やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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最終話

今日は雨が降っているため、仕方なく教室で千佳が作ってくれた弁当を広げていると、亜衣が俺の方に近寄ってきて話しかけてきた。

 

「ハッチー、今日は教室で食べるの」

「ああ、雨が降ってるからな」

「じゃあさ、あたしも一緒に食べていい?」

「いや、一人で食べるからいい」

「..駄目なの?」

 

亜衣が悲しそうな目で俺を見つめてくる、なんで弁当を一緒に食べないだけでそんな顔するんだよ。

 

「...面白い話なんて出来ないからな」

「うん!!」

 

亜衣が俺の前の席に座り弁当を広げ出すと三人の女子が俺達の方に近寄ってきて話しかけてきた。

 

「わ、私達も一緒に良いですか」

「..ああ」

 

そう返事すると彼女達は喜び、周りの机を移動して俺を囲むように並べだした。

 

「八幡、私も一緒に食べる」

 

振り返ると留美が立っており、弁当袋を手に提げていた。

周りでは男子生徒達が俺を睨みつけている。留美は何で俺達の教室に来たんだよ。

 

「J組の鶴見さんだっけ、珍しいね。男嫌いって聞いてたけど」

「同年代はガキばっかり。でも八幡は別」

 

三人の女子もこのクラスで亜衣と並びトップカーストだろう、留美もだが同学年でもトップレベルだろうな。皆綺麗な顔をしていた。

教室にいる男子からの視線が厳しい、中には涙まで浮かべてる奴もいる。そんな顔するなら彼女達を連れていってくれよ、俺は目立ちたくないんだよ。

この間、嫁さんズが校門に来たことにより、俺が結婚していることは全校生徒が知ることとなっていた。それについて何か言われることもないし、何かが変わることもない。

 

「奥さん達って凄く綺麗でしたね」

「俺には勿体ないよ。..同級生だから敬語は止めてくれ」

「結衣姉ちゃん達、幸せそうだったよ」

「平塚先生もいい顔してた」

「そうか、二人とも家にお邪魔したんだよね」

「うん、私もあの中に入りたい」

「「「つ、鶴見さん!?」」」

 

な、なんてこと言うんだよ。留美は三人にスマホを見せて小学校の時から初恋の相手と言い出した。なんで教室でそんなこと話すんだ、泣いてる奴もいるぞ。他の奴も俺を凄い視線で睨んでくる。

弁当を食べ終わっても昼休みが終わるまで五人とも俺から離れることはなかった。いつの間にか昼食を食べ終えた女子も俺達の周りに集まり、クラスの女子の大半が話を聞いていた。

 

昼からの授業、生きた心地がしなかったな。男子から授業中にも関わらず、睨んでくる奴もいるしまだ涙を溜めてる奴もいる。

ようやく授業が終わり、俺は逃げるように教室を後にし部室に逃げ込んでいた。

 

「はぁ、何で留美も教室に来たんだよ」

「八幡と一緒に御飯を食べたかった。迷惑?」

「..良いんだが目立ちたくないんだよ。何時もはどうしてるんだ」

「ここで食べてる」

「明日から俺もここに来ていいか」

「うん、八幡も来てほしい」

 

俺達が話していると亜衣が来て、遅れて材木座弟も来た。

 

「よく考えたら八幡のことは兄者に聞いたのだが、お二方のことを聞くのを忘れていたのだ。想像で書いたのだが、それでもいいか」

「良い。見せて」

 

材木座が留美に渡していると廊下の方が騒がしくなってきたな。

 

「懐かしいね、ゆきのん」

「..ええ、卒業してから5年経っているのよね」

「大志と小町が奉仕部に入ったんだよな」

「ああ、細々とやってたよ。お前達が卒業してから小町くんと大志くんが入ってくれて私が顧問でな、でもここに来るたびに八幡のことを思い出していたな」

「あーしも懐かしいし。3年になってから毎日のように勉強会来てたし」

「懐かしいな、うちもここで勉強会してもらいだしてから成績上がったんだよね」

 

コンコンコン

 

ノックの音が聞こえてきたので留美が返事をすると、俺の嫁さん達と義輝、真鶴が部室に入ってきた。

 

「材木座に聞いたけど、弟のラノベを見るんだろ。私達も批評するよ」

「え!?あ、あのわ、我は帰っていいですか」

「遠慮することはないのよ、私達がお兄さんのラノベを読んで批評していたのだから」

「よく入館許可が出たな、こんなに大勢。全員で来たのかよ」

「私達は学校に幾らか寄付をしているんだ、だからほとんど顔パスだよ。私は皆が高校生の時から出入りしてたしね」

「..ねえ八幡。どうして二人に挟まれて座っているのかしら。貴女達も私達の旦那様なのだから遠慮して貰えるかしら」

「今は部活中。席については部長の私が決めた。駄目なら部室から出て行って」

「...」ギリッ

「雪乃、諦めな。あーしらも高校の時、あんたに同じ様なこと事言われたから」

 

俺と義輝は嫁さん達の椅子を出して並べだした。長机を挟んで並べたが、特に雪乃と結衣の目が怖い。二人は俺の横に何時も座っていたからな、今では留美と亜衣が俺の隣に座っている。

 

「..はぁ、しようがないわね。では私達にもラノベを見せて貰えるかしら」

「いや、それはあれがあれでして」

「...材木座君と弟君が逃げれないようにした方が良いね」

 

陽乃はそう言って、義輝と材木座を真ん中に座らせ席を囲むようにしていた。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

「..お前、どういったものを書いて来たのだ」

「..抹殺される」

 

...材木座弟は冷や汗を垂らしながら謝ってるってことは、義輝がたまに書いていたおかしなものを書いて来たんだろうな。

 

「...では、見せて貰えるかしら」

 

雪乃がそう言うと、留美が預かっていたラノベを配りだした。部数が少なかったため、3、4人で一部を見ることとなったようだな。

嫁さん達の目が痛い、どうして留美と亜衣は俺の肩に触れ合わせて読んでるんだよ。

 

**************************

 

(ここから材木座の小説)

 

「もうすぐお祭りだね...」

「うん、ルミルミともお別れになっちゃうのかな」

「多分、そうなると思う」

「やだよ、そんなの」

 

私達の住む国は小さく、強国に挟まれており隣国の言いなりだった。お祭りが行われる日、18歳になった女子で審査が行われ、そこで選ばれるとチッパー王国かバクニー帝国に嫁がされるのが決まりだった。

川辺で私達が落ち込んで話していると、同い年の男性が近寄ってきた。

 

「ルミ、アイ。どうしたんだ?こんなところで」

「ハチマン。...私達を連れて一緒に逃げて」

「あたしも連れてってほしい。3人で一緒に暮らそ」

「..無理だろ、この国から出るにはどちらかの国を通らないと行けないし検問があるんだ」

「ごめんなさい。無理なこと言って...」

「あたしもゴメン..」

「すまん、二人を守れなくて...」

 

私とアイはハチマンに抱きつき、胸に顔を埋めて泣きだしていた。ハチマンは何も言わず私達の頭を撫でてくれていた。

 

祭りの当日、私達はそれぞれ審査を受けていた。

 

「あなたがルミさんね。私が審査員代表のユキノよ」

「...はい」

「噂通り綺麗でスレンダーな子ですね」

「ユキノに似てるね、百合の花が似合いそう」グフフ

「本当に似てるし、ウケる」

「カオリ、緊張してるから和ませてあげないと」

「心配しなくても大丈夫だよ、うちらと一緒に行こ」

 

私はチッパー王国の審査員に気に入られたようで行くことが決まってしまったようだった。アイは今、バクニー帝国の審査を受けているけど、どうだったのだろう。

 

「アイちん、緊張しなくていいよ」

「..はい」

「ユイ、この子ならいいっしょ」

「そうだな、容姿も優れているしな」

「ああ、この子なら合格だね」

「ハルさん、私負けてるよ。羨ましい」

「この子に勝ってるのってユイだけだよ、凄い子だね」

「な、何がですか」

「うん?気にしなくていいから」

 

私がチッパー王国の審査員に連れられていくと、アイがちょうどバクニー帝国の審査員に連れていかれるところだった。

 

「..あらユイ、久しぶりね。姉さんも久しぶり」

「..やっはろー、ゆきのん」

「ユキノちゃんも相変わらず成長してないね」

「お久しぶりです、皆さん。そんなのただの脂肪の塊ですよ」

「イロハ、言うようになったね。あーし達にそんなこと言うなんて」

「デカければ良いって考え、ウケるし」

「良いではないか、お前たちは肩コリと無縁で」

「嫁ぎ先も見つからない人に言われても」

「ヒナは女に手を出してるって聞いたな」

「うちらと違ってサキサキはカラテの時、邪魔でサラシ巻いてんでしょ。小さいほうが良いって事じゃん」

「皆仲良くしようよ、昔はこの国で一緒に過ごしてたんだから」

「そんなこと言って、メグリさんも私達を下に見てるよ、ね」

 

この人たちは何を言っているんだろう、脂肪の塊?肩こり?サラシ?私は思わず胸に手を回していた。もしかして胸の大きさで決められてる?

アイは私と違って胸が大きい。だからバクニー帝国に行くことになったの?

 

二つの国の審査員が言い争っていると、私達の前にハチマンが来て土下座をしていた。

 

「二人を連れて行くのをやめてください」

「貴方は何を言っているのかしら」

「俺は二人のことが好きです。だから連れて行かないでください」

「..胸が小さいのと大きいの、どっちが良いのかな」

「胸の大きさ何て関係ない。俺は二人とも好きなんだ」

「「「「「「「「「「「「えぇ!?」」」」」」」」」」」」

「ほ、本当にそんなことを言っているんですか?私達の国ではどれだけチッパイかが大事なんですよ」

「そうだし、あーし達の国ではどれだけ爆乳かだし」

「..胸の大きさよりその女性をどれだけ愛しているかが大事だろ、どうして胸の大きさにこだわるんだ。俺はルミがチッパイでもアイが爆乳でも関係ない。二人と過ごせる時間が大事なんだ」

「..お前の名は何て言うのだ」

「ハチマン」

「じゃあさ、うちらも胸の大きさ関係なく愛せるの」

「..いや、貴女達のことよく知りませんし...ババア ダシ」

「はぁ!?今、なんていった、かな。教えてよ、ねえ」

「え!?い、イヤ、..二十歳超えたらババァかなって」

「「「「「「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」」」」」」

「あーしらのような女子を捕まえてババァってなんだし」

女子って年齢考えて言えよ」

「「「「「「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」」」」」」

「え?あ...もしかして口に出てた?」

「うん、ハチマン。私も聞こえた」

「ハッチー、あたしたちも後2年したらババァなんだよね」

「い、いや、それはあれがあれだから」

「この男には違う意味での教育が必要そうね」

「そうだね、ユキノちゃん。私達も手伝うよ」

「それある、それあるー!!」

「いがみ合ってる国同士だけど、うちらの魅力を教えてあげようよ」

「そうだね、ハチマン君に二十歳を超えた女性の素晴らしさを分からせないと」

「まさかバクニー帝国の人たちと共闘するなんて思いませんでしたけどね」

「ハチ。観念してね」

「私達全員相手できるの、かな」

「大丈夫だよ、さっきそこで怪しげな媚薬売ってたから」

「サキサキ、それって大丈夫なの」

「そんなものを使わずとも私が国から持ってきた媚薬があるからな」

「シズカちゃん、それって大変なことになるやつだよね」

「ああ、これだけの人数が居るんだ、大丈夫だろ」

「私達も国の方から持ってきたわよ、こちらも大変なことになると言うことだけれど、これだけの人数がいるから大丈夫よね」

「じゃあ、行こうか。ハチマン君の家に」

「え!?え?ま、待って、許して。ババァの相手何て出来ないから」

「..貴方達、ハチマンの家に案内して貰えるかしら、貴方達もハチマンが良いでしょ。それとも胸の大きさだけで決める男が良いのかしら」

 

私とアイは顔を見合わせた後、頷きあいハチマンの家まで案内していた。ハチマンは今、両腕を捉えられて引きずられている。ハチマンを助けようとする人はおらず、私達も後ろを付いて行き、ハチマンの家についていた。

 

ハチマンは一人暮らしなので家には誰もおらず、家に入るとユキノさんのレイピアでハチマンの服は引き裂かれていた。

 

「じゃあ、皆で押さえつけて媚薬を飲ませようか」

 

ハチマンはなすすべなく媚薬を飲まされて、股間がみるみるうちに大きくなっていた。

 

「す、凄い//」

「お、大きい//大蛇だね//」

 

ハチマンは理性を無くしだしていた。私とアイは皆に最初が良いだろって言われて、服を脱がされるとハチマンが飛び掛かってきて襲われていた。そしてこの日、私達はハチマンに女にしてもらった。

その後、三日三晩ハチマンは休むことなく、私達を抱き続け私達14人はハチマンの身体に籠絡されていた。

 

数年後

 

皆は私達が住んでいた国を強国にするため動き出していた。そこでは胸の大きさに関係なく結婚できる国。皆がチッパー王国とバクニー帝国の重鎮だったため、私達の国の重要な責務をこなしていた。皆はお互いの国の弱みも握っているため、それを交渉手段として私達の国に不利益が無いようにしていた。

 

でも...

 

「アイ、そっち何人いる?」

「うーん、14人!!ルミの方は」

「13人、一人どこ行ったの」

 

私達はハチマンとの間にそれぞれ二人づつ子供をもうけていた。私とアイは全員の子供の面倒を見ている。今はまたお腹が大きくなっていて大変だったけど、私は嬉しかった。

ハチマンが愛してくれてる。私もアイも受け入れていて、ハチマンの奥さんは14人もいるけど、私達は幸せだった。

 

好きな人が何時でも近くにいてくれるから。

 

(ここまで材木座の小説)

 

**************************

 

「「「「「「「「「「「「「「「....」」」」」」」」」」」」」」」

 

材木座弟は椅子から立ち上がると、その場で土下座をしだしていた。義輝も弟の横に土下座をしていた。

 

「す、済まぬ。我の指導が間違っていたばかりに」

「材木座、私がその、..ち、ちっぱいってどういうこと」

「そうだし、あたしもば、爆乳って//」

 

留美と亜衣がかなり怒っているな、嫁さん達も目が死んでいる。

 

「ごめんなさい」

「...八幡はどっちが良いの」

「いや俺は拘りはないぞ。ラノベにも書いてあったが胸の大きさ何て関係ない、俺は嫁さん達全員好きなんだ。」

「材木弟、二十歳を超えてるあーしらはババァなの」

「いや、それは兄者が昔、JCはババァだって言っていたので年齢を引き上げたんです」

「..ふーん、義輝君。じゃあ私もババァなんだね」

「ま、真奈殿。それは我がラノベを読んで高校の時に言っていたことで」

「ふーん、高校の時か。その時既に私はババァだったんだね。小学生に手を出す人と結婚できないな」

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

 

禁書のセリフかよ、そんなこと現実で言ってたら引くわな。

 

「...彼には徹底的な指導が必要なようね」

「うん、雪乃ちゃん。私達が毎日来て指導してあげようか」

「その役目は私がするよ、実は非常勤講師を頼まれていてな」

「静ちゃん、それって何時も八幡君と居れるって事?」

「教師を辞めたんだが、今になってちょっと残念に思ってな。教師と生徒。禁断のシチュエーション//」

「...では私も非常勤講師になろうかしら」

「教員免許無いだろ」

「大丈夫よ、特別非常勤講師というのもあるのだから」

「そうだね、私もそうしようかな。物理や化学なら教えれそうだし」

「ま、まてお前たち二人が来たら、私の時間が無くなるだろ」

「静ちゃん。本当にイチャイチャするつもりなんだ」

「ずるいですよ、静さん。私も先輩とイチャイチャしたいのに」

「だって家だと中々二人っきりでイチャイチャできないもん。ここなら私と八幡だけだもん//」

「先生って家だとこうなんだ、教師の時と全然違う」

「うちも来たいよ雪乃ちゃん」

「あたし達が居た時みたいに、ここにポットとかコップ持ちこもうよ」

「ハチとのラノベ、また書いて貰えばいいしね」

「あーしもまた書いて貰うし」

「そうだな、材木座が書いてた続きを弟に書いて貰うのもいいな」

「うん、あたしもまた色々書いて貰いたい」

「そうだね、私すぐに卒業して、あまり書いて貰ってなかったから。八幡君とのラノベ」

「それある!!私と千佳って余り来れなかったからね。私もまたラノベ書いてほしいし」

「うん、私も書いてほしいな、八幡君とのラノベ」

「駄目、ここは私達の部室。勝手に使わないで」

「そうだし、ここはあたしとルミルミとハッチーの部室だし」

「大丈夫だよ、校長先生に直に掛け合ってくるから」

「そうね、私達が言えば反対されないはずよ」

 

嫁さん達は本当に来るつもりか。雪乃は大学卒業後、仕事を家でやっている。静も教師を辞めてから時間があるようで家庭教師や塾の講師を考えていたからな。ただそんなことしたら幾ら何でもまずいだろ。

 

「ま、待ってくれ。お前たちが来たら俺が劣情を催すかもしれないから止めてくれ」

「大丈夫だよ、私達の力でもみ消すよ」

「俺は普通に高校生活を送りたいんだよ」

「..八幡。私はあなたと3年生の時もこの部室で一緒に過ごしたかったわ。でもあの事件が有ってからここで勉強会もしていたけれど、泣いていた事ばかり思い出すのよ」

「うん、ここでゆきのんが淹れてくれた紅茶を飲んでさ、皆でずっと笑っていたかった。でもあの時からそういう思い出がないの」

「先輩は何時でも来れる場所ですけど、私達は中々来れないんです。私は先輩達が卒業した後、小町ちゃんがここに居ても近寄れませんでした。ここに来るといつも泣いてしまって辛かったです」

「そうだし、あーしもここでヒキオを好きになって、ここでみんなと仲良くなったんだし、でもあれから勉強会の事しか覚えてないし」

「私もそう。私はいつも一人でいたけど、ここに来るようになってから皆で笑いあえていた。私の作った弁当のおかずを皆が美味しいって言ってくれてさ。でもあの事件からここで笑う事は出来なかったよ」

「ハチ、私もだよ。依頼で奉仕部を壊しかけたけど、私を受け入れてくれたのもここなんだよ。でも事件が起こった時、私があんな依頼しなかったらこんな事、起こらなかったんじゃないかって高校の時から今でも考えてしまうんだ。もしかしたら私がハチや皆の五年間を奪ったんじゃないかって考えちゃって...」

「うちもここで過ごした時間が忘れられない。高校の思い出って思い出すのはほとんど、八幡やこの部室に関係あることばかりなんだ。でも途中からはここには悲しい思い出しかないよ」

「そうだな、最初は私が無理やり連れてきたが、今では八幡が自分から来てるのだろ。八幡にとって大切な場所であると同時に私達にとっても大切な場所なんだよ」

「うん、だからここで八幡君と過ごしたいんだよね。悲しい思い出でこの場所を取っておくのも大事だよ、でもさ八幡君が居るんなら一緒に過ごして楽しい場所に変えたいって思うのは当たり前だよ」

「私とかおりは、ここの思い出ってほとんどないよ。だからこれからでも皆で作っていきたいな」

「それある!!皆でここで楽しい思い出になるようなことをやりたい。私と千佳は学校が違ったからしょうがないけど、高校の話になると疎外感って言うのかな、聞き手になるしか無かったんだよね」

「私もそうだよ、ハチ君とここで過ごしたことって余りないまま、卒業しちゃったから」

 

そうだったな、俺に記憶はないが嫁さん達の何人かは俺がいない時の1年間をここで過ごしたんだ。その間、特に雪乃は自分を責め続けていたと結衣から聞いていた。だが姫菜もそんなことを考えていたんだな。

俺もここで辛いことはあったが最後には皆のお陰で今では良い思い出となっている。雪乃や姫菜は悪くないのだが、自分の中では今だに自身の事を許せていないのかもしれない。俺達の大事なこの場所では楽しい思い出で上書きしてほしい。

 

「...留美、亜衣。俺からもお願いしたい。皆をここに受け入れて貰えないか」

「..うん、ここでイチャイチャしないなら良い」

「あたしもそれなら良いかな」

「ありがとうな」

 

「じゃあ材木座君と弟君にラノベを書いてきてもらおうか」

「は!?わ、我もですか」

「当たり前だし、中学生はババァって言ったんだから鍛え直さないと駄目だし」

「うん、義輝くんにこの間、セーラー服着させられた時から怪しんでいたけど、ロリコン治してもらわないと」

「ま、真奈殿!?真奈殿も制服やブルマを履いて喜んでいたではないか!!寝間着にも使っているであろう!!」

「そ、そんなこと言わないでよ//」

「八幡もだ!!制服プレイしたと言っておったではないか!!ブルマは我と一緒に買ったであろう!!誰に履かせたのだ。その時一緒に注文したスクール水着は平塚女史に着せると言っておったな!!」

「..だ、だって着ないと抱かないって言われたもん//」

「制服は誰..かな」

「う、うち//八幡が屋上プレイしたいと言って文化祭で見つけてくれた時の再現をベランダでして虐められた//」

「..ブルマは誰なのかしら」

「私です//先輩が夜の運動会って言って私が生徒会長で挨拶しているとき責めらて、夜の組体操をしました//」

「生徒会長なら私でも良かったでしょ!!八君!!」

「ハチ、私なら実況してるとき、責めるってプレイが出来たよ!!」

「めぐりも姫菜ちゃんもそういう事じゃないでしょ」

「..ハルさんも人の事言えないですよ。千佳ちゃんのナース服持ち出してましたよね」

「え!?」

「ごめん千佳ちゃん。勝手に借りちゃった。でも着れなかったよね、結衣ちゃん」

「うん、あたしはかおりんの着たけど胸のボタンが止めれなくて諦めたし」

「「クッ..」」

「あ、あんたら、あーしの知らないところで何してんだし!!」

「優美子も人の事言えないじゃん。サキサキと二人でヒッキーが入院中、動けないからって幼児プレイしてたし。さすがにエッチなことはしてないみたいだけど」

「え、エッチしてないから良いだろ//」

「はぁ、本当にあなた達は何をしているのかしら」

「それある!!でもさ、雪乃もやってたよね」

「何をかしら、私は普通よ」

「ふーん、ゆきにゃんが普通なんだ。じゃあ毎日猫耳付けてね。ウケるし」

「ごめんなさい。でもそんなこと言ったら、かおりも・・・」

 

ギャーギャー

 

嫁さん達が夜の営みを暴露しだした。材木座弟はラノベで股間を隠しているし、義輝と真鶴は二人で何か話している。聞こえてくる内容がコスプレとか今日の夜とか言っているので放っておけば良いだろう。

俺の横では留美と亜衣が顔を真っ赤にして俯いていた。

 

「すまない、二人とも。こんなことを聞かせて」

「ううん、でもなんだか羨ましい」

「ルミルミ、エッチが羨ましいの?」

「馬鹿//..ちょっと前まで皆、涙溜めて泣きそうだったのに今ではあんなに楽しそうにしてる事」

「うん、皆凄く良い笑顔だし」

「八幡、私はあの中には入れないのかな」

「あたしも入りたいよ、ハッチー」

「..ここで一緒にラノベの批評をしながらでも遅くないだろ。俺は嫁さん達の事が好きだ。だが留美と亜衣の事、正直に言うと今はそういう感情はない」

「うん、分かっている。だから今は少しでも近くで私達をみていてほしい」

「そうだね、ルミルミとあたしに惚れさせないとね」

「..留美、亜衣」

 

俺はこの二人とどうなりたいのだろう、今はまだ分からない。それはこの部室で俺達が今から作っていけばいいのだろう。

義輝が書いたラノベにより、俺の周りは変わっていった。それが良かったのかは今でも分からない。でも俺はそれを失いたくないと思っているのだから、俺にとっては良かったことなのだろう。

 

「八幡、我もまた書かないといけないのか、そんな時間はないぞ」

「息抜きにでも書いたらどうだ、今のお前ならファンタジーでもSFでも問題ないだろ」

「..そうだな、皆で書いたものをそのまま書籍化すれば一石二鳥になるな。お主の伴侶は皆ヒロインに出来るし、お主がここで行ったことを書くのも面白そうだな。皆がチョロインなのは改変するしかなかろうが、歳を食っておるでな。皆が高校生の設定であれば問題なかろう」

「....義輝、後ろ」

 

俺がそう言うと、義輝は振り返ったが後ろ姿からでも分かるぐらい動揺しだした。義輝の前には真鶴をはじめ、俺の嫁さん達が並んでいる。

 

「義輝君、私も歳を取ってるんだ。やっぱりババァなんだね...」

「い、いや真奈殿。あれはあれでして」

「貴方にはやはり再教育が必要なようね」

「中二って本当にロリコンなんだ」

「木材先輩。私達が主演のラノベなら、もちろん出演料は頂けるんですよね」

 

義輝は再度、正座をさせられ皆に責めたてられていた。俺は呆れながらも見覚えのある光景に懐かしさを感じている。

これからの一年間、またこの部室でいろいろな事が起こるのかもしれない。それもこれからの俺達にとっては掛けがえのない思い出になるのだろう。

 

「やはり材木座が書くラノベは間違っている」

 

誰かが発した言葉に俺は同意しながらも、今度は義輝にどんなラノベを書いて貰えるのか楽しみになっていた。

 

 

-完-




これでこのSSは終わりにさせていただきます。
今まで駄文を読んでいただいた方、コメントを頂いた方、ありがとうございました。

また、機会があれば何らかの投稿をさせていただくつもりです。


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