やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

65 / 79
「誑し谷君とゆきのん」

昨日は散々だったわ。どうして私がビッチと言われないといけないのかしら。

 

昨日、私と結衣、沙希さんで八幡の家に泊りに行ったのだけれど、家にお邪魔する前に八幡と小町さんも一緒に下着を買いに行き、パンさんのペアパンツを買いに行ってからお邪魔したわ。

 

八幡に私と一緒のパンツを履いてほしくて、八幡がお風呂に入っている間に脱衣場へ着替えをすり替えにいき、私は先にお風呂に入っていたので、八幡とお揃いのショーツ、上は八幡のI LOVE 千葉Tシャツを着てリビングで寛いでいたら、結衣と沙希さんには着替えろと言われ、お風呂から上がってきた八幡には顔を真っ赤にしながら、ビッチと呼んできていた。

 

確かに八幡と何度も肌を重ねているけれど、今の八幡は私にまだ何もしてくれていないのにビッチと呼ばれる筋合いはないわ。

 

でもその後は結衣と沙希さん、小町さんが私のことを変な目で見てきて、私は八幡の部屋にお邪魔することは出来なかった。夜、皆が寝静まってから八幡の布団に入って行こうと思ったのだけれど、結衣は私に抱きつきながら寝てしまったので、朝まで私は動けなかったわ。

 

でもそれで良かったのかもしれない。もし八幡の布団に入ってしまったら、私は抱いてほしくて八幡を襲っていたと思うから。

 

今日も材木座君がラノベを書いてくれたのだけれど、私のラノベと聞いたので勉強会を中止してしまったわ。本当なら勉強会を優先すべきであったと思うのだけれど、八幡とのラノベは私にとっても楽しみだからそちらを優先させてもらった。

 

**************************

(ここから材木座の小説)

 

 

...ヤバい。こんな点を取るなんて...

 

5限目の数学の授業で俺達は先日行われたテストの結果を返してもらったが、まさか赤点を取るなんて。俺の席の近くでは結衣と南が青ざめている。二人とも目には涙を溜めていた。

 

「ヒッキー、どうしよう」

「八幡、うちもヤバいよ」

「6時間目が終わったらダッシュで帰ろう、そうすれば捕まらないはずだ」

 

結衣と南は頷き俺も頷き返していた。ただ周りの優美子、沙希、姫菜が何も言わず、俺達と目も合わせない。もしかしら何か企んでいるのか。

 

6時間目の現国が始まり、またテストを返された。こちらについては俺は赤点を免れ、南もホッとしているが、結衣は絶望的な顔をしていた。

 

俺は6時間目の授業が開始されてもほとんど授業を聞いていなかった。今はいかにチャイムと同時に逃げるかを考えている。

もしかしたら優美子、沙希、姫菜が何かを仕掛けてくるかもしれない。俺は彼女達の妨害を掻い潜る方法を考えていた。

 

後一分。俺はすぐに教科書を仕舞えるよう、筆記用具は全て筆箱に仕舞い、教科書も鞄に押し込めれるよう、鞄のチャックは開けっ放しにして放り込めるよう待機していた。

忘れてはいけないもの。財布とスマホは既にポケットに入っている。授業中、何度も確認したからぬかりはない。

俺は教科書をノートの上に置き、両手はノートの下に配置した。これで畳んで鞄に入れれば、チャイムと同時にダッシュできるはずだ。

 

そしてチャイムがなり、授業が終了した。俺は既に教科書を仕舞って、鞄は肩にかけている。結衣、南も同じようで俺達は挨拶と同時にダッシュしようとしたのだが...

 

俺の左手首を沙希が握っており俺の動きを制止していた。その間に結衣と南はすでに廊下に出ていったようだ。

 

「八幡、どこに行くのさ」

「い、いや、今日はあれがあれだから。沙希、頼むから離してくれ」

「幾ら八幡のお願いでも聞けないな」

 

俺はそう言われたので、幾つか考えていた対処を沙希に繰り出していた。左手首を掴まれていたため俺は反対の右手を伸ばし、沙希の左手首を握りしめ、そして足を一歩前にだし沙希との距離を詰めていた。

 

「は、八幡//顔がち、近い//」

 

俺は沙希の右耳に顔を近づけ息を吹きかけながら、沙希にお願いしていた。

「サキ、見逃してくれ」

 

そう言いながら、俺は沙希の右耳を甘噛みしていた。

 

ふにゃ~//

 

沙希は顔を真っ赤にし腰が砕けたようで、自分の席に座り込むと耳を真っ赤にしながら俯いてしまった。俺の左腕は何時の間にか拘束を解かれていた。

 

よし、これで後は逃げるだけだ。俺は振り返り扉の方を目指そうとすると、優美子が俺の前に立ちふさがってきた。

 

「ヒキオ、どこに行くんだし」

「優美子...」

 

くそ!!優美子もか、時間がない。俺は優美子に一気に間合いを詰めていた。顔がぶつかりそうになったため、優美子は顔を逸らしたが、俺は優美子の顎に右手を掛け、自分の方に向かせた。左手は優美子の腰に手を回し、逃げれないように引き寄せる。

ほとんど距離がないほど近寄ってしまっているので、優美子の顔は真っ赤になり目は泳ぎまくっていた。俺はそんな優美子から目を離さず、唇が触れそうな距離でお願いしていた。

 

「優美子。お願いだ見逃してくれ」

「だ、駄目だよ。ヒキオ//」

「このままだとキスしてしまうかもしれないぞ」

 

そう言いながら俺は優美子の鼻先に自分の鼻を合わせた。

 

「え!?だ、だめ//こんな所じゃ//」

「だから今日は見逃してくれないか」

「こ、こんど一緒の事してくれる?」

 

ここまでならしても問題ないだろう、俺は何も考えず返事をしていた。

 

「ああ、幾らでもしてやるよ」

 

そういった後、俺が優美子の腰に回した手を緩めると優美子も俺から離れ、自分の席にへたり込んでしまった。

これで俺を邪魔するものはいない。俺は鞄を掛け直し、扉の方に行こうとすると、次は姫菜が俺の前に立ちふさがってきた。

俺は止まることなく姫菜に駆け寄ると、姫菜は俺が止まると思ったのだろう、驚いて後ろ向きに数歩下がっていったが壁に背がぶつかったため、俺は顔の両隣に手を置いて逃げれないようにした。

 

「キャッ!!」

 

姫菜がびっくりしている中、顔を近づけていき、俺は姫菜の首元に顔を埋めて、口を首に擦り付けながら喋っていた。

 

「姫菜、行っても良いだろ」

「は、ハチ//く、擽ったいよ//」

「..駄目なのか」

「しゃ、喋らないで//」

「姫菜は返答も返してくれないのか、話さないと通じ合えないだろ。姫菜が答えてくれないと、俺が一方的に話していることになるな、俺は姫菜と言葉のキャッチボールをしたいのに」

 

姫菜は俺が喋っている最中、身体を何度か痙攣したかのように震わせていた。

 

「あぁ//もぅ..らめぇ//」

 

そう言うと壁を背に崩れ落ちて行った。

 

よし、これで俺を邪魔する奴はいない。俺が姫菜に向けている身体を扉の方に向けようとしたのだが、凍えるような冷気が俺を包み込んでいた。

背に冷や汗をかきながら、その冷気の方向に身体を向けようとするのだが、身体が言うことを聞かず、中々動かせない。

 

体中が拒否しているような感覚を覚えながら、俺は何とか首だけを扉に向けていた。

 

「浮気は終わったのかしら。誑し谷君」

 

そこには俺の彼女である雪乃が立っていたのだが目が怖い。にっこり笑っているのだが目だけは俺を射殺すように見ている。何時もなら名前で呼んでくれるのだが、雪乃は怒るとなぜか名字呼びに戻り、しかも今は名字さえちゃんと呼んでくれない。

 

「ゆ、雪乃。これは..ち、違うんだ」

「私という彼女が居るにも関わらず、三人を誑し込んでいたのね」

「い、いや沙希と優美子、姫菜とは会話をしていただけでしゅ」

「そうなのね、では私ともこれからたっぷりお話ししましょうか...そう言えば結衣と南さんが居ないようね」

「お、俺は知らないぞ」

「...今日テストの返却が有ったはずよね、八幡はどうだったのかしら」

「ゆ、雪乃が気にすることはないと思うぞ、うん」

「あなたたちに勉強会していたもの、結果を教えて貰わないと今後に活かせれないわ。どうだったのかしら。もしかして赤点なんて取っていないわよね、赤点谷君」

「...数学が赤点でした」

「....」

「....」

「...はぁ、今日から次の期末テストまで私の家で合宿をしてもらうわ」

「ふ、二人だと気になって、勉強できないだろ」

「何を勘違いしているのかしら、エロ谷君は。私の実家で姉さんと私の二人で教えるわ。もちろん結衣と南さんも今から捕まえに行くけれど」

「テストまで1か月以上あるだろ、そこまでしなくても」

「貴方に拒否権があると思っているのかしら」

「あ、ありません」

「後三人を誑し込んだことも教えて貰わないと行けないわね」

 

雪乃はそう言うと摺り足で俺との間合いを一気に詰めてきて、俺の身体に抱きついてきた。

 

「八幡。三人にしたことを私に愛を囁きながらしてくれるかしら」

 

雪乃はそういって俺の胸から顔をあげ、上目遣いでお願いしてきた。こ、こんなの反則だろ。雪乃のお願いを無視することは出来ない。

雪乃を壁にもたれさせ、おでこを当てながら、唇は喋れば触れ合う距離で俺は囁いていた。

 

「俺の好きなのは雪乃だけだ//」

「私もよ、八幡。でももっと言ってほしいわ//」

「愛してる、雪乃//」

「私も八幡を愛してる//」

 

俺達は教室の中でお互いの想いを確かめ合っていた。唇は何度も触れあっていたが、俺達はその距離を楽しんで話していた。

 

ゴホン!!

 

咳払いが聞こえそちらを見ると、平塚先生が顔を赤らめ、クラスメイトは全員、口を半開きにして俺達の方を見ていた。

 

「...比企谷、雪ノ下。今から生活指導部に来るように」

 

な、なんで皆見てんだよ、っていうか何で教室に皆残ってるんだよ。俺と雪乃は顔を真っ赤にしながら、でも手は恋人繋ぎし平塚先生に連行されていった。

 

(ここまで材木座の小説)

**************************

 

「中二、あたしのことまたバカにして書いてる!!」

「うち、最近は赤点取ったことないよ!!結衣ちゃんみたいに酷くないよ」

「ああ!?さがみん何言ってんだし!!高一の時、あたしと一緒に追試受けてたし!!」

「一年の時だけだよ、今は赤点なんて結衣ちゃんと違うから取ってないよ」

「はぁ!?」

「二人とも団栗の背比べは止めなって」

「サキサキが酷い!?」

「うん、あーしから見たら五十歩百歩だし」

「優美子ちゃんも酷い!?」

「大同小異ともいうね」

「姫菜、それってどういう意味?」

「意味は同じだよ。もっと勉強必要だね、結衣には」

 

結衣にはまだまだ勉強をさせる必要があるわね。私も一つことわざを言っておこうかしら。

 

「他にも一寸法師の背比べって、ことわざもあるわよ」

「雪乃ちゃんも言い出した!?」

「俺から言わせれば、目くそ鼻くそだな」

「ヒッキーも酷い!!数学はあたしより酷いじゃん!!」

「そうね、たしか学年でワーストだったと言っていなかったかしら」

「..過去の話だ」

「...ヒッキー、今度の中間テスト勝負するし!!」

「うちも一緒に勝負するよ」

「平均点でか?」

「うん、何か賭けるわけじゃないけど、ヒッキーに勝つために頑張れるし」

「そうね、では私も一緒に勝負させてもらうわ、真鶴さんもどうかしら」

「私も入るよ、雪ノ下さんにはまだまだ追い付けないけど、何時かは勝ちたいから」

 

真鶴さんも入ってくれるようね、彼女はかなり勉強が出来るから私もその方が張り合いが出るわ。でも私は今の実力が分からない。こちらに来てから初めてのテストだから、もしかしたら酷い点を取るかもしれないわね。心して挑まないと。

 

「あーしらも入るよ、皆でやった方が頑張れるし」

「そうだね、サキサキには負けれないからね」

「うん、私のライバルは姫菜だな。今回で白黒つけるよ」

「..材木座も入れよ」

「分かった、平均点だな。お主には負けれぬからな」

 

何時の間にか勉強の話になってしまったわね。でも私達は受験生なのだから、ラノベで息抜きをしながらも勉強の話になってしまうのはしょうがないのよね。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。