やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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番外:弁当編

私は弁当を持って、八幡の席に向かった。今日弁当を食べてもらう約束をしていたから。約束と言っても一方的に押し付けただけだけど。

由比ヶ浜が私を見ている。少し不安気な顔をしているけど、そんなこと気にしていたら八幡を誘えない。私は彼女の方を見ないように八幡の席に向かった。

 

「は、八幡。行くよ」

「ああ、場所はどこで食べるんだ?」

「着いてきな」

 

弁当を持ってくることを一方的に約束したのに、文句も言わず着いてきてくれてる。やっぱり八幡はやさしいな。そのやさしさを私だけに向けさせたい。なんとか材木座のラノベに有ったように胃袋を私の弁当で掴まないと。

 

「ここで食べよ」

 

そういうと私は屋上にある給水塔の壁にもたれるよう腰を下ろし弁当を広げた。八幡は私の横に腰を降ろし、弁当を用意してる私を見ていた。

私の弁当は和食がメインだ。芋の煮っころがし、ほうれん草のお浸し、鰤の煮付け、あとアスパラを豚肉で巻いたものや卵焼きなどを入れてきた。

 

「すごいおいしそうだな、本当に貰っていいのか」

「は、八幡のために作ってきたんだから良いに決まっているだろ//」

「ありがとう、沙希。じゃあ、いただきます」

「うん、いただきます」

 

「うめえ、これぶりの煮付けか?」

「うん、そうだよ」

「なかなか家だと食べる機会がないんで凄く嬉しいわ。小町は煮付けとか余り出来なくてな。これだけでご飯が何杯でもいけるぞ」

「煮付けだけじゃなくて、他も食べて」

 

そういって私は八幡に他のおかずも食べるようお願いした。色々感想を言ってほしいしね。

 

「卵焼きに何か入っているな、これうなぎか!?」

「ああ、京華がうなぎが好きでね、高いんであまり買えないけど。昨日、京華がおねだりしてきて、夕飯の分を数切れとっておいたのさ」

「へー、うなぎと卵って合うんだな。初めて食べた」

 

「この芋の煮っころがしも味が染みててて、美味しい」

「喜んで貰えてなによりだよ」

 

八幡は一つ一つのおかずに付いて、うまいとか美味しいとか言ってくれる。私は顔が喜びで崩れてしまわないように平静を装っていたが、顔は赤面しっ放しだ。でも美味しいと一言言ってくれるだけで私の心は凄く満たされていた。

 

「ごちそうさまでした」

「お粗末様」

「本当にありがとう、凄くうまかった。でも大変だっただろ」

「そんなことないよ、もし八幡が良かったら明日も作ってくるけど//」

「いや、それがな。昨日、沙希が作ってくるって言った後、いろは、雪乃、結衣の3人がそれぞれ作るって良いだしてな」

「..ふーん、じゃあ誰の弁当が一番良かったか、教えてよ」

 

ちょっと声のトーンが下がってしまった。どうしてアイツらも作ってくるんだ。でもある意味チャンスかもしれない。私が勝てればそれだけ八幡の胃袋を掴めたと言うことだから。

 

「せっかく作ってくれるのに順番なんて付けれないだろ」

「じゃあ、一番また食べたいって思ったものでも良いから」

「..まあ、それぐらいなら」

 

その後、私たち二人は予鈴がなるまで他愛のない話をして屋上で過ごした。

 

******************

次の日。

 

私はベストプレイスにランチマットを引いて準備をしていると先輩が来るのが見えたので、嬉しくなって私は呼んでいた。

 

「先輩!!こっちです!!」

「分かってるって」

 

先輩の手には何時ものコーヒーと紅茶が握られていた。私のために買ってきてくれたのかな。そんな気遣いがうれしい。

 

「ほれ、紅茶」

「ありがとうございます。じゃあ、先輩はこっち座ってください」

 

そういうと、先輩と私の間に弁当箱を置いて蓋を開けた。

 

「サンドイッチなんだな」

「ええ、和食では川崎先輩に勝てないですからね。私は自分の得意な方向で作って見ました」

「沙希もだが、なんで勝ち負けにこだわるの?俺は作ってくれただけで嬉しいぞ」

「はあ、女心が分かっていませんね、先輩は。自分が作ったものが一番って言われたいじゃないですか」

「そういうもんかね」

「じゃあ、先輩。いただきましょう」

「ああ、じゃあいただきます」

「はい、召し上がれ」

 

私のサンドイッチはハンバーグやカツ、卵を挟んだものを用意してきた。先輩はカツが挟まれたサンドイッチを手に取ると、一口食べてくれた。

 

「うまい!!少し辛子が塗ってあるな、程よい辛さが食欲をそそるな」

「ありがとうございます!!こっちも食べてください」

 

そういうと私は別のカバンに入っていたタッパーを取り出して先輩の前にだした。

 

「サラダか、わざわざ別の袋に入れてきたんだな」

「ええ、保冷袋に入れてきたんです。サラダが生温かくなっちゃうんで。このドレッシングは私が作ったんですよ」

「へえ、じゃあちょっと貰っていいか」

「はい、食べてください」

 

私は別の容器に入っているドレッシングを取り出しサラダの上に掛けた。

 

「へぇ、和風ベースで柚子の香りか?」

「そうですよ、柚子胡椒を入れてるんです」

「すごいな、ドレッシングも自分で作ったのか」

「市販のでも良いんですけどね、今日はちょっと頑張って見ました」

「ありがとうな、いろは」

「はい//」

 

途中サンドイッチをとるとき、お互いの手が触れ顔が赤くなったりしたけど、私たちはサンドイッチを食べながら会話し、楽しい一時を過ごした。

 

******************

 

木曜日、今日は私が弁当を作ってくる番だわ。八幡に部室で待っていると良い忘れたが、彼のことだからきっと分かっているわね。今日は由比ヶ浜さんも、三浦さんたちと食べると言って気を使ってくれたし。

そう考えていると、八幡が来てくれたわ。

 

「やっぱりここだったか」

「ええ、私たちが集まるところといえば、この部室でしょ」

 

私は八幡が入ると何時も由比ヶ浜さんが座っている椅子に座るよう促して弁当箱を並べた。大きさの異なる器が3つ。小さいのは私のご飯。中ぐらいのが八幡のご飯。大きい弁当箱にはおかずで蓋を開けて、食べるよう促したわ。

 

「雪乃のは中華弁当なんだな」

「ええ、川崎さんに対抗して和風でも良かったのだけれど、一色さんがどういった弁当だったかも聞いていないので、和風が続くより良いでしょ」

「そんなことに気遣いしてくれるなんて、うれしいな」

 

そういいながら、八幡は手元にある弁当箱を開けていた。

 

「へえ、ご飯はチャーハンなんだな」

「ええ、では食べましょう」

「そうだな、いただきます」

「いただきます」

 

「うまい」

 

八幡はまずチャーハンをスプーンですくって一口食べてくれたわ。どうかしら口に合えば良いのだけれど。感想を聞くまでは気になって私は食べれないわね。

 

「やばい、俺の負けだわ」

「貴方、何と勝負をしているの?」

「いや、俺もチャーハンは自信があったんだが、完全に負けているな」

「そういって貰えると嬉しいけれど、料理は小6レベルって言っていなかったかしら」

「チャーハンだけは自信が有ったんだけどな、このチャーハンは別物で俺のチャーハンと比べること自体がおこがましいと思ったんだ」

「ふふ、ありがとう。でもおかずも食べてね」

 

思わず笑みがこぼれてしまったわ。でも気になっている異性が美味しいと言ってくれるだけで、これだけ満たされるものなのね。

八幡は次におかずの方に手を伸ばして酢豚を摘んでいたわ。

 

「へー、これ美味しいな。これって酢豚か?」

「そうよ。多分、貴方の知っている酢豚はケチャップで味付けしているのだと思うのだけれど、これは使っていないのよ」

「一緒の酢豚でも違いが出るものなんだな、凄く美味しいよ」

「これ手羽先か?」

「手羽先の骨をとってきたの、手を汚すのもどうかと思って」

「うん、うまいぞ」

 

八幡は私がビックリするぐらいの勢いで弁当を食べてくれたわ。少ないより残してもらった方がいいと思って多めに作ってきたのだけれど。

 

「大丈夫?八幡。多めに作って来たので残してもらっても良かったのだけれど」

「いや、全て美味しかったんで、いつの間にか食べてしまったんだ。雪乃の分を考えてなかった。足りたか?」

「ええ、私は十分食べたわ」

「そうか、良かった。ではご馳走さまでした」

「お粗末様でした」

 

「そ、それで今まで食べた中で、誰の弁当が一番美味しかったのかしら」

「いや、まだ結衣の分食べてないぞ」

「..そうね、みんなの分を食べてから聞いた方がいいわね」

「でも順番はつけないぞ。沙希にも言ったんだが、みんなそれぞれ美味しかったし失礼だろ」

「そう、少し残念ね」

「また一番食べたいと思ったものを教えろとは言われたけどな。でも雪乃の料理は出来立てを食べたいと思ったぞ」

「ありがとう、では何時かお招きするわね」

「よろしく頼む」

 

その後、予鈴がなるまで私たちは何時もより口数多く会話をしていて、楽しくお昼を過ごしたわ。

 

******************

 

金曜日のお昼、ヒッキーの席に向かうとどこで食べるんだ?と聞いていた。

 

「え、教室で食べようよ」

「..その恥ずかしいんだが」

「いいじゃん。これ弁当だよ」

 

私も教室で一緒に食べるのは少し恥ずかしかったけど、そんなことよりヒッキーに早く食べたかったので、教室で食べようと言い、弁当箱をヒッキーに渡した。優美子や姫菜たちが『がんばりな』って後押ししてくれたから、少しぐらいの恥ずかしさなんてどうでもいいや。でもサキサキとさがみんが私たちのことをジッと見ているのが、ちょっと気になるけど。

ヒッキーは弁当箱を開けてくれたが、驚いた表情をしていた。

 

「へー、見た目ちゃんとした弁当だな」

「ひどい!!私だってちゃんと練習しているんだよ」

「確かに結衣が作った弁当だな、このおにぎりとか大きさがチグハグしているし、こっちの卵焼きと蛸さんウインナーとかは少しこげが有るし」

「..味は大丈夫だよ。ヒッキー食べてよ」

「ああ、じゃあいただきます」

「どうぞ」

「あ、あの由比ヶ浜さん。そんなに見られると食べづらいのだけれど」

「なんで、ゆきのんの真似!?ちょっと似ているし!!..だって気になるもん」

「..じゃあ、このハンバーグをいただきます」

「うん、どうぞ」

 

「おお、ハンバーグだ!?以前のと全然違う!!」

「驚くとこ、そこ!?」

「だってちゃんと食べれるんだぞ!!よく頑張ったな、結衣」

「..ありがとう//」

 

ヒッキーが褒めてくれた。それだけで何でこんなに嬉しくなるんだろう。自分の頑張りを褒めてくれたからかな。以前はやらなくても良いと思っていたけど、こんなに嬉しい気持ちになるなら、もっと褒めてもらえるように頑張りたいな。

 

「おにぎりもちゃんとおにぎりだな」

「なんだし、それ!?」

「いや、定番だろ。塩の代わりに砂糖を使って握ってきたとか。ちょっと塩が強いと思うけど」

「ごめん、今度は塩の量にも気をつけるね」

「でも十分美味しいぞ」

「うん、ありがとう」

 

ヒッキーはおにぎりを頬張った後、卵焼きに箸をつけようとしていた。きた!!どうかな、ちゃんとできているかな。

 

「....」

「ど、どう?ヒッキー」

「何だか懐かしい気分になった、美味しい。..これ、結衣ん家の味か?」

「ううん、実は小町ちゃんにヒッキーのお母さんのレシピ聞いてもらったんだ」

「どうりで一緒の味なんだな」

「..駄目だったかな?」

「..ありがとうな、結衣」

 

ヒッキーの目がすこし潤んでいるように見えたけど、これは言わないほうがいいよね。でも私が作った卵焼きでそんなに感動して貰えたのなら、凄く嬉しいな。

その後、ちょっと会話が減ってしまったけど、ヒッキーは美味しいと言いながら私の弁当を全て食べてくれた。

 

「ごちそうさまでした」

「食べてくれてありがとう」

「凄く美味しかったぞ。その、ちょっと感動したし」

「うん、また作ってくるから食べてよね」

「無理しなくていいぞ、弁当作るの大変だろ」

「ううん、私がヒッキーに食べてほしいだけだから」

 

私たちは始めて教室でお昼を一緒に過ごしたけど、いつも通り他愛ない話が出来て嬉しかった。今度また小町ちゃんにお願いしてレシピを教えてもらおうかな。でも小町ちゃんは今、受験で忙しいだろうから、頼みにくいけど。

出来ればお母さんに直接お願いしてみようかな//

 

******************

 

金曜日の放課後、俺たちは奉仕部の部室に集まっていた。なぜか相模も部室にきたんだが。

 

「比企谷、なんで結衣ちゃんの弁当を食べてたの?」

「今日は結衣が作ってくれたんで、食べてただけだ」

「..ねえ、何で結衣ちゃんのこと名前呼び?」

「相模さん、ここにいる私たちはみんな、名前で呼んでもらっているのよ」

「川崎さんと生徒会長も?」

「ああ、私も八幡に名前で呼んでもらっているよ」

「私も先輩から呼んでもらってますよ」

「比企谷、..うちも名前で呼んでほしい」

「はぁ、..みなみ。これで良いか」

「うん、ありがとう。じゃあ、うちもこれから八幡って呼ぶね」

 

「八幡。誰のおかずが一番良かったのか教えて貰える約束だよね」

「ああ、おかずの一品でいいんだよな」

「私は誰の弁当が一番良かったのか、教えてもらいたいんですけど」

「順番なんか付けれないからな。みんなの弁当はそれぞれ美味しかったし」

「では、どのおかずが良かったか教えてもらえるかしら」

「俺が一番また食べたいと思ったのは、..結衣の卵焼きだ」

「「「え!?」」」

「あ、ありがとう!!ヒッキー//」

 

みんなびっくりしているな、俺も想定外だったけど。でもそれぞれの弁当を思い出しても結衣の卵焼きのインパクトにはとても敵わなかった。

 

「結衣の卵焼きなんだが、小町を通して家の母さんに聞いて作ってくれたんだ。食べた時、小さいころ作ってもらったのを思いだしてな。懐かしくてちょっと感動してしまった」

「..そう、今回は私たちの負けね」

「そうですね、でも今度は負けませんから」

「由比ヶ浜、私にもそのレシピ教えて」

「えー、教えたら私、負けちゃうじゃん」

「由比ヶ浜さん、私たちも小町さんに聞いても良いけれど、受験の邪魔になるでしょ。なので私は貴女から教えてほしいわ」

「..うん、そうだね。小町ちゃんに私も迷惑をかけたから、これ以上は駄目だよね。じゃあ、後でメールを転送するから、サキサキアドレス教えて」

「ああ、良いよ。ついでに八幡のアドレスも教えな」

「ちょ、うちにも八幡のアドレス教えて」

「わ、私にも教えて欲しいわね。みんなでアドレス交換しましょう」

「どうせならLINEも登録しようよ」

 

俺の携帯を渡すとみんなでそれぞれ登録しだした。なんだか、和気藹々としだしたな。まあ、雪乃や沙希なんかは余り友達もいないだろうから、こういう繋がりもいいだろうな。弁当の話とかも出来るだろうし。

 

「八幡。うちも来週、弁当作ってくるから食べてよね」

「駄目だよ、相模。来週から毎日、私が作ってくるから」

「それはちょっと横暴ではないかしら、川崎さん。私もまた作って由比ヶ浜さんに勝たないといけないのだから」

「ゆきのん、まだ私が勝てるわけないじゃん。でもサキサキ、私も作りたいから駄目だよ」

「私も作りますよ、川崎先輩」

「いや収拾付かないだろ、これ。俺は購買で買うから。弁当代も馬鹿にならないだろうし」

「先輩はだまっててください」

「ちょうど5人いるのだから、曜日毎に分ければ、良いのではないかしら。そうすれば弁当代と言っても一人の負担は減るわけだし」

「みなさんが良ければそれが良いですね」

「うん、それで良いよ」

「しょうがないね、それで良いよ」

「うちもいいよ」

「では八幡、毎日誰かのお弁当を食べるようにね」

「俺には拒否権ないの?」

「「「「「ない(よ)(わよ)(ですよ)」」」」」

「はぁ、分かった。じゃあ、またよろしく頼む」

 

そういうと、弁当談義が始まった。でもみんなが母さんのレシピで卵焼き作ったら感動も薄れると思うんだが。まあ、美味しく食べれるんならそれで良いんだけど。

 

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