「材木座君、一色さん。この間は私のせいで中断してしまって申し訳なかったわ、ごめんなさい」
「良いんですよ、雪ノ下先輩」
「我も批評して貰えればいいので、気にされることはないです」
この間は私のせいで中断してしまったので、私が謝罪したのだけれど二人は気にしていないようね。
でも今回も一色さんのラノベには子供が出てくるのよね。前回みたいに取り乱したりしなければいいのだけれど。
私達が話していると、廊下の方が騒がしくなってきたわ。聞き覚えのある声が聞こえてくるのだけれど。
「小町ちゃん、不味いよ」
「うん、怒られるよ」
「大丈夫だって」コンコンコン
小町さんが来たようね、私が返事をすると元気よく小町さんが入ってきたわ。後、二人いるようね。
「やっはろーです、皆さん」
「「お、お邪魔します」」
「小町さん、こんにちは。今日は何かあったのかしら」
「この二人がですね、校舎を探検してるとき、この教室から変なことが聞こえてきた。って、言っていたので連れてきたんですよ」
「何を聞いたのかしら。私達はここで奉仕部という部活をしているのよ。私は部長の3年J組、雪ノ下雪乃よ」
「あたしは3年F組の由比ヶ浜結衣だよ」
「俺も3年F組の比企谷八幡。そこにいる小町の兄だ」
私達が自己紹介をし、一色さんと材木座君も続いてすると、彼女たちも自己紹介をしてきたわ。
「それで貴女達は何を聞いたのかしら」
「...あの、...お腹の子供がどうのって...」
「「「「「あっ」」」」」
「小町は分かってるんですけどね、二人に説明しにくくて」
私がラノベのことを簡単に説明したのだけれど、実際に読んでもらった方が早いわね。
「今日は一色さんのラノベなのだけれど、一色さん。三人にも読んでもらっても良いかしら」
「内容に問題なければ良いですけど」
私と結衣で内容を確認し、小町さん達三人にも読んでもらったわ。
**************************
(ここから材木座の小説)
先輩は東京の大学に行ってしまったため、私達はたまにしか会えなかった。私は千葉の大学に進んでいろんな男性から告白されたけど、誰とも付き合うことなく、大学生活を過ごしていた。
「あーあ。先輩に会いたいな。小町ちゃん、先輩っていつ帰ってくるの」
「いろはさん、お兄ちゃんのことなんか忘れて良い人見つければいいじゃないですか」
小町ちゃんは私と一緒の大学に入ってきて一緒に過ごすようになり、よく二人で遊んでいた。先輩からはあざとシスターズとか言われたけど、私が本音を話せる数少ない友達だった。
「先輩のこと忘れられないよ」
「じゃあ、告白でもすればいいじゃないですか」
「だって振られたら会いにくくなるし」
「はぁ、大丈夫と思いますけどね」
私は先輩に告白できなかった。もし振られたら先輩が帰ってきたとき、一緒に遊ぶこともできなくなるかもしれないから。
「でもお兄ちゃん、後半年もしたら帰ってきますよ」
「え!?大学卒業したら、こっちで就職するの?」
「はい。なんでも教員採用試験に受かって千葉に帰ってくるって言ってましたから」
「先輩が教師!?..でもなんかしっくりくるな、生徒の相談とか親身になって聞いてくれそうだし」
「そうですか、小町には反面教師って感じですけどね」
「そんなことないよ、私の時も面倒くさいって言いながら色々手伝ってくれたし」
「それはいろはさんだからですよ」
先輩が教師となって帰ってくる。私は小町ちゃんから色々話を聞いて、私も教員を目指すことを決めていた。
私は教育実習に母校を指定していた。そこに先輩が居るから。でも先輩にはそのことは相談していないので、会ったら喜んでくれるかな。
私が教育実習に行くと、校門前で女子生徒が集まっていた。何かあったのかな、私が近づいて行くと男性教諭が女子生徒に両腕を組まれていた。
「比企谷先生、私と付き合ってください」
「綾ちゃん、比企谷先生は私と付き合うんだよ」
「またかよ、綾瀬、愛甲。そういうことは好きな男性に言えって」
「私の好きな男性は比企谷先生です!!」
「私もですよ、比企谷先生!!」
「ハイハイ、ありがとうな。皆早くいかないと遅刻するぞ」
..先輩が女子生徒に腕を組まれていた。断っててもニヤけた顔をしているんだけど。何なの、この生徒達。先輩の隣は私の指定席なのに。
「おはようございます、比企谷先生。オモテになるんですね」
「お、おはよう。って、いろは!?」
「はい。今日から教育実習生としてお世話になりますから、比企谷先生」
「..誰ですか、このおばさん」
「お、おばさん!?....今日から教育実習生として来た一色いろは。先輩にはお世話になっていて、あなた達より付き合いは長いし何度も泊めてもらったこともあるから」
「私は二年綾瀬綾です。...比企谷先生。なんで名前で呼んでいるんですか。後、このおばさんと付き合ってるんですか」
「私は一年生の愛甲愛です、もしかして彼女ですか」
「...俺といろはは付き合っていない。名前呼びも高校の時からだ」
「ふーん、じゃあ遊びなんですね」
「遊びとか何言っているんだ、妹の所に泊まりに来ているだけだ」
「お前たち、なにをしている」
私達が敵意むき出しに火花を散らしあっていると、懐かしい先生が来てくれた。
「平塚先生、お久しぶりです。今日から教育実習で来ました」
「おお、一色か。久しぶりだな」
「はい。今日からしばらくの間、お世話になります」
「...平塚先生、もしかして一色って」
「ああ、綾瀬と愛甲は噂話しか知らないか。こいつが伝説の生徒会長だよ。その裏で暗躍して蠢いていたのが比企谷先生だ」
「..暗躍、蠢いていたって」
「そんなことより時間がないぞ。比企谷先生、一色、一緒に来い」
私達は話もそこそこに職員室に向かっていった。
「先輩。あの女子生徒達は何なんですか」
「懐かれてるだけだよ。年上を揶揄って楽しいんだろ」
「私にはそうは見えなかったんですけど」
「それより、いろはは教員目指してるのか」
「はい、先輩。暫くの間、よろしくお願いします」
私は知り合いということもあって、先輩に色々教えて貰えることになった。在籍していたころの先生達も沢山いて私は楽しく、教育実習を終えていた。
「先輩。あの後、綾ちゃんと愛ちゃんはどうなったんです?」
私は教育実習を終えて先輩にお礼をしたかったので、自宅にお邪魔していて先輩の出してくれたお茶を飲みながら話していた。
「最近、特に酷いんだよ。俺の為に弁当作ってきたり職員室に押しかけてきたりして、ちょっと問題になりそうでな」
「先輩がはっきりしないからですよ」
「どうすれば良いんだ?俺は綾瀬と愛甲は生徒としてしか見れない。何度そう伝えても態度は変わらないんだよ」
「..先輩が誰かと付き合えば良いんですよ。先輩は好きな人、居ないんですか」
「..好きな人はいる。でも俺なんかと釣り合わない」
やっぱり先輩には好きな人が居るんだ。釣り合わないって多分、あの二人....今でも一月に一回は会っていて私はそこには入れない。でも面倒くさがりな先輩が毎月行くってことはそうなんだよね....
「...想いを伝えることは大事と思います。釣り合わないとか関係ないですよ。先輩の想いを伝えないと相手には届きませんから」
「そうか、ありがとうな。いろは」
「..そんなことないですよ。先輩は好きな人に想いを伝えてください。それではお邪魔しました。....さようなら、先輩」
私の初恋はこれで終わったんだな。涙が溢れてきてこの場を立ち去りたかったので、立ち上がろうとすると先輩に手を捕まれていた。
「いろは、..俺の好きな人はお前なんだ」
「え!?せ、先輩?」
「俺なんか、いろはとは釣り合わない。でもいろはと一緒に居る時間が俺は楽しいんだ。この時間を失いたくない。いろはが良ければ俺と付き合ってくれないか」
「は、はい。先輩!!私はずっとあなたのことが好きでした!!」
「..そうだったのか、俺も高校の時からずっといろはが好きだった。でも告白できなかった」
「わ、私もです。先輩と二人の時間が楽しくて無くしたくなくて..」
「一色いろはさん。俺と付き合ってください」
「はい、先輩。よろしくお願いします」
私達は想いを伝えあった後、口づけを交わしていた。私達が付き合いだしたことを綾ちゃんと愛ちゃんに伝えると、潔く諦めてくれて問題になることも無かったらしい。
私達は交際を続けて、私も総武高校で教員として働きだした。先輩と一緒に居れる。それだけで毎日が楽しくてたまらなかった。
「比企谷先生。生徒会、手伝ってくださいよ」
「生徒会は一色先生の仕事だろ。...分かった。手が空いたら後で行くよ」
私達は他の人たちが居る時はお互い先生と呼び合っていた。公私混同出来ないからって。
私は生徒会室に先に行って先輩を待っていると、暫くしてノックをして先輩が入ってきてくれた。
「生徒会、誰も居ないじゃないか」
「察してくださいよ。先輩と二人っきりで過ごしたかったんです。ここならイチャイチャ出来ますよ」
「誰も居ないからって不味いだろ」
「高校の時、考えませんでしたか。生徒会室や教室でイチャイチャチュッチュしたいって」
「..そ、そんなこと考えてないじょ」
「へえ、どの口がそんなこと言いますか」
私はそういって先輩の口を塞いでいた。
「先輩が高校の時、告白してくれてたらここで一杯、イチャイチャ出来たんですから」
「何言ってんだよ、それを言ったらいろはが言ってくれれば良かったんだろ」
「先輩のヘタレ」
「生徒会長様ともあろう人が、ヘタレだったとは」
そういって先輩は私を抱きしめてくれた。私は軽くキスをするつもりだったけど、先輩からのキスは舌を絡めてきて口づけを交わしていた。公私混同出来ないって一杯しちゃってるけど...
私が教員3年目に先輩はプロポーズしてくれて私達は同棲を始めて結婚した。
私達は結婚後も仲良く過ごして1年後には私のお腹に子供を授かっていた。
「ほーーー、来週から休職に入るわけか。一色先生」
「平塚先生、今日は学校ではないので、一色ではなく比企谷ですけど」
「グッ...もうお腹が目立つようになってきたな」
「ええ、先輩が何時も気にかけてくれてくれるのは嬉しいんですけど、私に何もさせてくれないんですよ。先輩がご飯作ってくれたり、掃除してくれたり、少しは身体動かさないといけないのに。愛してくれるのは嬉しいんですけどね」
「..そんなに惚気たいのか」
「いいですよ。平塚先生も惚気て貰っても、私が聞いてあげますから」
「..お前たち家族は私をコケにするのが大好きだな」
「違いますよ。先輩と私は大好きな平塚先生に聞いてもらいたいんですよ」
「大体、結婚式のスピーチを私にさせたのもどうかと思うぞ」
「..そんなことないですよ、平塚先生。私、先生のことが大好きです。先輩を見つけてくれて私と引き合わせてくれて、私は先生に凄く感謝してます。ありがとうございます、静さん」
「..一色、そういってくれて、ありがとうな」
「はい。だから先生も良い人見つけてくださいね。後がないですよ」
「グハッ!!...どうしてお前たちはそう一言多いんだ」
「先輩の嫁ですから」
「ウグッ..結婚したい....」
私は産休に入って、暫くすると元気な女の子が生まれてくれた。目がくりくりしてて可愛くてアホ毛が生えていて。先輩は写真を撮るため、一眼レフを購入までしていた。
「先輩、この子の名前決めてくれました?」
「
「何か意味があるんですか」
「未開の海。この子の未来は何も決まっていない。自分の足で目で見て自分の力で、見えない未来を切り開いていってほしいんだ」
「うん、あなた...未海のこと、一杯考えてくれてありがとう」
「いろは...未海を産んでくれてありがとうな」
私達は手を繋いで、何時までも未海のことを眺めて微笑んでいた。
(ここまで材木座の小説)
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「今回は普通の恋愛だね。あたしやゆきのんの時とは違うんだけど」
「未海ちゃん//良い名前ですね、先輩」
「材木座君、今回はどうやって名前を決めたのかしら」
「..miuって飲料水があったなって思いだして決めました」
「な、なんですか!!その安直な名前の決め方!!私の感動を返してくださいよ!!」
「なあ材木座、前のラノベもそうだが俺の子供は皆、アホ毛がないといけないのか」
「分かりやすいだろ。目が淀んでいる赤ちゃんより、アホ毛が生えている方が可愛いではないか」
確かにそうね、赤ちゃんなのだから目が淀んでいては可哀想だわ。八幡も子供の時は目がキラキラしていたとお母さんが言っていたのだから。
「俺が教員になるって決まってからってことは、いろはは大学3年だろ、それから教員って目指せるのか」
「すまぬ、それについてはよく分からなかったのだ」
「そういったことは平塚先生に聞いてはどうかしら」
「そうですね。ネットとかでも分かるんでしょうけど、平塚先生に聞いた方が苦労話とかも聞けるかもしれませんよね」
「うん、教育実習や教師になってからのことも書いた方が良いよね」
「でも俺が先生なんて無理だろうな」
「八幡なら問題ないと思うのだけれど」
「うん、ヒッキーなら大丈夫じゃないかな。生徒に人気出ると思うよ」
「お兄ちゃんが教師で女子生徒に手を出してたら家を追い出しますよ」
「俺がそんなことするわけないだろ..多分」
どうしてそこで、言いきらないのかしら。でも八幡が教師なら女生徒からは人気が出るでしょうね。
「先輩と一緒の職場っていうのも良いですね」
「そうね。職場で恋人同士で過ごすって良いわね」
「俺は嫌だな、何時も一緒だと一人になれないだろ」
「..ヒッキー、浮気とかするの」
「いや例えば、帰りに書店に行ったり、ラーメン食べに行ったりしたいだろ」
「先輩。私は書店やラーメンぐらいなら付き合いますよ」
「偶にはこってりギトギトなラーメンを食べたいが女性には厳しいだろ。食べれるのは平塚先生ぐらいだろうし」
「..あれは確かに厳しいわね」
あの修学旅行で平塚先生に奢って貰ったラーメンを今でも忘れられないわ。どうして男性はあんなのを食べれるのかしら。でも平塚先生も食べれるのだから女性でも食べれる人はいるのよね、私には無理だけれど。
「木材先輩。後、伝説の生徒会長って何ですか」
「一年生で生徒会長、クリスマスイベントを他校と共催、プロムナードなど生徒会長殿が初めてやったことが多いであろう。そういう意味で名前は確実に残るであろうな」
「確かにそうね。一色さんの始めたことが今後も引き継がれて残っていくでしょうし」
「そういうもんですかね」
「俺も暗躍や蠢いていたって」
「裏生徒会長と書こうと思ったのだがな、生徒会には入っていないのに何時も生徒会長殿の隣にいるではないか」
一色さんが初めてやったことは確かに多いわね。クリスマスイベントが成功したのは比企谷君が引き金を引いて、その後、一色さんの手腕によるところが大きいのだから。
「でも中二。相変わらず先生の扱いが酷いよね、また怒られるよ」
「頼む。平塚女史には見せないようにお願いしたい」
「難しいわね。平塚先生には終業式の時のラノベを見せた後、毎回見せるように言われているの。一応、部活として批評をしているので、顧問に報告しないといけないのよ」
「では今回のは返してもらえないでしょうか」
「..その方が良いわね、ラノベは返しておくわ。今日の部活は一年生を交えてお喋りしていたということにしておくわね」
そういえば小町さんの友達は何も言わないけれど、二人の誤解は解けたのかしら。
「どうだったかしら?これで貴女達の誤解は解けたかしら」
「はい。内容の批評しているところを私達が聞いたんですね。でも小町ちゃんも出てるんだね」
「うん、小町も一度、書いて貰ったんだ。相手がお兄ちゃんだから失恋ものだけど」
「..お兄さんが相手って...」
「男性で出せるのが、八幡か材木座君しか居ないのよ」
「そうなんですか。でも私達に批評は難しいですね、先輩たちのこと知りませんから」
「そんなことないわ。ラノベの登場人物の言動などを批評すればいいのよ」
「はい。でもこのラノベから一色先輩が比企谷先輩を大す」ガンッ!!
一色さんが机を蹴って彼女の発言を止めたわ、1年生の二人は委縮してしまっているわね。紅茶が零れているのだけれど。
「すみません。机蹴っちゃいました。それで何かな」ニコニコ
一色さんが怖いわ。顔は笑顔なのだけれど、余計なことを言うなと目が言っているわね。
「み、皆さん。仲が良いんだなって思ったんです...わ、私、雑巾持ってきます...」
「良いわよ、貴女は座ってて。私が片付けるから」
「雪ノ下先輩。机を蹴ってしまったんですから、私が片付けますよ」
「い、いいえ。私にやらせてください」
彼女は何とか発言していたのだけれど、声が震えていたわ。椅子から立ち上がると震える足で掃除道具入れから雑巾を持って濡らしに行ったわね。
「木材先輩。どうせならもうちょっと子供が生まれてからも書いてほしかったんですけど」
一色さんは話を変えるため、またラノベの批評をしだしたわね。
「子育てについては、取材できる人が居ないのでな。我の親には聞きたくないし」
「うん、あたしも両親に聞きたくないな。今聞くと子供出来たのかって言われるだろうし、あたしが小さい頃の話を延々してきそうだし」
「でも子供が出来たら教えて貰わないと行けませんよね」
「もちろん子供が出来たら聞くだろうけど、今はね」
「そういったことも病院で教えて貰えると思うのだけれど、近くに居る人から聞いた方が良いわよね。何時でも相談に乗って貰えるのだから」
私達が話していると、雑巾を濡らしに行った彼女が戻ってきて、机を拭いてくれているわ。私達がお礼をいうと、返事をしてくれるのだけれど、一色さんには委縮してしまっているようね。
今日はこれでおしまいね。でも私もこのラノベのように学校でイチャイチャしたいわ。八幡と付き合えればここでキスを出来るのかしら。もしかしたら結衣も一色さんも一緒のことを考えているのかもしれないわね。そこのことは誰も触れずにいるのが怖いのだけれど。