ここは旅館からおよそ20km離れた上空地点。今頃、簪達が“福音”と戦っている最中だろう。だが、今の俺は目の前の問題に集中しなくてはならない。何故なら俺の目の前にはあいつがいるからだ。
『さっきから誰に向かって話しているのだ?』
「気にしないでくれ。話の展開を説明していただけだ」
“意味不明ヤロー”ことエクシアさんとこれからバトルします。
「なぁ、今さらだとは思うが、やっぱり戦わないと駄目なのか?」
『フンッ!お前が来なければ、それはそれでしょうがないと思っていた。だが、お前はここに来た。この意味が分かるか?』
エクシアは意味有り気に問いかけてくる。
「どういう事だ!?」
俺が問いかけると、エクシアがGNソードをライフル形態で展開し、俺に向けて発射してきた。あまりにも鮮やかで、隙など存在しない動きだったため、ガード出来ずに直撃してしまった。インパルスを展開していたから良かったものの、ほとんど即死コースだった。
「グァッ!クッ・・・一体どういうつもりだ!!」
俺が叫ぶと、エクシアはソード形態にして、刃先を俺に向けながら言った。
『それを聞きたければ、俺を倒してみろ。お前の本気を俺に見せてくれ!!』
俺は苦い思いで、フォースシルエットとビームサーベル、シールドを展開した。
「クソ!やっぱり戦うしかないのかよ・・・もう容赦しねぇぞ!!」
『フッ・・・全力で来い!俺が見定めてやる!!』
俺とエクシアは身構えると同時に、お互いに襲いかかった。
私は福音迎撃作戦のため、織斑くんと篠ノ之さんで出撃している。私の役目は二人のバックアップだ。篠ノ之博士の言い分だと、「二人だけでも全然モーマンタイ♪」という事らしいけど、運命の言い分も通ったみたいで私も出撃することになって、今に至ります。
ちなみに運命の言い分は「簪舐めんな簪舐めんな簪舐めんな簪舐めんな簪舐めんな・・・」だった。あれはちょっと怖かった。たぶんだけど、篠ノ之博士に私を馬鹿にされたのが嫌だったんだと思う。必死になって私を守ってくれて、とても嬉しかったな。今度は私が守る番だ。この作戦、絶対成功させないと!
その時、織斑先生から私達に通信が入った。
《各員、聞こえるか?もう間も無く、福音との接触ポイントに到達する。接触したら、先程説明した作戦通りに行動しろ。分かったな?》
『了解です!!』
私達が返事すると、オープンチャンネルが切られた。同時に、気合いを入れ直す。
(もう、前みたいな失敗はしない。私自身のけじめのためにも、運命の信頼に応えるためにも!)
心の中でそう決心すると、プライベートチャンネルに通信が入った。相手は・・・・・・・・・織斑先生からだ。
「はい、なにかあったのですか?」
《篠ノ之が浮かれているのは分かるか?まぁ、専用機を貰って一夏と共に肩を並べることが、あいつは嬉しいのだろうが・・・・・・これは実戦だ。間違いなく死ぬ》
それを聞いて、私は篠ノ之さんを見ながら答える。
「みたいですね。それで、私にどうしろと?」
《なに、お前もあいつと同じ状況ではないかと思っただけだ。その様子だと、大丈夫のようだな》
結構、痛いところを突いてくる織斑先生。やっぱりこの人、運命の言ってたとおり超人なのかな?
「・・・そうですね。運命が大丈夫って言ってくれたから、それに応えませんと・・・」
《・・・そうか。あいつもそうだが、あまり思い詰めるなよ。でなければ、見えるものも見えなくなる》
織斑先生はそれを言い終えると、オープンチャンネルに切り替えた。
《ではこれより、“銀の福音迎撃作戦”を開始する!各員の健闘を祈る》
それぞれの想いを胸に秘め、私達の戦いが始まった。
「ハアァァァァァァ!!!!」
俺はビームサーベルを縦横無尽に振りおろす。
『フハハハハハッ!!イイぞイイぞ!溢れんばかりの狂気と殺意が滲み出ているぞ!』
エクシアは俺が振りおろしたビームサーベルの軌道をGNソードでずらし、やり過ごしている。さっきから切ってはいなされ、切ってはいなされの繰り返しだ。これだけ切りかかっていると流石に分かってくる。
こいつはまだ、本気を出していないという事を。
決して、俺の攻撃に隙があるわけじゃない。だが、こいつの反応速度ならカウンターの一つや二つ、決められてもおかしくない・・・寧ろ、ここまでまともに攻撃してこないのが、何よりの肯定を表している。
正直言って、状況はよろしくない。こうなったらSEEDを使うしかない!
「あくまで本気を出させる気か・・・だったらお望み通りにしてやる!!」
頭の中でなにかが弾ける音がし、SEEDの発動に成功する。それと同時に、俺はフォースシルエットを切り離して、新たなシルエットを展開した。バックパックに大型の翼をもち、新たにビームブーメラン、対艦刀、延伸式ビーム砲塔を装備し、フォース、ソード、ブラストの機能を統合したインパルスの最終形態「デスティニーシルエット」だ。
『形状が変わった?奥の手という奴か!』
エクシアが少し驚いているが、このシルエットはエネルギー効率が悪いため長時間の展開が出来ない。
「速攻で決めさせてもらう!」
俺はウイングスラスターを展開し、エクシアめがけて突っ込んだ。この翼は光圧推進器であるヴォアチュール・リュミエールシステムが搭載されており、稼働時に爆発的な加速力を得る事ができる。故にエクシアといえども、そう簡単には対応出来ない。
『クッ!速度が上がっている!?だがこれでどうだ!!』
エクシアは俺めがけてGNソードとGNビームサーベルを突き刺した。しかし、
『なっ!?そんな馬鹿な!残像だと!?』
エクシアが斬りかかったのは、デスティニーシルエットが創り出した残像だった。その隙に俺は後ろに回り込み、エクスカリバーで斬りかかる。
『グアッ!・・・クッ!やるな。俺とここまでやりあったのは、お前が初めてだ』
「そいつは光栄だね・・・だが、これで終わりだ!」
俺は言い終えると同時に、エクシアに斬りかかった。しかし、エクシアは静かに続けた。
『君への態度を改めよう。こちらも本気でいかせてもらう!』
まさに俺の刃がエクシアに届きそうなその時、エクシアが静かに言い放つ。
『“トランザム”システム、発動!!』