DQ5 天空の花嫁と浪速の賢者   作:かいちゃんvb

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どうも、かいちゃんです。
最近急に涼しくなりましたね。来週はまた暖かくなるのだとか。急な気温の変化についていけずに体調を崩すことが多いので、体調に気をつけてお過ごしください。
では、本編スタートです。


第35話 ラインハットの死闘

魔物に飛びかかったリュカ、ヘンリー、ヨシュアをカリンがバックアップするという、神の塔で既に完成したコンビネーション攻撃が広間の魔物たちを圧倒していた。ピエールの助力を借りながらカリンが補助呪文と弓を巧みに操って大勢の魔物を牽制し、前衛3人が隙を見せずに各個撃破する。スラリンとブラウンとドラッチは城門を固めて逃げ去ろうとする魔物たちを城内に押し戻していた。およそ30分ほどの戦闘で立っている魔物はニセ太后のみとなった。

 

「ふぅー、これであんただけになったな。」

 

「俺のことはまだしもデールに手を出されたとなったら、親分としては借りを返さないとな。」

 

「くくく、愚か者め。この妾を倒せるとでも思っておるのか?」

 

するとカリンとリュカが前へ進み出た。

 

「う〜ん、僕らとしては君の実力わからないからね。何とも判断し難いなあ〜。」

 

「もうあいつ何年も戦ってないんやろ?相当腕も鈍ってるんちゃう?」

 

「偽物さん、急に体動かすと次の日困りますよ〜。年寄りは長引くからね。」

 

「そそ、長い間動いてなくて急に運動したら肉離れにもなるらしいしな。」

 

ヘンリーもヨシュアもピエールたちもその挑発の的確さと2人の息のあった掛け合いに目を丸くしている。ヘンリーの目には少し嫉妬の色も混じっていた。挑発された当のニセ太后は文字通り顔を真っ赤にして憤怒の表情でこちらを睨みつけている。

 

「ええい、うるさい!!まずは貴様らから始末してくれるわ!!」

 

ニセ太后は大きく息を吸い込んだ。

 

「フバーハスクルトバイギルトォ!!」

 

カリンが補助呪文を手早くかける。リュカはニセ太后に飛びかかったが、それよりも早くニセ太后は燃え盛る火炎を吐いた。

 

「あぢぃっ!!」

 

モロに食らったリュカの服に火がつき、リュカはその場でのたうち回った。ヨシュアが慌てて池の水を汲んでリュカにぶっかける。

 

「ありがとう、ヨシュアさん!」

 

すぐさまリュカは立ち上がってニセ太后に飛びかかる。それに続いて、ヘンリーもヨシュアも魔物たちもニセ太后に襲いかかった。

 

激戦が幕を開けた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ニセ太后飛びかかってきたリュカたちの攻撃を華麗なステップで躱しきる。するとそのまま見た目に反することこの上ない素早い動きでヘンリーの背後に回り込んで強烈な一撃を加えた。

 

「ぐはっ!!」

 

さらに今度はピエールの背後に回り込んで攻撃を加えようとするが、これはカリンの矢による牽制で攻撃を遅らせることに成功して、ピエールは盾でニセ太后の拳を受け止めた。そして今度はカリンをめがけて突撃してくる。カリンは腰に差していたブーメランを抜いて応戦した。鋭さと早さを兼ね備えたニセ太后の連続ラッシュを、身のこなしと的確なブーメラン捌きで一発も体に当てずに凌ぎきる。効果なしと悟ったニセ太后は一旦カリンと距離をとった。

 

「ふっ、なかなかやるの。」

 

「お世辞ありがとう。」

 

「人の好意を素直に受け取らんか、娘。」

 

「あいにくツレをえらい目に合わせたやつに褒められて嬉しがるほど人間できてないんでね。」

 

「ふっ」

 

そして再びニセ太后はリュカたちを翻弄するような素早い動きで攻撃の的を絞らせず、逆に一行に確実な一撃を叩き込んでいく。ピエールら魔物に攻撃が集中している隙にヘンリー、リュカ、ヨシュア、カリンの4名が集まって作戦を練る。

 

「チッ、このままじゃ埒があかねえ。」

 

「そうだね。何とかあいつを止めないと。」

 

「そう思って私も先程から足を狙ってはいるのだが……」

 

ヘンリー、リュカ、ヨシュアがそれぞれ肩で息をしながら愚痴をこぼす。

 

「なんか落とし穴的なやつがあったらな〜。」

 

「そうなんだよね〜〜。」

 

カリンの反実仮想にリュカはそう返しながら荷物を弄っていると、カリンが念のためと言って放り込んでいたある物を見つけ、リュカはしたり顔でほくそ笑んだ。

 

「ねえ、ニセ太后さん。そろそろ僕らも飽きてきちゃったんだけど。ここはひとつ、ラインハット国民のためにさっさと負けてくれると嬉しいなあ。」

 

「ふん、寝ぼけたことを言うな!」

 

そう叫んでニセ太后はリュカの方へ飛びかかってきた。するとリュカは荷物をゴソゴソといじる。ニセ太后はリュカの顔面を殴り飛ばそうとするが、リュカは腰を落として回避し、ニセ太后の左足に何かを貼り付けた。そしてそのまま転がりながらリュカはその場を離れる。ニセ太后の足についていたのは………トリモチとカリンお手製の手榴弾だった。

 

「な、何だこれは!?」

 

「メラ!」

 

カリンが狙いを定めてメラを放つ。火の玉は寸分狂わずニセ太后の足の手榴弾に命中した。その瞬間、爆音が広間に轟き、ニセ太后は3メートルほど吹っ飛んだ。威力が弱めの威嚇用ではあったが効果は抜群で、ニセ太后の左足は跡形もなく吹き飛び、右足もかなり損傷している。左足の付け根と右足の傷から紫色の血が延々と流れており、まだ意識はあるものの、致命傷を負っていることは明らかであった。

 

「カリン、ナイスコントロール!」

 

「よっしゃ!」

 

カリンとリュカの2人がハイタッチを交わす。そして、ヘンリーが落ちていたラインハット兵の制式の剣を持ってニセ太后の前に立った。

 

「一つ聞きたいことがある。」

 

「ふっ、お主か。10年前の恨み言でも言いに来たか?」

 

「それもあるがな。………本物の太后はどうした?」

 

「老いゆく姿を正確に再現したいと思って牢に閉じ込めたまま生かしていたが、3年前に死んだ。最期までお前と国王の事を気にかけておったわ。」

 

「そうか。」

 

そこへカリンが歩み寄って来た。

 

「あんたも勿体無いな〜。そんなに頭切れるんやったらもうちょい民生に努めてたらもっと楽に国を乗っ取れたのに。」

 

「…………フン、……………人間ごときに…………説教を垂れられる日が…………来る……………とはな……………。」

 

ニセ太后の目から光が消えた。

 

「ふう、終わったな。」

 

ヘンリーが呟く。カリンはニセ太后の瞼を閉じてやった。

 

「さて、革命には生贄が必要や。気は進まんけど、ヘンリー、頼むわ。」

 

「ああ。」

 

ヘンリーは持っていた剣でニセ太后の首を落とした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一行が市街に戻ると、民衆は通りすがりの英雄に喝采を浴びせた。人々の中心ではデールとイワンとマリアとトムが待っていた。

 

「兄上、リュカさん、カリンさん、ヨシュアさん。本当にありがとうございました。これでラインハットは正しい道を歩めます。」

 

「ああ。とりあえず、これがニセ太后の首だ。晒すなり何なり好きにしろ。」

 

「いえ、跡形もなく消え去ったことにしておきましょう。魔物であれ暴君であれ、皆生きとし生けるものですからね。でもバレるのもあれですから、誰にも気付かれないように他の魔物も合わせて火葬して埋めておきましょう。」

 

「さすがはデールだ。器が大きいな。」

 

そして、ヘンリーは一行を取り囲んでいる群衆へ向かって声を張った。

 

「ラインハット王国第一王子ハインリッヒ・フォン・ラインハットは10年の時を経て今帰った!私と共に過酷な旅を共にしてくれた彼らのおかげでラインハット王国を蝕んで来た脅威は去った!それは喜ぶべきことである。しかし!本番はここからである!皆の者!力を合わせて国王デートリヒを助け、この国を正しい道を歩み続ける国にしていこうではないか!!」

 

民衆から怒号のような歓声が湧き上がる。

 

「兄上、私の知らない所で随分な弁論術を学ばれましたね。国民皆があなたに熱狂しています。」

 

「ま、俺にできるのはこれと戦いだけなんだけどな。」

 

「これからも頼みます。」

 

「ああ。」

 

2人が強く頷きあうのを見届けてカリンが提案を投げかける。

 

「さーて、ちょっと落ち着いたことやし、飯食わん?バリ腹減ってんけど。」

 

「そうだね、僕たち朝も早かったからね。」

 

「それに、ラインハットを具体的にこれからどうするかを決めなな。城の重臣はあらかた魔物やったみたいやし、民生にしても何にしても、抜本的な改革が必要や。」

 

「はい。皆さんの知恵もお借りしながらみんなで相談してやっていきましょう。」

 

 

再び民衆から歓声が上がった。春の陽光が、ラインハットの新たなる門出を祝福するかのように優しく一同を照らしていた。

 




<次回予告>ついにラインハットは魔物の手から解放された。国王デールは混乱したラインハットを立て直すためにリュカ一行とイワンを招集して会議を開く。
次回 10月13日金曜日午後9時3分投稿 第36話「ラインハット会談」
賢者の歴史が、また1ページ。
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