今日も生徒会室で活動だ。俺と簪は生徒会室に向かっている。
(本来なら、今日は活動無いはずだったんだけどなぁ・・・楯無さんから直接呼び出しがかかるなんて、何かあるのかな?)
そう。今日は久しぶりに部屋でシルエット作りをする予定だったのだ。簪も何をするのか聞かされてないらしい。
歩いていると、生徒会室の前に誰かが立っていた。よく見ると、俺がよく知る人たちだった。
「あれ、本音に虚さんじゃないですか。二人揃って珍しいですね」
「あー!さだっちだ〜。やっほ〜」
「おや?金森さん、こんにちは」
本音と一緒にいたのは、布仏虚(のほとけ うつほ)さんだ。俺より二つ上の三年生で、本音とは姉妹らしい。性格は正反対だけどね・・・
「どうも。中に入らないんですか?」
「お嬢様から、全員揃ってから入るように・・・と言われていますので」
「待たしてしまってすいません」
「大丈夫ですよ。それじゃ、中に入りましょう」
そう言って俺たちは生徒会室に入った。
「個性を磨くことこそが、成功への近道なのよ!」
生徒会室に入った途端に楯無さんから発せられた一言だ。とりあえず訳がわからなかったので、俺たちは席に座った。そして、質問してみる。
「何ですか、それ?正直、意味が・・・」
「いや、簪ちゃんが生徒会に入ったから歓迎会をしようと思っただけよ」
「さっきの言葉とどういう関係があるのか、理解出来ないんですが・・・」
「だから簪ちゃんが入った事で、今こそ私達はもっと濃いキャラクター性を身に纏う必要があるのよ!」
「キャラクター性?」
俺の質問に、楯無さんは「そうよっ!」と自信満々に振り返る。
「でも、キャラなんて、一朝一夕で身につくようなものじゃないんじゃ・・・」
「そんな事ないわよ。例えば、語尾に何かつけるだけでも一気にキャラが濃くなることは、有名な大学教授によって立証済みよ!」
「その教授が誰か気になりますが、それは置いておいて。語尾に何か・・・ですか?」
「そう! 運命君なら・・・『ゲス』あたりが似合うかな」
「なんかいちいち酷いでゲス」
「おおっ!想像以上にフィットしてるわよ、運命君!」
「全然嬉しくないでゲス」
「うんうん、聞けば聞くほど、運命君の個性が文面に出ていいわね」
「じゃあ楯無さんの語尾には、『にょ』あたりを使うでゲス」
「それは先駆者が偉大すぎるから駄目よ」
「そうでゲスね・・・。斬新さを考えると・・・少しのボーイッシュさも孕ませつつ、『ごわす』とか良いんじゃないでゲスか」
「運命君の感性はよく分からないでごわす!」
「なんか微妙にハートを撃ち抜かれるでゲス!」
「あ、そうだ、本音どん!」
「初めて『どん』って呼ばれたよ〜・・・」
本音まで巻きこまれていた。
「本音には・・・そうだねぇ。『ざます』をプレゼントでごわす!」
「確実に変な語尾だよ〜・・・ざます」
ああ、本音が酷いキャラに。
「勘弁してほしいでざます〜」
「元気出すでゲスよ」
「そうよ。本音に高貴さが加わったでごわす」
「・・・何、このシュールな会話風景」
簪が引きつった表情で俺たちを見守っていた。・・・こうなったら、簪もこっちの地獄に引きずりこんでやる。
「簪。自分だけ安全な位置にいようだなんて、そうは行かないでゲスよ」
「運命、凄い小悪党みたい・・・」
「そんなわけで、簪には・・・『逆に』を進呈でゲス」
「な、何、その変な語尾は。嫌よ・・・逆に」
「普通に考えてたらいい語尾だったという感じでゲスな」
なんかどんどん会話が混沌としてきた。しかし、こうなった以上、いつまでも一人だけ逃れ続けられるはずもない。
楯無さんは悪戯な笑み浮かべる。
「ふふふ・・・虚どん。貴女にも、語尾を授けてあげるでごわす!」
「ああ・・・やっぱり来るんですね、私にも」
虚さんは既にこの事態を予期していたのか、あまり驚いた様子も無く受け容れていた。
「虚には、あえて可愛らしい『もきゅ』をあげるでごわす!」
「・・・見事に、私に似合わない言葉もきゅ」
な、なんだこれ。虚さんが「もきゅ」なんて・・・
楯無さんが「さてっ!」と仕切る。
「それぞれの語尾も決まったところで、次は容姿でごわす!」
「容姿・・・でゲスか。でもそれも、すぐに変えられるものじゃ・・・」
「じゃあ、ファッションを変えるでごわすよ!服とか髪型とかトレードマークとか」
「なるほど。マ○オと言えばヒゲみたいなことですね」
「そういうことよ。じゃあ、とりあえず運命君は・・・」
と言って耳打ちで指示された。ーーーと、いうわけで。三分後。
「・・・オッス、オラ金森!今日も強いヤツと戦うでゲス!」
「凄いね〜キャラ統制が一切とれてないよ〜・・・ざます」
「口調は小物なのに、容姿と態度だけは強そうでごわす」
その言葉で俺は沈んだ。しかし、俺が落ち込んでいる間にも、会議は進んでいった。
俺が復活したのは、楯無さんの番のときだ。俺はここぞとばかりに反撃にでる。
「さて、最後は、楯無さんを改造するでゲス」
「あら、一体どんな格好をさせてくれるのでごわすか?」
「楯無さんには、これを着てもらうでゲス!」
「こ、これはっ!でごわす!」
楯無さんの瞳が、カッと見開かれた。そして、数分後・・・。
「私がガ○ダムでごわす」
楯無さんモビルスーツになっていた。段ボールで作られたガ○ダムの装甲を身につけて、顔だけが楯無さんなっている。
俺は・・・楯無さんのガンダ○発言に、笑顔で返してあげた。
「絶対違うでゲス」
「運命君が着せたんじゃないっ!でごわす!」
「ごわすごわす言う○ンダムが居てたまるでゲスか」
「あんたって人はぁー!でごわす!」
「ゴワスガ○ダム・・・という名前でいいでゲスか?」
「嫌よ!キャラ変更というか、人でさえなくなちゃったでごわすよ、私!」
なんでここまで楯無さんと話が合うかというと、この前楯無さんと俺のISについて話していたのがきっかけだ。俺はインパルスのことを語ったんだが、この世界には「ガンダム」自体が存在しない事を話された。その事から俺の存在が異世界のものである事がバレて、白状した。どっちの話も真実という事を楯無さんは信じてくれたみたいだ。
「ゴワスガンダム、ザ○より弱いでゲスけどね」
「量産型に劣るのでごわす!?」
「量産型を舐めちゃいけません。量産型は、伊達じゃないんでゲス」
「ガン○ムの方が伊達じゃないでごわすよ!」
そんな会話をしていると、チャイムが鳴った。寮に戻る時間だ。
同時に楯無さんがぽつりと、つぶやく。
「飽きたね・・・」
『はい・・・』
全員、一斉にうなずく。というわけで。
「私達は、そのままで充分魅力的なのよ!」
この一言で今日生徒会の活動は終了した。
ま、簪にこの生徒会の空気が分かってもらえたからいいか・・・