〜翌日〜
「・・・・・・・・・またか・・・」
昨日に続き、忌々しいアラーム音が部屋中に響き渡る。毎朝こんな音に起こされている所為か、日に日に体がだるくなってきている様だ。
「とりあえず、今日も箒さんと勉強かな」
今日の予定を確認したところで、僕は準備を始めるのだった。
〜そして放課後〜
放課後だ。誰が何を言おうと放課後だ。展開がはやいとか言った奴の負けだ。
「誰だ?」
「箒さん、僕です。金森です」
しばらくすると、部屋のロックが解除された。同時に中から箒さんの声が聞こえてきた。
「待たせてすまない。準備ができたから、入って構わないぞ」
「・・・失礼します」
箒さんの了承を得た僕は、用意されたテーブル付近に座った。どうやらこれを準備していたようだ。
「ところで、今日は何をするんだ?」
「あ、それはですね・・・・・・」
僕は、持ってきたノートパソコンを起動して、とあるファイルを開いた。
「昨日はノートに知識をまとめたものだったから、今日は実際に動いていた映像を使ってみようかと思ったんです。そっちの方が分かりやすいでしょう?」
「なるほど・・・・・・しかし、どうやってこれを?一般公開されてない物も混ざっているようだが・・・・・」
「僕はいろいろと顔が利くって事ですよ。それよりも早く始めましょう」
「うむ、よろしく頼む」
こうして、僕たちの修行が始まった。
「・・・とまぁ、全部見終わった訳ですけど、どうでしたか?」
「正直、運命の操縦技術がただただ凄いということくらいしか、理解できないな・・・・・・」
「時間はまだあります。焦らずにゆっくり確実に力にしていきましょう。それに、箒さんには目標がありますしね。好きな人と肩を並べたいっていう」
僕の言葉を聞いた瞬間、箒さんは顔を真っ赤にしながら反論し始めた。
「な、何を言っているんだ!?わ、私はそんな不純な動機で強くなりたいと言っているんじゃない!!」
「いやいや、否定するような事では無いですよ。むしろ、誇っても良い。恋は人を強くしますからね。それに、貴女の力は人を護るためのものであって、人を傷つけるためのものではないでしょう?」
「当たり前だ!だから、こうして強くなろうと・・・・・!」
「だったらいいんです。力を持つ者としての自覚があれば、もっと強くなれるはずです。頑張ってください!」
僕は右手を差し出した。
「・・・・・あぁ、もちろんだ!私は必ず強くなってみせる!」
そう言って、箒さんは僕の手を握り返した。
「箒さん、僕が教えられるのはここまでです。あとは実際に動いてみて、慣れていくしかありませんからね・・・・・・という訳で、はい」
僕はバッグから、あるものを取り出した。
「?これは一体何だ?」
「それはですね、名付けて“運命くんmini”です。まぁ、一種の人工知能ですね。さっきのデータを見るのも、ホログラム投影機として使えるからこれ一つで済むし、箒さんの稼働データを読み込ませれば、どこを改善すればいいか等をリアルタイムで報告してくれるんです!なんたって、この手のひらサイズが一番のポイントですよ!」
「・・・なんか、何処ぞの社長みたいだな」
なんか箒さんが気負いしてるような気がするけど、そんな事は気にしない。
「それじゃ、僕はこれで失礼します。これから用事があるので!」
「あっ!おい、待て!」
僕は箒さんの呼び止める声を遮って、駆け抜けるのだった。
「はぁ、はぁ・・・こ、此処か、整備室ってのは?」
箒さんとの修行が終わった僕は、整備室に来ていた。理由は、先ほど見た映像の中にあるものが映っていたからだ。そのあるものを確認するために、ここに来たということだ。
「居ないか・・・・・・まぁ、そんな都合良くいるわけないよな・・・・・」
もしかしたら、と思って来てみたものの、やはりいなかった。引き返そうと扉の方へ向かった時、それは現れた。
「か、簪・・・・・さん?」
「っ!?・・・・・・運命・・・」
それは再び時が動き始める引き金になったと僕は感じた瞬間だった。
(な、何で!?何で運命がここに!?あの日以来、ここに来たことなんか無かったのに!だ、ダメ!早くここから離れないと!私には運命と一緒にいる資格なんて無いんだから!)
私はすぐさま踵を返して、その場を離れようとする。しかし・・・・・・・・。
「ま、待ってくれ!!行かないで!」
運命の声が聞こえた瞬間、足が止まった。頭では今すぐ離れないといけないとか理解してるのに、体が言うことを聞かない。
「少し・・・・・・話をしないか?」
私たちは、あの思い出深い場所で話をすることにした。そう、私と運命が初めて会ったあの見晴らしのいい岬だ。結局、運命のことを自分から突き放しておいて、またこうして運命と一緒にいる自分が本当に駄目な奴だと思う。せっかく決心したものを、一瞬でまたずるずると元に戻してしまう。自分で決めたことくらい守り通せない自分が嫌になる。
「・・・それで、一体何を話すの?」
「・・・まず、ひとつ聞かせて欲しい。なぜ君たちは僕を嫌うんだ?明確な理由が分からなければ、僕もどうすればいいのか分からない!」
いきなり核心を突かれた。言えるわけがない。運命を傷つけないために、冷たくしているなんて。だって、それは逃げだから。
「・・・別に、嫌ってなんか無い。そういう風に見えたのなら、謝る」
「嘘を言うな!あんな態度をとっておいて、今さらそんな都合のいい事言うなよ!」
私は今まで受けたこともないくらいの衝撃を受けた。あの優しい運命が、私の・・・好きな人が、ここまで感情を表に出した事など無かったから。
「えっ・・・・・・あぁ・・・・・・」
気づけば、私は泣いていた。感情の抑えが効かないくらいに、涙がとめどなく溢れ出ていた。何で?運命にそう思われても当然なのに・・・・・・・・・苦しい、苦しいよ・・・・・・。
「あっ・・・・・ご、ごめん。今のは言い過ぎたよ・・・・。別に無理して態度を改めろとは言わない。嫌いなままでも構わない。ただ、理由も言わないで突き放されるなんて・・・・・・・・・寂しいじゃないか・・・」
その時の運命の瞳は、とても悲しい目をしていた。同時に、何かを思い詰めているような気がしてならなかった。それはとても不安定で、今にも崩れしまいそうなほど弱々しい姿だった。
(このまま運命を放っておいてしまったら、壊れてしまう。そんなのは嫌だ!絶対に!)
「・・・・・・・・・えっ・・・」
言葉よりも早く、体が先に動いていた。運命を離さないといわんばかりに抱きしめる。
「ごめん・・・・・・なさい・・・・私の・・・所為で、こんな事に・・・」
運命は驚いているのか、さっきからずっと黙っている。けど、私はそんな事は気にせずに運命を抱きしめる。そして、少し経って離れようとした時、私は信じられない言葉を聞くことになる。
「ありがとう・・・・・・・・・“簪”」
「っ!?・・・・・・運命ぇ・・・・・・!!」
そして、蘇るものは一つだけではない。『光あるところ闇あり』とはよく言ったものだ。
「枯野様!例のものが目覚めたようです!」
「そうですか、では早速顔会わせと行きますか?」
「“オリジナル”のクローン達にね・・・・・・」
「少し前に気づいたんですけど、この小説のお気に入り登録数が270件なんですってね。本当にたまにしか見ないからこそ気づかないんですけど、どうやったら人気でるんですかね?我こそは!という方コメントよろしくお願いします。とりあえず当面の目標は“目指せ!300件!」