やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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「お兄ちゃん」

「申し訳ない、先ほどのは誤りでこちらが沙希殿のだ。幾つか書き溜めてあるのだが今回はこれでお願いしたい」

「材木座、今回のはまともなんだよな」

「ああ、先ほどのはお遊びで書いたものだ。今回のは多分大丈夫だ」

「多分って...」

「では雪乃殿にお願いしたいのだが」

 

私はラノベを受け取って読み終わり大きく息を吐き出して安堵していた。私が知っている内容と違い今回は私の知っている告白大会のようなことにはならないでしょうから。

ラノベの内容もかなり違うわね。でも私が八幡に電話しなかったぐらいで、ここまで過去の出来事は変わるのかしら。

 

**************************

(ここから材木座の小説)

 

「はぁ..何だか疲れたな...」

 

私は放課後、公園のベンチに腰かけていた。何時もならけーちゃんを迎えに保育園に行き、家に帰って母親と一緒に食事の用意をしてお風呂の掃除や洗濯物を取り込み、そしてけーちゃんをお風呂に入れる。その後、けーちゃんを寝かせるため、布団に添い寝して眠ったのを確認するとようやく、自分の時間になって勉強が出来る。

 

でも昨日から両親は法事があり泊りで出かけているので家にいない。一日しかたっていないのに私の身体は疲労を訴えている。そろそろ保育園に迎えに行かないといけないのに身体が言うことを聞かず、動くことを拒否していた...

 

「どうしたんだ沙希、こんな所で」

「..八幡」

「何だか疲れた表情しているな...」

「ううん大丈夫。じゃあ私は行くよ。けーちゃ、京華を迎えに行かないといけないから」

「..沙希、俺も付いて行って良いか、けーちゃんに久しぶりに会いたくなったから」

 

八幡はそう言って保育園に一緒に来てくれた。でも私の疲れた表情を見られたくない。けーちゃんと話したら帰って貰おう。

 

保育園に私と八幡でけーちゃんを迎えに行くと、けーちゃんは八幡に抱きついて行った。私が先生にお礼を言っている間も、けーちゃんと八幡は何か話していて、けーちゃんは凄く喜んでいた。

 

「沙希、けーちゃんと遊ぶんで俺も家にお邪魔させてもらうからな」

「そんなこと良いよ。八幡も早く帰った方が良いだろ」

「今日は帰っても小町が遊びに行っているから良いんだよ」

 

私は疲れているからあまり見てほしくなかったんだけど、けーちゃんの相手をしてもらえるなら、助かるので私は了承していた。

 

「お兄さん、いらっしゃい」

「...大志、今日一日は俺が兄貴だから、いうことを聞けよ」

「え!?は、はい!!」

「八幡!?何言ってるの」

「沙希、今日は俺が色々するから、お前は休んでていいぞ」

「何言ってんだよ、それは私の仕事だから」

「今日はお兄ちゃんなんだから、沙希も俺のいうことを聞け」

「で、でも」

「反論禁止。なんだったら俺に甘えても良いぞ」

 

そう言うと八幡は強引に私の手を引き、自分が座っている股の間に私を座らせて後ろから腰に手を回して頭を撫でてくれていた。なんだかすごく落ち着くな。私が目を瞑っていると八幡はずっと撫でてくれていた。暫くはこうして居たいな、私は身体を八幡に預けて撫でて貰っていた。

 

私は何時の間にか眠ってしまったようで、起きると弟妹が八幡と一緒にパスタを食べていた。え!?誰が用意してくれたの?

 

「起きたか。沙希」

「う、うん。誰がご飯の用意をしてくれたんだ」

「姉ちゃん。お兄さんがしてくれたんだよ、茹でただけだけど」

「大志、お前何も出来ないのに文句を言うなよ」

「は、八幡。...その、ありがとう」

「沙希、今日はお兄ちゃんだろ」

「う、うん、お兄ちゃんありがとう//」

 

私は顔を真っ赤にしながら、八幡にお礼を言っていた。横を見ると洗濯ものも取り込んでもらっていたみたいで、服が畳まれていた。その服の上には私の黒いレースの下着も...

 

「誰が洗濯物を畳んでくれたの」

「お兄さんがしてくれたよ」

「わ、私の下着も//」

「ああ、悪いと思ったが沙希の手伝いをしたくてな//」

「ううん、ありがとう//」

「姉ちゃん、顔真っ赤だし」

「う、うっさい!!大志!!」

 

今日は八幡のおかげで大志もお風呂の掃除や食器の後片付けを手伝ってくれている。大志は八幡の言うことはよく聞いていて、私が部屋の掃除をしようとすると、八幡と大志が代わってくれて沙希のしたい事をしろって言われたので、私は勉強をすることにして自分の部屋に入っていった。

 

なんだか今日は集中してできる。八幡が色々してくれたおかげかな、私は時間を忘れて勉強に集中して打ち込んでいた。

 

結構できたな、何気なく時間を見ると時計は10時を指していた。え!?ど、どうしてこんなに時間が経ってるの!?私は大急ぎで下に降りて行くと、八幡と大志がソファーで寛いでいた。

 

「え!?あれ、け、けーちゃんは?」

「ああ、俺が風呂に入れて寝かしておいたよ」

「あ、ありがとう。八幡」

「姉ちゃん、お兄さんだろ」

「お、お兄ちゃん、ありがとう//」

「お兄さん、今日は泊っていくって。だから姉ちゃんもお兄さんにお風呂入れて貰ったら?」

「な、なに言ってんの!?大志!!」

「そうだな、一緒に入ろうか。沙希」

「あ、あ、あんたも調子に乗って何言ってんの!?」

「俺って沙希に嫌われてたんだな、大志」

「うん、俺も姉ちゃんに嫌われてて一緒に風呂入ってくれないし」

「...ふ、ふーん。そう言うこと言うんだ。じゃあ、お、お兄ちゃん。一緒に入るよ//」

「は!?へ!?い、いや冗談だから」

「お兄ちゃんは沙希のこと、嫌いなんだ...」

「お兄さん、姉ちゃんのこと嫌いだったんですね。可哀想な姉ちゃん」

「た、大志も何言ってんだよ!?」

「ほら、お兄ちゃん。お風呂に行くよ//」

「お、俺、けーちゃんと入ったから!!」

 

私は顔が真っ赤になっていたけど、八幡の腕を引っ張っていき、お風呂に連れて行った。

先にお風呂に入ってもらい私は八幡が脱衣所からお風呂に入っていったのを確認すると、私も脱衣所に入っていった。大志は本当に入るのかよ。ってビックリしてたけど、私の方を見て、頑張れって言ってくれた。

うぅ、恥ずかしいな。いざ服を脱ぐとどうしても戸惑ってしまう、でも私は勝負を決めるため、あえてタオルで身体を隠さず裸のままお風呂に入っていった。

 

「お、お邪魔します..」

「ど、どうじょ...な、何で裸なんだよ//」

「お、お風呂だから当たり前だろ//」

「じゃあ、俺は出ようかな//」

 

八幡は湯船に入っていたけど、私の裸を見た後すぐに目を逸らしていた//多分私が身体を洗っているうちにお風呂から出て行くつもりだろう。私はお湯を浴びた後、すぐに浴槽に入り八幡の前に座り身体を預けた。

 

「さ、沙希//不味いって」

「..お兄ちゃん、頭撫でて」

「..ああ」

 

八幡の左手は私の腰に手を回して右手は頭を撫でてくれている。心地いいな、私の背中に当たっている股間が気になるけど、私はいつの間にか緊張が解け八幡に身体を預けていた。八幡は唸っているけど、私の頭をずっと撫でてくれている。

 

「さ、沙希。そろそろ出ないか、のぼせそうなんだが」

「..うん、また一緒に入ってよ」

「き、機会があればな//」

 

八幡は先に上がっていった。さすがに裸を見ることは出来なくて目を瞑っていたけど。でも今になって凄く恥ずかしくなってきた。どうしよう、この後顔を合わせられない//

 

私がお風呂から上がっていくと、八幡は私と目を合わせてくれない。でも顔を真っ赤にしてて、凄く可愛く見えてきた。

 

「ねえ、お兄ちゃん。き、今日は一緒に寝るよ。客用の布団無いから」

「な、何言ってんだ!?た、大志の部屋で寝させてもらうから」

「お兄さん、俺の部屋は駄目っすよ。男と一緒の布団に入るつもりはないですから」

「お兄ちゃん、沙希の事、嫌いになった?」

「お兄さん、良いじゃないですか。姉ちゃんとお風呂入ってイチャイチャしてたんですから」

「な、なに言ってんだよ//大志」

 

その後も八幡は文句を言っていたけど、私が上目遣いでお願いすると渋々了承してくれた。

 

「沙希、入るからな//」

「う、うん//」

 

今日は両親が居ないので、私はけーちゃんの布団に入っていた。けーちゃんの布団は何時もは母親が一緒に寝ていてダブルの布団なので大きさは十分だった。今は私、けーちゃん、八幡と川の字になって横になっている。

 

「...今日はありがとう、八幡//色々してくれて」

「..沙希が無理するぐらいなら、俺で良ければ何時でも頼ってくれて良いからな」

「うん、..また一緒にお風呂入ってよ」

「..お風呂は取り返し付かないことしてしまうから勘弁してくれ」

「駄目なの、お兄ちゃん...」

「その..今はこれで勘弁してくれ。沙希」

 

八幡はそう言い起き上がってきて、けーちゃんを跨ぎ私の方に上半身を寄せてきてキスしてきた。私のファーストキス。唇が触れるだけのキスだったけれど、私は幸福感に包まれていた。

 

「八幡//」

「沙希のお兄ちゃんにはなれないが、けーちゃん達のお義兄ちゃんになら成れるからな//」

 

私も上半身を起こすと八幡はまたキスしてくれた。私は嬉しくて八幡に抱きつき、何度もキスを求めていた。

 

今は二人ともけーちゃんを挟んで横になっていて、身体を向かい合うようにして、けーちゃんのお腹の上にお互い手を繋いで置いている。

 

「何だか子供が出来たみたいだね//」

「ああ、何時か本当の家族になればこうやって何時までも手を繋いでいられるな」

「うん//おやすみ」

「ああ、おやすみ」

 

この日から八幡は私の家によく来てくれて、色々手伝ってくれている。勉強もいつも一緒にしていたけれど、今日は珍しく家には誰もいなかったので、二人で受験勉強に関係ない、保健体育に力を入れていた//

 

(ここまで材木座の小説)

**************************

 

「は、八幡兄貴//」

「さ、沙希!?何言ってんの!?」

 

沙希さんがいきなり兄貴と呼びだして驚いてしまったわ。でも私もこのラノベのように甘えたいわね、兄さんが居たらと考えたこともあったけれど、居るのであれば八幡のような兄さんが良いわ。

 

「に、兄さん。私も甘えさせて欲しいわ」

「雪乃もなに言ってるの!?」

「う、うん。あたしもおにぃが欲しいな」

「結衣も!?なんだよ、おにぃって」

 

沙希さんと私、結衣が八幡のことをそう呼ぶと、小町さんが怒りだしてしまったみたいね。

 

「沙希さんも雪乃さんも結衣さんもいい加減にしてください!!お兄ちゃんは小町だけのお兄ちゃんですよ!!」

「私には兄貴居ないから偶には良いだろ、小町」

「駄目です!!お兄ちゃんは小町のお兄ちゃんです!!」

「小町さん、私も兄さんが欲しいわ」

「雪乃さんは陽乃さんが居るじゃないですか!!陽乃さんに甘えてくださいよ」

「兄さんが良いわ、私を甘えさせてほしいもの」

「あたしは良いよね、一人っ子だし」

「うぅぅぅ、お兄ちゃん!!今日は小町と一緒にお風呂に入るからね!!」

「「「えっ!?」」」

「小町、何言ってんだ!?」

「昔は一緒に入ってたじゃん!!だから今日は洗いっこするの!!」

「昔って小学校のころだろ、もう高校生だぞ」

「お兄ちゃん。小町に欲情するの?」

「するわけないだろ、兄妹なんだから」

「じゃあ良いよね。お兄ちゃんは今日から小町と入ること!!」

 

ま、まって。もしかして私が告白しなかったから小町さんがライバルとして入ってくるのかしら。八幡のシスコンぶりには呆れさせてもらえるけれど、小町さんも極度のブラコンだったわね。そう考えると一番厄介な相手が出てきたことになってしまうわ。

 

「ぬ、主らは何をやっているのだ!!八幡、我のラノベの批評は!!」

「..俺は何もしてないだろ」

「皆さんがおかしなこと言い出すから、批評出来ないじゃないですか!!」

「..小町さんも一緒と思うのだけれど。でもそうね、まずは批評しないと行けないわね」

「じゃあ、あたしから。中二、どうしてけーちゃん喋ってないの。はーちゃんとの会話が欲しいな」

「...書き忘れたのだ」

「材木座、...どうして私の下着が黒のレースって知ってるのさ」

「沙希さん、それ以外も持っているのでしょ。材木座君が見たわけではないのでしょうから」

「...昔、八幡に見られてさ。それが、その...黒のレースだったから//」

「そういえば何時か言ってたね」

「我は以前ラノベの批評の時、聞いたのを思い出したのだ」

「お兄ちゃん。小町のなら幾らでも見てるでしょ!!」

「..小町。俺は何も言ってないだろ。大体小町は黒のレースなんて持ってないだろ」

「..八幡、どうしてあなたが小町さんの下着を把握しているのかしら」

「俺が洗濯物を取り込むこともあるからな」

 

そういえば私が泊りに行っていた時は誰が洗ってくれてたのかしら。もしかして八幡が//抱き合うとき、下着は幾らでも見られているのだけれど、もし八幡が洗ってくれているのなら恥ずかしいわね。

 

「お兄ちゃん、今日の帰り下着買いに行くからね」

「はぁ!?勝手に買いに行けばいいだろ」

「お兄ちゃん、この後だと帰りが遅くなっちゃって一人で帰るの怖いもん」

「はぁ、分かったよ」

 

小町さんは涙目でお願いすると、八幡はすぐに折れてしまったようね。でもお風呂に一緒に入るのは何とか阻止しないと行けないわ。

 

「ねえ八幡、小町さん。下着を買いに行くなら私も行くわ。そして今日は泊りに行っても良いかしら」

「駄目ですよ雪乃さん。今日はお兄ちゃんと買い物行きますし」

「そうなの、では御母様に許可を頂くわ」

「ちょ、ちょっと待ちなよ雪乃。あんた八幡の家に泊りに言ってんの!?」

「え、ええ、御両親が何時でも泊りに来ても良いからって」

 

失敗したわ、沙希さんが居るところで泊りのことを言ってしまったのは不味かったわね。皆で暮らしているとき自慢げに話していたので、つい言ってしまったわ。

 

「..結衣、あんたも行ってんの」

「う、うん。あたしも一回泊りに行ったことある...」

「..ふ、二人とも御両親に会ってるんだよね...じ、じゃあ今日は私も泊りに行く!!」

「沙希も何言ってんの!?雪乃は母ちゃんの友達として来てるだけだぞ」

「わ、私も御義母さんにちゃんと挨拶したいから//」

 

なんだか沙希さんの言い方がおかしかった気がするのだけれど...

 

「ケッ...八幡の非童貞が」

「待て材木座。泊りに来てるって小町の部屋にだぞ」

「...では主は経験ないのか」

「あ、当たり前だろ」

「では童貞なのだな」

「そ、そうだよ。以前から言ってるだろ、言わせんな恥ずかしい」

「ねえヒッキー、小町ちゃん。あたしも泊りに行っていいかな」

「結衣さんもですか、しょうがないですね。雪乃さんは両親から何時でも来て良いって言われてますし、沙希さん結衣さんを断るのも悪いですから」

「なあ、布団が二組しかないだろ。どうすんだよ」

「私と結衣が泊まった時、小町さんを入れて三人で寝れたから大丈夫よ」

 

そして夜に八幡の布団に忍び込めば良いのね、流石に八幡は経験がないのだから戸惑うでしょうけど、私が八幡の理性を崩壊させてあげるわ、八幡の弱いところも知っているのだから。

 

「なんだか楽しいよね、修学旅行の夜みたいでさ」

「八幡と小町も交えて一緒に夜更かししながら話すのも楽しいかもな」

「..明日も学校あるだろ、騒がずに寝てくれよ。両親も会社早いから」

「は、八幡。我もお主の家に泊まりに行きたいなぁ」

「やだ」

「お、お主など精を吸い取られて干からびてしまえぇ!!」

 

材木座君が叫びながら部室を出て行ったわ。でも幾ら八幡の精を吸い出しても翌朝には復活していたわね。でも今の私では体力がなくて八幡の相手を最後まで出来ないのではないかしら。八幡の相手をするには体力を付けないと不味いわね...

今回は前回と違うラノベだったから、やはりあれは夢なのよね。実際はどうなのかしら。私は今だに忘れられずどうしても今に当てはめてしまうわ。

性に対しても昔のような抵抗感がなく、もし八幡に抱いて貰えるのであれば今すぐにでもお願いしたいわ。

 


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