やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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二人のお泊り

俺たちは陽乃が出してくれた車で家に着くと、陽乃は用事があるということで雪乃のことを俺たちに任せて帰っていった。

雪乃は起きなかったため、皺にならないように結衣に雪乃の制服を脱がしてもらい小町のベッドに寝かせてもらっている間、俺は二人分のコーヒーを淹れリビングのソファーに腰掛けて待っていると、結衣が降りてきて俺の隣に座り、コーヒーを一口飲んで喋りだした。

 

「コーヒーありがと。ゆきのんが泊りに来ていること教えて貰ってもいい?」

「ああ、..ただ雪乃を責めるのは止めてほしいんだが」

「..うん」

 

そういって、俺は春休みに起こった出来事を話し出した。

 

********************************

 

その日は陽乃が14時から家庭教師をしてくれることになっていたため、陽乃と雪乃が家に来てくれた。

 

「八幡君。勉強始めようか」

「今日は数学で良いのかしら」

「ああ、じゃあお願いします」

 

俺は二人に数学を教えてもらい、その日の勉強会を終えていた。

 

「では私が晩御飯を作ろうと思うのだけれど、何かリクエストはあるかしら」

「今日は冷えるんで温かい鍋とかが良いな」

「鍋ね。余り手が掛からないので腕が振るえないのだけれど、確かに外は寒いわね」

「うん、私も手伝うよ。雪乃ちゃん」

「今日は両親も早く帰ってくるって言っていたので、二人の分も一緒にお願いしていいですか」

「小町ちゃん、大丈夫だよ」

「では買い物に行ってくるので、八幡も荷物持ちで付いて来てほしいのだけれど」

「ええ、俺も行くの」

「お兄ちゃん、それぐらい手伝おうよ」

「分かったよ。じゃあ雪乃、行こうか」

 

俺たちは近くのスーパーで鍋の具材を買って家に帰ると既に両親が帰宅していたので、食卓を6人で囲んで食べることになった。

 

皆で鍋を突つきながら母ちゃんが騒がしく喋って小町がそれに追随し、陽乃と雪乃が質問に答えていると雪乃の目から涙が零れだしていた。俺、なんかしたか?喋らずに黙々と食べていたんだが。

 

「雪乃さん!?どうしたの?私、何か失礼な事いったかな」

「ご、ごめんなさい。突然泣いてしまって。....私は一人暮らしなので御飯を家族で囲むことがなかったんです。実家にいるときも両親は忙しくてほとんど家に居ませんし、居ても母は食事中の会話ははしたないと言って会話は有りませんでした。

姉さんには申し訳ないのだけれど、家族の暖かさを感じる事があまりなくて。今日、皆さんとお話ししながら食事していたら、なんだか嬉しくて涙が出てきてしまって...」

「...雪乃ちゃん、今まで寂しかったんだね」

「姉さん...ごめんなさい」

「ううん、こちらこそごめんね。気付いてあげれなくて」

「うぅ、姉さん」

 

雪乃は陽乃の首元に顔を埋めて泣いていて、陽乃は優しく雪乃を包みこむように抱いて目元には涙を溜めていた。

暫くして雪乃が泣き止むと母ちゃんが喋りだした。

 

「陽乃さん、雪乃さん。あなたたち何時でもご飯を食べに着て頂戴。泊りで来てもらえればいいから、私達に遠慮しなくていいよ」

「そうだな、私達のことは気にせずに来てくれ」

「「ありがとうございます」」

「平日は私達は遅いけど、八幡と小町、二人いれば賑やかになるでしょ」

「うん、小町も泊りに来てもらった方が嬉しいよ。今まで捻くれたお兄ちゃんしかいなかったんで」

「「小町さん(ちゃん)」」

「水を差すようで悪いが、泊りは不味くないか。俺が居るんだし」

「私と小町の友達が泊りに来るのよ、何か問題ある?後、泊りに来たら家族として扱うので料理や洗濯、掃除もしてもらおうかな」

「それって母ちゃんが楽したいだけだろ」

「あぁ!?」

「な、なんでもないでしゅ」

「じゃあ、御飯の続きを食べちゃおっか。雪乃さん、あなたと八幡が入っている部活の事、教えて」

「はい、奉仕部といって・・・」

 

まさか雪乃が突然泣き出すとは思っていなかった。だが彼女が幾ら同年代の女子と競べてしっかりしているといっても17歳の少女であることには代わりがない。家族の暖かみに触れ気が緩んだんだろうな。でも当たり前だが比企谷家は雪乃にとって本当の家族ではない。本物を求めるのであれば、雪ノ下家に暖かみを求めるべきであろう。

 

********************************

 

「....そんなことがあったんだ」

「ああ、だから泊り用の着替えとかを小町の部屋に置いてあるんだよ」

「もしかして、今日のラノベの時もそれに関係するのかな」

「聞いてみないと分からないが、子供が出来た時とか考えていたのかもな。自分の両親のように忙しくて子供と接する機会が少ないことを自分の子供には味わわせたくないとか。俺はそう思ったから寂しさを少しでも消してほしくて抱きしめたんだ」

「多分そうなんだね。だから今日のラノベの時も子供の話になると、ゆきのんらしく無かったし。ゆきのんは家族のことになると涙脆くなってるかも」

「そうだな...」

 

俺たちが話していると、俺の携帯がメールを知らせてきた。内容を確認すると、小町からで今日は新しく出来た高校の友達とご飯を食べてくるので、勝手に食べてろって内容だった。珍しいな、小町が夕飯を用意せずそのまま出かけるなんて。新しい友達のため断りにくかったかもしれないが。

俺がそんなことを考えていると、一緒にメールを見ていた結衣の目から段々光沢が薄れて行った。

 

「..あたしが帰ったら、ヒッキーとゆきのんの二人きりなんだよね」

「い、いや、夜遅いが小町と両親は帰ってくるはずだぞ」

「..じゃあ、あたしも泊ってく!!」

「な、なに言ってんだよ。それは駄目だろ、着替えもないし」

 

俺がそういうと、結衣は鞄の中を確認していた。袋を取り出したかと思うと、以前撮影の時に俺が貸したパンツを見せてきた。

 

「返そうと思って持ってきたんだけど、また借りるね」

「パンツだけあってもしょうがないだろ」

「ヒッキーのジャージかスウェット貸してよ。それで明日、早く出て着替えに帰るし」

「いや、でもな」

「ふーん、そんなにゆきのんと二人きりなのを邪魔されたくないんだ」

「そんなこと考えてないぞ」

「ヒッキー、だめかなぁ//」

「ぐっ//..親御さんの許可が貰えれば良いんじゃないか」

 

結衣が上目遣いでお願いしてくると、なんでこんなに庇護欲を掻き立てられるんだよ。思わずOKを出してしまったじゃないか。

結衣はリビングから出て行って、廊下で自宅に電話を掛けているのだろう、何か言われたのか顔を赤くしているがニコニコしてすぐに戻ってきた。これは許可が出たということですね...

 

「ママはゆきのんも居るなら良いって。じゃあ、あたしがご飯作るよ。でも買い物どうする?この辺りのお店あたし知らないし、ゆきのん一人には出来ないし」

「有るもので何か作ろうか、俺も手伝うぞ」

「そうだね。御両親の分も要るでしょ、どれぐらいの量が必要なのか分からないからヒッキーも手伝って」

 

俺と結衣は二人で夕飯の用意をしていた。材木座のラノベのせいなのか恋人同士で料理を作っているように思えて俺が顔を赤くしていると、結衣も一緒のことを考えていたのか終始顔を赤くしていた。

俺たちがご飯を用意している最中、雪乃が起きてきたようだ。置いてあった部屋着に着替えており、部活でのことを謝罪してきたが俺たちは気にしていないことを伝え、三人でご飯の用意をした。

 

「ゆきのん、..今度はさ、あたしにも甘えてほしいな」

「...由比ヶ浜さん」

「あとそれ!!あたしもヒッキーみたいに名前で呼んでよ」

「..いいの?結衣さん」

「結衣」

「..ありがとう、結衣//」

「ゆきのーん!!」

 

結衣が雪乃に抱きついて百合百合しだしたが、雪乃も照れているが良い笑顔なっているな。俺は二人の邪魔にならないようにご飯作りを再開した。

俺たちが雑談しながらご飯を用意していると、母ちゃんが帰ってきたようだな。もっと遅くに帰ってくると思ったんだが。

 

「ただいま」

「「おかえりなさい」」

「あら、そちらのお嬢さんは」

「は、初めまして。由比ヶ浜結衣って言います」

「あなたが結衣さんね、雪乃さんと小町からよく聞いてるよ。私も一緒に食事して良いかな」

「は、はい。お、お母さんは座っててください。私達で用意しますから」

「そう、ではお願いしようかな」

 

俺たちが食事の用意をし、四人で食卓を囲んだ。

 

「「「「頂きます」」」」

 

「今日、小町はどこかにご飯を食べに行ったのね」

「ああ、それで母ちゃんがこんなに早く帰ってくるって思ってなくて、俺と雪乃だけだと不味いだろうからって結衣が泊まりたいと言ってたんだが。結衣、母ちゃん帰ってきたけど、どうする?」

「あたしもお泊りしちゃだめですか」

「結衣さん。親御さんのお許しは出ているの」

「電話して許可を貰いました」

「なら良いんじゃないの。ただ八幡、夜這いはしないでね」

「す、するわけないだろ//」

「「....//」」

 

な、なんてこと言うんだよ、二人に夜這いって...だ、駄目だ。考えたら余計に意識してしまう。

 

「ここに居る三人で一緒の部活をしているのね」

「はい。何時もは読書したりお話ししてますが、最近は他の人も含めて勉強会をしています」

「八幡、二人と仲良くするのよ」

「分かってるよ。...俺にとって掛け替えのない存在だからな//」

「八幡//」

「ヒッキー//」

「ご、御馳走様でした。俺部屋に行ってるから」

 

俺は部屋のベッドにダイブして悶えていた。バッカじゃねえの!?バッカじゃねえの!?バーカ、バーカ。

なんで俺はあんなことを言ったのだろう。二人に顔を合わせれないじゃないか、また新しい黒歴史を作ってしまった。でもなぜかあそこで言うべきだと思い言葉に出したが、二人に伝えられたことを嬉しく感じていた。

 

俺が悶え終わり、読書をしながら部屋で時間を潰していると、小町が帰ってきたようで、俺を呼びに来た。

 

「お兄ちゃん、コーヒー淹れたよ」

「..ああ、分かった」

 

俺がリビングに降りて行くと雪乃と結衣はおらず、母ちゃんが一人コーヒーを飲んでいたので、ソファーに座って淹れてくれたコーヒーを飲んでいると、リビングに雪乃と結衣が入っていた。

 

「お母さん、お先に頂きました」

「ありがとうございます」

 

二人はお風呂に入っていたのだろう、濡れた髪を拭きながら雪乃はパジャマを着ていて、結衣は俺のスウェットを折り曲げて着ていた。彼女たちの頬はほんのり赤くなっていてお風呂上りの色気か、俺は見入ってしまった。

 

「八幡、あんた見惚れるのは良いけど、見続けるのは失礼よ」

「「...//」」

「す、すまん//」

「さーて、私もお風呂貰おうかな。それとも八幡、二人の次に入りたい?」

「な、なに言ってんだよ//早く入って来いよ、後がつかえてんだから」

「そんなに照れなくていいのに。ねえ」

 

母ちゃんはそういって雪乃と結衣の方を見たが、二人は恥ずかしがって俯いているので、表情を見ることはできなかった。母ちゃんが風呂に入っていくと、ようやく落ち着いたのか結衣が喋りだした。

 

「..そ、そういえばさ。あたし達ってどこで寝ればいいのかな」

「私一人の時は小町さんの部屋だけれど、姉さんと二人の時は客間に布団を敷かせてもらったわ」

「そうだな、客間で良いんじゃないか」

「...ゆきのんって、どれぐらい泊りに来たの」

「..2回よ。お風呂で話したけれど、泣いてしまった時に姉さんと。その後、花見に出かけた時、小町さんに誘われて泊めていただいたわ」

「そうなんだ、春休みずっと泊まってたわけじゃないんだね」

「さすがにそれはないわよ」

 

小町が部屋着に着替えてリビングに来たので、俺は布団を出しに行くため立ち上がった。

 

「じゃあ、客間に布団を出しておくから」

「お兄ちゃん、小町の部屋で良いよ。雪乃さんと結衣さんの三人でガールズトークしたいし」

「小町の部屋だと狭いだろ、後、明日も学校あるぞ」

「..じゃあ、小町の掛布団持って客間で寝るよ」

「二人は良いのか」

「ええ、良いわよ」

「あたしも良いよ」

「分かった。じゃあ小町、布団出しに行くか」

「はーい」

「私も手伝うわ」

「あ、あたしも」

 

客間に敷布団を二枚敷いて、掛布団は小町の分も含めて三組用意した。少し狭いだろうが大丈夫だろう。すでに小町は楽しみなのだろう、結衣と雪乃にくっ付いていた。

 

「お兄ちゃんも一緒に寝たい?」

「ヒッキー、良いよ。四人で寝ようよ//」

「八幡、どうかしら//」

「な、なに言ってるんだ、駄目に決まってるだろ//」

 

俺は逃げるように客間を出て来ていた。雪乃も結衣も一人だったらあんなことは言わないだろう、あそこで俺が一緒に寝る。と言ったらアイツらはどうしたのだろうか。痴漢谷君やキモイと言って罵られるだろうが、もしかしたらと期待してしまう俺がいる。

母ちゃんが風呂を出た後、俺が入り部屋で寛いでいた。勉強でもしようかと思ったが、客間に居る二人のことが気になってしょうがない。小町も含めた三人でどんな話をしているのだろうか。俺はラノベを読みだしたが頭に入ってこない。...いつもより早いが、俺はベッドに入って横になった。

 

コンコン

 

誰かが扉をノックしている。小町だったら何か声を掛けてくるだろう、二人のうちどちらかなのか。俺が返事をすると、雪乃が扉を開けてきて結衣が続いて部屋に入ってきた。

 

「ごめんなさい、寝ていたのかしら」

「大丈夫だ。どうしたんだ、こんな遅く」

「小町ちゃんがお風呂入ったんで遊びに来たんだ」

 

部屋の電気は消していたが、月明かりの中に二人は佇んでいたので幻想的で俺は二人に見惚れていた。

俺が起き上がりベッドに腰掛けると、二人は移動し俺の左右に腰掛けてきた。

 

「八幡。膝枕いい?」

「ヒッキー。あたしも」

「あ、ああ」

 

そういうと二人は俺の左足に結衣の頭を、右足に雪乃の頭を置いてきた。な、なんなのこの状態。どうすれば良いの?

 

「ヒッキー。頭撫でてくれるかな」

「私もお願い」

「..ああ」

 

俺は二人の頭を撫で始めると、雪乃も結衣も目を瞑り俺に身を任せていた。俺はそんな二人が愛おしく何時までもこうやって3人で過ごせればと考えていた。

 

「お兄ちゃん、雪乃さんと結衣さんってそこに居る?」

 

暫くすると小町が扉の向こうから俺に声を掛けてきたので、三人での時間は終わったようだ。二人は身体を起こし、小町に降りて行くと伝えて俺に向き直ってきた。

 

「ヒッキー。お願いがあるんだけど」

「なんだ」

「寝る前にほっぺにキスしていい?」

「はぁ!?」

「私もよ、八幡//」

「ま、まあ、撮影の時、何回もされているから、良いけど...」

「あとで、ヒッキーからもしてくれるかな」

「..分かったよ」

 

俺がそういうと、二人は座り直して俺の肩に手を添えてきた。

 

「おやすみ、ヒッキー//」チュッ

「八幡。おやすみなさい//」チュッ

「あ、ああ//」

「じゃあ、今度はヒッキーからね」

「分かったよ」

 

俺は結衣の方を向くと結衣は正面を向いてくれた。

 

「結衣。おやすみ//」チュッ

「うん、おやすみ//」

 

今度は反対を向き、雪乃の方を見ると、俺と見つめあうように顔を向けていたが、暫くすると俺に頬を向けてきた。

 

「雪乃。おやすみ//」チュッ

「おやすみなさい。八幡//」

 

二人はそういって俺の部屋を出て行った。そのまま寝ようと思っていたが、あんなことすると目が覚めてしまうだろ。

早くにベッドに入ったのに、結局この日は日付を跨いでも俺はベッドの中で悶えていた。

....

...

..

.

 

「八幡。おはよう。早く起きなさい」

「ヒッキー、朝だよ起きてよ」

「う、うん。後5分」

「何を言っているのかしら...そうね。ゆ、結衣が布団に入ってあげたらどうかしら」

「ゆきのん!!そうだね。ヒッキーが寝ている時、あたしだけ入ってないし//」

「お、起きてるから」ガバッ!!

「おはよう、八幡」

「おはよ、どうして起きるし。あたしが布団に入ってあげたのに」

「だ、大丈夫だ。起きたし着替えたいんでリビングに行っててくれるか」

「もう..じゃあ、行ってるね」

「早く来なさいよ。朝御飯を食べるのだから」

 

俺が着替えリビングに行くと、雪乃と結衣、小町は既に制服に着替えており、食事の用意をしてくれていた。

 

「お兄ちゃん、おはよ」

「ああ、おはよ。そういえば、結衣は着替えに帰らなくていいのか」

「大丈夫だよ、ヒッキーのお母さんがあたし達の服を洗って乾燥機に掛けてくれたんだ」

「じゃあ、ここから学校に行けば良いのか」

「うん、四人で登校しようね」

「..お前たち三人で行った方がいいだろ」

「またそうやって自分を省いてしまうのね。私は八幡と登校するわよ」

「うん、ヒッキー。あたしも一緒に行くからね」

「そうだよ、お兄ちゃん。四人で一緒に行こうよ」

「...分かったよ」

 

俺たちは食事を終え、準備を整えると四人で学校に向かった。俺以外の三人は目立つのだろう、皆の視線が三人に注がれる。その後を付き人のように付いて行く俺はどう思われているのだろうか。

そんなことを考えていると、雪乃が俺の左袖を掴んできた。

 

「八幡。あなたも一緒に登校しているのだから一緒に並んで歩きましょうよ」

「そうだよ、ヒッキー。あたしももっと話したいし」

 

そういって結衣も反対の袖を掴み、三人並ぶように学校の校門をくぐっていった。

 

「ヒキオ、おはよ。..なんで仲良く登校してんだし」

「「おはよう、優美子(三浦さん)」」

「ウス..」

「ちゃんと挨拶するし」

「ああ、..お、おはよう」

 

俺が言い淀んでいると、姫菜が来て沙希も自転車置き場の方から歩いてきて俺達に声を掛けてきた。

 

「皆、おはよ」

「おはよう。これってどうゆう状況?」

「先輩、おはようございます。朝っぱらからハーレムですか。私も誘ってますか。入るのはやぶさかではありませんが、最初は二人の時に口説いてください。ごめんなさい」

「八幡。おはよ!!うちも入れてよ」

 

いろはと南も加わり、より一層騒がしい一団となって下駄箱に向かっていくと、小町の知り合いの一年生も登校してきて小町に話しかけていた。

 

「小町ちゃん、おはよう。あの先輩達って...小町ちゃんの知っている人?」

「う、うん。おはよ。あの、その...お兄ちゃんなんだ」

「そ、そうなんだ。..はは、何だか凄いね...」

 

俺は周りにどう思われているのだろうか、俺はボッチで高校の3年間過ごす予定だったのだが、周りが許してくれないのだろう。今でも俺が何もしなくても周りにいる女性達によって、俺までが目立ってしまっている。

俺が望んだ環境ではないが、今ではこの姦しい日々が俺にとって大切なものになっていると感じており、何時までも失いたくないと思っていた。

 


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