運命side
「・・・うぅぅ〜ん・・・あれ、ここ何処だ?」
目を覚ますと、そこは以前見た景色と似ていた。どうやら気絶していたみたいだ。
(う〜ん、どっかで見たことあるんだけど・・・いつだっけ?)
すると扉がひらき、誰かが部屋に入って来た。それは俺のよく知る人物だった。
「ようやくお目覚めか。あまり私を心配させるな、馬鹿者」
「あれっ、千冬さん・・・?お久しぶりですね」
そこに居たのは、千冬さんだった。でも、いつもよりなんとなくだけど、優しい感じに見えた。
「結構な怪我をしていたみたいだが、もう起きて大丈夫なのか?」
「えぇ、とりあえずは大丈夫そうです。ほら、この通り!」
俺は元気な振る舞いをして言って見せた。その様子を見た千冬さんは、苦笑しながら言う。
「ふふっ。それだけ動けるなら問題無いな・・・さて、本題に入ってもいいか?」
おそらく、俺のことを聞くつもりなんだろう。でも、その前に・・・
「いいですけど、だったらそこで盗み聞きしている二人にも、聞いてもらわなくてもいいんですか?」
俺は扉を指さして二人のことをバラした。すかさず千冬さんが捕まえて連行してくる。そこに居たのはやはり簪と楯無さんだった。
(あれで隠れてたつもりなのだろうか?すれ違った生徒が変な目で見ているのに・・・)
二人とも何処かぎこちない様子だ。どうしたんだろう?
「二人とも、久しぶり・・・元気してた?」
「う、うん・・・」
「運命こそ・・・」
(う〜ん、何だろう?なんか空気がとても気まずい・・・でも、困った顔も可愛いな♪)
千冬さんはそんな会話のやり取りを見て、頭を抱えていた。
「はあ〜・・・金森、二人が混乱している。これ以上話すな」
千冬さんに止められてしまった。こういう二人は普段見れないから、もうちょっとやって楽しんでいたかっけど・・・
「それで、千冬さん。さっきの話って・・・」
「・・・確認のために聞いておく。お前は何者だ?」
聞いたときの千冬さんの表情は真剣そのものだった。二人も完全には信じ切れてないようで、“とても不安だ”といった表情だ。俺は二人の顔を見ながら、安心させるように告げた。
「俺は金森運命。みんなと過ごしていたあの時と変わらない・・・本物の金森運命です!」
「「運命(君)!!!」」ガシッ!!!
俺がそう宣言した瞬間、二人が抱きついて来た。二人の顔は既に涙で濡れまくっていた。
「うわぁあ!!・・・っと、もう二人とも・・・泣いてちゃせっかくの可愛い顔が台無しだよ。だからもう泣かないで・・・ほら!スマイル、スマイル♪」
そう言って俺は二人に笑って見せた。それを見て安心したのか、二人も自然と笑顔になっていた。俺はそれを見てこう言った。
「二人とも、やっぱり泣いてる顔より笑ってる顔の方が可愛いね!俺もそっちの方が好きだよ!」
俺の一言を聞いたとたん、二人が顔を真っ赤になって俯いてしまった。二人とも「可愛い・・・!?」とか「す、好き!?」など何回も言っていた。千冬さんに「お前も遂に女を口説くようになったか・・・男として成長した事を私は嬉しく思うぞ」とからかいながら言われてからやっと気づいて、恥ずかしくなった。
(俺って今、女の子口説いちゃった!?自然にでた言葉とはいえ恥ずかしいな!!)
俺は内心そう思いながらも、ふとこの景色を見つめる。いつも、当たり前だと思っていたこの景色。二度と見る事は無いと思っていたけど、こうして再び見る事ができて、嬉しく思う。
「簪、楯無さん、千冬さん・・・」
俺は彼女たちを見据えて告げた。
「ただいま・・・」
「「「おかえり、運命(君)」」」
この時、止まっていた俺の時間が再び、動き始めた。