オリ主は空に舞う   作:自由の魔弾

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NO.53 舞い戻る運命

千冬side

 

私は唖然としてモニター越しの未知のISを見つめていた。それは、以前見覚えのある奴のものに似通った形状を持ちながら、フレームには共通するところが見受けられない。

その時、通信機から聞き覚えのある声が飛び込んできた。

 

「こちら、金森運命です!IS学園、聞こえていますか?」

 

その声を聞いた専用機メンバーは一様に、息を呑む。

 

「二人が後退を援護します。今のうちに退いて下さい!」

 

私の頭にさまざまな疑問が渦巻いていた。金森運命は死んだはずだ。しかし、その声は紛れもなく本人のものだった。金森運命は生きていた?だがどうやって?そのISは一体?

迷う私に、金森運命が断固として告げる。

 

「よろしくお願いします、千冬さん!」

 

言い終えると、通信が切られた。だが、私は確信した。今の言葉に嘘偽りはない。正真正銘金森運命のものであることを。

 

「フッ・・・。あいつも言うようになったじゃないか。いいだろう。全機に告ぐ!直ちに後退せよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命side

 

通信を終えた俺は、枯野にその意思を確認する。

 

「あなた達も同じです。今なら間に合います。直ちに“彼ら”と共に下がって下さい」

 

すると、枯野が答える。

 

「人の心配をしているほど余裕があるのか?姿形が変わっていても、私には到底及ばない!」

 

返ってきたのは、戦線布告の言葉だった。

俺は意を決して、背中の長剣“MMIー714 アロンダイト”を抜き放ち、血を吐くように叫んだ。

 

「行くぞぉおおおお!!枯野ッ!!!」

 

俺は声の限りにわめきながら、枯野の“プロヴィデンス”に向かって突っ込んでいく。力任せに振り下ろしたビームソードを、枯野は紙一重でかわす。後退しながら“ドラグーン”を矢継ぎ早に展開し、一斉に“デスティニー”を取り囲む。俺は全方位からランダムに撃ちかけられるビームを、“デスティニー”の推進力で振り切るようにかわす。

 

「今度はこっちの番だ!!」

 

俺は再び長刀を掲げ、スラスターを全開にした。“デスティニー”は俺の反撃の声に呼応するかのように、残像を散らしながら凄まじい加速で“プロヴィデンス”に急迫する。

“プロヴィデンス”もビームサーベルを展開し、突っ込んでくる。振り下ろされた刃はかわされ、突き上げられた光刃をかわし、両者は閃光のようにすれ違う。“プロヴィデンス”が引きながらライフルを構える。砲口からから凄まじい光が迸る。俺はシールドを最大出力で広げ、かろうじてビームを受け止めた。反撃とばかり、背面のビーム砲をはね上げて撃ち返し、“プロヴィデンス”も“ドラグーン”を一箇所に集中して展開し、ビームを放つ。両者は目まぐるしく機体を交錯させ、激しく撃ちあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏side

 

「千冬姉!一体どういうことなんだよ!あれ、本当に運命なのか!?」

 

俺は口調が乱れるのも気に留めず、千冬姉に問い詰める。既に集合していた専用機メンバーたちが、驚きに目を見開いている。でも、千冬姉はいつものように制裁を下さず、説明を始めた。

 

「安心しろ。どういう訳かは知らないが、奴は本物だ。詳しい事情は後で説明してもらうとして・・・更識姉妹、お前たちに命令だ。返ってきたあいつを困らせてやれ」

 

千冬姉はたおやかに微笑みながら説明した。驚いた、千冬姉もこんな表情をすることがあるんだ。

すると、更識さんが千冬姉に鋭い視線を注ぐ。

 

「織斑先生、私に出撃許可を下さい!すぐに運命を助けにーーー!」

 

《その必要は無いし、お前のISでは何も出来ん》

 

なおも語りかけようとする更識さんの言葉を、傍に佇んでいた蒼いISが遮る。

 

「・・・助けていただいたのは感謝するけど、あなたに命令される義理はありません」

 

《なら、問おう。お前に金森運命のクローンであるあの三機のISを殺す事が出来るのか?》

 

蒼いISの言葉に、俺たちは衝撃を受ける。何だって!?さっきの奴らが運命のクローンだと!?

そんな俺たちをよそに、蒼いISは生徒会長に視線を移す。

 

《あんたは既に知っていたみたいだけどな。まぁ、言及はしないでおくが》

 

そう言われて、生徒会長の様子が変わる。彼女には恐らく何らかの悪夢のような記憶があるのだろうか。

 

《二人だけではない。ここにいる全員に当てはまることだ。クローンとはいえ、人殺しなど正気の沙汰ではない。だが・・・》

 

そこで言葉を一旦止め、こちらに向き直して告げる。

 

《俺にはその覚悟がある。この手を血で染めることも、その罪を背負うことも》

 

すると、今度は千冬姉の方に視線を移す。

 

《そういうことだ、織斑先生とやら。俺は再び出るぞ。もし何かあったら、アメリカに何とかしてもらえ》

 

それだけ言うと、蒼いISは室外へ行ってしまった。俺たちには覚悟が無い。確かにそうかもしれないと思う。でも、仲間の一人も助けられないことの方が後悔する!

 

「千冬姉、俺にも行かせてくれないか?」

 

千冬姉は動じる気配も無く、その言葉を受け止めた。やがて、穏やかに口をひらく。

 

「私に命令は下せない。だが、お前たちがどうしたいかは自分で決めろ。以上だ!」

 

その言葉は突き放すようで、でも同時に俺たちの意思を尊重してくれていた。

 

「ありがとうございます、織斑先生!!」

 

俺は感謝の言葉を伝え、再び戦場に赴く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命side

 

「くぅ・・・!!これでも駄目なのか!」

 

撃ち、かわされ、また撃たれてはかわし、“デスティニー”と“プロヴィデンス”の戦闘はまるで際限なく続くように思われた。

俺は立て続けにライフルを連射して、“プロヴィデンス”を追い込みながら急迫する。周到に散らされた射撃が敵の退路を断つ。素早くライフルから長刀の柄に手を伸ばしながら、俺は確信した。

ーーーやれる!

 

体勢を崩した敵機が眼前に迫る。俺は叫び声を上げながら、刀を抜き打ちに振り下ろした。が、次の瞬間、俺は信じられないものを目にする。

 

俺の死角から二体のISが、“プロヴィデンス”を庇うように前に出てきたのだ。振り下ろされた刃は止まる訳もなく、その二体に直撃した。

 

「S1!S2!」

 

枯野の声が聞こえるもむなしく、二体はそのまま海に堕ちていった。

 

「グッ・・・許さんぞ!!金森運命ェ!!!」

 

“プロヴィデンス”は先ほどとはまるで別人のような動きで、俺に踊りかかった。背面の“ドラグーン”を全て展開し、一斉に火を噴く。確実に命を狙いに来たその射線を、危うい所でビームをかわす。

 

「堕ちろォオオオオ!!」

 

“プロヴィデンス”の砲火が一点に集中する。俺はビームシールドでそれを受け止めるのが精一杯だ。

 

「二人の苦しみを知れぇええ!!」

 

“プロヴィデンス”は別働隊として隠し持っていた腰部の“ドラグーン”を、無防備である俺の後方に展開させる。

 

しまった・・・!?

 

防御に気を取られていた俺の肝を一瞬冷やした。そして、無慈悲にもビームが発射されようとした瞬間ーーー

 

「やめろーっ!!」

 

通信回線から聞き覚えのある声が飛び込む。ハッとしてめぐらせた目に、キラリと飛来する物体が映る。その機体は見る間に迫り、そのスピードのまま死角に展開された“ドラグーン”を切り裂いた。

 

「大丈夫か!運命!」

 

俺は一瞬の隙に、射線から退避する。そして、モニターに映る顔を確認する。

 

「織斑、一夏か?どうしてここに来た!!」

 

俺の命令を無視してここに来た織斑に対して、問い詰める。

 

「俺、気づいたんだ。俺が本当に守りたかったもの。俺は今この瞬間まで、共に過ごしてきた人たちを守りたい。それは、誰かが欠けてちゃダメなんだ。もちろん、運命も。ここまで来なきゃ気付けなかったけど、ようやく分かった。だから、全力で守らせてくれ!!」

 

俺は織斑の嘘偽りのない言葉を受け止めた。同時にかつての思いを呟いた。

 

「・・・やっぱお前が主人公だよ」

 

「えっ・・・?」

 

俺の言葉に織斑が・・・いや、もう他人行儀なのはやめよう。俺はもうあいつを嫌な奴なんて思わない。だって、それは認めた仲間に対する態度じゃないもんな。

俺は深呼吸をして、その意思を伝える。

 

「何でもない。それより、ここまで来たら手加減無しだ。行くぞ、“一夏”!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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