「みんな、久しぶり!!」
「お邪魔します」
折本さんともう一人が一色さんに連れられ入ってきたわ。見たことはあるのだけれど、名前は分からないわね。
「初めましての人もいるね。海浜総合二年の折本かおり、比企谷とは中学が一緒なんだ」
「お邪魔します。かおりの友達の仲町千佳です」
「三浦優美子、あーしはヒキオと一緒のクラスメイトだし」
「相模南です。うちも八幡と一緒のクラスだよ」
仲町さんは私も喋るのは初めてになるのよね、私たちも改めて挨拶をしたわ。さすがに彼女はラノベを書いてほしいと言わないと思うのだけれど。
「折本殿。この間はお礼、ありがとうございました」
「俺もありがとうな」
「ううん、私もラノベ書いてもらったしね。比企谷。この間のラノベ千佳にウケてたよ。今だに言われるし」
「かおり、あれは駄目でしょ。最初の方は良かったけど、後半なんてそっちの話ばっかりだし」
「止めてくれ、あれは無かったことにしたいんだ」
「ヒキオ、折本だっけ?どういう内容のラノベだったの」
「かおりがエッチな奴って言って、18禁のを書いて貰ってたんだ」
「ねえ、比企谷。いきなり名前呼び?」
「あ、スマン。最近名前で呼べって言われて、折本のことも名前で呼んでしまった」
「いいよ。じゃあ、私も八幡って呼ぶから//」
「..ああ//」
「「「「「....」」」」」
折本さんのラノベ、私は言われるまで忘れていたわ。折本さんにとっては初めてのラノベだったのだし、印象が強いのでしょうけど。でも今思い出すと恥ずかしい内容だったわね、色々勉強にもなったのだけれど。
「今回は八幡が多趣味って事で書いてみたのだ」
「内容については問題なさそうね、ではみんなで読みましょうか」
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(ここから材木座の小説)
春休みになり日中はぽかぽか陽気なので、私はロードバイクで木更津にある太田山公園まで花見に行こうと走り出していた。
家を出てすぐ、民家からバイクのエンジン音が聞こえてきた。何気なくそちらを見ると比企谷がバイクのエンジンを掛けて出かける用意をしている。ここって比企谷ん家だったんだ。でも比企谷ってバイクの免許持っているの?全然知らなかったな。
私は自転車を止め、比企谷に駆け寄っていた。
「比企谷、これあんたのバイク?」
「うん?折本か、バイクはオヤジのだけど免許は持っているんだ」
「ウケる!!何てバイクなの?」
「CB400SUPER FOURって言うんだ。まあ、オヤジのだし結構古いんだけどな。で、これを持って館山の城山公園まで桜を撮りに行こうと思ってな」
そういうと比企谷はバッグに入っているカメラを見せてくれた。比企谷ってカメラが趣味なんだ、ちょっと意外。
「カメラが趣味なんだ、奉仕部で女の子ばっか撮ってるんでしょ。それある!!」
「何を言っているんだよ、俺が撮るのは景色とか風景だ。女性は小町しか撮ったことない、俺が撮ってたら警察呼ばれるだろ」
「警察呼ばれるんだ。ウケる!!」
「受けねえよ」
「ねえ、比企谷。私も自転車で木更津の桜見に行くつもりだったんだけど、館山行ったことないから連れてってもらえない?」
「やだよ。お前、自転車だから着いてこれないだろ」
「なにそれ、私自転車なの?ウケないよ。..比企谷の後ろに乗っけってってほしいな」
「タンデムで行くのか、危ないだろ」
「比企谷って危ない運転するの?」
「そういう訳じゃないが、バイクはコケたりするからな。その格好だと危ないし//」
比企谷は私の恰好を見て顔を赤くしだした。でもなんで顔を赤くしているんだろ、このウェアってピッチリしているから体のライン出ちゃうんだよね、それでかな。でもこのウェアだと確かにコケると危ないよね、膝とか肘とか丸出しだし。
「でも、そんなのロードバイクも一緒だよ」
「スピードが違うだろ。せめて、長袖に厚手のズボンじゃないと」
「じゃあさ、家に一回寄ってよ。着替えてくるからさ」
「はぁ、分かったよ。じゃあ小町のヘルメット持ってくるから、ちょっと待ってろ」
比企谷は小町ちゃんのヘルメットを取りに家の中に入って行った。比企谷ってバイクに乗っていたんだ。こんなので学校に迎えに来てくれたら、すごい格好いいよね。
カメラの趣味も良いな。今日は桜をバッグに撮って貰お。
比企谷がヘルメットを持って家から出てきたので、私はロードバイクに跨がると比企谷を先導するように走り出した。家にはすぐ着いたので、比企谷に待ってもらうように言って着替えに行った。
「比企谷、この格好ならどう?」
「ああ、下はジーンズならいいぞ、上は長袖なら何でも良いからそのパーカーで充分だ。じゃあ、このヘルメット着けてくれ。後、俺のリュックを背負ってもらえるか」
「うん、でも比企谷とタンデムか、何だかウケる!!」
「受けねえよ。ただ本当に危ないんで、しっかり掴まっててくれよ」
「うん、じゃあお願いね」
比企谷がバイクに跨がり、いいぞって言ってくれたので、私はリアシートに跨った。肩に手を掛けたんだけど、危ないからって腰に手を回すように言われた。は、恥ずかしいな。比企谷に抱きつくなんて、今までしたことないし。でも危ないし私は比企谷に後ろから緊張しながら抱きついた。
バイクが走り出していくつかの信号を過ぎたとき、赤信号で止まると比企谷が話しかけてきた。高速を使うから、暫く降りれないが、問題ないか聞いてくれた。何かあったら比企谷の胸を叩けって言われて、私が了承すると比企谷は高速に向けて走り出した。
今、高速を走っているんだけど、マンガに書いてあったの嘘じゃん!!マンガだと走りにながら喋っていたけど、バイクの後ろから話しかけても風切り音とエンジン音で会話なんて出来ないし。
でもすごい気持ちいい、風を斬って走っている感じ!!比企谷の背中がすごく大きく感じるな。今まで背中に抱きついたことないけど、今私の体は比企谷の体で支えられているんで、すごく頼りに思える。いま私の体は比企谷に任せるしかないんだよね。
暫くするとバイクはパーキングエリアに入って行った。駐車場に止め、私がバイクを降りてヘルメットを取ると、すごく気持ちいい。
「折本、大丈夫だったか」
「うん、すごくいい気分だよ。何だかバイクって車と違って気持ちいいね」
「体で風を受けて走るからな。ちょっとここで休憩してこうぜ」
「うん、じゃあジュース飲ませて」
「ああ、ゆっくりしてっていいぞ」
「そういえばさ、カメラが趣味なんでしょ。ここで撮ってよ」
「俺、まだ初心者なんで下手くそだぞ」
「良いじゃん。比企谷とこうやって出かけるの初めてだし、記念に色々撮ろうよ。ウケるし」
「だから、ウケねえよ。でも記念だしな。じゃあちょっと用意するわ」
そういうと比企谷はリュックからカメラを取り出して、私の方に向けてきた。色々冗談でポーズを決めてたんだけど、比企谷はずっと撮ってくれてた。
「ねえ、比企谷。バイクに跨っても良い?」
「ああ、転かさないようにな」
バイクに跨ると、比企谷はまた写真を撮ってくれた。いいな、こういうのも。私はもう一枚写真が欲しくて、比企谷にお願いした。
「ねえ、記念にツーショット撮ろうよ」
「撮れねえよ、誰が撮るんだよ」
「私に貸して」
私は比企谷にカメラを借りると、ツーリングに来て休んでいたオッサン達に話し掛け、撮ってもらえるようお願いした。
「おお、いいぞ。兄ちゃん。もうちょっと彼女に近寄れよ」
「いや彼女じゃないんで」
「いいから、じゃあ撮るぞ」
私は比企谷の腕に手を通して、写真を撮ってもらった。比企谷は顔を真っ赤にして横を向いちゃっているし。へへ、ウケる!!
オッサンは比企谷に顔を向けるよう言って、何枚か写真を撮ってくれた。
「兄ちゃん、照れてばっかりじゃないか。彼女と一緒に撮るんだからもっとしっかりしな」
「いえ、ありがとうございます」
「スーパーフォアか結構古い奴じゃないのか」
「ええ、オヤジのバイクなんですけど、倉庫に置いてあったんで、借りてるんですよ」
「良いオヤジじゃないか」
「そんなことないですよ」
「最近の若い連中はバイクに乗らないからな。まあ、彼女を乗せているんだ。気を付けて走れよ」
「はい」
オッサンは手を降って私たちから離れて行った。バイク仲間ってこういう風なのかな。サイクリングでもお互いの自転車のことで話したりするし、バイク仲間もそうなんだよね。
「結構、気さくに話してくれる人だったね」
「ツーリングしている人たちって大体、ああいう風だぞ。やっぱりバイク仲間って事で身近に感じるのかもな」
「それある、サイクリングでも一緒だし」
「休憩はもう良いか、そろそろ行こうと思うんだが」
「うん、じゃあまたよろしく!!」
「ああ」
私たちがバイクの準備をし出発するとき、さっきのオッサンと仲間たちが手を振って「気を付けてな」って言ってくれていた。
私は手を振り返して答えて、比企谷も左手をあげて答えていた。
その後、途中休憩しながら、館山まで走って行き、城山公園についたんで駐車場にバイクを止め、私たちは公園まで歩いて行った。
「すごい!!桜綺麗だね!!」
「ああ、ニュースで満開って言っていたからな」
「そこは、お前の方が綺麗だよって言う所だよ、比企谷」
「ば、ばか。俺がそんなこと言える訳ないだろ//」
「ふふ、それある!!」
「でも本当に綺麗だな。城と桜をバックに折本の写真を撮ろうぜ」
「うん、比企谷。綺麗に撮ってね」
比企谷は何枚も写真を取ってくれていた。ちょっと撮りすぎじゃない?でも綺麗に残してくれるんなら良いんだけどね。
「ねえ、撮ったの見せて」
「え!?あ、後でデータで渡すからそれじゃ駄目か」
「駄目。だってどういう風に撮れているか気になるし」
「...後の楽しみにした方が良いだろ」
「どうせ後で貰うんだからさ、良いでしょ」
そういうと比企谷は渋々私にカメラを渡してくれた。どうしてそんなに嫌がるんだろう、どうせ後で見せて貰うのに。
私は比企谷の撮ってくれた写真をディスプレイに映して一枚一枚確認していった。
え!?これってどういうこと!?ディスプレイに映ったのは普通に景色が入った写真もあるんだけど、私の顔がドアップだったり、背景がボカしてある写真だったり。
「..そ、その何だ。カメラの練習にな//」
「う、うん。練習なら色々撮らないとね//」
「....//」
「じゃ、じゃあ。今度は二人で撮ってもらおうよ//」
「あ、ああ」
私たちはその後、家族連れやカップルにツーショットを撮ってもらった。私は段々積極的に比企谷にくっついて、何回かお願いしているうちに比企谷の腕を抱いて写真を撮ってもらったりしていた。
「楽しいね。バイクで出かけて写真撮って、比企谷って良い趣味してるじゃん!!」
「バイクは俺のじゃないし、写真も人によっては変なもの撮っているんじゃないかとか言われるぞ」
「確かにそう思う人もいるかもね、ホームで電車を撮っている人とか「何時もの電車じゃん」って思うし」
「あの人達はカメラが趣味じゃなくて、電車だろ」
「私にはそういうの分からないや」
「でも比企谷の趣味、私は良いとおもうよ。ウケるし」
「何がウケるんだよ」
「...私の顔や全身写真を綺麗に撮ってくれたこと」
「そ、そのスマン。折本が嫌なら直ぐに消すんで」
「消さなくて良いよ、それも含めて全部頂戴ね」
「ああ、分かった」
私たちはその後も観光し、帰宅の途についた。比企谷は私を家まで送ってくれると、後日写真のデータをくれるって約束してくれた。
「比企谷、最後に写真撮って良いかな」
「ああ、ちょっとカメラ出すんで待ってくれ」
「ううん、これで良いの」
私はスマホを自撮り用にして、比企谷に近づいて行った。比企谷はバイクに跨ったままだったんだけど、私は比企谷の前にスマホを持っていった。
「ちょっと、こっち向いて」
「ああ、なんd」チュッ
比企谷が私の方を向いたとき、私は唇を重ねていた。それと同時にスマホのシャッターを切った。
「な、なにしてんだ//」
「へへ、私のファーストキス!!記念に残しておいたの//でも、ごめん。緊張で手ぶれしちゃってる//」
「..じ、じゃあ。俺帰るからな//」
「..う、うん。..今日はありがとうね..」
比企谷は何も言ってくれない、私はかなり勇気を出したんだけどな。私の一人相撲だったみたいだし。何だか涙が出てそうになってきた...
「明日、良かったらヘルメット買いに行かないか。かおり用に//」
「!?うん、分かった!!かおり専用ヘルメット//へへ、ウケるし//」
「それある。じゃあな、かおり//」
「うん、八幡//」
私は泣きそうになっていたけど、今度は嬉し涙なんで八幡にみられてもいいや。
八幡はおやすみって挨拶をして、バイクで帰って行った。後ろ姿も格好いいな。私もいつかバイクの免許取ってみたい、でも八幡の背中でも良いかな。また今日みたいに旅行に連れてって貰おう、それでいつかは泊まりで//
私たちは次の日からバイクで出掛けたり、私が写真のモデルをしたり、楽しい日々を過ごしていった。
(ここまで材木座の小説)
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「かおり、普通のラノベも書いてもらえるんだね」
「この間のは折本殿がエッチな奴が良いと言っていたので書いただけだぞ」
「..それって、かおりの自爆だったんだ」
「千佳、そんなこと言わないでよ。ウケないよ」
「はいはい、それある」
「先輩ってバイク乗れるんですか」
「免許持ってないぞ、家にもバイクなんてないし」
「持ってたら乗せてもらおうと思ったんですけど」
「高校生でバイクに乗っている人は少ないのではないかしら」
「うん、あーしも聞いたこと無いな。でもバイクの免許って16歳以上でしょ。言わないだけで持っているのかもね」
「中二ってバイク、詳しいの?」
「知らぬぞ、出したバイクも中型の免許を取るとき、自動車学校でよく使われているって書いてあったから出しただけだ」
「中二って、カメラも詳しくないんだよね」
「ああ、ほとんど知らぬ」
「カオリ、あんたってカメラが趣味じゃなかったっけ」
「うん、そうだよ。だからちょっとこのラノベは説明不足っていうかもうちょっと詳しく書いてほしいって思ったんだけどね」
「そうであるか。カメラも全然知らぬので何となくで書いたのだ」
「一眼レフとかさ、レンズとかちょっとネットで調べれば分かることで良いんで書くとかね」
「そうね、ラノベのための情報収集でバイクやカメラに詳しくなるのは良いのではないかしら」
「でも書きたいことは分かるんで良いんじゃない?あーしはこれで十分だと思うけど」
「趣味にしている人にとっては物足りないと思うぞ」
「そういうもんですかね」
「なあ、かおりってカメラ詳しいのか」
「ちょっとね。何?八幡ってカメラやっているの?」
「いやオヤジがな、小町の卒業式と入学式があるだろ。それで一眼レフ買ってきたのは良いんだが、二人共詳しくなくてな、だから教えてもらえないか」
「良いけど、どこで撮るの?」
「どこでも良いんだが、家で良いか。いつもオヤジは休みの日、寝てるだけなんだが、もともとDIYが好きでな。今、家の書斎が撮影スタジオ見たいになってるんだよ」
「え!?じゃあ、フォトスタジオがあるの!?」
「ただ白い布を壁に掛けて照明が置いてあるだけだぞ、ラフ板なんてダンボールにアルミ貼ったやつだし」
「それある!!十分じゃん!!今週の土曜日、撮影させて!!」
「何を撮るんだよ」
「小町ちゃんで良いじゃん。八幡が撮るとき、私がモデルになってあげる!!ウケるし」
「..ヒキオ、あーしも行って良い?写真撮って貰いたいし」
「うちも行きたい」
「先輩、私も撮ってください」
「ヒッキー、私も行くから」
「私もお邪魔するわね」
「ま、まて。来て良いと言ってないぞ」
「八幡、あなたと折本さんの二人で撮影なんかさせれないわ」
「そうだよ、ヒッキー。二人だとヌードとか撮るかもしれないし」
「そ、そんなの撮るかよ//」
「でもヒキオが調子に乗って、折本も段々テンション上がってくかもしれないし」
「うん、うちもそう思う。今の綺麗な裸を残しておこうとか言いながら段々脱がせてきそうだし」
「そうですね、先輩ですからね」
「なあ、お前たちの中で俺ってそんなに信用ないの。泣いちゃうよ、本当に」
「ヒッキー、私たちだって写真撮ってもらいたいんだよ」
「そうね、高校生の写真でスタジオとかで撮ったものは無いものね」
「それこそ、フォトスタジオで撮ってもらえば良いじゃないか」
「先輩、それだと何枚も撮って貰えないし高いじゃないですか。先輩ならタダですし」
「....はぁ、じゃあオヤジが小町に買ってきたモデルのポーズが書いてある本を明日持ってくるから土曜日までに回してくれ。かおりはネットにも載っているからそっちで勉強しておいてくれ」
「千佳、あんたどうする?」
「お願いしたいけど、比企谷君。いいのかな、私が行っても」
「ここまで来たら何人でも変わらないだろ」
「高校生になって、ちゃんとした写真って撮ったことないしね。みんなで撮ってもらおうよ」
この後、ラノベの批評を再開し、話は土曜日の撮影会に変わっていったわ。高校生って事で制服とお気に入りの洋服を持っていくことになったわね。後、三浦さんが水着を持ってくると言い出したので、とりあえずみんなも持っていくことになったわ。でも、八幡に撮影されると思うと照れてしまうわね。
でも二人であればヌードでも良いのではないかしら。相模さんが今の綺麗な裸と言っていたけれど、確かにその通りだし。でもさすがに付き合ってもいないのに、裸になるのは恥ずかしいわね。そのうち撮ってもらえるようにしないと。