「・・・・・・ハッ!こ、此処は何処だ?確か、これから白式を慣らしにアリーナに向かっていたはずなんだが・・・・・・って!?な、何じゃこりゃああああああああああああああああ!!!???」
えっと、初めまして・・・・・でいいのか?織斑一夏です。冒頭から絶叫で始まってすみません。でも、叫ばざるを得ないので許してください。ってか、俺自身自分のこの状況に混乱しているので、勘弁して下さい。手足が縛られ、椅子に座らされているので。
「・・・・・・うるさいぞ、織斑。少しは静かに出来ないのかあぁそうか発情期かそうかそうかだったら今すぐ此処から立ち去るか俺のこのカモシカのような足で地獄に叩き落とされろ」
「お前は俺を罵倒する時だけ饒舌になるのなっ!!!」
俺の心を容赦無く粉々に粉砕させるとしか思えないほどの罵倒をしてきたのは、クラスメイトの金森運命だ。この光景自体は毎度毎度の事なので慣れましたが、心に来るものがあります。嬉しい方じゃなくて、悲しいものが。・・・・・・・・・いや、よく考えると、そもそも運命は何で俺だけを罵倒するんだ?しかも、罵倒されるようなことをした覚えはないのに・・・・・・謎だ。
「まぁそれは冗談として、襲われるなら一人で襲われてくれ。いい加減俺を巻き込むな。付き合わされるこっちの身にもなれ」
「それ本当にそっちのセリフかなぁ!」
あまりのいちゃもんとその言葉と真逆の無表情を見て、思わずげんなりしてしまいそうだ。
と、ここでアナウンスが入る。
『やあ、こんにちは。我々が用意したもてなしに満足しているかな?』
聞こえて来たのは、ドラマなどでよく聞くあの声だ。ボイスチェンジャーを使っているらしい。
「あぁ、もちろん。本当に退屈しないね」
声の主の質問に、仏頂面をした運命が答える。心なしかいつもより喋っている気がするんだが・・・・・・?
『そう、それは結構なことだ。さて、そろそろ君たちも自分が何故そんな状況なのか知りたくはないかい?』
「そうだね・・・。是非お聞かせ願いたいね。楯無さん」
運命がそう言うと、さっきとは打って変わって聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「・・・やっぱり運命くんは分かってたかぁ。お姉さんもまだまだね」
「・・・で、今日は何の罰ゲームですか?前回の期限は昨日だったはずですが?」
運命が訊ねると、楯無さんは「えぇ」と言った後、深呼吸をして告げる。
「でも、その前に・・・・・・皆の者ぉ!やれぇええ!!」
そこでアナウンスがプツンと切れ、そのすぐ後、周りから何やら鬼気迫るような声と騒音が聞こえて・・・・・・・・・
「ぎゃああああああああああ!!」
「・・・・・・うるさい」
「まあまあ、そんなに怒らないの。あっ、ほら一夏くんも起きたみたいだよ?」
意識がブラックアウトしたと思ったら、再び舞い戻った。何やら運命と楯無さんが小声で話しているな。ってか、二人の距離が近すぎる気が・・・・・ん?あれは四組の更識さんだっけ。なんか二人のことを睨んでいるような・・・・・・俺の勘違いか?
「それでは、主役たちの準備も整ったところで・・・企画発表行くわよ!」
言い放つと同時に指をパチッ!と鳴らすと、今まで真っ暗だった空間に光が灯る。どうやら場所は体育館のようだ。そして、そこにある巨大モニターに内容が提示された。
《〜緊急特別企画 男性IS操縦者の素顔が丸裸に!?実は羊の皮を被った狼な奴らだった!!・・・・・・という噂〜》
『おおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』
体育館に集まった女生徒たちのやたらと嬉しそうなどどよめきとほぼ同時に、隣から心底呆れた様子で溜息を漏らすのが聞こえてきた。それが運命なのは言うまでもないか。
俺は渋々ながらも、その意図を聞いた。
「あの、それって本当にやる必要あるんですか?俺は別に構わないですけど、運命があんまり乗り気じゃないかと・・・」
「あっ、それは大丈夫。ちゃんと裏付けはとってあるから・・・・・ねぇ、運命くん?」
途端にビクッと体が震え出す運命。な、何かあったのか?
「・・・・・あれが伏線だったのか。だとしたら、生徒会はグルか!いや、そしたら整備科の先輩や先生たちも・・・・・・うわぁぁああ、べぇよぉ〜完全に乗せられてたよぉ〜・・・」
「お、おい運命?何か喋り方がおかしくなってないか?」
「ぅえ!?何がでぇ!おれのどこがおかしいってんだよぉ!!んぁ!?」
あの、運命さん?なんかその顔は放送できないような気がするんだが!
「あぁ、そうそう。言い忘れてたけど、運命くんには隠し事できないように色々仕組ませてもらったよ」
「どういうことですか?」
楯無さんがさらっと疑問に答える。
「ある人の完全協力の下で、あるクスリを作ってそれを飲ませたの。でも、心配しないで。効果は軽い泥酔状態で済むから」
「それって、犯罪なんじゃ・・・・・」
俺の発言を無視して、会場はどんどんヒートアップしていく。
「それじゃあ、時間も無いからアンケート行くわよ!」
デデン!という効果音に重なり、モニターに映し出された。
《好きな動物はなんですか?》
俺はこんな事は普通に聞けばいいのにと思いつつも、そんな事は絶対に口に出さない。決して殺されそうなんて思ったわけじゃない。
「えっと、そうだな・・・。特に無いけど、強いて言えば犬かな!感情表現が豊かだし!」
俺の回答にすかさず運命が乗っかる。
「織斑ぁ・・・はっきり言ってしまえばいいじゃないかぁ。「僕が本当に好きなのは、感情表現が豊かな犬より、感情表現が豊かな女なんですぅ!」とな!」
爛々とした目つきでこっちを見る運命に恐怖を覚える俺。運命はこの後に及んでまだ俺を罵倒するらしい。その姿はもはや酒癖の悪いおっさんにしか見えない。
「でも・・・俺はそういう子、大好きだけどね☆」
今、人が倒れる音が聞こえた。それも一人や二人ではなく、何十人という単位で。お、恐るべし、運命!
「グヘヘッ・・・で、では次の質問・・・」
楯無さんもふらつきながらも、次の質問に移る。やはりこれは危険と判断したようだ。
《好きな女性のタイプは?》
定番だなと内心落ち着いた俺は、難なくその質問に答える。
「クールな面と家庭的な面を持つ人かな?」
俺の答えを聞いて、女生徒の皆さんもふむふむなるほどといった感じの様だ。主に箒たちが。
次に解答権が運命に、移る。
「えぇっとぉ!好感度パラメーターによれば、今一番高いのは楯無さんと簪ですね。次に虚さんと本音、一組の皆、その他諸々といった感じですかね?って・・・・・げっ!!なんで織斑が高いんだよぉ・・・・・フンッ!!」
運命はそのまま持っていた機械を、床に叩きつけて粉々に破壊した。
「すみません、今のは忘れてください」
運命はそのまま次に行くように促す。っていうか、楯無さん卒倒したぞ?あ、担架で運ばれて行った。
「えっと、会長が保健室に運ばれたため、生徒会副会長の更識簪が代行します」
代わりとして、更識さんが進行するようだ。心なしか目が輝いて見えるなぁ。
そんなことを考えていると、モニターに内容が映し出された。
《ぶっちゃけ、胸のサイズは気になりますか?」
おいおい、途中から言葉になっちゃってるぞ・・・。胸のサイズねぇ・・・
「正直言うと、あまり気にしないかなぁ。それぞれの個性だと思うし」
「要するに俺は誰にでも見境なく襲うという解釈でFA?」
「襲わねぇよ!!それで俺がイェス!とか言ったら、ただの変態じゃねぇか!!」
「男はみんな、注目されることに憧れるもんだと俺の親父が昔言ってたぞ?」
「そういう注目のされ方はしたくない!!」
俺たちがボケとツッコミの応酬をしていると、周りの視線が冷たくなった気がする・・・・・気のせいでは・・・・・ないみたいだ。
「しょうがねぇ・・・すっかり場も冷めた事だし、そろそろ帰るかなぁ。あ、オチは織斑がつけてくれるぞ。んじゃ、バイビー♪」
に、逃げた!?そして、無茶ぶり!?無責任にも程があるだろ!・・・あ、止まった。
「あぁ、そうそう。さっきの答えだけど、俺はどちらかと言うと、面食いだ」
そう言い残して、今度こそ立ち去った。お前は本当にやってくれるな。よし!俺も盛大にかますかな!
「えっと、名前ネタやります!今日みたいな企画はもうさだめ(やだね)!やらなくてももういちか(いっか)!・・・・・・・・・お後がよろしいようで」
今日の締めは、俺、織斑一夏による単純なオヤジギャグによって締められた。結果として、今日一番の自爆だったのはいうまでもない。