なぎさが保護して病院に転送した銀髪の少女は龍美が持っていた物を返して欲しいと言って来たのであった。
「返すかどうかは、キミが質問に答えてくれるかどうかで判断するよ(これがお母さんが言ってた物だよね)」
「それは、ハート・ハイブリッド・ギア。わたしのパワードスーツ」
「ありがとう。やっぱりしばらく、キミには返せない。そういえば名前聞いてなかったね」
「
「そうだね、簡単に言えば、これを体内に入れたまま戦っていたら、愛音は死んでいたんだよ」
「でも、それがないと‼」
龍美が持っている「それ」はなんと目の前にいる銀髪の少女の体内に埋め込まれていた物だったのであった。
それが龍美は一目でこのままでは命に係わると察して蒐集魔法で少女が目を覚ますまでに取り出したのである。
その正体は強化服のコアらしきものでそれを体内に埋め込むという下手すれば命を落とす危険がある物が体の中に入っているのだから、そうですかと返すわけにいかないのだ。
龍美は名前を聞くのを忘れていたので訊ねると、「千鳥ヶ淵愛音」という覚えにくい名前の少女はどうしてそれを返してくれないかと龍美に訴えたのであった。
「いい加減にしろ‼ ボクは医者である限り、命を救うのは当然、見す見す、死に行かせるようなことはさせない。これはボクの知り合いの人が言ったんだけど「死ぬ気でやれることはいくらでもある。何もかも許さなくてもちゃいけないとも思わない。どんなにつらくても・・・後ろばかり見てたらダメなんじゃないかな」ってね」
「だけど・・・」
「今日は一日、ゆっくり休んで、明日の検査次第で退院できるよ」
「うん」
いつもは温厚でお人好しな龍美がドスが効いた男口調で怒鳴ったのであった。
医者である龍美から言わせれば見殺しにする気は当然ないのだ。
龍美は元の口調に戻って、アドリビトム組のロイド・アーヴィング直伝の格言を言ってのけたのであった。
そして、龍美は病室を後にしたのであった。
「龍美ちゃん」
「言い過ぎたかな?」
「それを決めるのはあの子次第だ。実は、ダークカブトのゼクターが反応して、追いかけて来たら」
龍美が愛音の病室から出て来ると幼馴染達が待っていてくれたようで、言葉を交わしたのであった。
恋龍が自分が設計しヴェスタWSCが開発した「マスクドライダーシステム」の一つで理輝が資格者になっているカブトゼクターと言われる赤いカブトムシの形をした物である。
理輝が使うのは機攻殻剣「クロノジェット」の人格が搭載されているので当たり前なのだ。
それの原型つまりプロトタイプである黒いダークカブトゼクターが管理下を離れて飛んで行ったと報告されたので、その反応を追って恋龍達がやってきたのが今いる天界の病院というわけだったのである。
そして、
「ブ~ン」
「え? わたし」
「ぶ~ん」
「どうやら、あの子が資格者になったか」
ダークカブトゼクターは愛音の手元に降り立ち愛音を資格者に選んだのであった。