく合わなかったけど、曜ちゃんが梨子ちゃんの歩幅に合わせたらうまくいった。その時は良かったと思ったけど、どこか違和感を感じて、そして気づいた。梨子ちゃんとは梨子ちゃんの、曜ちゃんとは曜ちゃんのそれぞれの形があるんだと。梨子ちゃんの真似をしたんじゃ、曜ちゃんの曜ちゃんとしてのそれが失われてしまう。そして、曜ちゃんとやり直した。その結果、チカと曜ちゃんだけのステップになって、予備予選を突破することができた。

 

Aqoursらしさが何なのかわからなくて、みんなで東京に行った。音ノ木坂に行って、海未さんの話を聞いて、それで分かった。µ’sを追いかけるんじゃなくて、Aqoursとして私たちらしく走るべきなんだと。

 

地区大会を迎え、結果は敗退だった。悔いはある。でも、あの時私たちは私たちのパフォーマンスができた。だから、“0”が“1”になったんだ。

 

二学期を迎え、説明会が中止になるという話になり、統廃合もほぼ確定だという話がされた。でも、私たちはまだ何もできていなかった。だから、足掻こうと決めた。奇跡を起こそうと。

 

鞠莉ちゃんがお父さんを説得して、どうにか十二月にある地区予選の日まで伸ばしてもらうことができた。そして、予備予選と説明会用に二曲作ることになった。その結果、一、三年生の間にさらなる絆が深まり、無事二曲とも完成した。

 

説明会と予選の日が被った。どうにかしようと色々頑張り、でもどうにもならず、二手に分かれようとした。だけど、内浦に遊びに来た海未さんたちのおかげでどうにか、全員で両方のライブをすることができた。

 

地区予選を突破するために昔果南ちゃんたちが作ったというフォーメーションの練習をした。いっぱい練習したのにどうにもうまくいかず、諦めかけたりもした。でも、みんなが応援してくれて、凜さんと花陽さんに助けてもらい、私は何もできていないと思っていたけどそんなこと無いのだと分かった。だからこそ、完成させられたんだ。突破できたんだ。

 

廃校が決まってしまった。あと少しだったのに届かなかった。だからこそ、諦めきれなくて。でも、もう足掻くこともできなかった。ラブライブの決勝をどうするかわからなくなった。でも、浦女の皆が願ってくれた。浦女の名前を残してほしいと。その為に優勝してほしいと。だから、私たちは再び走り出したんだ。

 

ゲストとして函館の予選に呼ばれた。Saint Snowが突破すると思ってたのに、結果は敗退で驚いた。その後、ルビィちゃんたちが函館に残って、理亜ちゃんと一緒に、ダイヤさんと聖良さんのために曲を作った。あの曲はいい曲だった。だから私たちも頑張らないとと思った。

 

お正月に聖良さんたちを内浦に呼んだ。色々おもてなしたり、私たちの為に練習メニューを作ってくれたり、十一人で歌ったり。その夜、鞠莉ちゃんの運転する車に乗って出かけた。雨が降っていたけど、みんなで願ったら、空は晴れて星空が広がっていた。それでわかった。願えば叶うんだって。願わなければ何も変わらないんだって。

 

閉校祭をした。みんながそれぞれやりたいことをして、最高の思い出になった。浦の星はこんなにも愛されているんだ。だからこそ、優勝したいと改めて思った。こんなにも暖かい場所があったんだって残したいって。

 

ラブライブ決勝。私は聖良さんに言われた「誰のためのラブライブなのか」の答えがわからなかった。ラブライブに勝ちたい。その気持ちはあるけど、それでいいのかわからない。だから、みんなに聞いた。そして、わかった。ラブライブで勝って優勝したい。それと同時にあの瞬間を楽しみたい。そして、私の、私たちの輝きを見つけたいって。

その結果はAqoursの優勝。私たちはやり遂げたんだ。でも、私の輝きが何なのかはわからなかった……。

 

この一年で色々なことがあった。目を閉じればやっぱり思い浮かぶのはそんな日々。特別な日もあれば何でもないような普通の日もある。でも、それら全てキラキラ輝いていて、そんな日々があったからこそ、今の私があるんだ。前まで私は普通のどこにでもいる普通怪獣だと思って、そんな普通な私が嫌だったけど、今はもう大丈夫。普通の私が精一杯頑張って、みんなと一緒にここまで来られたんだから。

 

私が、私たちが探していた輝き。足掻いて、足掻いて、やっとわかった。初めてµ’sを見たあの時から始まって、何もかも一歩一歩私たちが過ごした時間の全てが。それが私たちの探してた輝きだったんだね。

 

「うん!見つけられたよ!」

「なら、良かったです。っと、そろそろ時間ですね」

「うん」

 

もうすぐ時間が迫っている。

 

「ここがあったから」

「みんなで頑張ってこられた」

「ここがあったから前が向けた」

「毎日の練習も」

「楽しい衣装作りも」

「腰が痛くても」

「難しいダンスも」

「不安も緊張も全部受け止めてくれた」

「帰ってこられる場所がここにあったから」

「だからここまで来られましたね」

 

みんなはそう言って部室を出て行く。

 

「千歌ちゃん先行くね」

「うん」

 

この部室が一番Aqoursの思い出が詰まってる。だからこそ、ちゃんとお礼を言ってお別れしないとね。

 

「ありがとう……よっと」

 

そして、お礼を言ってプレートを外す。

これで終わり。でも、最後に私たちはやるって決めたんだ。浦女にお礼をお別れするために。

 

 

~☆~

 

 

「私はAqoursを解散させようと思う」

「いいんですか?せっかく優勝できたのに解散しちゃって。µ’sの真似って訳じゃないですよね?」

「別にいいんだよ?私たちは卒業するけど、千歌たちにはまだ時間があるんだから、沼津の方に移ってからもAqoursを続けても」

「ううん、これで終わり。ちゃんと理由もあるよ」

 

東京からの帰りに寄った海での果南さんの問いに千歌さんは解散を提案した。千歌さんが憧れていたµ’sも三年生が卒業したら解散したから、もしかしてと思ったけど、違ったみたい。そう言えば、µ’sの背中を追いかけるのは辞めたんだから、それは無いか。

 

「Aqoursは浦の星女学院のスクールアイドル。そして、浦の星女学院ももうすぐなくなるからAqoursも一緒に終わりにしようって。Aqoursは浦の星女学院のスクールアイドルだから、ここ以外の場所じゃ何か違うかな?って。だから、ちゃんと終わりしたい。ダメかな?」

「うん……私もそうしたい。それに、やっぱりこのメンバーがAqoursであって、それ以外じゃたぶんAqoursじゃなくなっちゃうと思う」

「そうだね。いつか終わりが来るなら、このタイミングが一番いい」

 

千歌さんの言葉とみんなそれぞれの想いの結果、全員がその結論に至った。みんなで決めて、これで終わり。

 

「でも、突然終わらせるのもあれですし、最後に大きな事しません?」

 

でも、ただ終わらせるのはつまらない。最後の最後まで輝いていてほしい。まぁ、それは僕のただのわがままなんだけど。

 

「ん?ライブでもする?」

「ですね。浦女のスクールアイドルとして終わらせるのなら、やっぱり最後は浦女で終わらせる。支えてくれた浦女の皆に、内浦の人たちへのお礼に」

「うん、それいい!」

「そうね。最後に盛大にやっちゃいましょー!」

「ならやるのは閉校式の終わった後にしましょう。そのタイミングなら、閉校式の流れなので人も集まるでしょうし」

 

「どの曲やろっか?」

「その辺りどうしよう?」

 

「衣装どうする?」

「制服でいいんじゃないの?浦女でやるんだし。それともさっきのにする」

「いろいろ考えることがあるわね」

 

こうして、浦女でラストライブをすることになり、どんどん話を詰め込んでいった。それからの日々はあっという間だった。

 

~~

 

「準備万端、いつでも行けますよ」

「うん」

 

閉校式が終わって、ある程度時間が経った頃。僕たちは体育館の舞台袖に集まっていた。僕は音響とライトの確認をしつつみんなにそう言う。

Aqours最後のライブ。今日の朝に告知したのに、体育館にはたくさんの人が集まっていた。ネットじゃなくて張り紙で告知したけど、満員になっている。たぶん、今日浦女にいた人全員がそこにいる。

結局制服でやることになった。これが一番Aqoursらしいってことで。そして、この日の為に新曲も一曲。決勝から数日しか経っていないのに、完成度は今までのに引けを取らないものになっている。

 

「本当に今日で終わりにするんだよね?」

「じゃぁ、今日をラストライブにしないでおく?」

「ううん。ちゃんと終わらせるよ。みんなでそうしようって決めたんだから」

「そうだね。なら、全力で楽しもっか」

「そうですわね。このライブを楽しんで」

「最高の形で終わりにする」

「そして、見てくれるみんなにありがとうの気持ちを届ける」

「これから頑張ろうって人の背中を押す」

「µ’sが私の背中を押してくれたみたいに!」

「きっと、私たちならできる」

「みんなが一緒なら」

「うん。じゃっ、始めよっか」

『『『うん』』』

「ラストライブ、全力で輝こう!Aqours」

『『『サーン シャイン!』』』

 

今、Aqoursのラストライブの幕が上がる。

 

 

~~

 

 

「ヨハネー、今年はどうする?」

「去年はスクールアイドルをしてきたけど、今年は……」

 

四月。僕たちは沼津の高校に転入した。今は放課後でだいぶ落ち着いたけど、朝はすごかった。みんなはラブライブを優勝したわけだから、みんなのもとにはファンの人やら、勧誘しようとする人やらいっぱいいた。たぶん、表に出ればみんなは勧誘の嵐だろうけど。ちなみにそんな光景を僕ははたから見てた。人混み辛い。

ヨハネはもうスクールアイドルをやる気は無いのか、勧誘は断っていた。たぶん、千歌さんだったからこそヨハネがスクールアイドルをやったんだと思う。だから、こうなることはなんとなくわかっていた。

曜さんは飛び込みに、梨子さんはピアノに専念するらしく、千歌さんは……よくわからないけどスクールアイドルをする気は無いらしい。たぶん、受験があるからだと思うけど。まぁ、これはただの予想。この前そんな感じのことを言ってた気もするし。

ルーちゃんとマルちゃんはどうしようか悩んでいる状態。というか、けっこうプレッシャーが強いから困ってるみたい。

ちなみに今は、たくさんある蔵書を見に二人は図書室に行っている。

 

「そっか」

「そう言う沙漓はどうなの?もう激しい運動をしても問題ないんでしょ?」

「まぁね。でも、僕は見る専門だから。踊るのはパスかな?それに弓道続けるつもりだし。今年は弓道をのんびりやってくよ」

「はぁー、沙漓がもっと早くに始めていれば廃校に待ったをかけれたんじゃないの?」

「いやいや、さすがにそれは無いよ」

「あっそ」

 

流石に僕が頑張ったって廃校は覆せたなんて思わない。それに、終わったことを言うのもどうかと思うし。

 

「ヨハネはこうして、またボッチの道を進むの?」

「ボッチじゃないでしょ?契約があるんだから」

「まぁ、そうだけど。どこかの部活入らないの?一覧だと占い部とかオカルト研とかあるけど」

「パスかな?占いは一人でやる物だと思うし。私が好きなのは堕天使とか黒魔術だし。だから、特に入らないわ」

「オカルト研、黒魔術の研究もしてるみたいだよ?」

「うっ」

「あ、揺らいだ。さて、いつまでも駄弁ってるのもあれだし、そろそろ行こうかな?弓道部の設備がどうなってるのかも気になるし。あっ、今気づいたけど、二年で入るって、すでにコミュニティが形成されてるから、けっこう辛いかも。浦女じゃ弓道してる人いなかったし」

 

今気づいたけど、その心配があった。絶対浮くやつだ。あー、一気に入る気力が~。どうしよう一人でまたやる?でも、浦女の時みたいにはいかないか。あの時は鞠莉さんだったから許容されてたわけだし。

 

「ヨハネー、一つ提案――」

「弓道部に一緒には入らないわよ」

「まだ言い終わってないんだけど」

「なんとなくわかるわよ。沙漓の考えてることくらい」

 

ヨハネと一緒に入ろう作戦も、始まる前に終わってしまった。いい作戦だと思ったのに。

 

「まっ、それは諦めるとして、どうする?一応部活見て回る?」

「はぁー、一応付き合ってあげるわ」

「ありがと」

 

ようやく今日の予定が決まり、僕たちは立ち上がり廊下に出る。とりあえず、弓道部を覗きつつ他の部も見ようっと。

 

「あっ、沙漓ちゃんと善子ちゃんいたー」

 

廊下に出ると、千歌さんの声が聞こえ、こっちに向かって猛スピードで来ていた。

 

「千歌ちゃん、走らないの!」

「まぁまぁ、あれはギリギリ早歩きだから」

「いや、ほとんど走ってると思うずら」

「うーん。まぁ、人にぶつからなければ平気じゃないかな?」

 

その後ろから四人も追いかけていた。えーっと、何事?あと、千歌さんのは見る人から見れば走っているし、注意した梨子さんもだいぶギリギリのラインだと思う。

 

「善子ちゃん、沙漓ちゃん。一緒にスクールアイドルやろう!」

「え?」

「はい?スクールアイドルはもうやらないんじゃ?」

「ふぇ?なんで?私はまだまだ輝きたい!だから、またみんなでやろう!この七人で!」

 

どうやら、千歌さんは受験とか関係ないみたい。ヨハネを見るとポカーンとしていて、でもその瞳は楽しそうに輝いていた。みんなも同様にまだまだやりたいみたい。

うーん。今年もまたのんびりとした生活は送れなさそうかな?まぁ、面白い事にはなりそうだけど。

さてさて、今年はどんな輝きが見られるのやら?




と言うことでこれで終わりです。だいたい半年間の間ありがとうございました。ノシ
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