今俺は自室に向かっていた。インパルスの調整をし終えたので、さっさと飯を食ってもう寝るつもりだ。いつも通りの人気の無い道を通っていた。何でかって?そんなの女子全員との死闘(追いかけっこ)から逃げるために決まっているじゃないか。それともう一つある。俺がある場所へ向かっているからだ。
しばらく歩くと見晴らしのいい岬に着いた。ここからの景色が俺は好きで毎日来ている。
(さて、そろそろ良いだろう。ここには誰もいないし・・・)
そう決心すると、俺は後ろに振り向き言った。
「いい加減に出て来たらどうだ?ここなら誰もいないぞ」
そう言うと、木の影から一人の少女が現れた。
「・・・ばれてたんだ。いつから気付いてたの・・・?」
「整備室を出たあたりからかな・・・ま、立ち話もなんだから座りなよ」
「う、うん・・・」
俺はベンチに座るように言った。
そう、俺は整備室をでてからずっと視線を感じていた。もっと言うと、調整をしているときからだ。一瞬、楯無さんかと思ったが違ったようだ。とりあえず、彼女から話を聞く事にしよう。
「俺は金森運命って言うんだ。君は?」
「更識・・簪・・」
「で、何で俺の後をつけて来てたんだ?まさか、国家へのスカウトってわけじゃないよな?」
「・・・うん、ちゃんと理由があるの・・・聞いてくれる・・?」
上目遣いだと・・・!可愛すぎる・・ハッ!しっかりしろ俺。
心の中で葛藤しながらも、話を聞く事にした。
話の内容はこうだ。簪は日本の代表候補生で近々専用機が届くはずだったらしい。しかし、馬鹿の専用機を急遽作る事になり、簪の専用機が製作中止になったと伝えられ自分で作ると言って機体を引き取ったそうだ。しかし、武装もフレームもまるでできていない状態で完成するまでにかなりの時間が掛かってしまう。そんな時に俺とインパルスを見て、何かを感じ取ったらしい。それで俺に手伝ってもらうためにつけて来てたんだということだ。
「でも、俺の後をつけたりするっていうのはどうだ?普通は手伝ってくれるとは思わないけど・・・」
「うっ!・・・それはそうかもしれない・・・」
少し落ち込んじゃったな。ヤバっ!可愛すぎ!俺Sに目覚めちゃうかもしれない・・・
「ま、まぁ安心して。ちゃんと理由を話してくれたんだ。俺も喜んで手伝わせてもらうよ。俺も頑張って簪に合うような機体を作ってみせるよ!」
「うん・・・ありがと・・!」
そう言うと簪は嬉しさのあまり抱きついて来た!
(うわわわ!?な、何してるんだ!?この子は!!)
俺は頭の中が思考停止したが、口調がおかしくなりながらも何とか話し始める。
「か、簪さん!?い、いきなり、こ、こういうのはちょっと!?」
「んっ、・・・いきなりは嫌?だったら順番通りに一から・・・」
違うわ!!!と心の中で叫んだが、同時にデジャヴだと感じた。そして、数秒の間記憶をさかのぼり一つの結論に達した。これは『楯無の再来』だと・・・
「わ、わかったから離れてくれ」
「・・・分かった」
そう言うと簪は離れてくれた。何故か少し残念そうだったけど・・・
「よし!じゃ簪、行くか!俺のラボに!」
「ラボ?・・・そんな場所あったっけ?」
「いや、そうじゃなくて・・・」
俺は少し溜めてから言う。
「つまり、俺の部屋って事」
簪は一瞬硬直した。そして、導き出された答えが・・・
「はい!?」
そう言いながらも簪の顔は真っ赤だった。
「さ、早く行こうぜ!!」
「っ! う、うん・・・」
そう言って俺は簪の手を引いて自室に行くのだった。
生徒会活動報告書ーーーー入学初日、Sに半分目覚める。 by 金森運命
簪さんの初登場回です。ちゃんとできて良かったです!
次回は簪さんのオリジナルISの設計です。