「じゃあ、もう全部思い出したの?」
あれから少し時間が経って、今は自室に移動した。僕は・・・・・・・・・いや、俺は記憶を取り戻すことに成功し、現在は簪と一緒にいる。
「あぁ、大体ね。簪のIS “フリーダム” を造ったことも、この学園で起こった出来事も。もちろん、楯無さんや虚さんや本音、それに簪のことも。でも、一つだけわからないことがある。なんで簪と本音は俺のことを・・・その・・・・・・はぶるようなことをしたんだ?」
そう聞くと、簪はバツが悪そうな顔をしながら答えた。
「・・・だって、運命が傷ついたのも・・・記憶が無くなったのも、私が甘えてばかりいたからだって分かってる。だから、迷惑掛けたくなくて、なるべく関わらないようにしようって決めたの」
な〜るほど、そういうことか。だから突き放すような態度をとっていたのか・・・・・・あれ?それじゃあ本音は?
「本音は怒らないであげて。あの子は私だけ辛い思いをさせたくないって我慢してただけなの。だから・・・・・・・・・」
「分かってるよ。本音にはあとで『頭グリグリの刑』でもしてやろうかな・・・・・・・・ってか、俺の心勝手に読まないでよ」
「あっ、ごめん(普通に話してたんだけど・・・気付いてないのかな?)・・・今までのお詫びも含めて、何かさせてくれないかな?」
また、この子は大胆なことを・・・・・・。いい加減に自分が美少女なことに気づいた方が良いと思う。しょうがない、おじさんが分からせてやるとするか。
「それじゃあ・・・・・・添い寝でもして貰おうかな?なんて・・・・・」
どうだ、幾ら何でも年頃の女の子がこんなことする訳がn「分かった」いだろう・・・・・・へ?この子は今なんと言った?
「恥ずかしいけど・・・・・・私、頑張る・・・」グッ!
な、な、なんですとぉぉぉぉおおお!!??
「そっち、大丈夫?狭かったら言ってね?すぐにでも退くから」(汗)
「・・・運命が言ったのに、何でそんなに焦ってるの?」
当たり前でしょ!!だって、絶対断ると思ってたんだもん!!例えるならば、海釣りに行ったら海の都アトランティス見つけちゃったくらい凄い確率なんだよ!前世でも無かったんだもん!「美少女と添い寝・・・・・・あぁ、なんて甘美な響き♪」とか言ってた奴だもん!・・・・・・・・・なんか言ってて虚しくなってきた。現実逃避はもうやめよう。
「んじゃあ・・・簪、おやすみ」
「うん・・・・・・おやすみ」
俺は部屋の電気を消した。そして、しばらく息を潜めて簪が先に寝るのを待つ。何でかって?まぁ・・・あれだよ。「お薬の時間です」ってやつだよ。地の文だし説明してもいいよね?
さっき、記憶を取り戻したって言ったよね?そんでもって、ずいぶん前に枯野の私設研究所に連れて行かれたことを覚えていますか?その時に見ちゃったんですよ、俺の研究内容が記された書類をね。身体はそのままで、意識のみを蘇生させる実験ですって。迷惑な話ですよ。身体は死体のままだから痛覚は存在しない、故に人体ではあり得ない動きが可能になる・・・・・・・・・らしいです。でも、欠点もあるんだとか。そんな身体にしてしまったことを世間に知れ渡るのを阻止する必要があるのと、時間が経つごとに身体にかなりのガタが来て使い物にならなくなってしまうそうです。まさに“ギブアンドテイク” ですね。なので投薬で禁断症状が来るのを抑えているんです。とは言うものの、完全に抑えられる訳も無く、定期的に銀河に薬を送ってもらっているんです。自称“歩く死体” とは中々洒落たこと思いつくでしょう?
ところで、皆さんそろそろ何でこんな話してるか気になるでしょう?それはですね・・・・・・。
私、金森運命は現時刻をもってIS学園を離れ、テロリストになるからです!
・・・・・・決まった!心の中だけど。今さら言い出した話でもないんですけどね。近く、学園祭があるので、それまでに何とかして学園を離れなければ!ってことだったし。とまぁ、話せることはこれだけです。これからしばらくは悪者になるしかないので、こんな感じで話せないと思います。が、皆さん忘れないでください。「己の正義が皆の正義」であることを。そして、いつか必ず誰もが分かり合えることを。金森運命はそのための犠牲になることを誇りに思います。
「さてと、そろそろ行くか・・・・・・あっ、そうだ」
俺はクルッと方向転換し、寝ているであろう簪の顔を覗き込む。
「・・・んぅ・・・・・・」スゥ・・・スゥ・・・
「ハハッ、可愛い寝顔だな・・・・・・こんな俺と今まで仲良くしてくれてありがとう・・・・・・寝ているとはいえ、結構恥ずかしいな・・・///まぁいいか。簪、俺は行くよ」
俺はその場から立ち去ろうとしたその時、その言葉は確かに聞こえた。
「・・・運命ぇ・・・・・・ずっと・・・好き・・・待ってる・・・」
思わず立ち止まってしまった。聞こえたその言葉はまさに「告白」。でも今はまだ答えは出せない。悪者には相応しくないだろう?それに、俺は死者だからね。
「簪・・・・・・ごめん、今はまだ答えを出せない俺を許してほしい。その代わり、約束するから」
俺はそのまま簪の頬に軽く口づけをして告げた。
「絶対・・・・・絶対に戻ってくるから!」
俺はその場を立ち去った。迷いはない。新たに目標を掲げ、行くべき道を見つけた俺 金森運命は進む。自身のため、世界のため、そして「彼女」・・・いや「彼女たち」のために糧になることをも厭わない。だけどね・・・・・・・・・・・・
「運命くん?こんな時間にどこに行くのかしら?ホテルならお姉さんが着いて行ってもいいわよ?あっ、LOVEなホテルのほうね♪」
「・・・お断りさせていただいてもよろしいでしょうか?楯無さん」
この人寄越すのは卑怯くさいだろぉぉぉぉおおお!!??
ある意味、タイトル詐欺?な感じかな。