「今度は優美子殿のラノベをお願いします」
材木座君はそう言って私に渡してくれたわ。このラノベの確認も最近はフラストレーションが溜まってくるわね。私は何時の間にか隣にいる八幡の腕に抱きついていたわ。
「雪乃!?あ、あんた何してるし!!」
「雪乃ちゃん、何してるの!?」
「ずっこい!!あたしはこっち!!」
「私以外のラノベを読んでいるとイライラしてくるのよ、どうして八幡が私以外の女性とイチャイチャしているのかしら。八幡は私のものよ」
「ゆきのん、ヒッキーはまだ決めてないんだからね」
「そうだし!!あーしの男に手をだすな」
「優美子も何言ってんの!?ハチは私と付き合うんだよ!!」
「ケッ...八幡のリア充が...」
「早くあなた達も読んでもらえないかしら。...八幡、腕を貸してね」
「ああ//」
私は皆にラノベを読むように言って、ずっと八幡の腕に抱きついていたけれど、結衣は腕を絡めてラノベを読んでいるし、優美子さんと姫菜さんは読みながら私達を睨んでくるわね。
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(ここから材木座の小説)
「御姫様、後一年を残すのみですね」
「..わーてるし」
「御姫様がそんな言葉づかいでは駄目ですよ。御父様と御母様が聞かれたらなんと言われるか」
「そんなんわーてるし、今はあーしの好きにさせてよ」
あーしはあるヨーロッパの小国で国王の娘として生まれていた。でも小中学校で日本語を学び、高校は御母様の母国である日本の学校にお忍びで留学していた。
後一年過ぎると国に帰らないといけない。あーしが帰れば貴族の男か何処かの国の王族に嫁がせられるのだろう。
このまま日本に居たい。束縛もなく自由に暮らせて、そして初めてあーしが好きになった男性がいる日本を離れたくない。
朝、あーしは何時も車で送って貰っていた。本当はバスや自転車に乗っていきたいんだけど、事件や事故に巻き込まれたら取り返しがつかないって言われて、学校近くまで送って貰っていた。
あーしが教室に入っていくとヒキオが座っていた。顔を見れるだけで嬉しくてあーしは駆け寄りたかったけど、気持ちを抑えて平静を装い、いつも通り挨拶していた。
「ヒキオ、おはよ」
「うす」
「ちゃんと挨拶するし」
「はぁ、おはよう。優美子」
「うん、おはよう//」
毎日、挨拶のやり取りをヒキオと出来るだけで今までの私は満足していた。でも後一年...そう考えてしまうと、もっと仲良くなりたい。恋人になって二人だけで色々出かけたい。
でもヒキオのことを考えると後一歩が踏み出せなかった。付き合えたとしても一年の猶予しかない。あーしは納得してるけど、ヒキオには申し訳ないから。
あーしがそんなことを考えていると、ヒキオが声を掛けてくれた。
「優美子、今週末空いてるか」
え!?ヒキオから誘ってくれてる!?今までこんなこと無かったけど、滅茶苦茶嬉しいし//
「ひ、ヒキオから誘ってくれるなんて珍しいじゃん//」
「ああ、小町に合格祝いは渡していたんだが、入学祝いを買おうと思ってな。優美子ならセンスが良いんで買い物に付き合ってほしいんだが」
「うん、良いよ。今週末空けとくっしょ」
ヒキオから買い物に誘ってくれるなんて、どうしよう今週着て行く服を考えないと。楽しみでしょうがないし。あーしは休みになるまでずっとテンションが高くなってて、メイドにも怪訝な顔で見られていた。
約束の日、駅前に11時ってことだったけど、あーしは楽しみ過ぎて朝7時には起きて準備していた。何時も10時ぐらいに起きてたんで、メイドものんびりしてるみたいで食事の用意もされていない。でもあーしは気分が良くて自分でスープを温め、パンをトースターで焼いて食事をとっていた。
「お、御姫様!?ご自分で用意されたのですか?申し訳ありません!!」
「良いし、あーしもやって見たかったし」
「やり方をご存知でしたか」
「チンすれば良いっしょ」
「...御姫様、これからは一緒に食事の用意をしましょうね」
「えぇ、やだし」
「では御母様にご報告させていただきます」
「ちょ、駄目だし!!..わーた、あーしも今度からやるっしょ」
「そうですね、ご結婚されても私は仕えていますが、旦那様には御姫様の手料理を食べてもらった方が良いですよね」
...旦那。嫌だ、あーしが好きでもない男と結婚させられるなんて。そんな男のために手料理何て覚えても全然嬉しくない。それがヒキオだったら...ヒキオのためなら幾らでも頑張れるのに。
結婚のことを考えて落ち込んじゃったけど、ヒキオとのデートに気分を切り替えてあーしは用意しだした。何時もなら一時間もあれば用意できるけど、今日は念入りに二時間以上時間を掛けていた。
ヒキオとの買い物は楽しくてつい、はしゃいでしまう。ヒキオといると嫌なこと全て忘れさせてくれる。このままヒキオにどこか遠くに連れ去ってほしいな。
あーしがそんなことを考えてると、ヒキオは近くの公園まで手を引いてくれていた。
ヒキオはあーしの前に立ち顔を赤くしている。どうしたんだろう、そう思ってるとヒキオは話し出していた。
「俺は優美子のことが好きだ。俺と付き合ってくれないか」
ヒキオが告白してくれるなんて//でも付き合えても1年しか時間がない。家のことでヒキオにも迷惑が掛かるかもしれない。
ごめんヒキオ、やっぱり無理だし。あーしは嬉しいけどヒキオにだけは迷惑を掛けたくない。
「..ヒキオごめん。...ぁ、あーし、あんたとは付き合えないよ...」
「優美子...じゃあなんで泣いてるんだ」
「え?」
ヒキオにそう言われ気が付いた。あーしの目からは涙が止めどなく流れて頬を濡らしていて、俯くと地面には涙の跡がたくさんついていた。
「..優美子。俺には優美子が何を抱えているのかは分からない。だが俺も一緒に抱えさせてもらえないか」
「ヒキオ!!」
あーしは感情が抑えられなくなってヒキオの胸に飛び込んでいた。家のことなんて考えずに自分に素直になれたらどれだけ満たされるんだろう。
ヒキオに好きですって今すぐ叫びたい。思いの丈をヒキオにぶつけたい。今は一人の女性としてヒキオに想いを伝えたい。
「あーしも八幡が好き!!愛してる!!....でも付き合えないの」ウワァーーー
八幡に抱きつきながら、あーしはいつの間にか大声を上げてしまっていた。その後は自分でも分からないぐらい泣き続けていたけど、八幡は何も言わずに抱きしめてくれていた。
「落ち着いたか、優美子」
「あ、ありがと、八幡。...あーしの家のこと聞いてくれる?」
「ああ、優美子のこと教えてくれ」
八幡とあーしはベンチに座り、八幡は手を握ってくれている。あーしは家のことを全て八幡に打ち明けて、その間八幡は何も言わずに聞いてくれていた。
「学校も知らないのか」
「うん、一部の先生は知ってるけどね。生徒で知ってるのは八幡だけだし」
「...国に帰ったら本当に結婚させられるのか」
「直接言われたわけじゃないけど、周りの貴族がみんなそうだし」
「..そうなのか。優美子って名前は偽名のなのか」
「あーしの本名はボーゼス・優美子・パレスティーだし」
「優美子ってセカンドネームで入ってるんだな」
「うん、御母様が日本人で三浦は御母様の旧姓だし」
「...そうなのか、お母さんが日本人ってことは恋愛結婚なのか」
「うん。御母様が留学してきて、大学で知り合ったって言ってたし。でもあーしは許されないと思う」
「それは御両親から言われたのか」
「ううん、昔から祖父母にそう言われ続けてたから、聞いてもいない」
「一度、話し合った方が良いんじゃないか。俺は優美子のことを諦められない」
「..わーたし、今度御母様が日本に来る時、聞いてみるし」
「優美子。もう一度言わせてくれ。俺は優美子のことが好きだ。姫様とか関係ない、一人の女性として愛してる」
「あーしも八幡が好き、愛してる」
八幡はそう言って、あーしの顎に手を掛けてきた。あーしは目を瞑って八幡を受け入れた。あーしの国では接吻は婚姻の証。あーしの心は今日から八幡のもの。見知らぬ相手に嫁がされても、あーしの心は八幡だけのもの。
あーしは言葉には出さず心の中でそう誓っていた。
「お。御姫様!!大変でございます!!」
あーしが家に帰ると、メイドが騒がしく駆け寄ってきた。
「あーうっさい。何時もお淑やかにしろって言うくせに」
「それどころではありません!!これを!!」
そう言ってあーしの前に開いた雑誌を見せてくれたんだけど、そこにはあーしの写真が載っていた。そこには王室の御姫様がお忍びで日本に留学しているって書いてある。
「ど、どういうことだしこれ!?」
「本来ならこういったことは日本国が防いでくれるはずなんですが...少し前からネットで騒がれていたようなのです。それで抑えられなくなったのかと」
「まあいいや。学校にはいつも通り行くから」
「お、御姫様。御止めください」
「大丈夫だし」
月曜日になりあーしは学校に登校していた。メイドは心配し過ぎて、いつもは車までは乗ってこないのに今日はあーしの隣に座っている。
「はぁ、心配し過ぎだって」
「御姫様の身に何かありましたら、どうなされるのですか」
「だから気にしすぎ」
「これからは校門前まで送り迎えさせますから」
「...断っても来るっしょ、わーたし」
あーしは校門前で車を降ろしてもらい、学校に入っていくと周りから奇異の目で見られていた。はぁ、やっぱりか。でもあーしは今まで通り過ごしたい。だから気にしない事にした。
「優美子、やっはろー」
「ハロハロー」
「おはよ。結衣、姫菜」
「優美子どうしたん。なんか元気ないけど」
「結衣は悩みなさそうでいいよね」
「あ、あたしだって悩みぐらいあるし!!」
結衣と姫菜は知らないのだろうか。朝、ニュースでもやってたって聞いたけど、特に結衣は見なさそうだし。
「...優美子、あたしも知ってるよ。でもね、あたし達と優美子の仲には関係ないじゃん」
「そうだよ、優美子は私達の友達。それでいいでしょ。気にならないって言ったら嘘になるけどさ。優美子も私達と今まで通り接してほしいから」
「え!?..あ、ありがと..」うぅ
あーしは何て恵まれてたんだろう、あーしが黙っていたことについては何も言わず、あーしのことを心配してくれている。あーしはいつの間にか結衣と姫菜に抱きついて泣き出してしまった。
「三浦、出てきたか。申し訳ないが校長室に来てくれないか」
「は、はい」
あーしは下駄箱で担任に呼ばれてそのまま校長室に呼ばれていた。
「三浦さん、いやパレスティーさん。実はあなたへの脅迫状が届いたのです」
「は、はあ!?」
「愉快犯とは思うんですが、学校側としては対応しないと行けません。ただ現状、我々には貴女を守る術がないのです」
「そ、そんなの守って貰わなくても良いです」
「貴女に何かあれば国際問題になるのですよ。それで教育委員会に問い合わせたのですが、そこでも判断できず、国に確認したのですが...誠に言いづらいのですが、すぐに国に帰っていただけないかと」
「え?そんな...あ、あーしはここで学びたいです、大切な友達と卒業まで一緒に居たいです。お願いします、居させてください」
「済みません。私達の一存では決めれないのです」
「..分かりました。最後に友達に挨拶させてもらえないですか」
「それも申し訳ないのですが、今日はこのままお帰り願えますか」
「え!?そんな....分かりました」
あーしは校長室を出ると先生たちがあーしを取り囲むように立ち、校門前まで送ってくれた。校門前には車が既に待機しており、あーしは車に乗り込む前に学校の方に振り返り頭を下げた。
...最後に皆にお別れを言いたかったな、最後に八幡に会いたい。結衣にも姫菜にもグループの皆にも会いたい。会ってお別れを言いたい。でもここで駆け出して教室に行くと皆にも迷惑が掛かっちゃう、あーしの目からは涙が溢れてきて校門前で泣き崩れてしまった。あーしはメイドに支えられながら車に乗り込み学校を後にした。
その後のことは余り覚えていない。あーしが泣いている間にメイドが荷物を纏めてくれていて、飛行機に乗せられていた。
あーしは国に帰った後、母国の学校に通っていた。周りはあーしに近寄ってくることがなくて、あーしは学校でボッチになっていた。でも一人の方が良い、仲良くなった人達とあんな別れ方をしたくないから。
あーしは高校を卒業する前に勝手に婚約させられていた。相手のことは全く興味が無かったんでプロフィールも読んでいない。
あーしはウエディングドレスを身に纏って御父様に手を引かれヴァージンロードを歩いている。神父の前には男性が既に立っていて私達に背中を向けていた。
うん?後ろから見ると何だか八幡に似た人だし。でもそんな訳ない、八幡がこんなところいるわけないから。そう思っていると、横から声を掛けられた。
「優美子、綺麗だよ!!」
「おめでとう、優美子!!」
「「「「おめでとう!!」」」」
え!?どうして結衣達がここに居るの!?あーしが前を見ると新郎の横顔が見えたんだけど、そこに居たのはあーしの心を奪った人だった。
「優美子さん、お兄ちゃんをよろしくお願いします!!」
小町にそう言われ、あーしは御父様の手を離すと駆け出していた。ウェディングドレスが纏わりついて走りにくい。でもそんなことより早く確認したい。
もう少しってところでスカートに足を取られて転びそうになった。あーしが前のめりになると新郎が振り返ってあーしの身体を支えてくれていた。
「優美子、危ないだろ」
「八幡!?八幡!!」
「綺麗だな、優美子」
あーしは八幡に抱きついてた。神父が呆然としていたけど、関係ないし。
神父がなんとか取り繕って結婚式が始まった。そんな形式ばったのどうでもいいっしょ。あーしは今、八幡と話したい。皆ともちゃんと挨拶したい。でもあーしの考えなんて神父が分かるわけないんで、何時ものセリフが始まった。
「汝、比企谷八幡は、この女、ボーゼス・優美子・パレスティーを妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
「....」
え!?八幡はなにも答えてくれない。もしかしてあーしとの結婚は嫌だったの...そう思っていると八幡はあーしの方に身体を向けてきた。
「優美子。俺には神様なんてどうでもいいんだ。でも優美子に誓うよ、俺は優美子を何時までも愛します。俺と結婚してください」
「はい、あーしも八幡を愛します。あーしは八幡に一生添い遂げます」
そう言ってあーしと八幡は口づけを交わしていた。神父が挙式を滅茶苦茶にしやがって。とか悪態をついてたけど、あーし達には関係ないし。あーし達は何時までも口づけを交わしていた。
あーし達の挙式は滅茶苦茶になっちゃったけど、あーしにとっては一生の思い出だし。
八幡はあーしが日本から居なくなった後、あーしの国に留学するために凄く頑張って勉強してたらしい。学校を通じてメイドに連絡して御父様、御母様にも何度も電話して結婚の許しを貰ったみたい。
裏でそんなに頑張ってくれてたなんて知らなかったし。でも皆もお祝いに来てくれて嬉しかった。あーし達はその日、夜遅くまで喋っていた。
「八幡、もう眠たいし」
「ああ優美子。そろそろ寝ようか」
「うん、あたしも眠い、ヒッキー」
「うん優美子、私も眠いよ」
「そうね、私もこんなに夜更かししたのは初めてだわ」
「うちもベッドに行きたいな」
「先輩、私も寝室に行きます」
「私も行くよ」
「小町ももう寝ます」
「じゃあ、お休み」
「「「「「「「「おやすみ(なさい)」」」」」」」」
あーしと八幡が寝室に入っていったんだけど、も、もしかしてこれから初夜なのかな//眠いけど、凄い楽しみだし//
あーしがそう考えてると、結衣、姫菜、雪乃、南、いろは、沙希も部屋に入ってきた。
「あ、あんたたち何入って来てんだし!!」
「優美子さん。貴女は正妻だけれど、私達は側室なのよ」
「あたし達もここで寝ていいよね」
「な、何言ってんだし!!」
「王様に許可は貰ってるからね、優美子」
「は、八幡。ほんとなの!?」
「..俺も知らなかったが今日の挙式前に聞かされた」
「だから先輩の初めては優美子先輩に上げますよ」
「うん、うちらもその後、抱いてもらうから」
「優美子、ちゃっちゃとやっちゃいな。後ろが
「あ、あ、あんたたち何言ってんの!!とっとと日本に帰れ!!!」
この日から八幡とあーしを含めて女7人のハチャメチャな新婚生活が始まった。
(ここまで材木座の小説)
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「な、なんであーしのラノベでハーレムになってんだし!!」
「材木座、無理あり過ぎだろ」
「最近、八幡の周りを見てるとハーレムが一番いい解決方法と思えてな」
「..日本じゃ無理だろ」
「なので海外としたのだ」
八幡とのハーレム。現状として皆が一番幸せになれるかもしれないわ、でも日本では無理ね。もし可能でも私が正妻でないと納得できないわ。
「優美子の名前ってGATEからだろ、確か貴族だったか」
「左様、金髪縦ロールでよく似ておるし、ティアラを付ければ、優美子殿がボーゼスたんにそっくりと思ってな」
「よく覚えてないが、似てる気がするな」
「優美子も一緒の趣味ならいいのにな」
「あぁ、確か腐女子だったな」
「中二、あたしのこと馬鹿にしすぎだし!!あたしも朝のニュースぐらい見るよ!!」
「結衣殿だと朝の番組はZIP!やめざましで占いしか見てなさそうなのでな」
「そ、そんなことないし...た、たまにニュースも見てるし」
結衣は言い当てられたようね、言葉を発しながら目を逸らしているわ。
八幡は誰か一人選ぶなんて出来ないのではないのかしら、であればハーレムで皆が八幡に愛して貰うのがいいのだけれど、日本では許されないことだわ。
何処かの国に皆で移住するのも良いのでしょうけど難しいでしょうね。形にこだわらなければ愛人って形でも良いのでしょうけど。